真実の愛とやらの結末を見せてほしい~婚約破棄された私は、愚か者たちの行く末を観察する~

キョウキョウ

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第2話 冤罪

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「……なんですか?」
「貴様は、このリザベット・ルシヨンヌ男爵令嬢をイジメた罪がある! 嫉妬心から彼女を傷つけた。そうだろう!」

 王太子が腰を抱いている女は、男爵令嬢だったのね。というか、何を言っているのか意味が分からなかった。私が、彼女をイジメた? 嫉妬して? そんなの、ありえないことね。馬鹿馬鹿しい。

「ふふん!」
「えーっと?」

 なぜか自信満々で見てくる女の顔を、よく観察してみる。王太子の腕に抱かれているのは、知らない人だった。

 そもそも、その男爵令嬢とは初対面みたい。たった今、名前と顔を知った。そんな相手にどうやって嫉妬して、イジメるというのか。

「知らぬふりをしても無駄だぞ。貴様は、公爵家の令嬢という身分を笠に着て、学園でもやりたい放題だったというではないか!」
「やりたい放題と言われましても……。具体的に私が、どのような事をしていたのでしょうか?」

 確信している言葉。私を責めて嬉しそうな王太子に問いかける。すると彼は、こう答えた。

「階段から突き落としたり、教科書や制服を切り刻んだりと陰湿な行為をした。ちゃんと、その証拠も揃っているんだ!」

 やっぱり、そんなことをした覚えはない。

「その証拠は? 今、ここで確認することは出来るのですか?」
「そ、それは……」

 私が聞くと、なぜか狼狽え始める王太子と男爵令嬢。そんな、用意してないことなんてある? 馬鹿じゃないのかしら。呆れてしまう。

「しょ、証拠はちゃんと大事に保管してあるんだ。ここで出して、証拠を奪われたり壊されたりしたら大変だからなッ!」
「はぁ……」

 こんなに多くの目撃者がいる中で、そんな疑われるようなことをしたら不利になるのは確実。そんなことをする馬鹿はいない。むしろ、ここで出さないほうが疑われるのに。言い訳をして逃れたつもりなのかしら。幸せな人ね。

 まあ、最初から証拠なんて存在していないのでしょう。出せるわけがない。

「リザベットは怪我もしたんだ! 突き落とされた時の傷跡だって、ここに」
「それは、おかしいですね」
「な、なに?」

 ギオマスラヴ様が、私に対して興味がないのは感じていた。だけど、ここまで何も知らないとは思わなかったわ。私も、彼に対する興味が薄かったから、お互い様なのかもしれないけれど。

 でも、ここまで酷くはないはず。だって。

「私は学園に在籍しているだけで、学園には通っていませんもの」
「……は?」
「……え?」

 私の答えが予想外だったのか、彼は唖然とした表情のまま固まった。そして、男爵令嬢も驚いている。貴女も知らなかったのね。
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