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187 ファビーの箱庭(上)
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――ファビーside――
私、ファビオニアには、二人の師匠がいる。
一人はミレーヌさん。
幼い頃から貴族子女として箱庭師のスキルが分かった時から、自分の理想のリゾートを作りたいと思ったそうだ。
それが功を成して、箱庭は確かにリゾート地域と言う感じの作りになったらしい。
もう一人の師匠――リディア様は私にこう言った。
『箱庭師の箱庭とは、自分の思い描く好きなものの姿が形になる』――やはり、リディア様も、教師などに習わなくとも、自分の思い描く好きな形が箱庭になるのだと教えてくれた。
じゃあ、私の好きなモノって何?
それは――リディア様とリディア様の箱庭と、温泉だった。
生まれて初めて温かいお湯に包まれて、あの気持ちよさは絶対に忘れられない。
沢山の人に、あの気持ちよさを感じて欲しい。
何より、リディア様が私たち孤児を引き受けるという強い意志があったからこそ、私たちスラム孤児を保護して助けてくれたことも大好きだった。
温かいご飯、温かい寝床、安心する箱庭。
そして、憧れのリディア様の為に、人生を尽くしたいとさえ願った。
毎回箱庭の神様に感謝もしたしお願いもした。
【生涯をかけて、一生リディア様に尽くしたい】心の底からの願いだった。
先日も、箱庭の神様にお願いをしていたら、不思議な事が起きた。
箱庭の神様から、小さな光をプレゼントされたのだ。
それは私の胸に入り、フワフワと私の周りを飛んでから池の中へと消えていかれた。
まだ開いてもいない私の箱庭に、神様の分身が入ったような気分になった。
神様の分身を貰って直ぐ、温泉が好きな事も、リディア様に今後一生尽くしたい事も、箱庭の神様のこの事もリディア様に話してから、暫く考え込んだリディア様は二つの本を私に貸してくれた。
「まずは、自分の箱庭に欲しい家や物を想像しないとね。この二つの本は、誰にも見せちゃ駄目よ?」
そう言って大事に手渡された本には『温泉宿特集』と『世界の温泉宿』と言う二つだった。
誰も居ない時間帯にリディア様の許可を貰って教室に入り、本を読みふける時間を作った。
練り上げるんだ……私の箱庭に作る大きな家を。
只管読み上げていくと、『温泉宿特集』の方が自分に会う気がした。
朝日が世界で最初に上がる国の本らしいけれど、きっと珍しい本なのだろう。
読み進めていくと、巧妙な絵も一緒に書いてあって、まさに自分の理想とする姿だった。
大きな一軒宿。中の温泉は色々な効能も書いてあって、病気に効く温泉効果もあった。
「湯治場や湯治宿と呼ばれている、長期利用を目的とした特定の疾病の温泉療養を行う……」
それを元にしたのがきっと、リディア様の温泉だ。
入ると疲労回復するし、保護された人たちは一週間湯治したりして身体を治したって聞いたもの。
つまり、家の外観をこの中のお気に入りのものにして、温泉はリディア様の箱庭の温泉をイメージすれば、私の閉じられたままの箱庭にも、温泉宿が出来るんだろうか?
とっても広い土地に、とっても広い宿が三つ。出来れば平民、冒険者用、貴族用と温泉があると嬉しい。
外の外観は、この【竹林】とかがあって風流で、温泉までの道には川が流れていて、その上を大きな橋を架けて渡れるような、とっても素晴らしい作りにしたい。
出来れば三つの宿が三角形みたいな形で広くあって、中央には箱庭の神様の欠片が住むような池があると良い。
池を荒らされたくないから、宿から池と祠が見えるようにしたい。
澄み切った池に箱庭の神様の欠片が大きく育てるようにしてあげて、祠を作って、毎日お供えとお祈りをしにいこう。
そうだわ、傷が治ったり、身体が楽になったら、祠の見える場所で感謝を言えばその後の治りも早いって言えば神様へ感謝する人が増えるかもしれない。
だとしたら、温泉宿の外観はこれで、中は広々とした休憩所があって、外にも休憩所があって……温泉はリディア様の温泉が沢山あるような感じがいいな。広い湯船も欲しい。何より、リディア様の温泉にある【シャワー】っていうのが凄いの。
捻ればお湯が出て体の汚れを落としてくれるシャワーは、身体を洗う際には絶対に使うもの。
それに湯煙で曇らない鏡も欲しい。女の子は特にいろいろ気を使うわ。
温泉宿にもシャンプーやボディーソープが置いてあるけれど、是非これも欲しいな。リディア様の温泉は夢しか詰まってないようなものだもの。
後は、外の風景を見ながら入れる……この、露店風呂!
