【完結】ありのままのわたしを愛して

彩華(あやはな)

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29.エマ視点

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 わたしは学園長室にいた。
 
 ここしばらくのノエルの状況の説明をしに来ている。

「彼女はどうだい?」

 帝国では留学生を迎えることは普通だ。だが、それも男性ばかりで、女性であっても仕事関係の留学生がほとんどになる。
 実のところ、現役女子学生の留学生はノエルが初めてだった。それもあの叔父様変人が推薦したのが伯爵令嬢なのだから、学園長も気にしている。

「毎日頑張っています」

 そう、ノエルは頑張っていた。
 当初の頃よりは時間に余裕ができたようで、身なりもきちんとできている。でも、どこか抜けている。時たま忘れ物もあるし、段差を踏み外して転けていることもよくあった。

 普通、留学するにしても侍女を連れてくれものだが、ノエルにはいない。全て一人で頑張っている。

 そして、彼女は自分の傷にコンプレックスを抱いていた。他の人に傷を見られることをおびえている。

 あと、ノエルにもわたし以外に友人ができているが、微妙におどおどしてしていた。

 本人はダメな人間、うまく喋れないと言っていたが、全くそんなことはなく、わたしの前では気軽に話をしてくれている。
 でもわたし以外になると、違っていた。どこか、自分から壁を作っているように見える。

 正直にわたしの意見を学園長に打ち明けた。

「推薦人のロード教授の手紙にはあの傷で虐めにあっていたらしい。授業に出ることさえできなかったとあった」
「傷一つで、ですか!?」
「皆、君と同じ価値観を持っていないよ。妙齢の女性に傷があれば、将来結婚だって難しいだろう」
「そう・・・ですね・・・」

 そうか・・・。
 帝国とはまた違う文化であれば、将来の形も違ってくる。
 帝国なら多少の行き遅れ女性もいるし、仕事を選び結婚せず一生を過ごす人も少なからずいた。
 結婚=イコール幸せだとは思っていないからだ。

 というわたしも、できたらいいなぁ・・・程度の考えでいる。

「自然と自分の味方を探っているのかもしれないね・・・」

 人の本質を見極めている?

 ノエルが可哀想に思えた。もっと自由に生きてほしいとー。

「彼女をよろしく頼むよ」
「はい」
「でだ、あとアーサーが帰ってくる」
「えっ?アーサーが?」

 従兄の名前を聞いて驚いた。

 ロマニズ公爵家の次男で、叔父様に次ぐ変わり者の名前だ。そしてなにかとやらかす問題児。

「ああ。奴が帰ってくる。すまないがアルバートとノエル嬢に伝えてくれ」

 なぜ伝書鳩のような真似事をしなければならないのか。

「学園長先生が言えばいいじゃないですか?いつもわたしばかりは酷いんですが・・・」
「知っているだろう。私はアルバートが苦手なんだ!!」

 目をくわりと見開いてわたしを見てくるので、怖い。
 どれだけ嫌なのだろうか。

「あいつはいつもいつもいつも、の邪魔ばかりしてきて。面倒臭いことは全ておしつけてくるだぞ。しかも一言いえば十になって返ってくる。それにアーサーもいつも問題を起こすし、屁理屈こるし・・・なるべく奴らには関わりたくないんだ」

 ぶつぶつと呟き始める学園長を放って置くことにして、わたしは部屋を出た。
 
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