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第十二章 揺れ動く心
第六十二話 現れたメッセージ
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林檎のタルトはもう、食べられないな。
ギルバートはある日の昼下がり、そんなことを思った。
私室の引き出しを開け、中から一枚の紙を取り出す。
それはギルバートが、いつかシャーロットと一緒に行こうとしていた南部──林檎のタルトで有名な地域──の紹介記事だ。
役に立つだろうと思って以前から取っておいたが、その時が来るのは金輪際無いかもしれない。
それでも、彼はその記事を捨てられなかった。要らないものどころか、お守りのような位置付けにすらなっていた。シャーロットのことを、一生忘れないための。
するとその時、扉がノックされる。侍従のハリスだ。
「ルーサー様がお見えです」
「分かった。通してくれ」
返事からほどなくして、親友の姿が現れた。
「やあ、元気か?」
片手を上げながら部屋に入ってくる彼に、思わず笑みが零れる。
「ああ。ルーサーは……元気だよな。聞かなくても分かる」
「失礼な。俺だって落ち込む時くらいあるよ」
「それは初耳だ」
いつものように互いに軽口を叩きつつ、ソファに座った二人。
ルーサーはふと、部屋の隅に置かれた見慣れない記事に目を留めた。林檎のタルトで有名な南部の記事だ。
そしてふと、思い返す。ギルバートがよく、フォード伯爵令嬢と一緒に食べているんだと話していたことを。
「……今日は、前みたいなことを言いに来たわけじゃないんだ」
ルーサーはそう言った。
ギルバートが隠している本音を引き出そうとした日。結局彼は口を割らなかった。
今日はそのリベンジをしに来たのではなく、単なる世間話と、とある報告をするつもりで来たのだ。
「フォード伯爵令嬢だけど……トンプソン伯爵子息とくっつくかもしれないって、ジェシカとトレス伯爵令嬢から聞いた」
「……そうか」
一言そう返したギルバートに、ルーサーは少し話題を逸らした。
「ああいう恋愛話って、どんな人でも興味が湧いてしまうものなのかな。この前パーティーで会った侯爵も──」
軽く相槌を打ちながら耳を傾ける。が、ギルバートの頭の中に内容はほとんど入ってこなかった。
「──で、結局俺はジェシカと上手いこといってないし。いつも皮肉交じりのやり取りで終わるんだよな。潔く言えない俺が悪いんだけどさ」
いつの間にかルーサー自身の恋愛話に移っている。
『潔く言えない俺が悪いんだけどさ』
親友の自虐的発言が、ギルバートの脳内で再生された。
潔く言えていたら、何かが変わっただろうか。こんな結末ではなく、もっと明るい光が見えていただろうか。
そもそも潔く言うとは、誰に言うのだろうか。王女に?シャーロットに?
そうだとして、何を言えば良いのだろうか。婚約を続ける決意か、戻りたいという気持ちか。
ところでそれを実行したとして、前のような関係性になれるのかどうか。
ルーサーは先程話していた。シャーロットがトンプソン伯爵子息と恋愛関係に至る可能性があるらしいと。
ならば、シャーロットの気持ちはすでに自分に向いていないのではないか。
頭の中が、疑問で埋め尽くされた。自分で見つけなければならないと分かっていても、誰かに教えてほしかった。
俺は、どこで間違えてしまったのだろう。
どうすれば、正解にできるのだろう。
正解にできる方法は、あるのだろうか。
それはどうやって見つけるのか。
なぜ俺は、何も見つけられないのか。
「……バート?ギルバート!」
「あ、ああ。悪い」
「大丈夫か?」
「問題ないよ。で、続きは?」
「続きは、あ、そうそう。王都に有名な宝飾品店があるだろ?そこで何かを──」
再び始まったルーサーの話。だがその時、彼は会話を停止させた。
「大丈夫じゃないだろ、やっぱり」
眉を寄せ、気遣わしげな顔で言葉をかけられる。
「ごめん。俺がフォード伯爵令嬢の話を聞かせたからだよな」
「いや、それは聞けて安心したよ。婚約破棄ではなく解消とはいえ、シャーロットに何か問題があったから解消したんだと思われるのは心配だったし」
自分との関係が終わった後、彼女の風評被害はなるべく防ぎたかった。
これは、本心だ。
「だから、シャーロットに結婚相手ができそうならそれで……」
喉から声を絞り出す。
「それで、良い。良いんだ」
ルーサーの目頭は、カッと熱くなった。
「ギルバート……何て顔してるんだよ」
堪らなくなったルーサーは、リベンジはしまいと思っていた数分前の自分を悔やんだ。
もう、見ていられない。
「戻ろう……!やっぱりこんなの間違ってる。ギルバートはフォード伯爵令嬢が好きで、彼女もギルバートが好きで、それで良いだろ!?」
吐き出した勢いのまま、ルーサーは立ち上がる。
「外交も社交界も、やり方は色々ある。いくらでも代替案があるんだ。でも恋愛は?フォード伯爵令嬢は、この世に一人しかいないんだぞ……!」
「……」
「なあ、ギルバート……っ」
俯く親友の顔を覗き込むと、そこには歪んだ表情で微笑むギルバートの姿があった。小さく、首を横に振っている。
「何でだよ……」
ルーサーは掠れた声で尋ねた。
これでもかと訴えたのに、まだ足りないのか。もう、何が何だか分からない。
はっきり言って、泣きそうだった。
そんなに好きなら、なぜいつものように外堀を固めない?なぜ爽やかな笑みで敵を潰しにかからない?
