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お兄様が最終打ち合わせに王宮に行くに合わせて、私も大図書館と行った。
彼に来れなくなることを告げなければならない。
そう思ってきたものの、彼はいなかった。
いや、手紙だけが司書のお姉さんから渡されたのだ。
「昨日は来られていましたが、ノエル様が来ないのがわかるとこの手紙を置いて帰られました。明日から違う国へ行かれるとのことです」
そんな・・・。
「お二人で調べて書いた物はノエル様に預かっていて欲しいそうです」
眉を垂らし、申し訳なさそうに言ってくれる。
私は隅の机に座り、その手紙を読んだ。
急に他国への留学が決まったことへの謝りから始まっていた。
そして、できれば二人で調べ書いていた紙は持ち帰って研究の続きを進めて欲しいとのこと。いずれまたくるので、その時は二人で完成させようと書いてある。
しかも、自分は直接見て聞いてくるから、土産話を楽しみにしてくれとまで書き記されていた。
私に託してくれて嬉しいくて、直接見てくるというのが羨ましい。
だが一番は彼に会えないことに対する悲しみで溢れていた。
彼は私の傷のことを気味悪がらず、普通に接してくれた。それが嬉しかったのに。別れの言葉もなく、1ヶ月ほどでいなくなるなど考えていなかった。
声を殺して泣く。
全く気にならなかったはずなのに、彼の名前さえ知らないことを今更ながら後悔する。なぜ知らなくていいと思っていたのだろう。
どこの国の人から来たのかなぜ聞かなかったのか。手紙を出したくても出すこともできないではないか。
今頃になって無関心だった自分が情けなくなった。
図書館の隅で本を読まずに泣くなんて・・・。
誰かがいなくなって悲しいと思うなんて、はじめてのことだった。
しばらく泣いたあと、私は立ち上がる。
カウンターに行くと、取り置きしてもらっていた本の返却をお願いした。
「よろしいのですか?」
「はい。当分は来れませんから・・・」
兄がいなければ、来れない。それが母との約束だ。
「わかりました」
お姉さんは残念そうだった。
「あっ、でも・・・本のタイトルは写しても構いませんか」
「どうぞ、構いませんよ」
にこやかな返事が返ってくる。
私は本のタイトルを書いてゆく。
調べるのはやめなたくない。
どんなことがあっても調べ続けよう。
次に彼に会った時を楽しみにするのだ。
その時は名前も教えてもらおう。
・・・泣いてばかりいられない。
今日の兄は明日のこともあるのか仕事を片付け、いつもより早い迎えできた。
入り口に用意していた荷物の山に兄は言葉を失う。
「ノエルちゃん。これはなにかな~?」
「成果物です」
「図書館で何をやってたのかな?」
「見てみます?」
「いや・・・、見てたら今日一日で終わらないだろう・・・」
あまりの量・・・司書のお姉さんの計らいで入れてくれた2個の箱を見れば、1日で見るのは無理だろう。
「そう、ですよね」
「せめてまとめて論文にしろ」
「・・・わかりました」
呆れ顔の兄に向かって私は笑った。
彼に来れなくなることを告げなければならない。
そう思ってきたものの、彼はいなかった。
いや、手紙だけが司書のお姉さんから渡されたのだ。
「昨日は来られていましたが、ノエル様が来ないのがわかるとこの手紙を置いて帰られました。明日から違う国へ行かれるとのことです」
そんな・・・。
「お二人で調べて書いた物はノエル様に預かっていて欲しいそうです」
眉を垂らし、申し訳なさそうに言ってくれる。
私は隅の机に座り、その手紙を読んだ。
急に他国への留学が決まったことへの謝りから始まっていた。
そして、できれば二人で調べ書いていた紙は持ち帰って研究の続きを進めて欲しいとのこと。いずれまたくるので、その時は二人で完成させようと書いてある。
しかも、自分は直接見て聞いてくるから、土産話を楽しみにしてくれとまで書き記されていた。
私に託してくれて嬉しいくて、直接見てくるというのが羨ましい。
だが一番は彼に会えないことに対する悲しみで溢れていた。
彼は私の傷のことを気味悪がらず、普通に接してくれた。それが嬉しかったのに。別れの言葉もなく、1ヶ月ほどでいなくなるなど考えていなかった。
声を殺して泣く。
全く気にならなかったはずなのに、彼の名前さえ知らないことを今更ながら後悔する。なぜ知らなくていいと思っていたのだろう。
どこの国の人から来たのかなぜ聞かなかったのか。手紙を出したくても出すこともできないではないか。
今頃になって無関心だった自分が情けなくなった。
図書館の隅で本を読まずに泣くなんて・・・。
誰かがいなくなって悲しいと思うなんて、はじめてのことだった。
しばらく泣いたあと、私は立ち上がる。
カウンターに行くと、取り置きしてもらっていた本の返却をお願いした。
「よろしいのですか?」
「はい。当分は来れませんから・・・」
兄がいなければ、来れない。それが母との約束だ。
「わかりました」
お姉さんは残念そうだった。
「あっ、でも・・・本のタイトルは写しても構いませんか」
「どうぞ、構いませんよ」
にこやかな返事が返ってくる。
私は本のタイトルを書いてゆく。
調べるのはやめなたくない。
どんなことがあっても調べ続けよう。
次に彼に会った時を楽しみにするのだ。
その時は名前も教えてもらおう。
・・・泣いてばかりいられない。
今日の兄は明日のこともあるのか仕事を片付け、いつもより早い迎えできた。
入り口に用意していた荷物の山に兄は言葉を失う。
「ノエルちゃん。これはなにかな~?」
「成果物です」
「図書館で何をやってたのかな?」
「見てみます?」
「いや・・・、見てたら今日一日で終わらないだろう・・・」
あまりの量・・・司書のお姉さんの計らいで入れてくれた2個の箱を見れば、1日で見るのは無理だろう。
「そう、ですよね」
「せめてまとめて論文にしろ」
「・・・わかりました」
呆れ顔の兄に向かって私は笑った。
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