高塚くんと森くん

うりぼう

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番外編

羽島先輩と雨宮先輩のクリスマス

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*雨宮先輩と羽島先輩のクリスマス




とある日の放課後。

「おい、クリスマスの予定空けとけよ?」

偉そうな口調で命令するように言う雨宮に顔を顰める。

「は?なんで?」
「デートするからに決まってんだろ」
「は?!で、デート?!」
「そうだよ、行かねえとは言わせねえからな」
「なっ、い、行かねえよ!」
「うるせえ、行くったら行くんだよ!」
「は、はああああ?!」

あの告白の日からあからさまにオレを口説くようになった雨宮。
事あるごとにオレに構ってきてはいたものの、まさかクリスマスまで一緒に過ごそうとしていたとは思わなかった。
雨宮のことだからもっと他に過ごしたいと望んでいる人間がいるのではないだろうか。

「絶対行かねえ!」
「お前に拒否権はねえんだよ!」
「何だよそれ!?」

拒否権くらいある!
というよりもオレ自身のことなんだから拒否権も何もない。

「駅前に十時集合だからな」
「は!?だから行かねえって……!」

なんて言っていたのに。

(……オレは何で来てしまってるんだろう)

クリスマス当日。
この寒空の中、オレが行かなければ雨宮は待ちぼうけするのかと思ったら自然と足が向かっていた。
断じて一緒に出かけたかった訳ではない。
雨宮が来たらすぐに断って帰る。
帰るんだオレは、と意気込んでいたのに。

「よう」
「雨宮、オレ……」
「よし、行くぞ」
「は?どこにだよ」
「映画だ」
「……映画?」
「ああ、もうチケットも買ってある。何か食べるか?」
「え?あ、じゃあホットドッグ……」

やってきた雨宮に、断る暇もなく会話を進められてしまった。
ホットドッグとか素直に答えてる場合じゃないだろオレ!

「わかった。ちょっと待ってろ」
「え?あ、お金……」

ってだからお金払おうとしてる場合じゃない!
帰れ!
帰るんだオレ!

……と、自分を鼓舞するものの。

「ばーか、貰うわけねえだろ」
「!」

ぽふりと頭を撫でてレジへと並ぶ雨宮に何も言い出せなくなってしまった。

(な、なんなんだあいつ……なんかいつもと違う……!)

いつもはオレをからかったり馬鹿にしたり、そんなんばっかりなのに妙に優しい。

(大体、奢りとか今までなかったし、てか頭撫でたりとか……)

さっきの行動を思い出して赤くなる頬。

(いやいや、何照れてんだオレ!違うだろ!)

あいつはムカつく奴、ムカつく奴、と頭の中で唱えていると。

「ん?」

視界の向こうで、雨宮が誰かと話している。

(誰だ?)

知り合いではないようだが、馴れ馴れしく雨宮の腕に触れて微笑む女の姿に。

(……っ)

むかむかと、覚えのある感情が湧き上がってきた。
これは、森が高塚と一緒にいる時に感じたのと似ている。
いや、その時よりも大きい。

「お待たせ」

感じると同時にちょうど戻ってきた雨宮と劇場に入り、席に座ったところで口を開く。

「さっきの、誰だよ」
「え?ああ、見てたのか?知らない人だ。なんか、映画終わったら遊びませんか、とか」
「ナンパじゃねえか」
「ん?ああ、まあそうだなあ」
「……綺麗な人だったじゃん。そっちと遊んでくれば?」
「は?何いってんだよ」
「オレなんかと映画見るより、綺麗なお姉さんと遊んだ方が楽しいだ、ろ……!?」

言いかけたところで唇を塞がれた。
雨宮の唇で。

「っ、な、ななな……?!」
「バカな事言うなよ。オレはお前といたいんだよ」
「ばっ、バカはお前だ!こんなとこで何すんだよ?!」

信じられない。
こんな公衆の面前で何てことしてくれるのだ。

不運にも見てしまった人達からの視線が突き刺さってきていたたまれないというのにこいつは何でこんなに堂々としてるんだ。

「お前がかわいいヤキモチ妬くからだろ。ったく、ほんとたまんねえな」
「い、い、意味がわからない!」
「おい、今晩泊まるって親に連絡しとけよ?」
「は、はあ?!」
「ダメだ、我慢出来ねえ。お前だってまんさらでもねえんだろ?そろそろ寄越せ」
「よ、寄越せって……」
「ああ?鈍いな相変わらず」
「鈍くねえよ!」
「お前がオレに寄越せるもんって言ったら一個しかねえだろ」

え、何。
オレが寄越せるものって何だ。
全く見当がつかない。

雨宮は悩むオレの耳元に唇を寄せ。

「お前だよ、羽島」
「……っ、っ」

低くセクシーな声で、そう囁いた。

「なっ、なっ……!」
「……なんだその顔、たまんねえな……おい、映画やめてオレんち来るか?」
「っ、い、い、行かねえよバカああああ!」

叫んだ途端に周りからかなりの冷たい視線と、うるさいという怒鳴り声が降りかかってきた。
一瞬でもこいつをセクシーとか思った自分を殴りたい。
セクシーじゃないだろ鳥肌立つべきところだあそこは!

その後、雨宮の追いかけてくる声を背に逃げ続け、映画を見る事なく退散したのは言うまでもない。







終わり


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