高塚くんと森くん

うりぼう

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番外編

もやもやする森くん

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「高塚、客ー」

休み時間。
変態に構われながら石野らと話していると、ドアの方から高塚にお呼びがかかった。
つられてそちらを見ると、明らかにこれから告白するんだなとわかる女の子の二人連れ。
付き添いなのだろうが、一人で来いよと言いたくなってしまった。

「ええー、せっかく森といるのにー」
「行ってやれば?すぐ済むだろどうせ」

ぶーぶー文句たれる高塚を石野がけしかけた。
すぐ済むというのはどうせ断るとわかっているから。

高塚がこうして呼び出されるのは珍しい事ではない。
オレに大っぴらに構うようになってから少し数は減ったものの、それでも二週間に一回は同じような光景を目にしている気がする。

「なに、気になる?」

じっとドアの方を見てしまっていたオレに、石野がニヤニヤと聞いてくる。

「べ、別に?」
「ふうん?あつーい視線送ってるくせにー」
「あつっ、そ、そんなん送ってねえよ!」

バカな事言ってんじゃねえと軽く拳をぶつける。
あいたー、なんて全然痛くないくせにふざけて痛がる石野。

ふとアイツらをまた目に入れる。
女の子が真っ赤な顔で、声なんて聞こえないのにどもっているんだろうなとわかる雰囲気。
恥ずかしそうに俯く様は正直かなり可愛い。
オレだったらくらっといっちゃうかもしれない。
もしかしたら高塚も、なんて思ってしまった時。

「心配すんなよ、絶対断るから」
「は、は!?」

ぽんぽんと頭を撫でられてしまった。
同い年なのにガキ扱いされたようでムカつくやら恥ずかしいやら。

というかそんなにやきもきしているように見えたのだろうか。
ありえない。

石野の言葉通り、高塚は断ったらしく。
女の子の一人が泣きそうな顔で首をふるふると横に振り、ぺこりとおじぎをして走り去って行った。

「な?」
「……」

してやったり顔の石野をむすっと見返す。

別に心配なんてしていない。
ただ、女の子と話す高塚を見たあの一瞬、ほんの少し、ホントの本当にほんのちょおおおっとだけ、

(……ムカついたんだよなあ)

お前ばっかり女にモテやがってとか、そういうのじゃなく。
うまく説明出来ないんだけど、胸の内側がもやもやするような、そんな感じ。

そんな事実を口に出して言えやしないんだけど。
なんなんだこれ。

「森ちゃんただいま」

両手を広げ駆け寄ってくる高塚をじっと見上げる。

万人が認めるように顔は良い。
それを上回る変態ささえなければ、というかオレに変な事を言ったり変な事を仕掛けたりしなければ良い奴なのに。

「?どしたの森ちゃん?」

見つめてくれるのは嬉しいけど照れちゃうなえへえへ、と顔を崩れさせる。

そういえば女の子に人気があるのは当然だけど、こいつは男にも人気ある。
やはりこの破天荒な性格のおかげだろうか。
いや、単に馬鹿だからか。
間違っても毛嫌いされるような奴ではない。
こいつの周りに人が集まっているのを思い返し、無意識に眉が寄る。

またもやもやする。

(……なんなんだ)

はっきりと出て来てくれない気持ちの名前。
答を知っているはずなのに導き出したくないとどこかで思っているのだろうか。

「お前があの女にオトされると思って心配したんだよなー?」
「え!?」

石野の余計なセリフに物凄く嬉しそうな顔をする高塚。
信じるなそんなもん。

「マジで!?マジで!?何それ超嬉しいんですけど!」
「ちっげーよバカ!」
「やあだもう森ちゃんってば!そんなにオレのこと好きなの?知ってたけど嬉しいなあ」
「だから違っ」
「捨てられた子犬みてえな目してな、じーっと見てんの」
「て、テメェ石野おおおおッ!!」
「その目が見たかったああああ!!!」
「うぜっ、つか、適当な事言ってんじゃねえよッ!」
「適当っつーのはあってるって事だぞ」
「う、うるせえ!」
「そっかあ、ごめんなあ。でも心配なんかしなくてもオレには森だけだって言ってんじゃーん」
「お前は黙ってろ!」

考えれば出せたはずの答は、この二人に言い返すので精一杯で。
早い話がそんな余裕はなく、うやむやのままにどこか遠くへと流れて行ってしまった。






end.


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