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44.マルス視点
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「でも、やはり、魅力に感じるのは、お優しいところですわ」
彼女たちはうんうんと頷き合う。
「よくあの『氷の女』と婚約していらしたなんて」
「本当ですわ。マルス様と『氷の女』が婚約を結んでいたのはショックでしたわ」
氷の女?聞いたことがないがノエルのことか?
僕の思っていることがわかったのか、彼女たちは思い思いに口にし始める。
「揶揄ですわ」
「名前を口にするのも嫌ですもの」
「あの髪色だって・・・時が違えば反逆の色と捉えかねませんし・・・」
「本当ですわ。あんな顔でよく学園にこれていたものですわ」
ノエルにそんな名前が付いていたとは知らなかった。
それも名前を呼びたくないからとは・・・。
笑う彼女たちに対してムカムカしてくる。
「どうして婚約してらしたの?」
「そうですわよね。もしかして政略結婚でしたの?」
「それか、弱みでも・・・」
「・・・・・・」
憶測だけで会話を進める彼女たち。
どうして・・・・・・。
それは、僕が彼女に傷をつけたからだ。
「昔から有名でしたわよね」
「エルトニー伯爵夫人が吹聴していたのでしたかしら」
「わたしも聞いたことありますわ。醜い跡があるのだと泣きながらわたしの母に愚痴ってましたわ」
「醜いから屋敷から出さなかったのに、学園にくるなんて身の程知らずなのでしょうね」
「でも、なんで傷を?」
心臓の音が大きくなった。
「そういえば、知りませんわね」
「知っていて?」
「いいえ」
「自分でつけたのではありませんの?マルス様はご存じですか?マルス様?」
あのことは誰も知らない。
そう、あの現場にいた他の子たちには父がお金を払って口止めした。いや、だいぶ昔の話しのことだから、みんな忘れているだろう。
ノエルの両親にも傷のある娘を迎えるという約束で口止めしたのだ。もちろん慰謝料も払って・・・。
ノエルは傷の原因が僕であることを言わずに去った・・・?僕を思って??
ノエル・・・・・・。
初めて見たノエルのことを今でも鮮明に思い出す。
銀色の髪が綺麗で、水色の目が水面のようにキラキラ光っていた。
声を掛けたくても恥ずかしくて遠くからしか見れなくてもどかしく思いながら他の子らと遊ぶ。
そして、追いかけっこになって僕はノエルにぶつかった。
あの綺麗な顔に傷をつけた罪悪感でいっぱいでどうすれば許してくれるか不安で眠れない日を過ごす。
いざ会えば彼女は包帯をしていた。
でもノエルは笑って許してくれる。
どんなに嬉しかったか。
包帯が取れた時・・・ノエルの左目には青黒い線が入っていた。
どきりと胸が高鳴る。
綺麗だと。
ちょうどそのころ責任を取るということで正式に婚約が決まった。
ーそうだ。
僕はあの時、嬉しかった。
遠くから見ていただけの彼女を僕のものにできるんだ。僕の所有物である証がついている。
「マルス様?」
「どうかされました?」
「いや・・・」
彼女たち動かない僕に声を掛けてきた。
でも、僕の思考は違うところにあるー。
周りの言葉に惑わされ、今まで忘れていた。
誰がなんと言おうと、傷は僕の物だ。
隣で歩く姿をイメージできないのは当たり前だ。部屋に囲って誰にも見せたくないのだから。
例え社交界で隣を歩いても別に恥じることはない。
逆にそれによって傷ついた彼女を僕が身も心も癒せばいい。帷が下りた部屋であの細い首筋にキスをしながら身体中を愛撫し、じっくりと僕の存在を刻ませ泣き喘ぐ彼女の唇を塞ぐのだ。
僕だけを美しい水色の瞳に映させたい。
彼女を手放したくない・・・。
「マルス様?」
「なんでもない。少し思い出したことがあっただけだ」
僕が微笑むと、彼女たちは真っ赤な顔になり、はあぁっと、色っぽい声をだす。
「マルス様っ」
ケティが呟いた。
彼女たちはうんうんと頷き合う。
「よくあの『氷の女』と婚約していらしたなんて」
「本当ですわ。マルス様と『氷の女』が婚約を結んでいたのはショックでしたわ」
氷の女?聞いたことがないがノエルのことか?
