4 / 8
4
しおりを挟む
「いや~映画面白かった!!」
「そうだね、よかったね」
カフェに入って、感想を言い合った。
謎めいた事件に意外な犯人。見事な伏線回収に拍手したくなる。
僕はひたすらテンションが上がっていた。
「俳優さん、超かっこよかった…!」
「………」
「すごいなぁほんとにすごいなぁ」
「………いつまで褒める?」
「?」
あれ、なんか顔が怖い。さっきまで楽しそうだったのに。
「……ごめんね。俺は今、その俳優さんに嫉妬してるんだ。光希から、あんなに褒められて……胸がざわついて、落ち着かない」
……え?嫉妬?この人が?
完璧超人みたいな隼人くんが、そんな子どもみたいなこと言うなんて。
かっこいい上に、そういう可愛いところあるんだ。
……反則じゃないか。
「あはは。そんなことだったんだ。大丈夫だよ!隼人くんが一番かっこよくてかわいい!」
そう言ったら、彼は恥ずかしそうに目を逸らした。
その横顔に、変な胸のドキドキが走った。
――そこへ。
「あっれぇ、ハヤトじゃん。」
振り返ると、派手めな女の人。
ギャルだ。僕は条件反射で姿勢を小さくした。
「……なに?」
「ちょ、つれなーい。あんなにイチャイチャしたじゃん!誰この人?」
「……恋人だけど?」
「え、ハヤト男もいけたの?やば笑」
えっ、えっ。なに今の。僕の心臓が跳ねた。
間違いない、昔の関係者だ。隼人くん、
いいなぁ。僕なんて一年付き合ってるのに、まだキスすらないのに。この女の人は抱かれたのだろうか。
……ずるい。
「いいだろう…帰ってくれ」
「わかったわ、ったく大学生になってキャラ変しやがって。
また連絡するから遊ぼうね、あんたが一番上手かったし」
去っていく女の背中を見送って、僕は頭が真っ白になっていた。
“上手かった”って……どういう意味?いや、意味は分かるけど――想像したくない。
彼の手が、彼の声が、彼の体温が……その人にも向けられていたのかと思うと、やっぱり嫉妬してしまう。ダメだな、僕は。
「……はぁ、光希、違うんだ、あの人は…」
「ああ、知ってるよ?」
「…え?」
「隼人くんが昔、とんでもなくヤンチャだったこと!」
僕はなるべく明るく言った。冗談っぽく言えば、深刻にならずに済むと思ったから。
「……なんで?」
「えへへ、優希に聞いたんだ!」
言った瞬間、隼人くんの眉間に深い皺が寄った。
「……あの野郎…言わなくていいことを…」
「?」
明らかに機嫌が悪くなってる。
チャンスだ。僕はなんとなく口をついて出た。
「……隼人くんの初めては…僕じゃないってことくらいわかってるよ…でも…今は…僕のものだよね…?」
ちょっと言いすぎたかも。けど、言ったあとスッキリした。
普通なら引かれるんだろうなー、と軽く思っていた。
けれど――
「違う!!あの時はまだ光希に出会ってなくて……若気の至りなんだ!!
こんなに暖かい気持ちになれたのも、こんなに人を愛せたのも、全部光希が初めてだ!!
俺は光希のものだからな???」
必死すぎる。
まるで浮気疑惑で問い詰められてるみたいな必死さ。
「別れるって…別れるなんて言わないで、思わないで…、俺には…俺には光希しかいないんだ…」
……いや、待って。僕より重いこと言ってない?
「わ、わかったよ…そんなに気にしてないから大丈夫!」
「よかった…光希に嫌われたら生きていけない…」
そんな大げさな。大丈夫だって。
僕なんかいなくても、隼人くんならいくらでも彼女できるだろうし。
「……あのさ、どうせなら言うけど」
「うん?」
「石川くんの連絡先消して」
「………え?」
「消せないの?」
「あ、当たり前じゃん!友達なんだから。必修レポートとか全部助けてもらってて……あいつのおかげでなんとか生きてるんだよ」
「……何それ。彼氏差し置いて?今度から全部俺に相談して」
「学部違うじゃん!」
「……わかった。強制はしない。でも、俺の気持ちもわかってね。石川くんばっかり優先しないで」
「わ、わかった」
あれ?やっぱり僕より隼人くんの方が重くない?
大学でキャラ変したって言ってたけど……これがそうなの?
「……ほんとごめんね、俺重くて…」
「いやいいよ!」
「光希優しいね…ほんと天使だ…ずっと一緒にいたい」
彼の声が妙に熱を帯びていて、僕はくすぐったくなって目を逸らした。
気づけば外はすっかり暗くなっていた。
「送っていくよ」
……また、何もしてこないんだな。
「まだ…家行っちゃダメ…?」
「み、光希…?」
「……なんで手を出してくれないの…?」
彼の顔が赤くなるのを見て、胸が高鳴った。
言っちゃった。引かれるかな。でも、もう引き返せない。
「そ、それは……君が大切だからで」
「……わかった」
なんだよそれ。
「そうだね、よかったね」
カフェに入って、感想を言い合った。
謎めいた事件に意外な犯人。見事な伏線回収に拍手したくなる。
僕はひたすらテンションが上がっていた。
「俳優さん、超かっこよかった…!」
「………」
「すごいなぁほんとにすごいなぁ」
「………いつまで褒める?」
「?」
あれ、なんか顔が怖い。さっきまで楽しそうだったのに。
「……ごめんね。俺は今、その俳優さんに嫉妬してるんだ。光希から、あんなに褒められて……胸がざわついて、落ち着かない」
……え?嫉妬?この人が?
