10 / 51
閑話、狂気(オブライド殿下視点)
しおりを挟む
刺激がない。
それがずっと続いていた。
僕が望めば、なんでも叶う。
欲しいものもやりたいことも、食べたいものも、一言いえば、その通りのものがでてくるのだ。
幼い頃はそれは嬉しかった。
でも成長するに従って、それは物足りなくなっていった。
誰もが僕に服従する。誰しもが僕の顔色を伺ってくる。
世の中がつまらないものに見えた。
当時、祖父は国王。父が王太子。
この国で一番偉い二人。
だから、僕が気に入らないことがあれば、二人に相談した。
祖父が国王であった時はあまり協力的ではなかったが、2年前に祖父が倒れ、父が国王に即位してからは、僕の要望を聞き入れてくれるようになった。
母上は、僕を可愛がってくれる。
だが、一番好きなことはドレスや化粧品を買い漁り、お茶会をして自慢をすること。自分の優越感を刺激することが好きだった。
一つ下の弟は・・・興味はない。はっきり言って口をだしてくるので、嫌いだ。
母上も嫌っている。できが悪いらしいから。僕より劣るから。その証拠に父からも構われることはない。
父上の側妃に子育てを任せている。そのせいか、重臣たちは側妃の機嫌をとるかのように弟を構う。それがまた、気に食わない。
側妃は、公務をするためだけの存在。父もそう思っている。
母上とは仲が悪く、ギスギスすることもあるが、彼女は一切関わってはこない。
あの女の母上や僕を見る目が気に食わないから、目に入ってこないならいい。
婚約者であるイザベラも、同じような目をしていた。まあ、イザベラの場合は目つきが悪いので、可愛くないといった方が正しい。
婚約者なのだから、少しくらいの触れ合いはかまわないだろうに、指一本触らせてもくれない。
事あるごとに、『自覚をお持ちください』やら『お立場をお考えください』などと言ってくるのが、うざい。
わかっている。
僕は将来の国王だ。
皆がひざまづくのを玉座からいずれ眺めるのだ。
僕の一声で国が動く。想像しただけで心地よい。
それがなんだと言うのだ。
だが、今は父の世。
面白くなかった。
やりたいことはほぼやり終えたから、刺激がなかった。
虫から始まり鳥や猫、犬を殺したこともある。人間を拷問したことも。
あっけない命につまらなく思った。
皆、僕を遠巻きにする。
頭を最大限に地につける。
つまらない。
すぐに壊れる玩具に等しかった。
だが、学園に入って面白い物を見つけた。
はじめは目に入れる価値のない物だと思っていたが、それはキラキラと輝いているように見えた。
貴族に対してへつらうこともない。
だから、馬鹿にする様に近づいた。
それは、僕には対しては嫌そうな顔をした。本人は気づいていないかもしれないが、すぐに表情に出ているのでわかった。
面白かった。
それから、それを観察する。
毎日楽しそうに動き回っている。
貴族の中を上手く立ち回っている。
僕が構えば構うほど、立場が悪くなっている。
それを見るたび、ゾクゾクした。
僕に助けを求めて来ればいいのに・・・。
楽しかった。
自分の手元に置いておきたくなった。
なんだろう・・・。
この気持ちは・・・。
彼女がイザベラに連れて行かれたと聞いて、腹が立った。
僕の物を勝手に手を出して欲しくない、と。
「大丈夫か、セシリア。何もされていないか?」
彼女はびくっと肩を震わした。その目は恐怖が浮かんでいた。それでも強気に言ってくる。
「オブライド王子殿下。申し訳ありませんが、これ以上関わらないでいただけますか?」
その言い方に、ゾクゾクした。
イザベラのやつ、何を吹き込んだ?今までなら、戸惑って逃げて行くくらいで終わっていたのに。
王族の僕に向かって関わらないでとは・・・、面白い。面白い。面白い・・・。
欲しい・・・。
「イザベラにそう言えと言われたのか?」
「はあ?」
間抜けな声がまた可愛いらしい。
「あいつ。セシリアに嫉妬しているのか?いや、こうなれば・・・、僕は君を護る!!」
君は僕のそばでいればいい。僕だけを見ていればいいのに。
「あの?言っている意味がわかりませんが?」
「イザベラが君を虐めているんだろ?」
「虐められていません!」
「?。では、どうして?」
彼女だけは、僕の言う事を聴かない。虐められた言えば、僕が報復してあげるのに。
「王子殿下が、平民たる私をお構いになるからです。私も身分と言うものを重々理解しておりますので、声をかけないでいただけますでしょうか」
「なぜ?僕は君が気に入っているんだ」
「それが困るんです」
困る?
