49 / 51
42.
しおりを挟む
「国王陛下。これからは私たちがこの国を盛り上げて行きますわ」
側妃は国王の前に来た。
アナスタシア様は凛とした方だった。聞いた話ではマザーと従姉妹に当たる方らしい。雰囲気が似ていた。
「お前らはわたしを裏切ったのか?」
「裏切るも何も、はじめから味方でもありませんでしたわ」
「なぜだ!」
国王の叫びにアナスタシア様は嫌悪感を露わにした。汚いものでも見るように。
「なぜ?よくもまぁ、そんな事をおっしゃいますこと」
「アナ・・・」
「その名前を呼ばないでください」
「あんた!側妃のクセに!!嫉妬かしら?」
王妃が勝ち誇ったように叫んだ。この場でまだ悪態がつけるとは図太い神経をお持ちのようだ。
「醜いわね」
「なっ!?」
「こんな状況でまだそのような口がきけるとは大したものね。全てあなた方のした事が発端だというのに・・・」
扇子で口元を隠しながら冷たい目で見下げる。
「素直に婚約解消を受け入れ、その馬鹿女と幸せになれば皆それなりには従いましたのよ。なのに、自分の優越感を得るためだけにエリザ様を陥れ、わたくしの従姉妹であるフィアナをも陥れた。そうなれば公爵家が黙っているわけはないでしょう?」
「それでも奴らは大人しくしていただろう。それはわたしが王になったから・・・」
アナスタシア様は鼻で笑った。
「わたくしが側妃になると言ったからですわ」
「はっ?」
間抜けな国王の声。
「能力のおとるあなた方に何ができますの?ニコニコしているのが外交でも政治でもありませんわよ。知識や常識もいりますの。わたくしが外との繋がりを持っていたからやって来れていただけですわ。帝国と協力を結び貴方を潰すために今日までいたのです」
リチャードさんが言葉を引き継ぐ。
「ずっと機会を待ちわびていました。どれだけ、貴方を殺したいと思う者たちを必死に抑えたか・・・。
大事なものを護れずどんなにもどかしかったか・・・。貴方にはわかりますか?」
「わたしを殺す?」
国王は『殺す』という言葉に反応する。
一度も思ってことは無かったのだろうか?
国王ならば、その覚悟もいるだろうに。
自分は賢王とでも思っていたのだろうか?
「皆貴方を殺したくてたまらなかったのですよ。貴方は権力を得るためにその女に唆されて、自分の父親を毒をもって殺したというのに、自分は殺されないとでもお思いに?」
「リチャード!!」
リチャードさんは何かを思い出したのか少し悲しそうだった。
「自分が情けない。自分の保身のために捨てることもできず権力に膝を折り、大事な者を捨てなければならなかった自分が忌々しい」
「違うでしょう。わたしがこの方の側にいて欲しいと願ったからでしょう。貴方はわたしと駆け落ちをしてもいいと言ったんだもの」
マザーがリチャードさんの手を取り固くに決まり締める。
「フィアナ・・・。期待は裏切られた。なんの価値はなかったんだ」
「わかったでしょう?これが、あなたたちが選んだ答えよ」
アナスタシア様が国王に向けてニコリと笑った。
国王は何も言えずただうなだれるだけであった。
そして、建国祭は終わった。
大混乱にはならなかった。
叔父様やリチャードさんが裏で手を回していたおかげで、何も知らなかった貴族たちにも現実をみせることができた。
国王派の貴族たちは身分の剥奪。甘い汁を吸っていた者たちはその場で囚われることになった。
母たちを陥れる為に動いた者たちも何らかの罰が与えられることになった。
国王はそのまま北の塔に幽閉と行き、王妃は地下牢へと連れて行かれたのだった。
それを横目にアナスタシア様とマザーは抱き合って再会を喜んだ。
マザーはわたしをアナスタシア様に紹介してくれた。
アナスタシア様は是非に『お義母様』と呼んで欲しいと言ってきて抱きしめてくれた。
初めてある義弟は照れているようではにかみながら挨拶してくれた。嬉しい。
そして、リチャードさんは、お父様やお祖父様、叔父様とはまた一味違った方だった。この中で一番まともな大人の人に見えた。
「区別が必要だよね。ダディでいいよ」
と。
もちろんカンカンになったお父様に怒られていた。
それを、笑いながらするりと交わしていた。
みんな、わたしを抱きしめてくれた。
血で汚れてしまったわたしを。自分の服が汚れる事を気にすることなくー。
後日、王妃は斬首になり、オブライド殿下は静かに埋葬されたことはあまり話題に出ることはなかった・・・。
側妃は国王の前に来た。
アナスタシア様は凛とした方だった。聞いた話ではマザーと従姉妹に当たる方らしい。雰囲気が似ていた。
「お前らはわたしを裏切ったのか?」
「裏切るも何も、はじめから味方でもありませんでしたわ」
「なぜだ!」
国王の叫びにアナスタシア様は嫌悪感を露わにした。汚いものでも見るように。
「なぜ?よくもまぁ、そんな事をおっしゃいますこと」
「アナ・・・」
「その名前を呼ばないでください」
「あんた!側妃のクセに!!嫉妬かしら?」
王妃が勝ち誇ったように叫んだ。この場でまだ悪態がつけるとは図太い神経をお持ちのようだ。
「醜いわね」
「なっ!?」
「こんな状況でまだそのような口がきけるとは大したものね。全てあなた方のした事が発端だというのに・・・」
扇子で口元を隠しながら冷たい目で見下げる。
「素直に婚約解消を受け入れ、その馬鹿女と幸せになれば皆それなりには従いましたのよ。なのに、自分の優越感を得るためだけにエリザ様を陥れ、わたくしの従姉妹であるフィアナをも陥れた。そうなれば公爵家が黙っているわけはないでしょう?」
「それでも奴らは大人しくしていただろう。それはわたしが王になったから・・・」
アナスタシア様は鼻で笑った。
「わたくしが側妃になると言ったからですわ」
「はっ?」
間抜けな国王の声。
「能力のおとるあなた方に何ができますの?ニコニコしているのが外交でも政治でもありませんわよ。知識や常識もいりますの。わたくしが外との繋がりを持っていたからやって来れていただけですわ。帝国と協力を結び貴方を潰すために今日までいたのです」
リチャードさんが言葉を引き継ぐ。
「ずっと機会を待ちわびていました。どれだけ、貴方を殺したいと思う者たちを必死に抑えたか・・・。
大事なものを護れずどんなにもどかしかったか・・・。貴方にはわかりますか?」
「わたしを殺す?」
国王は『殺す』という言葉に反応する。
一度も思ってことは無かったのだろうか?
国王ならば、その覚悟もいるだろうに。
自分は賢王とでも思っていたのだろうか?
「皆貴方を殺したくてたまらなかったのですよ。貴方は権力を得るためにその女に唆されて、自分の父親を毒をもって殺したというのに、自分は殺されないとでもお思いに?」
「リチャード!!」
リチャードさんは何かを思い出したのか少し悲しそうだった。
「自分が情けない。自分の保身のために捨てることもできず権力に膝を折り、大事な者を捨てなければならなかった自分が忌々しい」
「違うでしょう。わたしがこの方の側にいて欲しいと願ったからでしょう。貴方はわたしと駆け落ちをしてもいいと言ったんだもの」
マザーがリチャードさんの手を取り固くに決まり締める。
「フィアナ・・・。期待は裏切られた。なんの価値はなかったんだ」
「わかったでしょう?これが、あなたたちが選んだ答えよ」
アナスタシア様が国王に向けてニコリと笑った。
国王は何も言えずただうなだれるだけであった。
そして、建国祭は終わった。
大混乱にはならなかった。
叔父様やリチャードさんが裏で手を回していたおかげで、何も知らなかった貴族たちにも現実をみせることができた。
国王派の貴族たちは身分の剥奪。甘い汁を吸っていた者たちはその場で囚われることになった。
母たちを陥れる為に動いた者たちも何らかの罰が与えられることになった。
国王はそのまま北の塔に幽閉と行き、王妃は地下牢へと連れて行かれたのだった。
それを横目にアナスタシア様とマザーは抱き合って再会を喜んだ。
マザーはわたしをアナスタシア様に紹介してくれた。
アナスタシア様は是非に『お義母様』と呼んで欲しいと言ってきて抱きしめてくれた。
初めてある義弟は照れているようではにかみながら挨拶してくれた。嬉しい。
そして、リチャードさんは、お父様やお祖父様、叔父様とはまた一味違った方だった。この中で一番まともな大人の人に見えた。
「区別が必要だよね。ダディでいいよ」
と。
もちろんカンカンになったお父様に怒られていた。
それを、笑いながらするりと交わしていた。
みんな、わたしを抱きしめてくれた。
血で汚れてしまったわたしを。自分の服が汚れる事を気にすることなくー。
後日、王妃は斬首になり、オブライド殿下は静かに埋葬されたことはあまり話題に出ることはなかった・・・。
96
あなたにおすすめの小説
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください
LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。
伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。
真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。
(他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…)
(1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない
百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。
幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。
※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。
もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない
もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。
……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。
ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。
光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。
昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。
逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。
でも、私は不幸じゃなかった。
私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。
彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。
私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー
例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。
「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」
「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」
夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。
カインも結局、私を裏切るのね。
エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。
それなら、もういいわ。全部、要らない。
絶対に許さないわ。
私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー!
覚悟していてね?
私は、絶対に貴方達を許さないから。
「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。
私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。
ざまぁみろ」
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
【完結】地味な私と公爵様
ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。
端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。
そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。
...正直私も信じていません。
ラエル様が、私を溺愛しているなんて。
きっと、きっと、夢に違いありません。
お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)
傷物令嬢は騎士に夢をみるのを諦めました
みん
恋愛
伯爵家の長女シルフィーは、5歳の時に魔力暴走を起こし、その時の記憶を失ってしまっていた。そして、そのせいで魔力も殆ど無くなってしまい、その時についてしまった傷痕が体に残ってしまった。その為、領地に済む祖父母と叔母と一緒に療養を兼ねてそのまま領地で過ごす事にしたのだが…。
ゆるっと設定なので、温かい気持ちで読んでもらえると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる