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【第一部】閑話休題
第三者 ダン・オライリ
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正念場なんだろう。俺は薄暗い空を見上げた。
イルアを奪還したことで、ニュドニアは一気に活気づいている。
「トイメトア奪還も近いぞ!」
宿舎でも、そこかしこで鼻息荒く言う者がいる。
俺たちの隊長となるだろうエドマンドが昨日登城したから、きっと有益な情報を手に入れてきたに違いないとみんな期待に胸を膨らませている。
本格的な冬になる前の、段々と研ぎ澄まされていく空気が耳を冷やす。吐く息はまだ透明だ。セイダルはここより雪深い。こちらの思惑以上に、向こうも今回の戦いに力を入れてくるかもしれない。
修練場に出ても人気はない。そういう時間を選んで起きてきた。このタイミングなら、いつも誰よりも早く訓練を始めるヤツが一人でストレッチをしていることを知っている。これは少なからず商売人である父親の影響なんだけど、情報はできるだけ早く得た方が得をするんだ。
「よお、エドマンド。おはよう」
「ああ、ダン。おはよう」
エドマンドは伸ばしていた大腿筋膜張筋を膝を伸ばして元に戻した。体は柔らかいのにストレッチを欠かさない。彼の実績の裏にこんな努力があることを知っている人がどれだけいるだろう。
「相変わらず早いな。もう走るのか」
「いや、それはみんなが来てからにするつもりだ。昨日のことか?」
「ハハ! 流石にバレバレか」
「隠す気もなかっただろ? 安心しろ。明日、ブライトル殿下が説明に来られる」
エドマンドが自信に満ちた顔で笑う。
おお、珍しいこともあるもんだ。最近はやっと笑うようになってきたけど、いつも消えそうなくらい儚いものだった。
「手応えがありそうだな」
「それは、まだ分からないな。ブレイブがどこまで通用するのか、遊軍がどの程度場を混乱させられるかが鍵だろうな」
「そうなのか……?」
「ダン? どうした?」
「いや……。てっきり必勝の作戦でも聞いてきたのかと思ったんだけど」
だって、そのくらいじゃないとこの鉄面皮の表情筋をあそこまで動かすことはできないだろ。
呆れたような顔をして腕を組むエドマンドは、やっぱりちょっと表情が柔らかい。たった一日でいったいコイツに何があったんだ?
見つめる俺の考えなんか興味もなさそうなのは、コイツらしいと言えばすごくコイツらしいけど。
「作戦は所詮作戦だろう? 必勝なんてない。どうなるかなんて、実際に動いてみないと誰にも」
「はいはい。そりゃ分かってんだけどさ、あ、じゃあとうとう殿下に愛でも囁かれたか!」
生真面目に正論を言ってきたのを遮った。ついでに余計な一言を付け加えてそれ以上のお小言を止めようとした。大きな作戦の前だから、そんなことがあってもおかしくはないとは思った。けど、冗談のつもりだ。
無表情。
エドマンドはいっそ慣れ親しんだ無表情で俺を見た。
「……お前、その顔はどっちだよ」
「どういう意味だ?」
「は? 言葉のままの意味だろ?」
「違う。愛って……、なんだ?」
「え……あれ?……俺、余計なこと言ったか?」
無表情のままエドマンドは何かを見極めようとする。やっぱり、コイツはブライトル殿下の行動や気持ちに気付いていなかったのか? 殿下に時期尚早だと怒られるのが怖くて、寒さに体を震わせる。
「いや、それは大丈夫だ。知っている。知っているが……」
はっきりしない。コイツには珍しい物言いだ。事実に関しては嫌と言うほど切り込んでくるのに。
「なあ、エドマンド」
「エドマンド様! おはようございます! 今日は一段とお早いですね」
「おはようございます、エドマンド様。今日も頑張りましょうね!」
「お疲れではないですか? エドマンド様。無理はなさらないでくださいね」
うわぁ。いいタイミングで現れたな。エドマンドの非公式三剣士。俺命名。
こうなったら本人に何か聞くのは無理だ。ただでさえ堅物なのに、この三人の前では余計に弱さを認めようとしないところがある。エドマンドなりに、コイツ等を守ってやりたいって思ってるのだろうけど。
俺は三人の中でも、いつもほんの少し下がって物事を見ているヤツの肩に腕を乗せた。
「なぁ、おいセドリック」
「おい、腕を乗せるなダン。何だ、早くしないとエドマンド様がランニングに出てしまうだろ」
「そのエドマンド様だよ。なんか、様子違わないか?」
「え……?」
視線が鋭くなった。本当にアイツのことに関しては敏感だ。俺はもう少し他にも気を回してもいいと思うけどな。
やっと話を聞いてくれる気になってくれたのはありがたい。俺自身はっきりとは分からないものを言葉にしようとした。
「なんか落ち着いてると言うか。浮かれてると言うか。とにかく、何か違うだろ?」
「正反対じゃないか……。何が言いたいのか分からないな。エドマンド様は今日も麗しいけどな」
ダメだ。目が曇っている。つい本音も漏れるってものだ。
「お前のそのエドマンドしか目にはいってないのは何とかならないのか」
「僕たちにはこれが普通のことだからな」
「命かけるほどか」
「悪いか?」
「まあ、お前らがあいつに感謝してんのは、知っているけど」
「知っていたのか? お前はプライマリではクラスが違ったのに」
「有名だったからな」
「悪名の間違いだな」
「すごかったもんな。ワルガキっぷり」
「全部親に揉み消させていたんだから、本当にただの子供だった」
セドリックが苦々しく顔を歪める。子供の悪戯と言うには、余りにも行き過ぎた生意気な三人組。それが、プライマリのときの俺がコイツ等に持っていた印象だ。
この三人とはセカンダリに上がるまで同じクラスになったことはないから、実際に目にしたことはない。それでも嫌と言うほど知っているくらいには、コイツ等は余りにも有名だった。
「それで?」
「うん?」
「エドマンド様がおかしいのか?」
「おかしいっつーか。……見て気づかねぇ?」
「そうだな……。一段と洗練されているのは分かる」
「そうかよ……」
俺は肩を落とした。ダメだ。やっぱり目が曇っている……。
翌日。エドマンドが言っていた通りにブライトル殿下が宿舎へやってきた。
今頃は一足早く迎えに出たエドマンドが師団長の応接室に通していることだろう。先に作戦の確認をしたいとのことで、俺たちに告げられた時間は一時間後。
昨日の夜簡単な説明を受けた内容をまとめると、エドマンド、イアン、例の三人に俺を加えたチームに、ブライトル殿下が司令官として付くことになったらしい。完全なる特別扱い。実力と権力の差だ。誰も文句が言えない。
ギリギリまで訓練をしているイアンと三人を修練場に残して、俺は応接室の裏を通った。別に他意はない。本当だ。修練場から宿舎までの短縮にちょうどいい位置にあった。それだけだ。
とは言っても、視線が応接室を見るのは仕方ないだろ。冷静な話し合いなのか、とか。白熱しているのか、とか。その程度の好奇心だった。
大して広くもない応接室には元からあったソファー以外に、食堂から運び込まれた椅子三脚がローテーブルを囲むように並べてある。
二人は対面でソファーに座っていた。手元には資料らしきものを持って、真剣に打ち合わせをして、いなかった。
「は?」
思わず声が出る。二人は見つめ合っていた。すぐにエドマンドが耐えられなくなった様子で目を逸らしていたけど、頬が真っ赤に染まっている。耳まで血液が透けて、普段との違いにのけ反った。
ブライトル殿下の手がエドマンドの頬へ伸びる。指の腹で何度か撫でると、そのまま耳にかかった髪の毛を梳いた。
「え、は、えぇ……?」
驚きすぎて言葉が出ない。周りを牽制する割りに、中々行動に移そうとしないブライトル殿下が。気付いていないのか、気にしていないのかそれらの全てを見事に受け流していたエドマンドが。今は砂糖を煮詰めたような空気だ。
と言うか、あんたら作戦の確認なんて言って完全に建前じゃないか。ブライトル殿下も、エドマンドもそんなことをするとは思えないのに、これは見解を改めるべきなのだろうか。
でも、そうか。前から殿下の想いは誰もが知るところだったけど、そうか。とうとうか。昨日のアイツの様子にやっと納得がいった。アイツも殿下が好きだったのか。
俺は邪魔しないようにそっとその場を立ち去る。応接室へは当然時間通りに行くけど、一人で行くのは止めておこう。
さすがに今日二人に関して何か教えてもらえるとは思わない。大切で大きな戦いが近い。
ただ、もしトイメトアを奪還できたら。そのときは、セドリックたちの阿鼻叫喚が聞けそうで俺は上機嫌になった。
イルアを奪還したことで、ニュドニアは一気に活気づいている。
「トイメトア奪還も近いぞ!」
宿舎でも、そこかしこで鼻息荒く言う者がいる。
俺たちの隊長となるだろうエドマンドが昨日登城したから、きっと有益な情報を手に入れてきたに違いないとみんな期待に胸を膨らませている。
本格的な冬になる前の、段々と研ぎ澄まされていく空気が耳を冷やす。吐く息はまだ透明だ。セイダルはここより雪深い。こちらの思惑以上に、向こうも今回の戦いに力を入れてくるかもしれない。
修練場に出ても人気はない。そういう時間を選んで起きてきた。このタイミングなら、いつも誰よりも早く訓練を始めるヤツが一人でストレッチをしていることを知っている。これは少なからず商売人である父親の影響なんだけど、情報はできるだけ早く得た方が得をするんだ。
「よお、エドマンド。おはよう」
「ああ、ダン。おはよう」
エドマンドは伸ばしていた大腿筋膜張筋を膝を伸ばして元に戻した。体は柔らかいのにストレッチを欠かさない。彼の実績の裏にこんな努力があることを知っている人がどれだけいるだろう。
「相変わらず早いな。もう走るのか」
「いや、それはみんなが来てからにするつもりだ。昨日のことか?」
「ハハ! 流石にバレバレか」
「隠す気もなかっただろ? 安心しろ。明日、ブライトル殿下が説明に来られる」
エドマンドが自信に満ちた顔で笑う。
おお、珍しいこともあるもんだ。最近はやっと笑うようになってきたけど、いつも消えそうなくらい儚いものだった。
「手応えがありそうだな」
「それは、まだ分からないな。ブレイブがどこまで通用するのか、遊軍がどの程度場を混乱させられるかが鍵だろうな」
「そうなのか……?」
「ダン? どうした?」
「いや……。てっきり必勝の作戦でも聞いてきたのかと思ったんだけど」
だって、そのくらいじゃないとこの鉄面皮の表情筋をあそこまで動かすことはできないだろ。
呆れたような顔をして腕を組むエドマンドは、やっぱりちょっと表情が柔らかい。たった一日でいったいコイツに何があったんだ?
見つめる俺の考えなんか興味もなさそうなのは、コイツらしいと言えばすごくコイツらしいけど。
「作戦は所詮作戦だろう? 必勝なんてない。どうなるかなんて、実際に動いてみないと誰にも」
「はいはい。そりゃ分かってんだけどさ、あ、じゃあとうとう殿下に愛でも囁かれたか!」
生真面目に正論を言ってきたのを遮った。ついでに余計な一言を付け加えてそれ以上のお小言を止めようとした。大きな作戦の前だから、そんなことがあってもおかしくはないとは思った。けど、冗談のつもりだ。
無表情。
エドマンドはいっそ慣れ親しんだ無表情で俺を見た。
「……お前、その顔はどっちだよ」
「どういう意味だ?」
「は? 言葉のままの意味だろ?」
「違う。愛って……、なんだ?」
「え……あれ?……俺、余計なこと言ったか?」
無表情のままエドマンドは何かを見極めようとする。やっぱり、コイツはブライトル殿下の行動や気持ちに気付いていなかったのか? 殿下に時期尚早だと怒られるのが怖くて、寒さに体を震わせる。
「いや、それは大丈夫だ。知っている。知っているが……」
はっきりしない。コイツには珍しい物言いだ。事実に関しては嫌と言うほど切り込んでくるのに。
「なあ、エドマンド」
「エドマンド様! おはようございます! 今日は一段とお早いですね」
「おはようございます、エドマンド様。今日も頑張りましょうね!」
「お疲れではないですか? エドマンド様。無理はなさらないでくださいね」
うわぁ。いいタイミングで現れたな。エドマンドの非公式三剣士。俺命名。
こうなったら本人に何か聞くのは無理だ。ただでさえ堅物なのに、この三人の前では余計に弱さを認めようとしないところがある。エドマンドなりに、コイツ等を守ってやりたいって思ってるのだろうけど。
俺は三人の中でも、いつもほんの少し下がって物事を見ているヤツの肩に腕を乗せた。
「なぁ、おいセドリック」
「おい、腕を乗せるなダン。何だ、早くしないとエドマンド様がランニングに出てしまうだろ」
「そのエドマンド様だよ。なんか、様子違わないか?」
「え……?」
視線が鋭くなった。本当にアイツのことに関しては敏感だ。俺はもう少し他にも気を回してもいいと思うけどな。
やっと話を聞いてくれる気になってくれたのはありがたい。俺自身はっきりとは分からないものを言葉にしようとした。
「なんか落ち着いてると言うか。浮かれてると言うか。とにかく、何か違うだろ?」
「正反対じゃないか……。何が言いたいのか分からないな。エドマンド様は今日も麗しいけどな」
ダメだ。目が曇っている。つい本音も漏れるってものだ。
「お前のそのエドマンドしか目にはいってないのは何とかならないのか」
「僕たちにはこれが普通のことだからな」
「命かけるほどか」
「悪いか?」
「まあ、お前らがあいつに感謝してんのは、知っているけど」
「知っていたのか? お前はプライマリではクラスが違ったのに」
「有名だったからな」
「悪名の間違いだな」
「すごかったもんな。ワルガキっぷり」
「全部親に揉み消させていたんだから、本当にただの子供だった」
セドリックが苦々しく顔を歪める。子供の悪戯と言うには、余りにも行き過ぎた生意気な三人組。それが、プライマリのときの俺がコイツ等に持っていた印象だ。
この三人とはセカンダリに上がるまで同じクラスになったことはないから、実際に目にしたことはない。それでも嫌と言うほど知っているくらいには、コイツ等は余りにも有名だった。
「それで?」
「うん?」
「エドマンド様がおかしいのか?」
「おかしいっつーか。……見て気づかねぇ?」
「そうだな……。一段と洗練されているのは分かる」
「そうかよ……」
俺は肩を落とした。ダメだ。やっぱり目が曇っている……。
翌日。エドマンドが言っていた通りにブライトル殿下が宿舎へやってきた。
今頃は一足早く迎えに出たエドマンドが師団長の応接室に通していることだろう。先に作戦の確認をしたいとのことで、俺たちに告げられた時間は一時間後。
昨日の夜簡単な説明を受けた内容をまとめると、エドマンド、イアン、例の三人に俺を加えたチームに、ブライトル殿下が司令官として付くことになったらしい。完全なる特別扱い。実力と権力の差だ。誰も文句が言えない。
ギリギリまで訓練をしているイアンと三人を修練場に残して、俺は応接室の裏を通った。別に他意はない。本当だ。修練場から宿舎までの短縮にちょうどいい位置にあった。それだけだ。
とは言っても、視線が応接室を見るのは仕方ないだろ。冷静な話し合いなのか、とか。白熱しているのか、とか。その程度の好奇心だった。
大して広くもない応接室には元からあったソファー以外に、食堂から運び込まれた椅子三脚がローテーブルを囲むように並べてある。
二人は対面でソファーに座っていた。手元には資料らしきものを持って、真剣に打ち合わせをして、いなかった。
「は?」
思わず声が出る。二人は見つめ合っていた。すぐにエドマンドが耐えられなくなった様子で目を逸らしていたけど、頬が真っ赤に染まっている。耳まで血液が透けて、普段との違いにのけ反った。
ブライトル殿下の手がエドマンドの頬へ伸びる。指の腹で何度か撫でると、そのまま耳にかかった髪の毛を梳いた。
「え、は、えぇ……?」
驚きすぎて言葉が出ない。周りを牽制する割りに、中々行動に移そうとしないブライトル殿下が。気付いていないのか、気にしていないのかそれらの全てを見事に受け流していたエドマンドが。今は砂糖を煮詰めたような空気だ。
と言うか、あんたら作戦の確認なんて言って完全に建前じゃないか。ブライトル殿下も、エドマンドもそんなことをするとは思えないのに、これは見解を改めるべきなのだろうか。
でも、そうか。前から殿下の想いは誰もが知るところだったけど、そうか。とうとうか。昨日のアイツの様子にやっと納得がいった。アイツも殿下が好きだったのか。
俺は邪魔しないようにそっとその場を立ち去る。応接室へは当然時間通りに行くけど、一人で行くのは止めておこう。
さすがに今日二人に関して何か教えてもらえるとは思わない。大切で大きな戦いが近い。
ただ、もしトイメトアを奪還できたら。そのときは、セドリックたちの阿鼻叫喚が聞けそうで俺は上機嫌になった。
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