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195 フォルの意地。
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――フォルside――
ファビーと一緒に、彼女の箱庭に置く食事処の話をしていた。
軍部に貸すのであれば、大勢の胃袋を満たすための大型コンロは必要だ。
しかし、それ以上に食べるものも大事になってくる。
「新鮮な肉や野菜などをアイテムボックスに詰めて移動すると言う方法を取れば、真冬の行軍ですら温かい料理を食べられると言うのに、何故そこまでの予算が通らないんだ?」
「リディア姉のお話だと、そこまでの防衛費が回せないのだとか。テント等の備品の値段の高騰が原因らしいわ」
「だが、食事とは大事な事だろう? 温かな食事があってこそ人は満足して動ける」
「それはそうだけど、ある程度の広さの広場を用意は出来たけれど、これで料理となると色々コンロや水も必要になるわ。うちには水を用意できるだけの場所もないですし、温泉水でも使ってみる?」
「温泉水か……綺麗なモノなら体に良さそうだな」
「でしょう?」
「料理には是非、温かい白いご飯に味噌汁があるといいな。ポトフも好きだ」
「料理はカレーを出すべきです!」
「カレーも大事だが、ポトフがボクは好きだ!」
「あなたの意見も確かに大事ですけれど!!」
「だが、寒い行軍中に食べる料理だ! 温かいスープ系は外せないだろう!」
「でしたら、屋台を持って行って欲しいです! おでんを!!」
「おでんか!!! おでんがつくれるように可動式大型コンロなんてどうだ?」
「そんな大層な物つくれるんですか?」
「ボクを馬鹿にして貰っては困る!」
これでもロストテクノロジーのレベルを上げに上げまくって、リディア姉には追い付かないがある程度の物は作れるようになってきたんだ。
その中に、大型コンロと大型冷蔵庫も含まれている事をファビーに告げると、ファビーは驚いた様子でボクを見てきた。
「あ……貴方何時の間にそこまでっ」
「ボクと一緒にリディア姉の弟子になったのにファビーが先に行ってしまったからな。ボクだって必死さ。なんとしてでもスキルを上げたいとリディア姉に相談して、アイテムボックスでスキル上げをさせて貰ったんだ」
「なんて贅沢なスキル上げを……」
「リディア姉もアイテムボックスでのスキル上げが一番効率が良いと仰っていた。ボクも同じようにスキルを上げて、何とかリディア姉から渡された本の半分までは作れるようになったんだ」
「もう半分も!!」
「だがロストテクノロジーの道は長くて険しい……1000個のアイテムボックスの内、レアはたったの50個だった」
「50も作れるなんて凄いわ!」
「リディア姉は任意でレアを作れるようになっている……ボクはまだスキルが足りない」
毎日毎日頑張ってスキルを上げても、リディア姉と言う大きな壁は常に前にある。
何時の日か隣に立つためにも、まだまだスキル上げは必要なんだ。
「ボクだって……ボクだってリディア姉のお役に立ちたい!」
「フォル……っ」
「ボクだって箱庭を守る為に、リディア姉に命を捧げる覚悟はもう出来ているんだ! ファビーに負けて居られないんだ!」
「あらあら、でしたらフォルにもっともっと頑張って貰わないといけませんわね」
「「!!」」
背後から聞こえた声にファビーと一緒に振り向くと、嬉しそうに微笑んでいるリディア姉の姿があった。
何時から話を聞かれていたかは分からないが、思わず顔が真っ赤になる。
「ファビー。男性は兎に角ご飯を食べますわ。コンロは沢山あった方が良くってよ?」
「ですが、防衛費は余りでないのでしょう?」
「その事なんですけれど、ファビーの箱庭とテント用品一式を貸し出す事で、防衛費をたんまり頂く予定ですわ。来週末、一緒にナカース王の御前に行きましょうね」
「ヒァアアア……」
リディア姉の言葉に気を失ってそのまま倒れそうになったファビーを抱きとめると、ファビーは伸びてしまっていた……。
昔の気弱なファビーに戻ったような感じがして少しうれしかったが、何とか揺さぶって起こすと、ファビーは今にも泣きそうな顔をして高速ハイハイをしたかと思ったら、リディア姉の足にしがみついた!
