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第13話「氷神の逆鱗、空を駆ける」
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竜騎士団の諜報能力は、王国随一だった。
エヴァンの厳命から二日後、彼らはついに邪術師のアジトを突き止めた。それは王都の北に位置する、古代遺跡の地下深くに築かれた神殿だった。
「報告します!邪術師の名はヴァルガス。古の禁術を復活させ、世界を瘴気で満たそうと企む危険人物です!」
「ルカ様の力は、その儀式の触媒として利用されるものと……!」
報告を聞いたエヴァンは、ただ一言、短く告げた。
「……出撃する」
その声は、嵐の前の静けさのように不気味なほどの落ち着きを払っていた。しかし、その場にいた誰もが彼の内に秘められた、爆発寸前の激情を感じ取っていた。
駐屯地の練兵場には、竜騎士団の全勢力が集結していた。漆黒の鎧に身を包んだ騎士たちと、その傍らに控える雄々しい飛竜たち。彼らの士気は、最高潮に達していた。
彼らの敬愛する団長が、その生涯で初めて「守りたい」と願った存在を、何としても取り戻す。団員たちの思いは、一つだった。
エヴァンは、相棒であるゼロの背に跨る。
「行くぞ、ゼロ」
『グルルゥゥァァァッ!』
主の決意に呼応し、ゼロが天を衝くような雄叫びを上げた。その体から絶対零度の冷気が放たれ、周囲に吹雪が舞う。その姿は、まさしく怒れる神の使いだった。
「全軍、続け!目標は北の古代遺跡!何としてもルカを奪還する!」
エヴァンの号令一下、数十頭の飛竜が一斉に空へと舞い上がった。それは、壮大な光景だった。漆黒の竜の群れが、怒れる氷神を先頭に一直線に北を目指す。
空を駆けるエヴァンの脳裏には、ルカとの短い日々の記憶が駆け巡っていた。
初めて会った、雨の路地裏。怯えたように自分を見上げる、濡れた子犬のような瞳。
腕の中で、安らかに眠る穏やかな寝顔。
自分の力を認められ、はにかむように笑った、嬉しそうな顔。
『あなたのそばにいます』
そう言って、凍てついた自分の心を、その温かい光で溶かしてくれた唯一の存在。
(待っていろ、ルカ)
エヴァンは、柄を握る手に力を込める。
(今すぐ、お前をその闇から救い出してやる)
彼の瞳は、かつてないほどに澄み渡っていた。迷いも、過去への悔恨もない。あるのはただ、愛しい人を救い出すという鋼の意志だけ。
氷神の逆鱗が、今、邪悪なる者たちへと振り下ろされようとしていた。
エヴァンの厳命から二日後、彼らはついに邪術師のアジトを突き止めた。それは王都の北に位置する、古代遺跡の地下深くに築かれた神殿だった。
「報告します!邪術師の名はヴァルガス。古の禁術を復活させ、世界を瘴気で満たそうと企む危険人物です!」
「ルカ様の力は、その儀式の触媒として利用されるものと……!」
報告を聞いたエヴァンは、ただ一言、短く告げた。
「……出撃する」
その声は、嵐の前の静けさのように不気味なほどの落ち着きを払っていた。しかし、その場にいた誰もが彼の内に秘められた、爆発寸前の激情を感じ取っていた。
駐屯地の練兵場には、竜騎士団の全勢力が集結していた。漆黒の鎧に身を包んだ騎士たちと、その傍らに控える雄々しい飛竜たち。彼らの士気は、最高潮に達していた。
彼らの敬愛する団長が、その生涯で初めて「守りたい」と願った存在を、何としても取り戻す。団員たちの思いは、一つだった。
エヴァンは、相棒であるゼロの背に跨る。
「行くぞ、ゼロ」
『グルルゥゥァァァッ!』
主の決意に呼応し、ゼロが天を衝くような雄叫びを上げた。その体から絶対零度の冷気が放たれ、周囲に吹雪が舞う。その姿は、まさしく怒れる神の使いだった。
「全軍、続け!目標は北の古代遺跡!何としてもルカを奪還する!」
エヴァンの号令一下、数十頭の飛竜が一斉に空へと舞い上がった。それは、壮大な光景だった。漆黒の竜の群れが、怒れる氷神を先頭に一直線に北を目指す。
空を駆けるエヴァンの脳裏には、ルカとの短い日々の記憶が駆け巡っていた。
初めて会った、雨の路地裏。怯えたように自分を見上げる、濡れた子犬のような瞳。
腕の中で、安らかに眠る穏やかな寝顔。
自分の力を認められ、はにかむように笑った、嬉しそうな顔。
『あなたのそばにいます』
そう言って、凍てついた自分の心を、その温かい光で溶かしてくれた唯一の存在。
(待っていろ、ルカ)
エヴァンは、柄を握る手に力を込める。
(今すぐ、お前をその闇から救い出してやる)
彼の瞳は、かつてないほどに澄み渡っていた。迷いも、過去への悔恨もない。あるのはただ、愛しい人を救い出すという鋼の意志だけ。
氷神の逆鱗が、今、邪悪なる者たちへと振り下ろされようとしていた。
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