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*番外編*かけがえのないお方①
しおりを挟む※ソフィアとアクリウスが出会った時のお話です
それは、突然の出会いでした。
旦那様が私にとってかけがえのないお方になるまでに、そう時間はかからなかったのです。
「ねぇ、カトレーヌ。本当に行かないとダメなのかしら?」
「まだ言っているの?全くもうっ」
淡いピンクのドレスに身を包み、いつもとは違う厚めの化粧を施され、戸惑いながら私が問いかけると、カトレーヌは呆れたような表情で答えました。
「今夜は何と言っても皇族に使える騎士様たちも集まるパーティーなのよ!それに、噂ではマリウス公爵様もいらっしゃるみたいだし」
きゃあっと黄色い声をあげてはしゃぐカトレーヌを尻目に、私は気づかれないように息を吐きました。
今まで何だかんだ言い訳をしながら逃げてきた社交パーティー。元々集まりが苦手な私にとって、貴族たちが集まるパーティーに参加することはとても勇気がいるものでした。
カトレーヌは「家柄で決められる結婚相手なんていや。結婚は自分でいいと思った相手としかしない!」と言い、日頃からパーティーに顔を出し、色んな方々と交流をしているようでした。
ずっとカトレーヌからの誘いを断っていた私でしたが、ずっとそれを見てきたお父様やお母様からついに社交の場に顔を出してはどうかと言われてしまったのです。
伯爵家の娘である以上結婚は避けられないはずですが、お父様は無理強いをしたくないと、今まで縁談の話を私に持ちかけたことはありませんでした。
けれどもあまりにも私の行動範囲や友好関係が狭いため、心配になったのでしょう。
「ソフィア、今までお前の自由にさせてきたが...どうだ、一度でいいからパーティーに参加してみないか?」
そう言われたのが今回のパーティーだったのです。
お父様の心配そうな表情やお母様の申し訳なさそうな表情を見て、流石に断ることはできませんでした。
一人じゃ心細いだろうと、カトレーヌも一緒に行くことになったのです。
「すごい....」
会場に着くと、彩りの煌びやかなドレスに身を包んだ貴族たちが楽しそうに談笑し、内装もキラキラと輝き、まるで別世界にいるようでした。
「うわぁっ、さすがだわ。今までのパーティーとは桁違い」
カトレーヌも驚いた様子で、ですがとても興奮したように言いました。
「カトレーヌ!」
「あらっ、ケイン様もいらっしゃったのね!」
声がする方へ視線を向けると、一人の男性が嬉しそうに手を振っておいでおいでと招くような仕草をしていました。
「前に参加したパーティーで会ったの。同じ伯爵家なんだけど、年上で面倒見が良い方なの。せっかく声をかけていただいたんだし、行きましょう!」
それからは、カトレーヌに連れられるがまま、色んな方と挨拶をしました。
一部の御令嬢からはサバサバしすぎだと距離を置かれることがあるものの、包み込むような優しさや芯の強さが好かれるのでしょう、彼女は本当に顔が広く、どこで知り合ったのかと不思議になるほどの方とも繋がりを持っていました。
そんな彼女に付き添ってもらっているのです。ありがたい反面、とてつもない数の方と挨拶や談笑をしたからか、次第に顔の筋肉が引き攣ってくるのを感じました。
「カトレーヌ、ちょっとお手洗いに行ってくるわ」
「あら、一人でいける?私もついて...」
「大丈夫よ、案内してくださる方もいるみたいだし。すぐ戻るから」
ついてこようとしてくれるカトレーヌを制して、私は会場の外へ向かいました。
楽しそうな話の最中について来てもらうのは申し訳ないもの。
「あら...?」
お手洗いの場所はすぐにわかりました。けれども、帰りの通路がわからなくなってしまったのです。
こんなに歩いたかしら...?
出てすぐに左に曲がったはずなのですが、歩いても歩いてもなかなか着きません。
それどころか、何だか中庭のような場所に着いてしまいました。
外はいつの間にか真っ暗になっていて、星が綺麗に輝いていました。
「綺麗....」
「そこで何をしている?」
思わず外の景色に見惚れていた時、ふと背後から低い声がしました。
驚いて振り返ると、体格の良い大柄の男性が立っていました。
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