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第6話 聖女のお仕事 ※偽聖女エリーゼ視点
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昨晩、エリック様と参加したパーティーはとても楽しかった。豪奢な衣装に身を包み、彼と一緒にみんなの前に立って、堂々としていられた瞬間は夢のようで心が高鳴った。シャンデリアの輝きの下、すべての視線が私たちに注がれ、その中心にいる感覚は何物にも代えがたい。
なぜか今まで都合が合わず叶わなかった、エリック様とパーティー会場で一緒に踊るという特別な時間。彼の温かな手に包まれて回るたび、周囲の羨望の眼差しが私をさらに輝かせてくれた。私は、それがとても嬉しかった。心の底から求めていたことが、ようやく手に入ったのだ。
だけど不思議ね。聖女である私は、エリック様の婚約相手。それなのに、これまでパーティーだって一緒に参加する機会も、ダンスを踊る機会もあったはず。なのに、そんなことをした記憶がない。頭をひねって思い出そうとしても、霧がかかったようにぼんやりとしている。
私はもっとワガママを言って、パーティーに参加するべきだったと後悔している。そうすれば、彼との思い出が今よりもっと多く手に入れられたのに。
エリック様との楽しい時間の記憶が、妙に足りない。そのことより、聖女の仕事で大変だったという記憶ばかりが鮮明に残っている。神殿の連中が、聖女である私に大変な仕事ばかり押し付けてきて、それで頭が疲労で一杯になっていたのね。祝福の儀式、病人の治療、作物の出来を良くするための祈り……数え上げたらきりがない。
だけど、もういいの。私は気付いた。過去を悔やんでも仕方ない。これからのことが大事。特に昨日は、とっても楽しかったから。これも、今までいっぱい我慢してきたからこそ楽しめたと考えることも出来るのよ。ポジティブに考えましょう。
エリック様との記憶が足りないとしても、これから新しくて、もっと楽しい思い出をどんどん作ればいいんだから。いずれ私たちは結婚して、王宮で暮らす。高貴な妃としての私。想像するだけで、胸が高鳴る。
「ふふっ」
神殿の自室。窓から差し込む朝日を浴びながら、ベッドの上で一人、思わず笑みがこぼれる。柔らかなシーツに顔を埋めて、幸せな気分に浸る。これからが楽しみね。
王国の繁栄と安定をもたらす聖女である私に、仕事の依頼も大量に舞い込んでくる。日々、その処理に追われるのだ。なるほど。やはり、この忙しさが私の楽しい記憶が足りないと感じさせる原因なのかも。
重い気持ちで、今日も神殿に来た。聖女の仕事、面倒だなぁ。サボれないかしら。 そんな事を考えている最中、強いノックの音がして、扉が開いた。
「エリーゼ様! 依頼が届いております」
顔を上げると、年若い女神官が慌てた様子で書類の束を抱えて立っていた。まだ朝早いというのに、すでに仕事の話。気が重くなる。
「またぁ? さっき終わらせたばっかりなのに。休ませてくれないの?」
私は思わず声を上げた。こんなに大量の仕事が次々と。いくら私が歴代最高の聖女といっても、休む時間は必要でしょう?
