【完結】あなたに抱きしめられたくてー。

彩華(あやはな)

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33.

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 わたしの生活は変わった。

 まず、言葉遣いを直すことにした。
 『お父様』と『お祖父様』に。
 
 お二人は泣いた。

 うん、泣いた。

 言葉を直すにあたり、ロイと婚約することを伝えたからである。
 お祖父様はロイとの婚約を喜びつつ、「会えたばかりと言うのに、早々に手放したくない。成長するはいいが寂しい」と泣き、お父様は「これで、実質ともに親子になれる」と泣き笑い。

「何が実質ですか」
 
 とロイに突っ込まれていた。

 もう一つ変わったのは、皇帝妃としての教育をする事になった事。
 これはイザベラ様やマザーも手助けしてくれている。
 学園のクラスのみんなも応援してくれた。

 ロイを狙っている令嬢とはまだわかりあえないけれど、きっと仲良くなって見せる。


 そんな毎日を過ごしている時、来客が来た。

 窓から豪華な飾りで彩られた馬車から、その人は出てきた。紋章から見てグリフィアス国から来ているのがわかった。
 
 どうしてもドキドキしてしまう。

 
 窓から見ていると、その人はわたしににかりと笑いかけた。
 

 部屋に入ってくるなり、迷わずわたしに近づいてきて、抱きしめてきた。

「何を!!」
「セシリア!」
「ボイド!!」

 3人の声が重なる。

「セシリアだね。姉上にそっくりだ。会いたかったよ」

 その人は大柄な体格だったのでわたしはすっぽりと収まっていた。濃い髭でゾリゾリしてきた。

 痛いのになんだかくすぐったい。
 初めて味わう感触。

「あの、すみません。貴方は?」
「おぉ、すまない。わたしはボイド・リンサス。そこの老耄の息子で君のお母さんの弟だ。ずっと君に会いたかったよ」
「ボイド!親に向かって老ぼれと言いおって!」

 お祖父様の声を無視して言ってくる。

「あれでも姉上がいなくなってからは、覇気のなくなった老人だったんだ。なのに、マゼル様から手紙をもらっていきなり元気になって、動きすぎてぎっくり腰になるんだ。それでも床をはって指示をだすから、呆れたよ。
 意地で帝国に行ったきり連絡よこさないで、やっと手紙がきたと思えば、姉上が死んだ事と君を養女にするという内容しか書かれていない。一切詳しいことが書かれてないんだ。
 そんな人を老ぼれ呼ばわりしてもいいと思うよな」

 えっと、どういいましょうか?

「セシリアが困ってるだろう!」

 お父様が肩をつかんで引き離した。
 お祖父様も叫ぶ。

「まだまだやれるわい。それに、養女の件は奴に聞けと書いていたろう」
「はいはい。
 それはそうとマゼル様。姉上と『永久の妻』の契約をしたとはいえ、セシリアは我がリンサス家に養女になりますので、が実質の養父父親ですよ」

 あら?

 お父様とえっと叔父様・・・でいいのかな?が目をバチバチさせ始めた。

「はあ?」
「我が家の長女です。我が息子たちも姉ができて喜んでいます。早く会いたいと急かすほどですよ」
「セシリアはわたしの大事な娘です。ボイド殿には息子3人がいらしたかね?粗野な振る舞いはしませんよね?」
「まさか。わたしも妻も甘やかすほどに可愛がりますよ。セシリア、ぜひお父様と呼んでくれ」
「わ・た・し・が『お父様』です!」
「そうですか、じゃあ、『パ・パ』でいいよ」
「!!!」

 以前にもどこかで見たような気もするがきのせいだろうか?

 二人に挟まれた状態で呆然と見上げていた。

「またうるさい方が増えたの?」

 マザーが五月蠅さを聞きつけやってきた。

 廊下から荷物を一生懸命部屋に運んでいるボブとバルの声がマザーの言葉で一瞬静かになった所に聞こえてきた。

「ここの男たちって俺らより子供ガキじゃねぇ?」
「貴族の男ってそんなのかな?」
「普通ちがうよな」
「かっこいい大人いないかな~?」

 
 子供の素直な言葉は時には大人にとっては刃になるようだった。

 言い争っていた大人たちの顔は固まっていた。

 
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