最近リディア様の温泉に出来た泡風呂も欲しいし、寝ながら入れる温泉も欲しい、香りが素敵な温泉もいくつも欲しい。
「あとサウナ!」
思わず口に出てしまい周辺を見渡したけれど、誰も居ない。良かった。
そうよ、サウナを忘れるところだったわ。
サウナを一度体験したら、病みつきになったもの。
毎日通う温泉でサウナなんて……私と同じで病みつきになる人が続出よ!
それに冷たい水風呂でなくとも、水を火照った身体にかける場所があって、汗を引かせてから水を一杯飲んで、更にサウナでもよし、他の温泉でもよしだわ!
嗚呼でも、温泉に入ったのに物を盗まれるという悲しい事があっては台無しだわ。
この、鍵を掛けるロッカーとかいうのがあるとすごく便利。
自分の物を確実に取られずに済むもの。
考えれば考える程、私は温泉と言うものが好きだったみたい。
そう言えば入る際にはお金を頂くのよね。
橋の前に開けた場所があって、そこにお金を頂く場所があれば問題ないわね。
そして、橋へと続く橋と同じ素材出来た背の低い門を開けて入っていくの。きっと素敵だわ。
あっという間に私の思い描く温泉が出来上がって、胸がとても熱い。
なんて幸せな気分なのかしら……。
大勢の人が入れる温泉宿……それこそ、リディア様の箱庭と同じ広さがあって、大きな温泉宿もあって、温泉宿の周囲は川が流れて、竹藪が風に揺れる音が心地よくて、温泉宿の前には温泉から出た人たちが湯涼みする場所があって……。
「そんな空間……幸せ以外の何物でもないわ……」
そんな宿を作ったら、リディア様は驚くかしら?
私の一生をリディア様に捧げるから、どうかそんな温泉宿が作れる箱庭が作りたい。
リディア様の為に、リディア様に御恩を返すために、一生をかけて御恩をお返しし続ける為にも……。
「温泉宿に入る最初の人は、勿論リディア様が良いわ……」
二人は無理でも、皆で温泉宿を巡るの。
そしてリディア様にお褒めの言葉を頂くの。
輝く笑顔で『ファビーなんて凄いの!』って言って貰えたら天国に行ってしまいそう……。
本を抱きかかえ光悦の表情を浮かべているとノックが聞こえて、慌てて本をアイテムボックスに入れると、フォルが立っていたわ。
「ファビー、お前リディア様に何か貰ったんだろ」
「そそそそ……それはあなたには関係ないじゃない!」
「見せちゃいけないって言われたのか?」
「そうよ……」
「そうか……なら見ない。ボクだって本貰ってるしな」
「え!?」
「リディア様の為の専属のロストテクノロジー持ちになりたいっていったら、色々本をくれたんだ。リディア様のロストテクノロジーで作れる物の図鑑みたいなもの」
「何それ凄い!!」
「ああ、リディア様のロストテクノロジーは凄すぎて、憧れよりも神になった。俺は必ずあの本の物を作れるようになって、リディア様に褒めて頂くんだ」
「フォルも頑張って! 私も頑張るから!!」
「ああ、二人揃ってリディア様の弟子なんだ。頑張ろう。それよりも昼食の時間だぞ、急いで食事してリディア様に話したいことを話さないと時間がないぞ」
「うん! 行こう!!」
胸に灯る熱さは消えないけれど、きっと私の箱庭を今開けると凄い事になっている気がするの。
早くリディア様にこの事を伝えたい! そして一緒に、私の箱庭へ案内したい!!