――何をしているんだファビー!!!!
「り……リディア姉……ファビーを捨てないでください! 頑張りますからあああああ!!!」
「あらあら。ファビー間違えないで? 貸出であって、売り出しではありませんわ」
「へあ?」
「わたくしの大事な弟子を守る為ですもの。テント関連も売るのではなく、全て貸し出しにしましたわ。出なければ、ファビーを国に売れと言われるでしょう?」
「リディア姉それでは……」
「ファビーを守る為に……?」
「あら? 大事な弟子を守る事の方がわたくしには重要でしてよ?」
「「リディア姉っ 一生ついていきます!!!」」
思わずファビーと声が重なってしまった。
リディア姉は防衛費よりも、ファビーを取ってくださった!
お金よりもファビーと言う一人の人間を守るのだと言って下さった!!
こんなに嬉しいことは無い!!
「そして、ファビーを守る為にフォル、貴方も頑張らねばなりませんわ」
「ボクが?」
「ええ、大型コンロを最低10個作れまして?」
「――作れます!」
「移動用ですけれど作れまして?」
「大丈夫です。そこまでスキルを上げました!」
胸を張って言える。
ファビーの為にも、リディア姉の為にも、ボクは稼働用コンロが作れるようになるまで必死にスキル上げをしたんだ!
「……良いでしょう。では、来週からの温泉で使ってみますから、移動用コンロを6つ作って見なさいな」
「大型で宜しいですか?」
「ええ、まずは6つお願いしますわね」
「畏まりました!」
「ファビーはわたくしと一緒に9人、ファビーの箱庭で働いてくださる方を探してみましょう。温泉の中で移動用コンロが動かせて、尚且つ、おでんを作って売れる人を探しますわ」
「はい!」
「無論売り切れ御免でやりますから。短時間のバイトがしたい子とかいないかしら」
「ふふふ、元スラムの子で上の子たちなら多分やりたがります!」
「では、一緒にお願いしていきましょう?」
「はい!」
こうして、ボクはその日の内に素材関係を詰め込んだ自分のアイテムボックスを手に、安心安全な稼働式コンロを3つまでは作れた。
だがそこでMP切れを起こし、慌てて飲んだが……3つ作るとMP切れを起こすなんて、やはりコンロとは結構なMPを使うアイテムだったのだと理解した。
説明文にも、コンロ一つで1カ月掛かる者も多いと書いてあったし、ボクはMPが比較的多い方だったから何とかなったが……MPの少ない者からしたら大変な作業だろう。
それでも、リディア姉とファビーが9人、元スラム孤児から働き手を探した頃、4つ目の可動式コンロが作れたところで、流石に身体が筋肉痛のように痛くなり、続きは明日になってしまった。
ボクはまだまだリディア姉には遠く及ばない事を強く感じた瞬間だ。
でも――。
「まぁ、もう4つも作れましたの!?」
「リディア姉……」
「残りは明日一日掛けて作ってくださいませ。今日はシッカリと温泉で身体をほぐしておくと、MPが少しだけ増えますわよ」
「そう……何ですか?」
「ええ、わたくしも昔は何度もMP切れを起こして筋肉が悲鳴を上げて、その度に温泉に入っていたらMPが恐ろしく増えましたもの」
そんな裏技があったなんて!!
これからは温泉の近くで作ろうと決めた。
ボクはまだまだ何もかもが足りない見習いだし、ファビーのように成功もしてないけれど、いつかボクがいないと困ると言われるようになるまで、頑張ってスキルを上げて、MPを増やして、リディア姉に恩をお返しする為に一生かけて頑張っていくのだと決めた筋肉痛になったその日を境に、朝は池鏡で一日の安全祈願と自分の思いのたけを願い、日々スキル上げに勤しむ事になるのだけれど――。
「温泉に入るたびに、MPの回復と増え方が可笑しい」
まさかボクの強い思いをくみ取った箱庭の神様が祝福してくれていた事に気が付くのは――ずっと後の事。
ファビーと一緒に、彼女の箱庭に置く食事処の話をしていた。
軍部に貸すのであれば、大勢の胃袋を満たすための大型コンロは必要だ。
しかし、それ以上に食べるものも大事になってくる。
「新鮮な肉や野菜などをアイテムボックスに詰めて移動すると言う方法を取れば、真冬の行軍ですら温かい料理を食べられると言うのに、何故そこまでの予算が通らないんだ?」
「リディア姉のお話だと、そこまでの防衛費が回せないのだとか。テント等の備品の値段の高騰が原因らしいわ」
「だが、食事とは大事な事だろう? 温かな食事があってこそ人は満足して動ける」
「それはそうだけど、ある程度の広さの広場を用意は出来たけれど、これで料理となると色々コンロや水も必要になるわ。うちには水を用意できるだけの場所もないですし、温泉水でも使ってみる?」
「温泉水か……綺麗なモノなら体に良さそうだな」
「でしょう?」
「料理には是非、温かい白いご飯に味噌汁があるといいな。ポトフも好きだ」
「料理はカレーを出すべきです!」
「カレーも大事だが、ポトフがボクは好きだ!」
「あなたの意見も確かに大事ですけれど!!」
「だが、寒い行軍中に食べる料理だ! 温かいスープ系は外せないだろう!」
「でしたら、屋台を持って行って欲しいです! おでんを!!」
「おでんか!!! おでんがつくれるように可動式大型コンロなんてどうだ?」
「そんな大層な物つくれるんですか?」
「ボクを馬鹿にして貰っては困る!」
これでもロストテクノロジーのレベルを上げに上げまくって、リディア姉には追い付かないがある程度の物は作れるようになってきたんだ。
その中に、大型コンロと大型冷蔵庫も含まれている事をファビーに告げると、ファビーは驚いた様子でボクを見てきた。
「あ……貴方何時の間にそこまでっ」
「ボクと一緒にリディア姉の弟子になったのにファビーが先に行ってしまったからな。ボクだって必死さ。なんとしてでもスキルを上げたいとリディア姉に相談して、アイテムボックスでスキル上げをさせて貰ったんだ」
「なんて贅沢なスキル上げを……」
「リディア姉もアイテムボックスでのスキル上げが一番効率が良いと仰っていた。ボクも同じようにスキルを上げて、何とかリディア姉から渡された本の半分までは作れるようになったんだ」
「もう半分も!!」
「だがロストテクノロジーの道は長くて険しい……1000個のアイテムボックスの内、レアはたったの50個だった」
「50も作れるなんて凄いわ!」
「リディア姉は任意でレアを作れるようになっている……ボクはまだスキルが足りない」
毎日毎日頑張ってスキルを上げても、リディア姉と言う大きな壁は常に前にある。
何時の日か隣に立つためにも、まだまだスキル上げは必要なんだ。
「ボクだって……ボクだってリディア姉のお役に立ちたい!」
「フォル……っ」
「ボクだって箱庭を守る為に、リディア姉に命を捧げる覚悟はもう出来ているんだ! ファビーに負けて居られないんだ!」
「あらあら、でしたらフォルにもっともっと頑張って貰わないといけませんわね」
「「!!」」
背後から聞こえた声にファビーと一緒に振り向くと、嬉しそうに微笑んでいるリディア姉の姿があった。
何時から話を聞かれていたかは分からないが、思わず顔が真っ赤になる。
「ファビー。男性は兎に角ご飯を食べますわ。コンロは沢山あった方が良くってよ?」
「ですが、防衛費は余りでないのでしょう?」
「その事なんですけれど、ファビーの箱庭とテント用品一式を貸し出す事で、防衛費をたんまり頂く予定ですわ。来週末、一緒にナカース王の御前に行きましょうね」
「ヒァアアア……」
リディア姉の言葉に気を失ってそのまま倒れそうになったファビーを抱きとめると、ファビーは伸びてしまっていた……。
昔の気弱なファビーに戻ったような感じがして少しうれしかったが、何とか揺さぶって起こすと、ファビーは今にも泣きそうな顔をして高速ハイハイをしたかと思ったら、リディア姉の足にしがみついた!
