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43 ネイルサロンへの大口依頼(上)
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箱庭に帰宅したカイルが、雪の園の双子ちゃんに髪飾りを喜んでいたと言う話を聞いて、ホッと安堵の息を吐けたと同時に、カイルに何時もの元気が無いような気がしましたの。
問いかけても答えてはくれず、ロキシーお姉ちゃんに聞いたところ、店にカイルの元リーダーが訪れたことが切っ掛けではないかと言われた。
確かに、自分の人生を狂わせるほどの問題だったのに、自分の都合を押し付けるような元リーダーと会えば元気がなくなるのも仕方ないかもしれない。
それならば、私に出来ることは唯一つ。
【聖水】の量産で頑張ってスキルを上げ、【解呪薬】を作れるようになることだと奮い立ったわ。
幸いにして、色々と時間がある時に店に並べるアイテムは量産がすんでいて、此処から自分のスキル上げに使おうと決めていた所でしたの。
それに、ダンジョンの活性化には、ある一定の割合で聖水をダンジョン内で使うと、スタンピードが起きにくいと言う報告もあるみたいで、一石二鳥ですわ!
聖水を作る為に必要なのは、日を浴びた綺麗な水が必須条件で、それは池の水で充分だったことも幸いし、スキル上げの間は、池の隣でスキル上げをしようと決めていた。
宝石の欠片も池に放り込み、道具店サルビアや、ネイルサロンの方の様子を見るのも楽しみの一つだ。
池の水だけではなく、少々レアな薬草も使う為、数こそ大量にとは行かなくとも、毎日コツコツスキルを上げ続けていれば、建国記念日頃には解呪薬が作れるはずだわ。
(――それまで待っていて下さいね、カイル!!)
元気のないカイルに心からエールを送り、黙々と聖水を作っていると、道具店サルビアは今日も賑やかな声が聞こえてくる。
日中はうだる様な暑さでも、ハッカ水のお陰で多少涼しく過ごせることもあり、今では庶民にも幅広く知られたアイテムになった。
特に驚いたのが、ネイルサロン・サルビアの方が、ハッカ水の売り上げが伸びていると言う事。
メイドさん達の服は夏服でも厚手が多い。
その為、主がネイルしている隙にハッカ水のスプレータイプを大量に買っていくメイドさんたちも多く、更に言えば、ハッカ水は虫よけにもなる為、虫嫌いなメイドさん達には一石二鳥らしい。
道具店でもオバサマたちがハッカ水を使って、孫が虫に刺されないようにと注意してくれているのも嬉しい事だ。
秋から冬にかけてはどんなアイテムを作ろうかしら……。
そんな事に思いを馳せていると、箱庭にダルメシアンが入ってきた。
シッカリとしたスーツに身を包み、まさかわたくしがここにいるとは思わなかったようで少々驚いていた。
「こんにちはダルメシアン。在庫が足りなくなったのかしら?」
「はい、大量のハッカ水をお求めになる貴族様が多くいらっしゃって」
「まぁ! 在庫足りるかしら?」
「20個欲しいとのことでしたので、予備に50個ほど持って行っても宜しいでしょうか」
「ええ、構いませんわ」
ダルメシアンはネイルサロン・サルビアの在庫管理を一手に引き受けている為、ちょくちょく在庫補充の為にやってきているようですわ。
働き者で護衛も出来るなんて、素晴らしい人材をロキシーお姉ちゃんとカイルは見つけてきたものです!
「時に、リディア様」
「様付けなんていらないのに、どうしましたの?」
「先ほど、劇団からネイル依頼が来まして。総勢50名と言われたのですが、そこまでの人数のネイルは難しいと判断し、劇のメインとなる20人へのネイル派遣をお願いされたんですが、時間が……」
「ああ……確かに20人ともなると道具店サルビアの三人にも来て頂かねばなりませんわね……。でも凝ったネイルは出来ない事はお告げになりましたの?」
「はい、一色のみのネイルになることは伝えてあります」
「分かりましたわ。後で三人に伝えておきます。日にちは何時ですの?」
「公演が来週からだそうで、出来れば毎日ネイルを整えて欲しいと」
「毎日ですの? 割増料金を頂かねばいけませんし、皆さん働き過ぎになるのではなくて? それに一度講演すると二カ月から三カ月はありますでしょう?」
「ええ、ですので返事は明日お伝えすると」
「分かりましたわ。今日ネイルサロン・サルビアに皆さん集まって相談しましょう」
「宜しくお願いします。それとこちらも大口依頼となりますが、劇団にハッカ水を200本欲しいと言う依頼が来てます」
「……頑張りますわ」
難しい問題に直面してしまいましたわね。
確かに劇団からの依頼となると、売り上げはとても高い物になりますけれど、何せ全員で働いても人手が足りませんわ。
かと言って今から人手を増やしたところで焼け石に水……。
わたくしもヘルプに回る?
カイルが許してくださるかしら……。
取り敢えず、業務連絡は必要ですわ!
そう思い、10個目の聖水を作り終えると、それらを鞄に詰めてロキシーお姉ちゃんにまず連絡。二階の休憩室に入っていいか問いかけるとOKを頂けたので直ぐに向かいましたわ。
わたくしが開店中のお店に急に来ることは稀な為、ロキシーお姉ちゃんは直ぐにやってきましたの。
そこで、ネイルサロン・サルビアにて劇団からの最初は50人と言われていたのを減らして20人毎日のネイル依頼が来ていることを話すと、ロキシーお姉ちゃんは頭を抱えて「う――ん」と口になさいます。
「毎日はちょっと……難しいね」
「ですわよね」
「派遣はする、派遣はするが、一度に5人ずつまでが精々だよ。交代しながら更に次の日に5人って感じで毎日行ければ、まだマシかねぇ」
「けど、ネイル出来る人数が限られてますわ」
「アタシも暇を見て練習してね。アタシもネイルは出来るようになったんだよ」
「まぁ凄い!!」
「アタシは毎日護衛も兼ねてネイル派遣にいくとして、残りだよねぇ」
「ええ、一度講演が始まると大体二カ月から三カ月は続きますわ」
「それならさ、いっそ毎日行く事を考えたら、ネイルパッチの方がいいじゃないかい?」
「確かに!」
「此処は一つ、ネイルパッチを大々的に売りに出す方向で行こうじゃないか! それなら全員で移動してもいいし、多少華やかなモノを作ったとしても問題はないだろうしね!」
「流石ロキシーお姉ちゃんですわ!!」
「無論、割増料金は貰うけどね!」
確かにネイルパッチなら貼りつけるだけですし、外すときもリムーバーがあればあっという間に外せますわ。
それなら、20人なら二時間あれば行けますわね!
ネイルパッチ作戦で行く事に決めたわたくし達は、ロキシーお姉ちゃんは大口依頼と称して道具店サルビアの三人に告げ、お店の閉店後、ネイルサロン・サルビアへ移動することを話されました。
更にロキシーお姉ちゃんはネイルサロン・サルビアで話を付けてくると言って、箱庭経由で向かったのでしょう。
あと連絡すべきはカイルですけれど、休憩室でブレスレットを使い呼び出すと、カイルは慌てた様子で部屋に入ってきましたわ。
「どうした? 何か問題でも起きたか??」
「問題と言うより、大口依頼ですわ。劇団員20人に毎日ネイルをすると言うものですの」
「無理だろ」
「普通なら無理ですわね。そこで、ネイルパッチを使ってはどうかと言う事になりましたの」
「ああ……なるほど。それなら毎日着けて剥がしてと出来るか……でも大丈夫なのか?」
「先ほどロキシーお姉ちゃんと話をして、割増料金を貰う事にしましたわ。護衛にロキシーお姉ちゃんとナルタニアとダルメシアンも同行する事にもなってますし、その辺り色々と今日は店が閉まった後、ネイルサロン・サルビアでお話をしようということになってますの。ちなみに、ハッカ水200本の注文も入りましてよ……」
「大丈夫か? 最近リディアはハッカ水しか作ってない気がするぞ?」
「うう……聖水も作ってますわ」
確かに身体の匂いがハッカになりそうなほど作ってますけれど……。
「取り敢えず、閉店後にネイルサロン・サルビアだな。頃合いを見てリディアも来るといい」
「お外に出ても宜しいんですの?」
「大口依頼なんだし、リディアも話し合いには参加したいだろう」
「しますわ!」
「なら、閉店後、俺達がネイルサロンについたら頃合いを見て来てくれ」
「有難うございますわ――!!」
久しぶりのお外ですわよ!
ええ、室内ですけれど気分はお外!
楽しみですわ!!!
問いかけても答えてはくれず、ロキシーお姉ちゃんに聞いたところ、店にカイルの元リーダーが訪れたことが切っ掛けではないかと言われた。
確かに、自分の人生を狂わせるほどの問題だったのに、自分の都合を押し付けるような元リーダーと会えば元気がなくなるのも仕方ないかもしれない。
それならば、私に出来ることは唯一つ。
【聖水】の量産で頑張ってスキルを上げ、【解呪薬】を作れるようになることだと奮い立ったわ。
幸いにして、色々と時間がある時に店に並べるアイテムは量産がすんでいて、此処から自分のスキル上げに使おうと決めていた所でしたの。
それに、ダンジョンの活性化には、ある一定の割合で聖水をダンジョン内で使うと、スタンピードが起きにくいと言う報告もあるみたいで、一石二鳥ですわ!
聖水を作る為に必要なのは、日を浴びた綺麗な水が必須条件で、それは池の水で充分だったことも幸いし、スキル上げの間は、池の隣でスキル上げをしようと決めていた。
宝石の欠片も池に放り込み、道具店サルビアや、ネイルサロンの方の様子を見るのも楽しみの一つだ。
池の水だけではなく、少々レアな薬草も使う為、数こそ大量にとは行かなくとも、毎日コツコツスキルを上げ続けていれば、建国記念日頃には解呪薬が作れるはずだわ。
(――それまで待っていて下さいね、カイル!!)
元気のないカイルに心からエールを送り、黙々と聖水を作っていると、道具店サルビアは今日も賑やかな声が聞こえてくる。
日中はうだる様な暑さでも、ハッカ水のお陰で多少涼しく過ごせることもあり、今では庶民にも幅広く知られたアイテムになった。
特に驚いたのが、ネイルサロン・サルビアの方が、ハッカ水の売り上げが伸びていると言う事。
メイドさん達の服は夏服でも厚手が多い。
その為、主がネイルしている隙にハッカ水のスプレータイプを大量に買っていくメイドさんたちも多く、更に言えば、ハッカ水は虫よけにもなる為、虫嫌いなメイドさん達には一石二鳥らしい。
道具店でもオバサマたちがハッカ水を使って、孫が虫に刺されないようにと注意してくれているのも嬉しい事だ。
秋から冬にかけてはどんなアイテムを作ろうかしら……。
そんな事に思いを馳せていると、箱庭にダルメシアンが入ってきた。
シッカリとしたスーツに身を包み、まさかわたくしがここにいるとは思わなかったようで少々驚いていた。
「こんにちはダルメシアン。在庫が足りなくなったのかしら?」
「はい、大量のハッカ水をお求めになる貴族様が多くいらっしゃって」
「まぁ! 在庫足りるかしら?」
「20個欲しいとのことでしたので、予備に50個ほど持って行っても宜しいでしょうか」
「ええ、構いませんわ」
ダルメシアンはネイルサロン・サルビアの在庫管理を一手に引き受けている為、ちょくちょく在庫補充の為にやってきているようですわ。
働き者で護衛も出来るなんて、素晴らしい人材をロキシーお姉ちゃんとカイルは見つけてきたものです!
「時に、リディア様」
「様付けなんていらないのに、どうしましたの?」
「先ほど、劇団からネイル依頼が来まして。総勢50名と言われたのですが、そこまでの人数のネイルは難しいと判断し、劇のメインとなる20人へのネイル派遣をお願いされたんですが、時間が……」
「ああ……確かに20人ともなると道具店サルビアの三人にも来て頂かねばなりませんわね……。でも凝ったネイルは出来ない事はお告げになりましたの?」
「はい、一色のみのネイルになることは伝えてあります」
「分かりましたわ。後で三人に伝えておきます。日にちは何時ですの?」
「公演が来週からだそうで、出来れば毎日ネイルを整えて欲しいと」
「毎日ですの? 割増料金を頂かねばいけませんし、皆さん働き過ぎになるのではなくて? それに一度講演すると二カ月から三カ月はありますでしょう?」
「ええ、ですので返事は明日お伝えすると」
「分かりましたわ。今日ネイルサロン・サルビアに皆さん集まって相談しましょう」
「宜しくお願いします。それとこちらも大口依頼となりますが、劇団にハッカ水を200本欲しいと言う依頼が来てます」
「……頑張りますわ」
難しい問題に直面してしまいましたわね。
確かに劇団からの依頼となると、売り上げはとても高い物になりますけれど、何せ全員で働いても人手が足りませんわ。
かと言って今から人手を増やしたところで焼け石に水……。
わたくしもヘルプに回る?
