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30.カルロ視点
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目の前にベージュの軟体動物。
二本の触角が僕を見ていた。
思わず悲鳴をあげてしまった。
尻餅をついてしまい、手で身体を支えようとした瞬間、グニュッと冷たく柔らかなものが潰れる感触がした。
再び悲鳴がでた。
いや、正確には喉元まで出かかったいたのに、口から発することができなかったのだ。
あまりに驚くと悲鳴は出なくなるのかもしれない。
僕はナメクジを素手で潰していた。
今だにあの感触を忘れることができないでいる。
あの意思があるかわからないような触角と目がわからない黒い先が僕を見ているように思えて気味が悪かった。それも脳内から消えてくれない。
ただレイチェルのことで、セイラに文句を言ってやろうとやっと探し当てたというのに、散々な目に遭うとは思いもしなかった。
彼女は楽しそうにしていた。
初めて会って、話をしてからも、おとなしくお淑やかな女性だと思っていた。
そばにいて落ち着く女性だった。
でも、レイチェルには敵わなかった。
明るく魅力に溢れた彼女。
だが、今いるセイラは以前の彼女とは違う気がした。
その目には強い光が宿っているように思えた。
あんな彼女を僕は知らない。あんな笑顔を見たことはなかった。
数日経ってもナメクジを忘れられなずいるそんな日、セイラは僕らとレイチェルの大事な時間を割くように、にっこりと僕たちの前に現れた。
後ろには麻袋を持った侍女たちを連れていた。
不敵とも言える顔で僕らを見て言った。
「ブローチを無くされたのでしたわよね」
「セイラ、君が盗ったのだろう」
「いいえ。そこまでいうのなら探していただこうと思いまして、持ってきましたの」
「はっ?」
セイラの侍女は敷物を引くとその上に麻袋の中身をぶちまけた。
ブローチが山になる。
「どんなブローチですの?ぜひ探してくださいませんか?」
「この中から・・・?」
見るからに、一個一個柄も素材も違うようだった。
「ええっ。ぜひ。私にはわかりませんから、あなた方のその確かな目で探していただけませんかしら。でも、私はとっていませんからきっとないでしょうけど」
嫌味だろうか。
「この中にあったらどうしてくださるの?」
レイチェルが彼女を見て叫んだ。
その目には怒りが含まれていた。レイチェルのそんな顔は初めて見た。
「謝りますわ」
「ほんと?」
「ええっ」
レイチェルに対する嫌がらせだ。
絶対に見つけてやる!
そんなことを思っていると、セイラは張のある声をだした。
「あぁ、そうそう。違っていたブローチは学園の皆様に差し上げますわ。私から皆様に対しての迷惑をかけたお詫びの品ですわ。
皇太子殿下からの紹介で作っていただきましたので、品質もデザインも保証できます。裏には店舗名とシリアルナンバーをいれてありますので、限定品となります。譲りあいなどして、皆様に行き渡ることを願いますわ。
そして、もしよければお店にも足を向けてくださいませ」
セイラは僕らに目を向けた。
「あなた方もよろしければお一つどうぞ」
嫌味ったらしい。
ふつふつと怒りが湧いて来た。
それは、他の仲間も同じようだった。
僕らは探し出した。
ここしばらく見なくなった者が多い。十数人いたメンバーも、半分になっていた。
一人何個見ていけばいいのだろうか・・・。
一つ手にとってから気がついた。
レイチェルのブローチはどんなデザインのものだったのだろうか・・・と・・・。
二本の触角が僕を見ていた。
思わず悲鳴をあげてしまった。
尻餅をついてしまい、手で身体を支えようとした瞬間、グニュッと冷たく柔らかなものが潰れる感触がした。
再び悲鳴がでた。
いや、正確には喉元まで出かかったいたのに、口から発することができなかったのだ。
あまりに驚くと悲鳴は出なくなるのかもしれない。
僕はナメクジを素手で潰していた。
今だにあの感触を忘れることができないでいる。
あの意思があるかわからないような触角と目がわからない黒い先が僕を見ているように思えて気味が悪かった。それも脳内から消えてくれない。
ただレイチェルのことで、セイラに文句を言ってやろうとやっと探し当てたというのに、散々な目に遭うとは思いもしなかった。
彼女は楽しそうにしていた。
初めて会って、話をしてからも、おとなしくお淑やかな女性だと思っていた。
そばにいて落ち着く女性だった。
でも、レイチェルには敵わなかった。
明るく魅力に溢れた彼女。
だが、今いるセイラは以前の彼女とは違う気がした。
その目には強い光が宿っているように思えた。
あんな彼女を僕は知らない。あんな笑顔を見たことはなかった。
数日経ってもナメクジを忘れられなずいるそんな日、セイラは僕らとレイチェルの大事な時間を割くように、にっこりと僕たちの前に現れた。
後ろには麻袋を持った侍女たちを連れていた。
不敵とも言える顔で僕らを見て言った。
「ブローチを無くされたのでしたわよね」
「セイラ、君が盗ったのだろう」
「いいえ。そこまでいうのなら探していただこうと思いまして、持ってきましたの」
「はっ?」
セイラの侍女は敷物を引くとその上に麻袋の中身をぶちまけた。
ブローチが山になる。
「どんなブローチですの?ぜひ探してくださいませんか?」
「この中から・・・?」
見るからに、一個一個柄も素材も違うようだった。
「ええっ。ぜひ。私にはわかりませんから、あなた方のその確かな目で探していただけませんかしら。でも、私はとっていませんからきっとないでしょうけど」
嫌味だろうか。
「この中にあったらどうしてくださるの?」
レイチェルが彼女を見て叫んだ。
その目には怒りが含まれていた。レイチェルのそんな顔は初めて見た。
「謝りますわ」
「ほんと?」
「ええっ」
レイチェルに対する嫌がらせだ。
絶対に見つけてやる!
そんなことを思っていると、セイラは張のある声をだした。
「あぁ、そうそう。違っていたブローチは学園の皆様に差し上げますわ。私から皆様に対しての迷惑をかけたお詫びの品ですわ。
皇太子殿下からの紹介で作っていただきましたので、品質もデザインも保証できます。裏には店舗名とシリアルナンバーをいれてありますので、限定品となります。譲りあいなどして、皆様に行き渡ることを願いますわ。
そして、もしよければお店にも足を向けてくださいませ」
セイラは僕らに目を向けた。
「あなた方もよろしければお一つどうぞ」
嫌味ったらしい。
ふつふつと怒りが湧いて来た。
それは、他の仲間も同じようだった。
僕らは探し出した。
ここしばらく見なくなった者が多い。十数人いたメンバーも、半分になっていた。
一人何個見ていけばいいのだろうか・・・。
一つ手にとってから気がついた。
レイチェルのブローチはどんなデザインのものだったのだろうか・・・と・・・。
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