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188 ファビーの箱庭(中)
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「本日のお昼、私の箱庭をあけたいんです! 御同行お願いしたいです!」
お昼時、何時もオドオドしているファビーからの熱いお誘いに、わたくしはその日の予定をキャンセルしてファビーの箱庭についていく事を約束しましたわ。
初めて自分の箱庭をあける時って勇気がいりますものね!
それに、ファビーの箱庭がどんなものになったのかも、とても気になりますもの!
朝一番に、箱庭の神様の欠片を頂いたと連絡があった時は驚きましたけれど、彼女の好きなものを聞いて、当時日本が恋しくなって作ってしまった本を手渡しましたわ。
あの本でどんなインスピレーションを起したのかも気になりますし、昼はわたくしとファビーとフォルとカイルとで、ファビーの箱庭に入る事になりましたの。
食事を終え、食後休憩を挟んでからファビーの箱庭への入り口を鏡池の場所に作ると、緊張している彼女の肩をトントンと叩きましたわ。
「ファビー、初めて入る自分の箱庭ですわ。もう一度自分の思い描いた箱庭を想像してみて」
「はい!」
「そして何度か深呼吸して落ち着いたら、中に入ってみましょう。わたくしたちも続きますわ」
「はい!!」
ファビーは約1分深呼吸を繰り返した後、真っ直ぐ自分の箱庭の入り口を見つめて中に入っていきましたわ。一体この先にはどんな箱庭が広がっているのか楽しみになり、わたくしたちも後に続きましたの。
光りを抜けたその先には――サラサラと聞き覚えのある音に、サワサワと懐かしい音が聞こえますわ。
目を開くと、わたくしは息を呑んだ。
目の前に広がる光景は……確かに懐かしい光景で、わたくしでは到底作れなかった、日本家屋の温泉宿がありましたわ!!!
「これは……ファビー……」
「はい、リディア様。これが私の憧れを詰め込んだ『日帰り温泉』です!」
――日帰り温泉。
泊るのではなく、その日に入って帰宅する温泉……本当にファビーは温泉が大好きなのね!
それに橋も川も、足場の砂利さえも懐かしい……。
「ファビー……あなたは天才だわ!!」
「リディア様……っ!」
「わたくし、毎日通いたくてよ!!」
「リディア様にそう言って貰えたら私……私っ!!」
「死ぬなファビー。まだ中を見せていないだろう?」
「そうねフォル! 持ちこたえたわ!!」
一瞬飛びそうになったファビーだったけれど、フォルの一言で復活したわ。
良かった、是非とも中も見学したかったんですもの!
それに、よくよく見ると竹壁で少ししか分からないけれど、三つの温泉宿があるのかしら。
広さもわたくしの箱庭とあまり変わらないくらいの広さだわ!
「もしかして、温泉宿は三つあるのかしら?」
「はい! 貴族様用、冒険者用、庶民用の三つを用意しました。リディア様が温泉で商売が出来ないかしらと、昨夜ポロリと零しているのを聞いてしまって」
「まぁ……わたくしったら言葉に出てしまっていたのね」
「私も温泉が大好きで……大好きすぎて……温泉なしでは生きていけない程に好きで……そしらリディア様からあの本を渡されて、もう自分を抑えきれなくて……そしたらこの様な箱庭になりました。私は箱庭師ですが、他の人の箱庭の基準が分かりません。知っているのはリディア様の箱庭だけです。リディア様の箱庭の広さと、温泉を……真似させて頂きましたすみません!」
「良いのよ? ドンドン真似するところはして良いの。自分の思い描く箱庭を創造することが出来て、しかもこんな素晴らしい……ファビーは天才過ぎるわ!」
「はぅう!」
「何とも風情のある佇まいだな……初めて見る作りなのに、音かな? 音も癒しの効果として発揮されているんだな」
「それに、少し空気が涼しくて気持ちがいい。温泉から出た後なら最高だと思う」
「はい! その様な空気になると良いなと思って創造しました。後はリディア様にお願いすることになりますが、ウォーターサーバーなるものを各所に用意して頂ければと」
「そんなのお安い御用よ!」
「嬉しいです! 冒険者用と庶民用は同じ作りになっていて、貴族用だけ少し違う形にしてみていますので、まずはこちらの冒険者用から案内しますね!」
「楽しみだわ!」
そう言うと、橋と同じ作りの背の低い扉を抜けて橋を渡り、流れる川の清らかさに驚きつつ温泉宿前まで到着すると、日本家屋の立派な佇まいの中に入り、靴箱には鍵付きで、防犯機能もバッチリなのが伺えたわ。
靴箱も一つ一つが大きく、冒険者の大きな靴すらスッポリ入りそうね。
靴を預けて鍵を手にすると、中央には小さな鏡池と、祠が見えましたわ。
「箱庭の欠片様に何か起きてはいけないと思いまして、怪我や病気を早く治したい方は、ここで池にお祈りすると効能が上がるという話をしようと思っています。ズラリと並ぶ左側には畳と言う伝統的な物を使った休憩所が並んでいて、お酒などはダメですが、水を飲んだりして休憩するくらいは出来るかと思います」
「ここにウォーターサーバーが多く必要になるわね」
「はい、出来るだけ多くのウォーターサーバーがあれば、行列が出来ることもないかなと」
「凄いな、畳とかいう奴からいい香りはするし、机も真新しくて綺麗じゃないか。冒険者なら雑魚寝しそうだな」
「外にも休憩所があるの?」
「はい、外にも涼む為の休憩所がありまして、そこにも椅子や机を用意してます」
「外も笹の良い音が聞こえるんでしょうね」
「行ってみましょう」
こうして外にも出てみると、笹の揺れる素敵で懐かしい音と、遠くから聞こえる川の音に心身ともに癒されますわ……。
温泉から上がって水を飲みながら外で贅沢な時間ね……。
「一週間に一度でいいから、わたくしも入りに来たいわ」
「そうですね、月の日は男、火の日は女と言う感じで交互に分けていけば一日休みになりますから、その時は是非、リディア様や箱庭の皆さんに味わってもらいたいです!」
「それは素晴らしいアイディアですわ!」
「外で音を聴いているだけで癒されるって凄いな……」
「これはファビーの温泉好きが大成功した形ですよね。ボクも負けて居られない」
「フォルには、日帰り温泉の為のボディーソープやリンスインシャンプーをお願いしたいと思ってるの」
「……絶対いい奴作ってやる」
あらあら、フォルまで燃えてしまったわ。
同じ弟子であるファビーがこんな凄い物を作ったとあっては、フォルのやる気に火が付くのも仕方ないですわね!
そんな事を思いながら廊下を進み、大きな扉の前に到着するとファビーは引き戸を開け、中を見せてくださいましたわ。
沢山の鍵のついたロッカーが並び、天井には風魔石を入れると動かせる扇風機が沢山備え付けられていますわ!
「ここが脱衣所です! 沢山の方が入れるように、大きな鍵付きのロッカーを用意しました。腕に装着できる鍵なので、靴用の鍵と一緒に腕に嵌めて温泉に入れます!」
「広々として良いわね!」
「足ふき場は?」
「リディア様の箱庭にある温泉の足ふき場と同じなんですが……珪藻土マットでしたっけ?」
「ええ、珪藻土マットね。確かに直ぐ乾くわ。これだったら割れたら何時でもフォルが作れるんじゃないかしら」
「ロストテクノロジーですね?」
「ええ」
「ファビー。君の温泉に必要な物があれば、ボクが担当したい! ウォーターサーバーはまだ作れないからリディア様にお願いすることになるけれど」
「嬉しいわ、フォル!!」
あらあら、ふふふ。
手と手を取り合い、お互いの瞳が燃えるくらいに熱くなれるなんて……わたくしが新しい商売を考える時と同じね!!
これぞ、同類と言う奴ですわ!
流石弟子二人、似るものですわね!