――何をしているんだファビー!!!!
「り……リディア姉……ファビーを捨てないでください! 頑張りますからあああああ!!!」
「あらあら。ファビー間違えないで? 貸出であって、売り出しではありませんわ」
「へあ?」
「わたくしの大事な弟子を守る為ですもの。テント関連も売るのではなく、全て貸し出しにしましたわ。出なければ、ファビーを国に売れと言われるでしょう?」
「リディア姉それでは……」
「ファビーを守る為に……?」
「あら? 大事な弟子を守る事の方がわたくしには重要でしてよ?」
「「リディア姉っ 一生ついていきます!!!」」
思わずファビーと声が重なってしまった。
リディア姉は防衛費よりも、ファビーを取ってくださった!
お金よりもファビーと言う一人の人間を守るのだと言って下さった!!
こんなに嬉しいことは無い!!
「そして、ファビーを守る為にフォル、貴方も頑張らねばなりませんわ」
「ボクが?」
「ええ、大型コンロを最低10個作れまして?」
「――作れます!」
「移動用ですけれど作れまして?」
「大丈夫です。そこまでスキルを上げました!」
胸を張って言える。
ファビーの為にも、リディア姉の為にも、ボクは稼働用コンロが作れるようになるまで必死にスキル上げをしたんだ!
「……良いでしょう。では、来週からの温泉で使ってみますから、移動用コンロを6つ作って見なさいな」
「大型で宜しいですか?」
「ええ、まずは6つお願いしますわね」
「畏まりました!」
「ファビーはわたくしと一緒に9人、ファビーの箱庭で働いてくださる方を探してみましょう。温泉の中で移動用コンロが動かせて、尚且つ、おでんを作って売れる人を探しますわ」
「はい!」
「無論売り切れ御免でやりますから。短時間のバイトがしたい子とかいないかしら」
「ふふふ、元スラムの子で上の子たちなら多分やりたがります!」
「では、一緒にお願いしていきましょう?」
「はい!」
こうして、ボクはその日の内に素材関係を詰め込んだ自分のアイテムボックスを手に、安心安全な稼働式コンロを3つまでは作れた。
だがそこでMP切れを起こし、慌てて飲んだが……3つ作るとMP切れを起こすなんて、やはりコンロとは結構なMPを使うアイテムだったのだと理解した。
説明文にも、コンロ一つで1カ月掛かる者も多いと書いてあったし、ボクはMPが比較的多い方だったから何とかなったが……MPの少ない者からしたら大変な作業だろう。
それでも、リディア姉とファビーが9人、元スラム孤児から働き手を探した頃、4つ目の可動式コンロが作れたところで、流石に身体が筋肉痛のように痛くなり、続きは明日になってしまった。
ボクはまだまだリディア姉には遠く及ばない事を強く感じた瞬間だ。
でも――。
「まぁ、もう4つも作れましたの!?」
「リディア姉……」
「残りは明日一日掛けて作ってくださいませ。今日はシッカリと温泉で身体をほぐしておくと、MPが少しだけ増えますわよ」
「そう……何ですか?」
「ええ、わたくしも昔は何度もMP切れを起こして筋肉が悲鳴を上げて、その度に温泉に入っていたらMPが恐ろしく増えましたもの」
そんな裏技があったなんて!!
これからは温泉の近くで作ろうと決めた。
ボクはまだまだ何もかもが足りない見習いだし、ファビーのように成功もしてないけれど、いつかボクがいないと困ると言われるようになるまで、頑張ってスキルを上げて、MPを増やして、リディア姉に恩をお返しする為に一生かけて頑張っていくのだと決めた筋肉痛になったその日を境に、朝は池鏡で一日の安全祈願と自分の思いのたけを願い、日々スキル上げに勤しむ事になるのだけれど――。
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★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。
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