役立たずと勇者パーティーから追放された俺、人間嫌いの魔族様に「君は私の光だ」と求婚され溺愛される

水凪しおん

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第8話「愛のための覚醒」

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 逆上したアレスは、懐から禍々しい光を放つ黒い宝玉を取り出した。それは、古代遺跡から発掘した、魔族の力を封じ込めるという禁断の魔道具だった。
「後悔するなよ、魔族!」
 アレスが宝玉をゼノンに向かってかざすと、宝玉から放たれた無数の黒い鎖がゼノンの体を縛り上げる。
「ぐっ……!」
 ゼノンの体から急激に魔力が吸い取られていく。強大な力が失われ、彼は苦悶の表情を浮かべてその場に膝をついた。翼は力を失って垂れ下がり、あれほどの威圧感を放っていた金の瞳も、光を失っていく。
「ゼノンさん!」
 リアムが駆け寄ろうとするが、ゴードンがその行く手を阻んだ。
「さあ、帰るぞ、リアム」
 アレスが歪んだ笑みを浮かべ、リアムに向かって手を伸ばす。絶望的な状況だった。自分を守ろうとしてくれた人が、自分のせいで苦しんでいる。それなのに、自分には何もできない。ただ守られているだけだった過去の自分が、無力な自分が、悔しくてたまらなかった。
『ゼノンを守りたい!』
 その時、リアムの心の中で、一つの純粋で強烈な願いが生まれた。それは、誰かのためではなく、自分の意志で、ただ一人、愛する人を守りたいという魂の叫びだった。
 その願いに応えるかのように、リアムの体から、これまでとは比較にならないほどの強大な光が爆発的にあふれ出した。それは温かい癒やしの光などではない。全てを浄化し、悪意を寄せ付けない、神々しくも絶対的な白金の光だった。
「な、なんだ、この光は……!?」
 アレスたちがまぶしさに目を細める。光は瞬く間にドーム状の障壁となり、リアムとゼノンを包み込んだ。アレスが伸ばした手は、光の壁に触れた途端、激しい衝撃と共に弾き返される。
「ぐわっ!」
「アレス!」
 ゴードンが慌てて駆け寄る。彼は斧を振り上げ、力任せに光の壁に叩きつけたが、斧は甲高い音を立てて砕け散り、ゴードンの手は痺れて動かなくなった。
 リアムの力は、ただ傷を癒やすだけの補助的な能力ではなかった。彼の純粋な魂と他者を想う心が、聖なる力を呼び覚ましたのだ。それは、あらゆる悪意や呪いを浄化し、神聖な領域を作り出す、絶対的な守りの力。勇者パーティーにいた頃、彼の力が地味に見えていたのは、彼の心が虐げられ、本来の力を発揮できていなかったからだった。
 光の中心で、リアムは倒れたゼノンを優しく抱きしめた。彼の体からあふれる光がゼノンに注がれ、魔道具による呪縛の鎖をいともたやすく溶かしていく。ゼノンの体に、失われた魔力が急速に戻っていくのが分かった。
「リアム……お前のその力は……」
 ゼノンが、驚きと愛おしさが入り混じった表情でリアムを見つめる。
 リアムは、アレスたちに向き直った。その瞳にはもう、かつてのような怯えの色はない。大切な人を守るという、強く、揺るぎない決意の光が宿っていた。
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