「ですが、早く処理しないと依頼が溜まる一方でして……」
女神官は目を伏せ、おずおずと言い訳する。
「特に病人の方々が、聖女様の祝福を心待ちにしております」
「もう、これ以上は無理よ! 今日は休ませてもらうわっ!」
「お、お待ち下さい聖女様!」
女神官は部屋に踏み込み、懇願するような声で言った。
「老賢者様からも、急ぐようにと……」
困った顔で部下の女神官が懇願してくるけれど、無理なものは無理。だってもう、何日連続で働いていると思っているの!? 朝から晩まで、休む間もない毎日。
こんなに忙しいとエリック様と会う時間を確保することも出来ないじゃない。このせいで、私は彼との大事な思い出が作れないのよ。
これまで私は、今すぐにでもエリック様と会いたいのに。会いたい気持ちをグッと我慢して、仕事に打ち込んできたのに。もう、我慢の限界だわ。
さらに騒がしい音がして、今度は激しい勢いで扉が開け放たれた。
「おい、聖女エリーゼ! 苦情が来ておるぞ! 雑な仕事をしおって!」
怒号と共に入ってきたのは、白髪と皺だらけの顔を持つ老賢者だった。赤く充血した目で私を睨みつけている。
「はぁ? 何よ、急に入ってきて怒鳴るなんて」
乱暴に扉を開けて入ってきたのは、神殿の老賢者の中でも特に保守的な考えを持つ面倒な老人だ。どうやら、私へのクレームがあるらしい。そんな事を伝えに来たなんて、暇なのかしら。それぐらい自分で処理してくれたらいいのに。私は、他にも色々と仕事を押し付けられて忙しいのよ。
そもそも誰よ、私の仕事に文句をつけるなんて。こんなに頑張っているのに。
「苦情? そんなはず、ありません! 私は、任された仕事は完璧にこなしました」
「事実として、市民から訴えが多数来ている」
老賢者は喚き散らす。
「しかも、この苦情の数は異常だ。治りかけた病気が再発したとか、作物への祝福が足りないだの……お前、もしかして手を抜いているのではないか?」
「手を抜くなんて、そんなことしてません!」
私は声を張り上げた。
「今まで、こんな事態になったことはないぞ! これでは、神殿の評価がガタ落ちに……」
老賢者の声が部屋中に響く。
「そんなの、私だけのせいじゃあないです! 私に押し付けないで下さい!」
私は聖女の仕事は、ちゃんとしている。しかも、休みもなく働き続けて人々のために尽くしている。こんなの普通じゃないわよ。歴代最高と呼ばれている聖女の私でも、無理なのよ。
でも、老賢者は納得していないようだ。彼は私を睨みつけると、怒りで体を震わせている。とにかく、私に責任を押し付けたい様子。そうよね、自分たちが無能なのを聖女の私のせいにしたいのよね。
文句を言うくせに、自分で動こうという考えはないのかしらね。いつも上から命令ばかり。
「そもそも、依頼の量が多すぎます。何度も言っていますが、異常です。私だけじゃ、もう無理です」
私は真剣に訴えた。本当に限界なのだ。
「聖女エリーゼ」
老賢者の声が低く沈んだ。
「今まで文句を言わずにやってきたのに、どうして今になって」
彼は私の顔を疑わしげに見つめた。何なのよ。
「……もしやお前、神殿に対して何かよからぬことを考えておるのではなかろうな!?」
「そんなことありません!」
疑いの目を向けてくる老賢者に、私は不快になる。何を言っているんだ、このボケ老人は。私が、そんなことをするわけないでしょ。今まで、どれだけ神殿に貢献してきたのか、忘れてしまったのかしら。
口だけ出してくるお前たちより、何百倍も神殿のために尽くしてきたというのに。私の力がなければ、この神殿なんてとっくに落ちぶれているというのに。
「今は、エリック様との仲を深めるべき大事な時期なんです!」
私は一番の切り札を切った。彼らも、これを言われたら文句も言えないでしょ。
「彼との結婚。それをおろそかにするべきでは、ありません。神殿のためにも」
「むぅ……」
その言葉を聞いた老賢者は、髭をさすりながら考え込んだ。
「確かに、それは一理ある。聖女と王子の結婚は、王国にとって何よりも重要な行事だからな」
今一番大切にするべきなのは、エリック様との結婚式に向けての準備。今の無駄に忙しい状態のままでは、彼と会う時間が減って、関係にひびが入るかも。それだけは絶対に避けないと。
王子との関係がうまくいかなければ、神殿の評判も落ちるでしょう?
