捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん

文字の大きさ
15 / 16

番外編「小さなお客様とベビーベッド」

しおりを挟む
 ある日のこと。
 城門の前に、小さな籠が置かれていた。
 中に入っていたのは、捨て子と思われる魔族の赤ん坊だった。
 小さな角と、蝙蝠のような翼が生えている。
「まあ……!」
 私はその子を抱き上げた。
 赤ん坊は一瞬驚いたように私を見つめたが、すぐに私の匂いに安心したのか、キャッキャと笑い始めた。
「リノ、それは……」
 ザルドリス様が困惑顔で覗き込む。
「捨て子のようです。……放っておけません」
「……そうだな」
 彼は赤ん坊のぷにぷにとした頬を、恐る恐る指でつついた。
 すると、赤ん坊はその指をギュッと握りしめた。
「……!」
 ザルドリス様の表情が、一瞬でデレデレに崩れた。
「……可愛いな」
「ですね」
 その日から、魔王城に新たなミッションが加わった。
「至高のベビーベッド制作」である。
「素材は最高級のシルクだ! 肌触りが命だぞ!」
「柵の高さはこれでいいか? 落ちたら大変だ!」
「モビールはドラゴンの鱗で作ろう、キラキラして喜ぶはずだ!」
 ザルドリス様は、政務そっちのけで(ギルに怒られつつ)育児と工作に参加した。
 完成した子供部屋は、もはや「雲の上」と形容すべきファンシー空間になった。
 赤ん坊――「ミナ」と名付けた――は、その部屋ですくすくと育った。
 私たちを「パパ」「ママ」と呼び、城中をハイハイで冒険する。
「パパ、だっこ!」
「おお、よしよし。高い高い~」
 玉座で仕事中の魔王様によじ登るミナ。
 それを目尻を下げて受け入れる魔王様。
 部下たちは「平和だ……」と遠い目をしている。
 私たちはまだ本当の子供を授かってはいないけれど、こうして家族が増えていくのも悪くない。
「リノ、ミナが寝たぞ」
「お疲れ様です、パパさん」
「……次は、私たちの子供のためのベッドも、考えておかねばな」
 ザルドリス様が、意味深にウィンクをした。
 私の巣作りは、まだまだ終わりそうにない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

姉の代わりに舞踏会に行ったら呪われた第三王子の初恋を奪ってしまった

近井とお
BL
幼少期、ユーリは姉によく似ていることから彼女の代わりに社交の場に出席することが多々あった。ある舞踏会の夜、中庭に姿を眩ませたユーリに誰かがぶつかってくる。その正体は呪われていると噂の第三王子であったが、ぶつかられたことに腹を立てたユーリは強気に接し、ダンスを踊った後、彼を捜している気配を感じてからかいながら立ち去る。 それから数年後、第三王子は初恋の令嬢を探し始めたが、それはユーリに違いなく……。 初恋の相手を捜す第三王子×軽口令息

契約満了につき

makase
BL
仮初めの恋人として契約を結んだ二人の、最後の夜。

運命よりも先に、愛してしまった

AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。 しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、 2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。 その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

心からの愛してる

マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。 全寮制男子校 嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります ※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

処理中です...