それでは早速、どんな温泉があるのか見せて貰いましょう。
ドキドキしますわ!!
お昼時、何時もオドオドしているファビーからの熱いお誘いに、わたくしはその日の予定をキャンセルしてファビーの箱庭についていく事を約束しましたわ。
初めて自分の箱庭をあける時って勇気がいりますものね!
それに、ファビーの箱庭がどんなものになったのかも、とても気になりますもの!
朝一番に、箱庭の神様の欠片を頂いたと連絡があった時は驚きましたけれど、彼女の好きなものを聞いて、当時日本が恋しくなって作ってしまった本を手渡しましたわ。
あの本でどんなインスピレーションを起したのかも気になりますし、昼はわたくしとファビーとフォルとカイルとで、ファビーの箱庭に入る事になりましたの。
食事を終え、食後休憩を挟んでからファビーの箱庭への入り口を鏡池の場所に作ると、緊張している彼女の肩をトントンと叩きましたわ。
「ファビー、初めて入る自分の箱庭ですわ。もう一度自分の思い描いた箱庭を想像してみて」
「はい!」
「そして何度か深呼吸して落ち着いたら、中に入ってみましょう。わたくしたちも続きますわ」
「はい!!」
ファビーは約1分深呼吸を繰り返した後、真っ直ぐ自分の箱庭の入り口を見つめて中に入っていきましたわ。一体この先にはどんな箱庭が広がっているのか楽しみになり、わたくしたちも後に続きましたの。
光りを抜けたその先には――サラサラと聞き覚えのある音に、サワサワと懐かしい音が聞こえますわ。
目を開くと、わたくしは息を呑んだ。
目の前に広がる光景は……確かに懐かしい光景で、わたくしでは到底作れなかった、日本家屋の温泉宿がありましたわ!!!
「これは……ファビー……」
「はい、リディア様。これが私の憧れを詰め込んだ『日帰り温泉』です!」
――日帰り温泉。
泊るのではなく、その日に入って帰宅する温泉……本当にファビーは温泉が大好きなのね!
それに橋も川も、足場の砂利さえも懐かしい……。
「ファビー……あなたは天才だわ!!」
「リディア様……っ!」
「わたくし、毎日通いたくてよ!!」
「リディア様にそう言って貰えたら私……私っ!!」
「死ぬなファビー。まだ中を見せていないだろう?」
「そうねフォル! 持ちこたえたわ!!」
一瞬飛びそうになったファビーだったけれど、フォルの一言で復活したわ。
良かった、是非とも中も見学したかったんですもの!
それに、よくよく見ると竹壁で少ししか分からないけれど、三つの温泉宿があるのかしら。
広さもわたくしの箱庭とあまり変わらないくらいの広さだわ!
「もしかして、温泉宿は三つあるのかしら?」
「はい! 貴族様用、冒険者用、庶民用の三つを用意しました。リディア様が温泉で商売が出来ないかしらと、昨夜ポロリと零しているのを聞いてしまって」
「まぁ……わたくしったら言葉に出てしまっていたのね」
「私も温泉が大好きで……大好きすぎて……温泉なしでは生きていけない程に好きで……そしらリディア様からあの本を渡されて、もう自分を抑えきれなくて……そしたらこの様な箱庭になりました。私は箱庭師ですが、他の人の箱庭の基準が分かりません。知っているのはリディア様の箱庭だけです。リディア様の箱庭の広さと、温泉を……真似させて頂きましたすみません!」
「良いのよ? ドンドン真似するところはして良いの。自分の思い描く箱庭を創造することが出来て、しかもこんな素晴らしい……ファビーは天才過ぎるわ!」
「はぅう!」
「何とも風情のある佇まいだな……初めて見る作りなのに、音かな? 音も癒しの効果として発揮されているんだな」
「それに、少し空気が涼しくて気持ちがいい。温泉から出た後なら最高だと思う」
「はい! その様な空気になると良いなと思って創造しました。後はリディア様にお願いすることになりますが、ウォーターサーバーなるものを各所に用意して頂ければと」
「そんなのお安い御用よ!」