お前はいつだって、そうだっただろう。
ルーサーはどうにかして、この男に動いてほしかった。
「フォード伯爵令嬢が本当に望んでるのは、ギルバートなんだよ!!」
「俺じゃダメだ……っ!!!」
突然、ギルバートが声を張り上げた。
あまりの激しさに、固まるルーサー。
静まり返った室内で、今度は小さな呟きが聞こえた。
「俺じゃ……俺だからダメなんだ」
「ギル、バート」
「俺だから、シャーロットは不幸になる」
ルーサーは、親友の言っている意味が分からなかった。
普通は逆だろう。ギルバートだから、フォード伯爵令嬢は幸せになる。
恋愛感情の無い他の誰かと結婚したって、それは単なる政略結婚でしかない。
しかし、ふとルーサーは思い出した。
二人の婚約解消の理由は、外交以外にもあるはずだという推理を。
「……ギルバート。どういうことか、詳しく聞かせてほしい」
真っ直ぐに親友の瞳を見つめる。
そこには助けてくれという、言葉に現れないメッセージが浮かんでいるように思えた。
ギルバートはある日の昼下がり、そんなことを思った。
私室の引き出しを開け、中から一枚の紙を取り出す。
それはギルバートが、いつかシャーロットと一緒に行こうとしていた南部──林檎のタルトで有名な地域──の紹介記事だ。
役に立つだろうと思って以前から取っておいたが、その時が来るのは金輪際無いかもしれない。
それでも、彼はその記事を捨てられなかった。要らないものどころか、お守りのような位置付けにすらなっていた。シャーロットのことを、一生忘れないための。
するとその時、扉がノックされる。侍従のハリスだ。
「ルーサー様がお見えです」
「分かった。通してくれ」
返事からほどなくして、親友の姿が現れた。
「やあ、元気か?」
片手を上げながら部屋に入ってくる彼に、思わず笑みが零れる。
「ああ。ルーサーは……元気だよな。聞かなくても分かる」
「失礼な。俺だって落ち込む時くらいあるよ」
「それは初耳だ」
いつものように互いに軽口を叩きつつ、ソファに座った二人。
ルーサーはふと、部屋の隅に置かれた見慣れない記事に目を留めた。林檎のタルトで有名な南部の記事だ。
そしてふと、思い返す。ギルバートがよく、フォード伯爵令嬢と一緒に食べているんだと話していたことを。
「……今日は、前みたいなことを言いに来たわけじゃないんだ」
ルーサーはそう言った。
ギルバートが隠している本音を引き出そうとした日。結局彼は口を割らなかった。
今日はそのリベンジをしに来たのではなく、単なる世間話と、とある報告をするつもりで来たのだ。
「フォード伯爵令嬢だけど……トンプソン伯爵子息とくっつくかもしれないって、ジェシカとトレス伯爵令嬢から聞いた」
「……そうか」
一言そう返したギルバートに、ルーサーは少し話題を逸らした。
「ああいう恋愛話って、どんな人でも興味が湧いてしまうものなのかな。この前パーティーで会った侯爵も──」
軽く相槌を打ちながら耳を傾ける。が、ギルバートの頭の中に内容はほとんど入ってこなかった。
「──で、結局俺はジェシカと上手いこといってないし。いつも皮肉交じりのやり取りで終わるんだよな。潔く言えない俺が悪いんだけどさ」
いつの間にかルーサー自身の恋愛話に移っている。
『潔く言えない俺が悪いんだけどさ』
親友の自虐的発言が、ギルバートの脳内で再生された。
潔く言えていたら、何かが変わっただろうか。こんな結末ではなく、もっと明るい光が見えていただろうか。
そもそも潔く言うとは、誰に言うのだろうか。王女に?シャーロットに?
そうだとして、何を言えば良いのだろうか。婚約を続ける決意か、戻りたいという気持ちか。
ところでそれを実行したとして、前のような関係性になれるのかどうか。
ルーサーは先程話していた。シャーロットがトンプソン伯爵子息と恋愛関係に至る可能性があるらしいと。
ならば、シャーロットの気持ちはすでに自分に向いていないのではないか。
頭の中が、疑問で埋め尽くされた。自分で見つけなければならないと分かっていても、誰かに教えてほしかった。
俺は、どこで間違えてしまったのだろう。
どうすれば、正解にできるのだろう。
正解にできる方法は、あるのだろうか。
それはどうやって見つけるのか。
なぜ俺は、何も見つけられないのか。
「……バート?ギルバート!」
「あ、ああ。悪い」
「大丈夫か?」
「問題ないよ。で、続きは?」
「続きは、あ、そうそう。王都に有名な宝飾品店があるだろ?そこで何かを──」
再び始まったルーサーの話。だがその時、彼は会話を停止させた。
「大丈夫じゃないだろ、やっぱり」
眉を寄せ、気遣わしげな顔で言葉をかけられる。
「ごめん。俺がフォード伯爵令嬢の話を聞かせたからだよな」
「いや、それは聞けて安心したよ。婚約破棄ではなく解消とはいえ、シャーロットに何か問題があったから解消したんだと思われるのは心配だったし」
自分との関係が終わった後、彼女の風評被害はなるべく防ぎたかった。
これは、本心だ。
「だから、シャーロットに結婚相手ができそうならそれで……」
喉から声を絞り出す。
「それで、良い。良いんだ」
ルーサーの目頭は、カッと熱くなった。
「ギルバート……何て顔してるんだよ」
堪らなくなったルーサーは、リベンジはしまいと思っていた数分前の自分を悔やんだ。
もう、見ていられない。
「戻ろう……!やっぱりこんなの間違ってる。ギルバートはフォード伯爵令嬢が好きで、彼女もギルバートが好きで、それで良いだろ!?」
吐き出した勢いのまま、ルーサーは立ち上がる。
「外交も社交界も、やり方は色々ある。いくらでも代替案があるんだ。でも恋愛は?フォード伯爵令嬢は、この世に一人しかいないんだぞ……!」
「……」
「なあ、ギルバート……っ」
俯く親友の顔を覗き込むと、そこには歪んだ表情で微笑むギルバートの姿があった。小さく、首を横に振っている。
「何でだよ……」
ルーサーは掠れた声で尋ねた。
これでもかと訴えたのに、まだ足りないのか。もう、何が何だか分からない。
はっきり言って、泣きそうだった。
そんなに好きなら、なぜいつものように外堀を固めない?なぜ爽やかな笑みで敵を潰しにかからない?
お前はいつだって、そうだっただろう。
ルーサーはどうにかして、この男に動いてほしかった。
「フォード伯爵令嬢が本当に望んでるのは、ギルバートなんだよ!!」
「俺じゃダメだ……っ!!!」
突然、ギルバートが声を張り上げた。
あまりの激しさに、固まるルーサー。
静まり返った室内で、今度は小さな呟きが聞こえた。
「俺じゃ……俺だからダメなんだ」
「ギル、バート」
「俺だから、シャーロットは不幸になる」
ルーサーは、親友の言っている意味が分からなかった。
普通は逆だろう。ギルバートだから、フォード伯爵令嬢は幸せになる。
恋愛感情の無い他の誰かと結婚したって、それは単なる政略結婚でしかない。
しかし、ふとルーサーは思い出した。
二人の婚約解消の理由は、外交以外にもあるはずだという推理を。
「……ギルバート。どういうことか、詳しく聞かせてほしい」
真っ直ぐに親友の瞳を見つめる。
そこには助けてくれという、言葉に現れないメッセージが浮かんでいるように思えた。
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