私は絶対に、エリック様と一緒になる。もう少しで、それが叶うんだから。絶対に叶わない夢だと思っていた、その願いが。
王族の一員になった私は一生を遊んで暮らせるぐらい贅沢し放題の地位を得るの。そうなれば、こんな神殿の面倒な仕事なんて、もう適当にやっておけばいいのよ。
私が結婚して神殿から離れる前に、老賢者は急いで次の新しい聖女の候補を探したほうがいいんじゃないかしら。
「とにかく!」
老賢者は再び声を荒げた。
「聖女の仕事をサボることは許さんからな! 殿下との関係を悪くすることも許さん。どちらもうまくやれ!」
どっちもやれ、と。言いたいことだけ言って、老賢者は部屋から出て行った。その背中は、惨めにさえ見えた。時代遅れの老人。
聖女である私の意見など、聞く気もないみたい。神殿の評判を守るために、私を使い潰す気なのね。
部屋に残っていた女神官に、私は告げる。
「そういう事だから。私は、エリック様との時間を大事にしたいのよ。わかるでしょ?」
「で、ですが。処理していない依頼が山積みで……」
彼女は震える手で書類を示した。
まだ何か言いたい様子の彼女に、私は冷たい視線を向ける。すると彼女は、ビクリと震えた。
「溜まっている仕事は、そっちで処理しておいてよね。これから私は、エリック様に会いに行くから」
「お、お待ちください。聖女様っ! 私たちには、聖女様のような偉大な力がありません……。この量の仕事を処理するのは不可能……」
女神官の呼ぶ声を無視して、私は部屋を出た。本当に面倒ね。私は十分に頑張ったから、ご褒美が必要でしょ。どうせなら、素敵なドレスを着て、エリック様と街を歩きたいな。
そう思いながら、エリック様に会いに行く。この嫌な気分を振り払うために、今はエリック様と楽しい時間を過ごしたい。それだけ。
私は、この役目を与えてくれた彼への感謝の気持ちでいっぱい。聖女として、そしてエリック様の婚約者として。二つの幸せを掴んだ私は、きっと世界で一番の幸運の持ち主。
だから、誰にも邪魔はさせない。
なぜか今まで都合が合わず叶わなかった、エリック様とパーティー会場で一緒に踊るという特別な時間。彼の温かな手に包まれて回るたび、周囲の羨望の眼差しが私をさらに輝かせてくれた。私は、それがとても嬉しかった。心の底から求めていたことが、ようやく手に入ったのだ。
だけど不思議ね。聖女である私は、エリック様の婚約相手。それなのに、これまでパーティーだって一緒に参加する機会も、ダンスを踊る機会もあったはず。なのに、そんなことをした記憶がない。頭をひねって思い出そうとしても、霧がかかったようにぼんやりとしている。
私はもっとワガママを言って、パーティーに参加するべきだったと後悔している。そうすれば、彼との思い出が今よりもっと多く手に入れられたのに。
エリック様との楽しい時間の記憶が、妙に足りない。そのことより、聖女の仕事で大変だったという記憶ばかりが鮮明に残っている。神殿の連中が、聖女である私に大変な仕事ばかり押し付けてきて、それで頭が疲労で一杯になっていたのね。祝福の儀式、病人の治療、作物の出来を良くするための祈り……数え上げたらきりがない。
だけど、もういいの。私は気付いた。過去を悔やんでも仕方ない。これからのことが大事。特に昨日は、とっても楽しかったから。これも、今までいっぱい我慢してきたからこそ楽しめたと考えることも出来るのよ。ポジティブに考えましょう。
エリック様との記憶が足りないとしても、これから新しくて、もっと楽しい思い出をどんどん作ればいいんだから。いずれ私たちは結婚して、王宮で暮らす。高貴な妃としての私。想像するだけで、胸が高鳴る。
「ふふっ」
神殿の自室。窓から差し込む朝日を浴びながら、ベッドの上で一人、思わず笑みがこぼれる。柔らかなシーツに顔を埋めて、幸せな気分に浸る。これからが楽しみね。
王国の繁栄と安定をもたらす聖女である私に、仕事の依頼も大量に舞い込んでくる。日々、その処理に追われるのだ。なるほど。やはり、この忙しさが私の楽しい記憶が足りないと感じさせる原因なのかも。
重い気持ちで、今日も神殿に来た。聖女の仕事、面倒だなぁ。サボれないかしら。 そんな事を考えている最中、強いノックの音がして、扉が開いた。
「エリーゼ様! 依頼が届いております」
顔を上げると、年若い女神官が慌てた様子で書類の束を抱えて立っていた。まだ朝早いというのに、すでに仕事の話。気が重くなる。
「またぁ? さっき終わらせたばっかりなのに。休ませてくれないの?」
私は思わず声を上げた。こんなに大量の仕事が次々と。いくら私が歴代最高の聖女といっても、休む時間は必要でしょう?