初めて言われたよ。
くくくっ・・・。
僕に取り入ろうとするものは多いのに・・・、困るとは・・・。こんな人間初めてだ。
「私は皆様のように教養の一環としてこの学園に入っていません。将来のためにここにいます。この学園を卒業後、私は私を育ててくれた孤児院のために働きたいのです。恩返しをしたいんです。
ですので、あなた様に関わる暇はありません。放っておいてください!」
やっぱり、君はいい。最高だ。
「やはり、君は凄い。僕はますます君が気にいったよ。孤児院のためか・・・。なら、僕の側妃になればいい。そうすれば苦労せずに孤児院に恩返しができるよ」
口が勝手に動いていた。
そうだ。僕の側妃にしよう。
そうすれば、ずっと楽しめる。嫌がる姿を見るのはいい。そして、僕なして生きれなくなればいいのに・・・。
「嫌です」
「王子たる、僕の意見にはむかうなんて、おもしろいよ、君は・・・」
あぁ、本当に楽しい。
「ますます、君が欲しいな・・・」
ジリジリと近づいてみれば、彼女は走って逃げて行った。
その後ろ姿をながめた。
どうすれば、君が手に入るんだろう・・・。
絶対に君を手にいれる。
なんとしても・・・。
それがずっと続いていた。
僕が望めば、なんでも叶う。
欲しいものもやりたいことも、食べたいものも、一言いえば、その通りのものがでてくるのだ。
幼い頃はそれは嬉しかった。
でも成長するに従って、それは物足りなくなっていった。
誰もが僕に服従する。誰しもが僕の顔色を伺ってくる。
世の中がつまらないものに見えた。
当時、祖父は国王。父が王太子。
この国で一番偉い二人。
だから、僕が気に入らないことがあれば、二人に相談した。
祖父が国王であった時はあまり協力的ではなかったが、2年前に祖父が倒れ、父が国王に即位してからは、僕の要望を聞き入れてくれるようになった。
母上は、僕を可愛がってくれる。
だが、一番好きなことはドレスや化粧品を買い漁り、お茶会をして自慢をすること。自分の優越感を刺激することが好きだった。
一つ下の弟は・・・興味はない。はっきり言って口をだしてくるので、嫌いだ。
母上も嫌っている。できが悪いらしいから。僕より劣るから。その証拠に父からも構われることはない。
父上の側妃に子育てを任せている。そのせいか、重臣たちは側妃の機嫌をとるかのように弟を構う。それがまた、気に食わない。
側妃は、公務をするためだけの存在。父もそう思っている。
母上とは仲が悪く、ギスギスすることもあるが、彼女は一切関わってはこない。
あの女の母上や僕を見る目が気に食わないから、目に入ってこないならいい。
婚約者であるイザベラも、同じような目をしていた。まあ、イザベラの場合は目つきが悪いので、可愛くないといった方が正しい。
婚約者なのだから、少しくらいの触れ合いはかまわないだろうに、指一本触らせてもくれない。
事あるごとに、『自覚をお持ちください』やら『お立場をお考えください』などと言ってくるのが、うざい。
わかっている。
僕は将来の国王だ。
皆がひざまづくのを玉座からいずれ眺めるのだ。
僕の一声で国が動く。想像しただけで心地よい。
それがなんだと言うのだ。
だが、今は父の世。
面白くなかった。
やりたいことはほぼやり終えたから、刺激がなかった。
虫から始まり鳥や猫、犬を殺したこともある。人間を拷問したことも。
あっけない命につまらなく思った。
皆、僕を遠巻きにする。
頭を最大限に地につける。
つまらない。
すぐに壊れる玩具に等しかった。
だが、学園に入って面白い物を見つけた。
はじめは目に入れる価値のない物だと思っていたが、それはキラキラと輝いているように見えた。
貴族に対してへつらうこともない。
だから、馬鹿にする様に近づいた。
それは、僕には対しては嫌そうな顔をした。本人は気づいていないかもしれないが、すぐに表情に出ているのでわかった。
面白かった。
それから、それを観察する。
毎日楽しそうに動き回っている。
貴族の中を上手く立ち回っている。
僕が構えば構うほど、立場が悪くなっている。
それを見るたび、ゾクゾクした。
僕に助けを求めて来ればいいのに・・・。
楽しかった。
自分の手元に置いておきたくなった。
なんだろう・・・。
この気持ちは・・・。
彼女がイザベラに連れて行かれたと聞いて、腹が立った。
僕の物を勝手に手を出して欲しくない、と。
「大丈夫か、セシリア。何もされていないか?」
彼女はびくっと肩を震わした。その目は恐怖が浮かんでいた。それでも強気に言ってくる。
「オブライド王子殿下。申し訳ありませんが、これ以上関わらないでいただけますか?」
その言い方に、ゾクゾクした。
イザベラのやつ、何を吹き込んだ?今までなら、戸惑って逃げて行くくらいで終わっていたのに。
王族の僕に向かって関わらないでとは・・・、面白い。面白い。面白い・・・。
欲しい・・・。
「イザベラにそう言えと言われたのか?」
「はあ?」
間抜けな声がまた可愛いらしい。
「あいつ。セシリアに嫉妬しているのか?いや、こうなれば・・・、僕は君を護る!!」
君は僕のそばでいればいい。僕だけを見ていればいいのに。
「あの?言っている意味がわかりませんが?」
「イザベラが君を虐めているんだろ?」
「虐められていません!」
「?。では、どうして?」
彼女だけは、僕の言う事を聴かない。虐められた言えば、僕が報復してあげるのに。
「王子殿下が、平民たる私をお構いになるからです。私も身分と言うものを重々理解しておりますので、声をかけないでいただけますでしょうか」
「なぜ?僕は君が気に入っているんだ」
「それが困るんです」
困る?
初めて言われたよ。
くくくっ・・・。
僕に取り入ろうとするものは多いのに・・・、困るとは・・・。こんな人間初めてだ。
「私は皆様のように教養の一環としてこの学園に入っていません。将来のためにここにいます。この学園を卒業後、私は私を育ててくれた孤児院のために働きたいのです。恩返しをしたいんです。
ですので、あなた様に関わる暇はありません。放っておいてください!」
やっぱり、君はいい。最高だ。
「やはり、君は凄い。僕はますます君が気にいったよ。孤児院のためか・・・。なら、僕の側妃になればいい。そうすれば苦労せずに孤児院に恩返しができるよ」
口が勝手に動いていた。
そうだ。僕の側妃にしよう。
そうすれば、ずっと楽しめる。嫌がる姿を見るのはいい。そして、僕なして生きれなくなればいいのに・・・。
「嫌です」
「王子たる、僕の意見にはむかうなんて、おもしろいよ、君は・・・」
あぁ、本当に楽しい。
「ますます、君が欲しいな・・・」
ジリジリと近づいてみれば、彼女は走って逃げて行った。
その後ろ姿をながめた。
どうすれば、君が手に入るんだろう・・・。
絶対に君を手にいれる。
なんとしても・・・。
78
あなたにおすすめの小説
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください
LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。
伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。
真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。
(他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…)
(1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない
百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。
幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。
※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。
もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない
もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。
……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。
ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。
光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。
昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。
逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。
でも、私は不幸じゃなかった。
私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。
彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。
私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー
例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。
「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」
「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」
夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。
カインも結局、私を裏切るのね。
エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。
それなら、もういいわ。全部、要らない。
絶対に許さないわ。
私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー!
覚悟していてね?
私は、絶対に貴方達を許さないから。
「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。
私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。
ざまぁみろ」
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
【完結】地味な私と公爵様
ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。
端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。
そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。
...正直私も信じていません。
ラエル様が、私を溺愛しているなんて。
きっと、きっと、夢に違いありません。
お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)
傷物令嬢は騎士に夢をみるのを諦めました
みん
恋愛
伯爵家の長女シルフィーは、5歳の時に魔力暴走を起こし、その時の記憶を失ってしまっていた。そして、そのせいで魔力も殆ど無くなってしまい、その時についてしまった傷痕が体に残ってしまった。その為、領地に済む祖父母と叔母と一緒に療養を兼ねてそのまま領地で過ごす事にしたのだが…。
ゆるっと設定なので、温かい気持ちで読んでもらえると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる