私だけ価値観の違う世界~婚約破棄され、罰として醜男だと有名な辺境伯と結婚させられたけれど何も問題ないです~

キョウキョウ

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第3話 素直に受け入れます

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 もちろん私は、フィリベール王子に泣いて縋るつもりなどない。だから、彼にこう言った。

「わかりました。婚約破棄を受け入れますわ」
「「……え?」」

 フィリベール王子とロザリーの2人は同時に、困惑したような声を漏らした。何を驚いているのかしら。

 すでに多くの人たちに婚約を破棄された瞬間を目撃されている。ここで謝っても、破棄を撤回することは簡単に出来なくなってしまったでしょう。だったら、潔く受け入れて早くこの場から立ち去りたい。

 もう、こうなってしまったら婚約破棄を受け入れる、という以外に選択肢は無い。

「婚約破棄の手続きについては、すぐ済ませてしまいましょう。フィリベール王子は関係者の皆様に説明をしておいてください。イジメの件についても、話してもらって結構です。もちろんその時に私も聞き取り調査が行われるでしょうから、協力をして事実をお話するつもりです」

 私は、ニッコリ笑ってそう伝えた。フィリベール王子は呆気に取られているようだけど、気にせず続ける。それで、話しておくべきことは終わりかしら。

 その場を立ち去ろうとすると、フィリベール王子に引き止められた。

「はぁ? 事実だと?」
「そうです。そして、厳正な調査が行われて真実が明らかになるでしょう」
「な、なに言ってるのよ! そんなことを言って、私たちを脅す気なの!?」

 ロザリーが叫ぶ。脅すだなんて、そんなつもりじゃないのに。彼女は焦っていた。それを見て、やはり嘘だということが分かった。真実がバレるのを恐れているのね。周りで状況を眺めていたパーティー参加者たちも、分かっただろう。

 そんな簡単に尻尾を出すなんて、愚かなこと。嘘なんて、つくものじゃないわね。

「ロザリーをイジメるのを止めろ、レティシア!」
「私が悪いのですか?」
「彼女、嫌がっているだろう!」
「フィリベールさま……!」
「……」

 話が通じない。嫌がっている、という部分だけに注目してフィリベール王子は私を責めた。思わずため息をついてしまいそうになったが、グッと堪える。

 ここで感情的になってはいけない。冷静に対処しなくては。

 彼って、こんなにも話を聞かない人だったかしら。これが恋に狂って、周りが見えなくなって正常な判断ができない状態なのかも。私も、気をつけないと。

「とにかく、婚約破棄について了承しました。なるべく早く手続きを済ませたほうがフィリベール王子も都合が良さそうなので、急ぎましょう」
「……本当に、謝らないつもりなのか? 謝って、婚約破棄を取り消してほしいと、言うつもりは……」
「え?」

 しつこく食い下がる彼に、私は困惑する。婚約を破棄すると言い出したのは彼の方なのに。本心では、婚約破棄を撤回したいと思っているのでしょうか。

「お、お前は俺との婚約を破棄されても別にいい、というつもりか?」
「はい。そうですけど」

 むしろ私の方は、婚約を破棄されることを歓迎する気持ちがあった。

 だって、フィリベール王子の顔は私の好みじゃない。しばらく婚約関係だったけれど、相性も良くないのが分かった。

 王国のために、家のための政略結婚で一生我慢をするつもりだった。それが、婚約破棄されて我慢する必要がなくなったから嬉しいというのが、私の本心。

「……」

 ありえない、というような表情で私を見てくるフィリベール王子。彼が、何を考えているのか全く分からない。本当は、婚約破棄したくないのか。ロザリーという別の女性を庇っているのに。意味不明だった。

「それでは私は、体調が優れないので失礼させていただきます」

 この場に居ても仕方がないと思って、私は帰ることにした。去り際に見た彼の顔は驚愕に染まっていて、やっぱり最後まで彼の気持ちや考えが私には分からなかった。

「ま、待ってくれ! レティシア!!」

 背中から聞こえたフィリベール王子の声を無視して、1人で会場から出ていった。そのまま馬車に乗り込んで、屋敷へと帰る。
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