「ですが、早く処理しないと依頼が溜まる一方でして……」
女神官は目を伏せ、おずおずと言い訳する。
「特に病人の方々が、聖女様の祝福を心待ちにしております」
「もう、これ以上は無理よ! 今日は休ませてもらうわっ!」
「お、お待ち下さい聖女様!」
女神官は部屋に踏み込み、懇願するような声で言った。
「老賢者様からも、急ぐようにと……」
困った顔で部下の女神官が懇願してくるけれど、無理なものは無理。だってもう、何日連続で働いていると思っているの!? 朝から晩まで、休む間もない毎日。
こんなに忙しいとエリック様と会う時間を確保することも出来ないじゃない。このせいで、私は彼との大事な思い出が作れないのよ。
これまで私は、今すぐにでもエリック様と会いたいのに。会いたい気持ちをグッと我慢して、仕事に打ち込んできたのに。もう、我慢の限界だわ。
さらに騒がしい音がして、今度は激しい勢いで扉が開け放たれた。
「おい、聖女エリーゼ! 苦情が来ておるぞ! 雑な仕事をしおって!」
怒号と共に入ってきたのは、白髪と皺だらけの顔を持つ老賢者だった。赤く充血した目で私を睨みつけている。
「はぁ? 何よ、急に入ってきて怒鳴るなんて」
乱暴に扉を開けて入ってきたのは、神殿の老賢者の中でも特に保守的な考えを持つ面倒な老人だ。どうやら、私へのクレームがあるらしい。そんな事を伝えに来たなんて、暇なのかしら。それぐらい自分で処理してくれたらいいのに。私は、他にも色々と仕事を押し付けられて忙しいのよ。
そもそも誰よ、私の仕事に文句をつけるなんて。こんなに頑張っているのに。
「苦情? そんなはず、ありません! 私は、任された仕事は完璧にこなしました」
「事実として、市民から訴えが多数来ている」
老賢者は喚き散らす。
「しかも、この苦情の数は異常だ。治りかけた病気が再発したとか、作物への祝福が足りないだの……お前、もしかして手を抜いているのではないか?」
「手を抜くなんて、そんなことしてません!」
私は声を張り上げた。
「今まで、こんな事態になったことはないぞ! これでは、神殿の評価がガタ落ちに……」
老賢者の声が部屋中に響く。
「そんなの、私だけのせいじゃあないです! 私に押し付けないで下さい!」
私は聖女の仕事は、ちゃんとしている。しかも、休みもなく働き続けて人々のために尽くしている。こんなの普通じゃないわよ。歴代最高と呼ばれている聖女の私でも、無理なのよ。
でも、老賢者は納得していないようだ。彼は私を睨みつけると、怒りで体を震わせている。とにかく、私に責任を押し付けたい様子。そうよね、自分たちが無能なのを聖女の私のせいにしたいのよね。
文句を言うくせに、自分で動こうという考えはないのかしらね。いつも上から命令ばかり。
「そもそも、依頼の量が多すぎます。何度も言っていますが、異常です。私だけじゃ、もう無理です」
私は真剣に訴えた。本当に限界なのだ。
「聖女エリーゼ」
老賢者の声が低く沈んだ。
「今まで文句を言わずにやってきたのに、どうして今になって」
彼は私の顔を疑わしげに見つめた。何なのよ。
「……もしやお前、神殿に対して何かよからぬことを考えておるのではなかろうな!?」
「そんなことありません!」