カイルが許してくださるかしら……。
取り敢えず、業務連絡は必要ですわ!
そう思い、10個目の聖水を作り終えると、それらを鞄に詰めてロキシーお姉ちゃんにまず連絡。二階の休憩室に入っていいか問いかけるとOKを頂けたので直ぐに向かいましたわ。
わたくしが開店中のお店に急に来ることは稀な為、ロキシーお姉ちゃんは直ぐにやってきましたの。
そこで、ネイルサロン・サルビアにて劇団からの最初は50人と言われていたのを減らして20人毎日のネイル依頼が来ていることを話すと、ロキシーお姉ちゃんは頭を抱えて「う――ん」と口になさいます。
「毎日はちょっと……難しいね」
「ですわよね」
「派遣はする、派遣はするが、一度に5人ずつまでが精々だよ。交代しながら更に次の日に5人って感じで毎日行ければ、まだマシかねぇ」
「けど、ネイル出来る人数が限られてますわ」
「アタシも暇を見て練習してね。アタシもネイルは出来るようになったんだよ」
「まぁ凄い!!」
「アタシは毎日護衛も兼ねてネイル派遣にいくとして、残りだよねぇ」
「ええ、一度講演が始まると大体二カ月から三カ月は続きますわ」
「それならさ、いっそ毎日行く事を考えたら、ネイルパッチの方がいいじゃないかい?」
「確かに!」
「此処は一つ、ネイルパッチを大々的に売りに出す方向で行こうじゃないか! それなら全員で移動してもいいし、多少華やかなモノを作ったとしても問題はないだろうしね!」
「流石ロキシーお姉ちゃんですわ!!」
「無論、割増料金は貰うけどね!」
確かにネイルパッチなら貼りつけるだけですし、外すときもリムーバーがあればあっという間に外せますわ。
それなら、20人なら二時間あれば行けますわね!
ネイルパッチ作戦で行く事に決めたわたくし達は、ロキシーお姉ちゃんは大口依頼と称して道具店サルビアの三人に告げ、お店の閉店後、ネイルサロン・サルビアへ移動することを話されました。
更にロキシーお姉ちゃんはネイルサロン・サルビアで話を付けてくると言って、箱庭経由で向かったのでしょう。
あと連絡すべきはカイルですけれど、休憩室でブレスレットを使い呼び出すと、カイルは慌てた様子で部屋に入ってきましたわ。
「どうした? 何か問題でも起きたか??」
「問題と言うより、大口依頼ですわ。劇団員20人に毎日ネイルをすると言うものですの」
「無理だろ」
「普通なら無理ですわね。そこで、ネイルパッチを使ってはどうかと言う事になりましたの」
「ああ……なるほど。それなら毎日着けて剥がしてと出来るか……でも大丈夫なのか?」
「先ほどロキシーお姉ちゃんと話をして、割増料金を貰う事にしましたわ。護衛にロキシーお姉ちゃんとナルタニアとダルメシアンも同行する事にもなってますし、その辺り色々と今日は店が閉まった後、ネイルサロン・サルビアでお話をしようということになってますの。ちなみに、ハッカ水200本の注文も入りましてよ……」
「大丈夫か? 最近リディアはハッカ水しか作ってない気がするぞ?」
「うう……聖水も作ってますわ」
確かに身体の匂いがハッカになりそうなほど作ってますけれど……。
「取り敢えず、閉店後にネイルサロン・サルビアだな。頃合いを見てリディアも来るといい」
「お外に出ても宜しいんですの?」
「大口依頼なんだし、リディアも話し合いには参加したいだろう」
「しますわ!」
「なら、閉店後、俺達がネイルサロンについたら頃合いを見て来てくれ」
「有難うございますわ――!!」
久しぶりのお外ですわよ!
ええ、室内ですけれど気分はお外!
楽しみですわ!!!
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