今日はお時間あるかしら? あるのなら―――。
私、ファビオニアには、二人の師匠がいる。
一人はミレーヌさん。
幼い頃から貴族子女として箱庭師のスキルが分かった時から、自分の理想のリゾートを作りたいと思ったそうだ。
それが功を成して、箱庭は確かにリゾート地域と言う感じの作りになったらしい。
もう一人の師匠――リディア様は私にこう言った。
『箱庭師の箱庭とは、自分の思い描く好きなものの姿が形になる』――やはり、リディア様も、教師などに習わなくとも、自分の思い描く好きな形が箱庭になるのだと教えてくれた。
じゃあ、私の好きなモノって何?
それは――リディア様とリディア様の箱庭と、温泉だった。
生まれて初めて温かいお湯に包まれて、あの気持ちよさは絶対に忘れられない。
沢山の人に、あの気持ちよさを感じて欲しい。
何より、リディア様が私たち孤児を引き受けるという強い意志があったからこそ、私たちスラム孤児を保護して助けてくれたことも大好きだった。
温かいご飯、温かい寝床、安心する箱庭。
そして、憧れのリディア様の為に、人生を尽くしたいとさえ願った。
毎回箱庭の神様に感謝もしたしお願いもした。
【生涯をかけて、一生リディア様に尽くしたい】心の底からの願いだった。
先日も、箱庭の神様にお願いをしていたら、不思議な事が起きた。
箱庭の神様から、小さな光をプレゼントされたのだ。
それは私の胸に入り、フワフワと私の周りを飛んでから池の中へと消えていかれた。
まだ開いてもいない私の箱庭に、神様の分身が入ったような気分になった。
神様の分身を貰って直ぐ、温泉が好きな事も、リディア様に今後一生尽くしたい事も、箱庭の神様のこの事もリディア様に話してから、暫く考え込んだリディア様は二つの本を私に貸してくれた。
「まずは、自分の箱庭に欲しい家や物を想像しないとね。この二つの本は、誰にも見せちゃ駄目よ?」
そう言って大事に手渡された本には『温泉宿特集』と『世界の温泉宿』と言う二つだった。
誰も居ない時間帯にリディア様の許可を貰って教室に入り、本を読みふける時間を作った。
練り上げるんだ……私の箱庭に作る大きな家を。
只管読み上げていくと、『温泉宿特集』の方が自分に会う気がした。
朝日が世界で最初に上がる国の本らしいけれど、きっと珍しい本なのだろう。
読み進めていくと、巧妙な絵も一緒に書いてあって、まさに自分の理想とする姿だった。
大きな一軒宿。中の温泉は色々な効能も書いてあって、病気に効く温泉効果もあった。
「湯治場や湯治宿と呼ばれている、長期利用を目的とした特定の疾病の温泉療養を行う……」
それを元にしたのがきっと、リディア様の温泉だ。
入ると疲労回復するし、保護された人たちは一週間湯治したりして身体を治したって聞いたもの。
つまり、家の外観をこの中のお気に入りのものにして、温泉はリディア様の箱庭の温泉をイメージすれば、私の閉じられたままの箱庭にも、温泉宿が出来るんだろうか?
とっても広い土地に、とっても広い宿が三つ。出来れば平民、冒険者用、貴族用と温泉があると嬉しい。
外の外観は、この【竹林】とかがあって風流で、温泉までの道には川が流れていて、その上を大きな橋を架けて渡れるような、とっても素晴らしい作りにしたい。
出来れば三つの宿が三角形みたいな形で広くあって、中央には箱庭の神様の欠片が住むような池があると良い。
池を荒らされたくないから、宿から池と祠が見えるようにしたい。
澄み切った池に箱庭の神様の欠片が大きく育てるようにしてあげて、祠を作って、毎日お供えとお祈りをしにいこう。
そうだわ、傷が治ったり、身体が楽になったら、祠の見える場所で感謝を言えばその後の治りも早いって言えば神様へ感謝する人が増えるかもしれない。
だとしたら、温泉宿の外観はこれで、中は広々とした休憩所があって、外にも休憩所があって……温泉はリディア様の温泉が沢山あるような感じがいいな。広い湯船も欲しい。何より、リディア様の温泉にある【シャワー】っていうのが凄いの。
捻ればお湯が出て体の汚れを落としてくれるシャワーは、身体を洗う際には絶対に使うもの。
それに湯煙で曇らない鏡も欲しい。女の子は特にいろいろ気を使うわ。
温泉宿にもシャンプーやボディーソープが置いてあるけれど、是非これも欲しいな。リディア様の温泉は夢しか詰まってないようなものだもの。
後は、外の風景を見ながら入れる……この、露店風呂!
