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40.オブライド殿下視点
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なぜ、自分は母上の前にでたのであろうか?
なぜ僕は彼女を庇ったのだ?
彼女には護ってくれるものが沢山いたというのに?
でも身体が勝手に動いた。
彼女の周りにいるものたちは皆、彼女を優しく見ていた。
見守っていた。
あれが『愛』というものなのだろうか?
温かく見える。
空気だけではない。色までもが違って見える。
彼女もそれに応えるように笑顔を返していた。
僕にも向けて欲しい?!
本当に欲しかったものは・・・。
物じゃなかった。
僕は・・・羨ましかったのだ。
ずっと一人だったから。
誰も僕を見てくれないから。
僕の後ろにある『権力』だけを見ているから。
媚びる。ひれ伏す。
そるは僕の欲しいものじゃなかった。
僕が欲しかったのは『笑顔』や『温もり』だったんだ。
目の前の母上は呆然と真っ赤になった手と僕を交互に見ていた。
その姿が少し面白く思えた。そんな顔もするんだ、と。
膝から力が抜けた。地面に倒れたというのに痛いとは思わなかった。刺されたところが熱くてそれどころでなかった。
どくどくと腹部から音がする。
鼓動の音が大きく感じる。
痛い。
熱い。
「どうして!?」
彼女の声が近くで聞こえた。
目を開けると僕の刺された腹部を圧迫していた。
あんなに僕に怯えていたはずなのに、躊躇なく触っているなんて・・・。
ドレスが汚れるのに・・・。
君は本当に優しい。
嬉しい。
「・・・羨ましかったんだ」
気づけば呟いていた。
「君は僕を見てくれた。どんな形であれ、僕を王子としてでなく、人として・・・。ははっ。僕は叱られたかったんだ。笑いかけてほしかったんだ。
両親に見て欲しかった。
でも無理だよなぁ。
こんな人を羨んでばかりの親が僕を見るはずない。
でも『愛』されたかったんだ」
どくどくと流れ落ちていくのがわかる。
目の前がぼやけてくる。
「黙って!」
「僕はこの人らの子供だけあって不完全な人間だな・・・」
頭の中の情報がまだまとまっていない。
固執していた泣きそうな顔の女性が姉か妹であること。信じられなくともその瞳が証明している。
自分が執拗に求めていたのは同じ血が流れていたからなのだろうか?
いや、純粋に僕を見てくれていたから気になっていたのか・・・。
でもなぜか同じ血が流れている事が嬉しかった。
同じ父親でも僕とは違う。なのに彼女は僕とは違う生き方をしている。そんな生き方もあるのだとー。
悩み苦しみ、足掻きながら生きていた。
だから羨ましい。
だから憧れる。
誰もから『愛』されている君がー。
あぁ、痛い。
その痛みが今まで僕が他人に与えた痛みでもあるのだろう。
因果応報だ。当然の報いだ。
僕は人の苦しむ姿を笑っていた。
こんな苦しみの中、心無い笑いなどどれほど憎かっただろう。
今こうやって涙を落とされるこの優しさが嬉しいと思う僕は贅沢なのだろう。
罵声が聞こえる。
『死ぬな』
僕は死んでしかたない人間だ。
黒い死神が鎌首をもたげ、近づいてきている。
後ろには僕が殺した人たちが、憎しみのこもった目で僕を睨みつけている。
黒い煙のような手が何本も僕に近づき絡み取ろうとしている。
もし。もし、来世を認めてくれるなら、僕は温かな家族が欲しいー。
温かな笑顔と優しい言葉が欲しい。
温かな胸の中で抱きしめて欲しいー。
人を『愛』してみたい。
人から『愛』されてみたい。
ねぇ、セシリア。最後に願えるなら、
一度でいいから、君に抱きしめて欲しかった。
なぜ僕は彼女を庇ったのだ?
彼女には護ってくれるものが沢山いたというのに?
でも身体が勝手に動いた。
彼女の周りにいるものたちは皆、彼女を優しく見ていた。
見守っていた。
あれが『愛』というものなのだろうか?
温かく見える。
空気だけではない。色までもが違って見える。
彼女もそれに応えるように笑顔を返していた。
僕にも向けて欲しい?!
本当に欲しかったものは・・・。
物じゃなかった。
僕は・・・羨ましかったのだ。
ずっと一人だったから。
誰も僕を見てくれないから。
僕の後ろにある『権力』だけを見ているから。
媚びる。ひれ伏す。
そるは僕の欲しいものじゃなかった。
僕が欲しかったのは『笑顔』や『温もり』だったんだ。
目の前の母上は呆然と真っ赤になった手と僕を交互に見ていた。
その姿が少し面白く思えた。そんな顔もするんだ、と。
膝から力が抜けた。地面に倒れたというのに痛いとは思わなかった。刺されたところが熱くてそれどころでなかった。
どくどくと腹部から音がする。
鼓動の音が大きく感じる。
痛い。
熱い。
「どうして!?」
彼女の声が近くで聞こえた。
目を開けると僕の刺された腹部を圧迫していた。
あんなに僕に怯えていたはずなのに、躊躇なく触っているなんて・・・。
ドレスが汚れるのに・・・。
君は本当に優しい。
嬉しい。
「・・・羨ましかったんだ」
気づけば呟いていた。
「君は僕を見てくれた。どんな形であれ、僕を王子としてでなく、人として・・・。ははっ。僕は叱られたかったんだ。笑いかけてほしかったんだ。
両親に見て欲しかった。
でも無理だよなぁ。
こんな人を羨んでばかりの親が僕を見るはずない。
でも『愛』されたかったんだ」
どくどくと流れ落ちていくのがわかる。
目の前がぼやけてくる。
「黙って!」
「僕はこの人らの子供だけあって不完全な人間だな・・・」
頭の中の情報がまだまとまっていない。
固執していた泣きそうな顔の女性が姉か妹であること。信じられなくともその瞳が証明している。
自分が執拗に求めていたのは同じ血が流れていたからなのだろうか?
いや、純粋に僕を見てくれていたから気になっていたのか・・・。
でもなぜか同じ血が流れている事が嬉しかった。
同じ父親でも僕とは違う。なのに彼女は僕とは違う生き方をしている。そんな生き方もあるのだとー。
悩み苦しみ、足掻きながら生きていた。
だから羨ましい。
だから憧れる。
誰もから『愛』されている君がー。
あぁ、痛い。
その痛みが今まで僕が他人に与えた痛みでもあるのだろう。
因果応報だ。当然の報いだ。
僕は人の苦しむ姿を笑っていた。
こんな苦しみの中、心無い笑いなどどれほど憎かっただろう。
今こうやって涙を落とされるこの優しさが嬉しいと思う僕は贅沢なのだろう。
罵声が聞こえる。
『死ぬな』
僕は死んでしかたない人間だ。
黒い死神が鎌首をもたげ、近づいてきている。
後ろには僕が殺した人たちが、憎しみのこもった目で僕を睨みつけている。
黒い煙のような手が何本も僕に近づき絡み取ろうとしている。
もし。もし、来世を認めてくれるなら、僕は温かな家族が欲しいー。
温かな笑顔と優しい言葉が欲しい。
温かな胸の中で抱きしめて欲しいー。
人を『愛』してみたい。
人から『愛』されてみたい。
ねぇ、セシリア。最後に願えるなら、
一度でいいから、君に抱きしめて欲しかった。
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