高塚くんと森くん

うりぼう

文字の大きさ
62 / 71
番外編

クリスマス

しおりを挟む



「森ちゃーん!見て見てー!」

キャーッ、なんて女の子みたいな黄色い声を上げながら両手を広げ駆け寄ってくる変態、もとい高塚。

「うっわ」

いつも嫌なのだがこの日ばかりはいつも以上に引いてしまった。
何故ならば。

「わあっ、高塚くんサンタ!」
「可愛いー!」
「どうしたの?それ」
「へへっ、演劇部に借りてきちゃった!」
「似合うー!」

そう、このバカは何を思ったか真っ赤な生地で袖と裾、襟に白いファーのついた上着にお揃いのパンツと帽子といった出で立ちでもって現れやがったのだ。

「似合う?」
「……」

サンタといえば真っ白で立派な髭が欲しいところだが、確かに似合う。
女子が騒ぐのもわかる。

が、しかし。

「似合うっしょ?カッコイイ?」
「うざい」

にっこにっことこちらに詰め寄ってくるのは止めて欲しい。

「森ちゃんったら照れ屋さん!」
「今のどの辺でどうそう思えんだよ!?」
「ふっへっへっ」
「……………何、気持ち悪いんだけど」

ご満悦な笑顔とは一転、にやー、と何かを企んでいる顔をする高塚。

嫌な予感がする。
とてつもなく。

そしてその予感は的中する。

「じゃじゃーんっ」
「……うわ」

思いきり顔をしかめてしまった。
だって言葉と同時に取り出したものといったら、

「森ちゃんのために借りてきたんだよコレ!」
「…………ミニスカサンタを?お前バカにしてんの?」
「可愛いでしょ?絶対絶対似合うと思うんだよね!」
「絶対バカにしてんだろおおお!!なんで似合うと思うんだよミニスカサンタが!?」
「だって森ちゃんだよ!?ミニスカだよ!?似合うに決まってんじゃん!!!ミニスカだよ!?」
「繰り返してんじゃねえよはあはあすんな死ね変態いいい!!!」

鼻息荒く更に詰め寄ってくるその鼻っ柱を掌で押し返し、すねを蹴り上げる。

「やっぱミニスカは駄目か」
「!」

痛みに悶える高塚をざまあみろと思い、聞こえた声に顔を上げる。
そこにはいつものように呆れたような顔をしつつも笑っている石野がいた。

いた、のだが。

「…………い、いし」

その出で立ちに思わず指をさす。
石野は我関せずといった感じで更に代替え案を聞いてきた。

「ん?トナカイとかにする?」
「てゆか、石野」
「ああ、オレは神様だから」
「……」

純白の法衣に茨の額飾りを付けた石野に今度こそ絶句。
まさか石野までこんなことに参加するとは思わなかった。

ミニスカサンタよりはトナカイの方がマシかな、と本気で悩んでしまった自分が恨めしい。





end
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

【完結】幼馴染に告白されたけれど、実は俺の方がずっと前から好きだったんです 〜初恋のあわい~

上杉
BL
ずっとお前のことが好きだったんだ。 ある日、突然告白された西脇新汰(にしわきあらた)は驚いた。何故ならその相手は幼馴染の清宮理久(きよみやりく)だったから。思わずパニックになり新汰が返答できずにいると、理久はこう続ける。 「驚いていると思う。だけど少しずつ意識してほしい」 そう言って普段から次々とアプローチを繰り返してくるようになったが、実は新汰の方が昔から理久のことが好きで、それは今も続いている初恋だった。 完全に返答のタイミングを失ってしまった新汰が、気持ちを伝え完全な両想いになる日はやって来るのか? 初めから好き同士の高校生が送る青春小説です!お楽しみ下さい。

【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる

ちょんす
BL
自分の居場所がほしくて始めたゲーム実況。けれど、現実は甘くない。再生数は伸びず、コメントもほとんどつかない。いつしか実況は、夢を叶える手段ではなく、自分の無価値さを突きつける“鏡”のようになっていた。 そんなある日、届いた一通のDM。送信者の名前は、俺が心から尊敬している大人気実況者「桐山キリト」。まさかと思いながらも、なりすましだと決めつけて無視しようとした。……でも、その相手は、本物だった。 「一緒にコラボ配信、しない?」 顔も知らない。会ったこともない。でも、画面の向こうから届いた言葉が、少しずつ、俺の心を変えていく。 これは、ネクラ実況者と人気配信者の、すれ違いとまっすぐな好意が交差する、ネット発ラブストーリー。 ※プロットや構成をAIに相談しながら制作しています。執筆・仕上げはすべて自分で行っています。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

【完結済】俺のモノだと言わない彼氏

竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?! ■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

【完結】君の穿ったインソムニア

古都まとい
BL
建設会社の事務として働く佐野純平(さの じゅんぺい)は、上司のパワハラによって眠れない日々を過ごしていた。後輩の勧めで病院を受診した純平は不眠症の診断を受け、処方された薬を受け取りに薬局を訪れる。 純平が訪れた薬局には担当薬剤師制度があり、純平の担当薬剤師となったのは水瀬隼人(みなせ はやと)という茶髪の明るい青年だった。 「佐野さんの全部、俺が支えてあげますよ?」 陽キャ薬剤師×不眠症会社員の社会人BL。

【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】

彩華
BL
俺の名前は綾瀬葵。 高校デビューをすることもなく入学したと思えば、あっという間に高校最後の年になった。周囲にはカップル成立していく中、俺は変わらず彼女はいない。いわく、DTのまま。それにも理由がある。俺は、幼馴染の春樹が好きだから。だが同性相手に「好きだ」なんて言えるはずもなく、かといって気持ちを諦めることも出来ずにダラダラと片思いを続けること早数年なわけで……。 (これが最後のチャンスかもしれない) 流石に高校最後の年。進路によっては、もう春樹と一緒にいられる時間が少ないと思うと焦りが出る。だが、かといって長年幼馴染という一番近い距離でいた関係を壊したいかと問われれば、それは……と踏み込めない俺もいるわけで。 (できれば、春樹に彼女が出来ませんように) そんなことを、ずっと思ってしまう俺だが……────。 ********* 久しぶりに始めてみました お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

処理中です...