僕の思っていることがわかったのか、彼女たちは思い思いに口にし始める。
「揶揄ですわ」
「名前を口にするのも嫌ですもの」
「あの髪色だって・・・時が違えば反逆の色と捉えかねませんし・・・」
「本当ですわ。あんな顔でよく学園にこれていたものですわ」
ノエルにそんな名前が付いていたとは知らなかった。
それも名前を呼びたくないからとは・・・。
笑う彼女たちに対してムカムカしてくる。
「どうして婚約してらしたの?」
「そうですわよね。もしかして政略結婚でしたの?」
「それか、弱みでも・・・」
「・・・・・・」
憶測だけで会話を進める彼女たち。
どうして・・・・・・。
それは、僕が彼女に傷をつけたからだ。
「昔から有名でしたわよね」
「エルトニー伯爵夫人が吹聴していたのでしたかしら」
「わたしも聞いたことありますわ。醜い跡があるのだと泣きながらわたしの母に愚痴ってましたわ」
「醜いから屋敷から出さなかったのに、学園にくるなんて身の程知らずなのでしょうね」
「でも、なんで傷を?」
心臓の音が大きくなった。
「そういえば、知りませんわね」
「知っていて?」
「いいえ」
「自分でつけたのではありませんの?マルス様はご存じですか?マルス様?」
あのことは誰も知らない。
そう、あの現場にいた他の子たちには父がお金を払って口止めした。いや、だいぶ昔の話しのことだから、みんな忘れているだろう。
ノエルの両親にも傷のある娘を迎えるという約束で口止めしたのだ。もちろん慰謝料も払って・・・。
ノエルは傷の原因が僕であることを言わずに去った・・・?僕を思って??
ノエル・・・・・・。
初めて見たノエルのことを今でも鮮明に思い出す。
銀色の髪が綺麗で、水色の目が水面のようにキラキラ光っていた。
声を掛けたくても恥ずかしくて遠くからしか見れなくてもどかしく思いながら他の子らと遊ぶ。
そして、追いかけっこになって僕はノエルにぶつかった。
あの綺麗な顔に傷をつけた罪悪感でいっぱいでどうすれば許してくれるか不安で眠れない日を過ごす。
いざ会えば彼女は包帯をしていた。
でもノエルは笑って許してくれる。
どんなに嬉しかったか。
包帯が取れた時・・・ノエルの左目には青黒い線が入っていた。
どきりと胸が高鳴る。
綺麗だと。
ちょうどそのころ責任を取るということで正式に婚約が決まった。
ーそうだ。
僕はあの時、嬉しかった。
遠くから見ていただけの彼女を僕のものにできるんだ。僕の所有物である証がついている。
「マルス様?」
「どうかされました?」
「いや・・・」
彼女たち動かない僕に声を掛けてきた。
でも、僕の思考は違うところにあるー。
周りの言葉に惑わされ、今まで忘れていた。
誰がなんと言おうと、傷は僕の物だ。
隣で歩く姿をイメージできないのは当たり前だ。部屋に囲って誰にも見せたくないのだから。
例え社交界で隣を歩いても別に恥じることはない。
逆にそれによって傷ついた彼女を僕が身も心も癒せばいい。帷が下りた部屋であの細い首筋にキスをしながら身体中を愛撫し、じっくりと僕の存在を刻ませ泣き喘ぐ彼女の唇を塞ぐのだ。
僕だけを美しい水色の瞳に映させたい。
彼女を手放したくない・・・。
「マルス様?」
「なんでもない。少し思い出したことがあっただけだ」
僕が微笑むと、彼女たちは真っ赤な顔になり、はあぁっと、色っぽい声をだす。
「マルス様っ」
ケティが呟いた。
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