疑いの目を向けてくる老賢者に、私は不快になる。何を言っているんだ、このボケ老人は。私が、そんなことをするわけないでしょ。今まで、どれだけ神殿に貢献してきたのか、忘れてしまったのかしら。
口だけ出してくるお前たちより、何百倍も神殿のために尽くしてきたというのに。私の力がなければ、この神殿なんてとっくに落ちぶれているというのに。
「今は、エリック様との仲を深めるべき大事な時期なんです!」
私は一番の切り札を切った。彼らも、これを言われたら文句も言えないでしょ。
「彼との結婚。それをおろそかにするべきでは、ありません。神殿のためにも」
「むぅ……」
その言葉を聞いた老賢者は、髭をさすりながら考え込んだ。
「確かに、それは一理ある。聖女と王子の結婚は、王国にとって何よりも重要な行事だからな」
今一番大切にするべきなのは、エリック様との結婚式に向けての準備。今の無駄に忙しい状態のままでは、彼と会う時間が減って、関係にひびが入るかも。それだけは絶対に避けないと。
王子との関係がうまくいかなければ、神殿の評判も落ちるでしょう?
私は絶対に、エリック様と一緒になる。もう少しで、それが叶うんだから。絶対に叶わない夢だと思っていた、その願いが。
王族の一員になった私は一生を遊んで暮らせるぐらい贅沢し放題の地位を得るの。そうなれば、こんな神殿の面倒な仕事なんて、もう適当にやっておけばいいのよ。
私が結婚して神殿から離れる前に、老賢者は急いで次の新しい聖女の候補を探したほうがいいんじゃないかしら。
「とにかく!」
老賢者は再び声を荒げた。
「聖女の仕事をサボることは許さんからな! 殿下との関係を悪くすることも許さん。どちらもうまくやれ!」
どっちもやれ、と。言いたいことだけ言って、老賢者は部屋から出て行った。その背中は、惨めにさえ見えた。時代遅れの老人。
聖女である私の意見など、聞く気もないみたい。神殿の評判を守るために、私を使い潰す気なのね。
部屋に残っていた女神官に、私は告げる。
「そういう事だから。私は、エリック様との時間を大事にしたいのよ。わかるでしょ?」
「で、ですが。処理していない依頼が山積みで……」
彼女は震える手で書類を示した。
まだ何か言いたい様子の彼女に、私は冷たい視線を向ける。すると彼女は、ビクリと震えた。
「溜まっている仕事は、そっちで処理しておいてよね。これから私は、エリック様に会いに行くから」
「お、お待ちください。聖女様っ! 私たちには、聖女様のような偉大な力がありません……。この量の仕事を処理するのは不可能……」
女神官の呼ぶ声を無視して、私は部屋を出た。本当に面倒ね。私は十分に頑張ったから、ご褒美が必要でしょ。どうせなら、素敵なドレスを着て、エリック様と街を歩きたいな。
そう思いながら、エリック様に会いに行く。この嫌な気分を振り払うために、今はエリック様と楽しい時間を過ごしたい。それだけ。
私は、この役目を与えてくれた彼への感謝の気持ちでいっぱい。聖女として、そしてエリック様の婚約者として。二つの幸せを掴んだ私は、きっと世界で一番の幸運の持ち主。
だから、誰にも邪魔はさせない。
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