「嬉しいです! 冒険者用と庶民用は同じ作りになっていて、貴族用だけ少し違う形にしてみていますので、まずはこちらの冒険者用から案内しますね!」
「楽しみだわ!」
そう言うと、橋と同じ作りの背の低い扉を抜けて橋を渡り、流れる川の清らかさに驚きつつ温泉宿前まで到着すると、日本家屋の立派な佇まいの中に入り、靴箱には鍵付きで、防犯機能もバッチリなのが伺えたわ。
靴箱も一つ一つが大きく、冒険者の大きな靴すらスッポリ入りそうね。
靴を預けて鍵を手にすると、中央には小さな鏡池と、祠が見えましたわ。
「箱庭の欠片様に何か起きてはいけないと思いまして、怪我や病気を早く治したい方は、ここで池にお祈りすると効能が上がるという話をしようと思っています。ズラリと並ぶ左側には畳と言う伝統的な物を使った休憩所が並んでいて、お酒などはダメですが、水を飲んだりして休憩するくらいは出来るかと思います」
「ここにウォーターサーバーが多く必要になるわね」
「はい、出来るだけ多くのウォーターサーバーがあれば、行列が出来ることもないかなと」
「凄いな、畳とかいう奴からいい香りはするし、机も真新しくて綺麗じゃないか。冒険者なら雑魚寝しそうだな」
「外にも休憩所があるの?」
「はい、外にも涼む為の休憩所がありまして、そこにも椅子や机を用意してます」
「外も笹の良い音が聞こえるんでしょうね」
「行ってみましょう」
こうして外にも出てみると、笹の揺れる素敵で懐かしい音と、遠くから聞こえる川の音に心身ともに癒されますわ……。
温泉から上がって水を飲みながら外で贅沢な時間ね……。
「一週間に一度でいいから、わたくしも入りに来たいわ」
「そうですね、月の日は男、火の日は女と言う感じで交互に分けていけば一日休みになりますから、その時は是非、リディア様や箱庭の皆さんに味わってもらいたいです!」
「それは素晴らしいアイディアですわ!」
「外で音を聴いているだけで癒されるって凄いな……」
「これはファビーの温泉好きが大成功した形ですよね。ボクも負けて居られない」
「フォルには、日帰り温泉の為のボディーソープやリンスインシャンプーをお願いしたいと思ってるの」
「……絶対いい奴作ってやる」
あらあら、フォルまで燃えてしまったわ。
同じ弟子であるファビーがこんな凄い物を作ったとあっては、フォルのやる気に火が付くのも仕方ないですわね!
そんな事を思いながら廊下を進み、大きな扉の前に到着するとファビーは引き戸を開け、中を見せてくださいましたわ。
沢山の鍵のついたロッカーが並び、天井には風魔石を入れると動かせる扇風機が沢山備え付けられていますわ!
「ここが脱衣所です! 沢山の方が入れるように、大きな鍵付きのロッカーを用意しました。腕に装着できる鍵なので、靴用の鍵と一緒に腕に嵌めて温泉に入れます!」
「広々として良いわね!」
「足ふき場は?」
「リディア様の箱庭にある温泉の足ふき場と同じなんですが……珪藻土マットでしたっけ?」
「ええ、珪藻土マットね。確かに直ぐ乾くわ。これだったら割れたら何時でもフォルが作れるんじゃないかしら」
「ロストテクノロジーですね?」
「ええ」
「ファビー。君の温泉に必要な物があれば、ボクが担当したい! ウォーターサーバーはまだ作れないからリディア様にお願いすることになるけれど」
「嬉しいわ、フォル!!」
あらあら、ふふふ。
手と手を取り合い、お互いの瞳が燃えるくらいに熱くなれるなんて……わたくしが新しい商売を考える時と同じね!!
これぞ、同類と言う奴ですわ!
流石弟子二人、似るものですわね!
それでは早速、どんな温泉があるのか見せて貰いましょう。
ドキドキしますわ!!
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★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。
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