最近リディア様の温泉に出来た泡風呂も欲しいし、寝ながら入れる温泉も欲しい、香りが素敵な温泉もいくつも欲しい。
「あとサウナ!」
思わず口に出てしまい周辺を見渡したけれど、誰も居ない。良かった。
そうよ、サウナを忘れるところだったわ。
サウナを一度体験したら、病みつきになったもの。
毎日通う温泉でサウナなんて……私と同じで病みつきになる人が続出よ!
それに冷たい水風呂でなくとも、水を火照った身体にかける場所があって、汗を引かせてから水を一杯飲んで、更にサウナでもよし、他の温泉でもよしだわ!
嗚呼でも、温泉に入ったのに物を盗まれるという悲しい事があっては台無しだわ。
この、鍵を掛けるロッカーとかいうのがあるとすごく便利。
自分の物を確実に取られずに済むもの。
考えれば考える程、私は温泉と言うものが好きだったみたい。
そう言えば入る際にはお金を頂くのよね。
橋の前に開けた場所があって、そこにお金を頂く場所があれば問題ないわね。
そして、橋へと続く橋と同じ素材出来た背の低い門を開けて入っていくの。きっと素敵だわ。
あっという間に私の思い描く温泉が出来上がって、胸がとても熱い。
なんて幸せな気分なのかしら……。
大勢の人が入れる温泉宿……それこそ、リディア様の箱庭と同じ広さがあって、大きな温泉宿もあって、温泉宿の周囲は川が流れて、竹藪が風に揺れる音が心地よくて、温泉宿の前には温泉から出た人たちが湯涼みする場所があって……。
「そんな空間……幸せ以外の何物でもないわ……」
そんな宿を作ったら、リディア様は驚くかしら?
私の一生をリディア様に捧げるから、どうかそんな温泉宿が作れる箱庭が作りたい。
リディア様の為に、リディア様に御恩を返すために、一生をかけて御恩をお返しし続ける為にも……。
「温泉宿に入る最初の人は、勿論リディア様が良いわ……」
二人は無理でも、皆で温泉宿を巡るの。
そしてリディア様にお褒めの言葉を頂くの。
輝く笑顔で『ファビーなんて凄いの!』って言って貰えたら天国に行ってしまいそう……。
本を抱きかかえ光悦の表情を浮かべているとノックが聞こえて、慌てて本をアイテムボックスに入れると、フォルが立っていたわ。
「ファビー、お前リディア様に何か貰ったんだろ」
「そそそそ……それはあなたには関係ないじゃない!」
「見せちゃいけないって言われたのか?」
「そうよ……」
「そうか……なら見ない。ボクだって本貰ってるしな」
「え!?」
「リディア様の為の専属のロストテクノロジー持ちになりたいっていったら、色々本をくれたんだ。リディア様のロストテクノロジーで作れる物の図鑑みたいなもの」
「何それ凄い!!」
「ああ、リディア様のロストテクノロジーは凄すぎて、憧れよりも神になった。俺は必ずあの本の物を作れるようになって、リディア様に褒めて頂くんだ」
「フォルも頑張って! 私も頑張るから!!」
「ああ、二人揃ってリディア様の弟子なんだ。頑張ろう。それよりも昼食の時間だぞ、急いで食事してリディア様に話したいことを話さないと時間がないぞ」
「うん! 行こう!!」
胸に灯る熱さは消えないけれど、きっと私の箱庭を今開けると凄い事になっている気がするの。
早くリディア様にこの事を伝えたい! そして一緒に、私の箱庭へ案内したい!!
今日はお時間あるかしら? あるのなら―――。
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★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。
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