完璧超人みたいな隼人くんが、そんな子どもみたいなこと言うなんて。
かっこいい上に、そういう可愛いところあるんだ。
……反則じゃないか。
「あはは。そんなことだったんだ。大丈夫だよ!隼人くんが一番かっこよくてかわいい!」
そう言ったら、彼は恥ずかしそうに目を逸らした。
その横顔に、変な胸のドキドキが走った。
――そこへ。
「あっれぇ、ハヤトじゃん。」
振り返ると、派手めな女の人。
ギャルだ。僕は条件反射で姿勢を小さくした。
「……なに?」
「ちょ、つれなーい。あんなにイチャイチャしたじゃん!誰この人?」
「……恋人だけど?」
「え、ハヤト男もいけたの?やば笑」
えっ、えっ。なに今の。僕の心臓が跳ねた。
間違いない、昔の関係者だ。隼人くん、
いいなぁ。僕なんて一年付き合ってるのに、まだキスすらないのに。この女の人は抱かれたのだろうか。
……ずるい。
「いいだろう…帰ってくれ」
「わかったわ、ったく大学生になってキャラ変しやがって。
また連絡するから遊ぼうね、あんたが一番上手かったし」
去っていく女の背中を見送って、僕は頭が真っ白になっていた。
“上手かった”って……どういう意味?いや、意味は分かるけど――想像したくない。
彼の手が、彼の声が、彼の体温が……その人にも向けられていたのかと思うと、やっぱり嫉妬してしまう。ダメだな、僕は。
「……はぁ、光希、違うんだ、あの人は…」
「ああ、知ってるよ?」
「…え?」
「隼人くんが昔、とんでもなくヤンチャだったこと!」
僕はなるべく明るく言った。冗談っぽく言えば、深刻にならずに済むと思ったから。
「……なんで?」
「えへへ、優希に聞いたんだ!」
言った瞬間、隼人くんの眉間に深い皺が寄った。
「……あの野郎…言わなくていいことを…」
「?」
明らかに機嫌が悪くなってる。
チャンスだ。僕はなんとなく口をついて出た。
「……隼人くんの初めては…僕じゃないってことくらいわかってるよ…でも…今は…僕のものだよね…?」
ちょっと言いすぎたかも。けど、言ったあとスッキリした。
普通なら引かれるんだろうなー、と軽く思っていた。
けれど――
「違う!!あの時はまだ光希に出会ってなくて……若気の至りなんだ!!
こんなに暖かい気持ちになれたのも、こんなに人を愛せたのも、全部光希が初めてだ!!
俺は光希のものだからな???」
必死すぎる。
まるで浮気疑惑で問い詰められてるみたいな必死さ。
「別れるって…別れるなんて言わないで、思わないで…、俺には…俺には光希しかいないんだ…」
……いや、待って。僕より重いこと言ってない?
「わ、わかったよ…そんなに気にしてないから大丈夫!」
「よかった…光希に嫌われたら生きていけない…」
そんな大げさな。大丈夫だって。
僕なんかいなくても、隼人くんならいくらでも彼女できるだろうし。
「……あのさ、どうせなら言うけど」
「うん?」
「石川くんの連絡先消して」
「………え?」
「消せないの?」
「あ、当たり前じゃん!友達なんだから。必修レポートとか全部助けてもらってて……あいつのおかげでなんとか生きてるんだよ」
「……何それ。彼氏差し置いて?今度から全部俺に相談して」
「学部違うじゃん!」
「……わかった。強制はしない。でも、俺の気持ちもわかってね。石川くんばっかり優先しないで」
「わ、わかった」
あれ?やっぱり僕より隼人くんの方が重くない?
大学でキャラ変したって言ってたけど……これがそうなの?
「……ほんとごめんね、俺重くて…」
「いやいいよ!」
「光希優しいね…ほんと天使だ…ずっと一緒にいたい」
彼の声が妙に熱を帯びていて、僕はくすぐったくなって目を逸らした。
気づけば外はすっかり暗くなっていた。
「送っていくよ」
……また、何もしてこないんだな。
「まだ…家行っちゃダメ…?」
「み、光希…?」
「……なんで手を出してくれないの…?」
彼の顔が赤くなるのを見て、胸が高鳴った。
言っちゃった。引かれるかな。でも、もう引き返せない。
「そ、それは……君が大切だからで」
「……わかった」
なんだよそれ。
377
あなたにおすすめの小説
お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
大好きな婚約者を僕から自由にしてあげようと思った
こたま
BL
オメガの岡山智晴(ちはる)には婚約者がいる。祖父が友人同士であるアルファの香川大輝(だいき)だ。格好良くて優しい大輝には祖父同士が勝手に決めた相手より、自らで選んだ人と幸せになって欲しい。自分との婚約から解放して自由にしてあげようと思ったのだが…。ハッピーエンドオメガバースBLです。
告白ゲームの攻略対象にされたので面倒くさい奴になって嫌われることにした
雨宮里玖
BL
《あらすじ》
昼休みに乃木は、イケメン三人の話に聞き耳を立てていた。そこで「それぞれが最初にぶつかった奴を口説いて告白する。それで一番早く告白オッケーもらえた奴が勝ち」という告白ゲームをする話を聞いた。
その直後、乃木は三人のうちで一番のモテ男・早坂とぶつかってしまった。
その日の放課後から早坂は乃木にぐいぐい近づいてきて——。
早坂(18)モッテモテのイケメン帰国子女。勉強運動なんでもできる。物静か。
乃木(18)普通の高校三年生。
波田野(17)早坂の友人。
蓑島(17)早坂の友人。
石井(18)乃木の友人。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる