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番外編
森くん総受けの世界へいらっしゃい
しおりを挟む『佐木くんと一緒』
なんだか朝から皆の様子がおかしい。
「森、ちょっと良い?」
「おう佐木。何?」
「お前さあ、最近高塚とばっか遊んでんじゃん。たまにはオレとも遊べよー」
肩を組み間近でむすっと口を尖らせる佐木。
いやかわいくないし。
というか
「何言ってんだよ、お前が一番一緒にいるようにってけしかけてるくせに!」
「いや、まあ、うんそうだけど」
「つーか、こないだの休みの事だってオレ許してねえんだからな!」
*『恋人に服を贈るのはそれを脱がせるために他ならない』参照
「うん、だからごめんって」
「ごめんで済むかあああ!あいつに何されたと思ってんた!」
「何かされたのか!?」
「うわ!?」
ぐるんと視界が回り、がしりと両肩を掴まれ物凄い勢いで食いつかれた。
「何されたんだよ!?」
「え、え?」
「もしかして言えないような事されたんか!?」
「は?」
「まさか……!」
はっとするその表情に、明らかに変な誤解をしているのがわかり。
「バカ!何変な誤解してんだよ!そういうんじゃねえよ!」
「じゃあ何されたんだよ!」
「いや、だからそれは……」
「?」
「…………た」
「は?」
「だから!服屋回って、着せかえ人形みたいな真似させられたんだってば!」
早い話が高塚くんプロデュースの森くんファッションショーである。
それを聞いた佐木は一瞬ぽかんとした後肩の力を抜いた。
「なんだ、そんな事か」
「そんな事ってなんだよすげえ恥ずかしかったんだぞ!?あいつ試着室まで入って来ようとするし、つかもう絶対似合ってないのにベタ褒めするしその時の店員さんの目ったらもう……!あああオレもうあの店行き辛いもともとあんま行ってないけど行き辛い……!」
「いや、オレもお前のファッションショーならやりたい絶対可愛い」
「…………佐木」
「ん?……っ」
「どうした?頭打った?大丈夫?熱あるんじゃね?お前がオレの事可愛いとか……気持ち悪いよ?」
「失礼だな!つか、あんまくっつくな、やばいから」
「はあ?」
僅かに赤くなる頬に眉を寄せる。
(ますますキモイな。どうしたんだマジで)
熱を計ろうと佐木の額に当てた手を僅かに離しながらそんな事を考える森くんがいた。
『石野くんと一緒』
先日出された課題でどうしてもわからないところがあり、後ろのバカはどう考えてもあてにならない、というかどっちにしろ今いないので隣の石野に聞く。
「なあ石野、ここわかる?」
「んー?」
「これこれ。問3」
「ああ、これは」
丁寧に書いて説明してくれる石野。
「こうして、んでこうなるだろ?」
「うんうん」
「それでほら、後はこの公式使えば、」
「あ!おおーっ!なるほど!さすが石野ー!」
「だろ?」
「オレ今日あたりそうだったんだよね、助かった!」
「いやいや森のためならこのくらい」
「ははっ、サンキュ」
「いや本当に。いつでも教えてやるよ。何でも」
「…………ん?」
あれ、なんかおかしくないかいつもと違くないか。
「学校の勉強だけじゃなんだし、他の事も教えようか?」
「は?え?」
いつになく優しい仕草でもってそっと頭を撫で髪を梳く石野にぞわわわわと鳥肌が立つ。
「い、い、いいいいい石野くん?」
「ふはっ、震えちゃって。可愛い奴」
「!!!」
石野がおかしい……!!!
「どどどどうしたんだよ!?お前も具合悪いのか?」
「お前、も?」
「え?あ、いや、なんか佐木もおかしくて、うっわ!?」
髪を梳いた手がそのまま下がり、反対の手も加わり両頬をすっぽりと包まれた。
驚いて椅子を引いたら窓際の壁にぶつかってしまった。
「他の男と一緒にすんなよ」
「……っ」
「お前はオレだけ考えてれば良いの。わかった?」
「なっ、なに?」
いつもの変態が相手ならきっと触られた瞬間に殴り飛ばすんだろうけど、普段こんな事しない奴がやるととっさには身動きが取れない。
というかびっくりしすぎて何が起こっているのかわからなかった。
ここが真っ昼間の教室内だということにも気を配れなかった。
ていうかこの人誰ですか!?
「あ―――――ッ!!!」
「!」
「……ちっ、戻ってきたか」
首を傾げまくっていると高塚が戻ってきた。
怖い。
石野の雰囲気が物凄く怖い。
「何やってんだよ石野!何その羨ましい体勢!?つか森にそういう事して良いのオレだけだから!」
べりっとオレから石野を引き剥がす高塚。
「森ちゃん大丈夫?変な事されてない!?」
「っ、高塚……」
なんだか高塚だけがいつもの通りな気がして気分が緩む。
泣きそうになってほっと息を吐き出すと。
「っ、っ、も、森ちゃんその表情はヤバイって!なんなのもうここでちゅーされたいの!?」
「んなわけあるかあああああ!!!」
「ぐは……!」
やはりいくらいつも通りだろうと変態は変態。
受け入れられるはずがなかった。
後ろで石野と佐木が高塚に対して中指を立てたり親指を下に向けていたらしいのだが、オレは全く気付かなかった。
終わり
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