【完結】研究一筋令嬢の朝

彩華(あやはな)

文字の大きさ
16 / 31
アルフリード

気持ち

しおりを挟む
 膝をつき口元に手をあてた。

 はっ?ラズ何を言った?恋?鯉?コイ?

 「愛してる?アイリを、愛してる?」

 「アルフリード殿下いかがされましたか?」

 振り返るとマルクが水を持って帰ってきた。おかしな様子の俺を見て慌てている。何でもないと風に立ち上がる。

 「いや、ラズに・・・」
 「兄上ですか?」
 「・・・マルク、お前愛してるやついるか」

 すごい顔で見るな。

 「殿下、どうしました?悪い物食べましたか?今日のメニュー、全て殿下の命令で私が手配しましたけど、殿下暗殺メニューにはしてませんよ」

 真顔で言うな。誰かに聞かれたら首が飛ぶぞ。この兄弟、口が悪すぎるだろ!少しは思っている事を隠せ。オブラートに包め!もう少しいい改めろ!

 「まあ、私が愛してるのは妻です」

 ここで普通に返すのか?んっ?妻?マルク結婚してたか?いつした?聞いてないぞ。

 「今、いつ結婚したか、気になりましたね。半年前籍いれました。殿下のせいですからね。殿下の嫌がらせで流れに流れて、彼女に婚約解消されかけて・・・兄上に相談して、既成事実つくりました。妻の実家には怒られるし散々でしたからね。あっ、ちなみに式は来月なんできてください」


 しらんがな。なんでもかんでも俺のせいにして、自分の甲斐がないだけだろう!

 「で、どこを愛してる?」
 「まだ、続けます?珍しい殿下の為答えます。そうですね、全てです。私のために笑ってくれて、出迎えてくれる。もう、可愛いです。泣くとこは見たくないですが嬉し涙やよがる涙はぞくっときますね。自分だけの物と言うか、誰にも見せたくないというか」

 どこまでいう気だ。他人の閨事情までは知りたくないぞ。
 冷めた表情でマルクを見た。

 ・・・誰にも見せたくない?自分だけの物?

 「独占欲?執着心?」
 「確かに似てますね。彼女は誰にも渡したくないです。自分だけの・・・殿下?」

 再びしゃがみ込んだ。
 情けないだろう?
 俺はガキか?
 そうか、俺は・・・。彼女に側にいて欲しい。
側にいて欲しいのだ。笑っていて、見ていて欲しい。あの紫の瞳に自分だけを写して欲しい。
 いつからだ?
 あぁ、ライディンたちが騒いだ日、彼女の直接見た日。あの日から俺のセピア色の毎日が色づいたのだ。変わらない毎日だったのが、あの瞬間こら楽しいものになった。あの日から他の研究員たちとの会話が弾んだ。
 全てを変えたのは彼女に出会えたから。
 だから、知りたかった、彼女の事を。全てを。彼女を愛してしまったから。
 

 立ち上がり大きく息をはいた。
 やれる。俺なら。

 「マルク、ラズを呼べ」
 「はいはい、ちゃんといますよ。殿下、なんでしょうか?」

 すぐ側にいたのか柱の向こうからスルリと出て来た。

 「お前ら兄弟は・・・」

 二人を見た。見た目も性格も似てないけ兄弟だが、俺を見る目は似ていた。

 「俺は本気を出す。二人とも手を貸せ」

 「かしこまりました」
 「同じく。殿下の為に」

 「マルク、ロディクの学園教師たちに話を直接聞きたい。取り次をしてくれ。ラズは父上に会いたいから予定を聞いてくれ」

 動こう。この気持ちのために。

「殿下、覚えてらっしゃいますか?」
 ラズが跪坐き俺を見上げた。
 「「もし貴方が生きる希望を見つけ、その為に大いなる高みを目指すと言うなれば、私は貴方の為に膝をおります」と。今この時がそうです。私は貴方に忠誠を誓います。」
 胸に手を当て、頭を下げた。マルクも後ろで同様にしていた。

 「よろしく頼む」

 さあ、動こう。

 

 
 



しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

運命の番より真実の愛が欲しい

サトウミ
恋愛
田舎娘のゾーイは龍族の王子・シャウロンの『運命の番』だった。 ロマンチックな恋を夢見るゾーイは『運命の番』であるシャウロンと会えるのを楽しみにしていた。 しかし、シャウロンはゾーイに対して素っ気ない。 運命の番だからといって、必ずしも愛し合う関係だとは限らないらしい。 それを悟ったゾーイは、シャウロンのもとから去ることを決意した。

お望み通り、消えてさしあげますわ

梨丸
恋愛
一国の次期王妃と言われていた子爵令嬢アマリリス。 王太子との結婚前夜、彼女は自ら火を放ち、死んだ。 国民達は彼女の死を特に気にもしなかった。それどころか、彼女の死を喜ぶ者もいた。彼女の有していた聖女の力は大したものではなかったし、優れているのは外見だけの「性悪女」だと噂されるほどだったから。 彼女の死後、すぐさま後釜として皆に好かれていた聖女が次期王妃に召し上げられた。 この国はより豊かになる、皆はそう確信した。 だが、“役立たずの聖女”アマリリスの死後──着実に崩壊は始まっていた。 ※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。)

天真爛漫な婚約者様は笑顔で私の顔に唾を吐く

りこりー
恋愛
天真爛漫で笑顔が似合う可愛らしい私の婚約者様。 私はすぐに夢中になり、容姿を蔑まれようが、罵倒されようが、金をむしり取られようが笑顔で対応した。 それなのに裏切りやがって絶対許さない! 「シェリーは容姿がアレだから」 は?よく見てごらん、令息達の視線の先を 「シェリーは鈍臭いんだから」 は?最年少騎士団員ですが? 「どうせ、僕なんて見下してたくせに」 ふざけないでよ…世界で一番愛してたわ…

【完結】殿下、自由にさせていただきます。

なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」  その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。  アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。  髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。  見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。  私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。  初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?  恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。  しかし、正騎士団は女人禁制。  故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。  晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。     身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。    そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。  これは、私の初恋が終わり。  僕として新たな人生を歩みだした話。  

愛するあなたへ最期のお願い

つぶあん
恋愛
アリシア・ベルモンド伯爵令嬢は必死で祈っていた。 婚約者のレオナルドが不治の病に冒され、生死の境を彷徨っているから。 「神様、どうかレオナルドをお救いください」 その願いは叶い、レオナルドは病を克服した。 ところが生還したレオナルドはとんでもないことを言った。 「本当に愛している人と結婚する。その為に神様は生き返らせてくれたんだ」 レオナルドはアリシアとの婚約を破棄。 ずっと片思いしていたというイザベラ・ド・モンフォール侯爵令嬢に求婚してしまう。 「あなたが奇跡の伯爵令息ですね。勿論、喜んで」 レオナルドとイザベラは婚約した。 アリシアは一人取り残され、忘れ去られた。 本当は、アリシアが自分の命と引き換えにレオナルドを救ったというのに。 レオナルドの命を救う為の契約。 それは天使に魂を捧げるというもの。 忽ち病に冒されていきながら、アリシアは再び天使に希う。 「最期に一言だけ、愛するレオナルドに伝えさせてください」 自分を捨てた婚約者への遺言。 それは…………

さよなら 大好きな人

小夏 礼
恋愛
女神の娘かもしれない紫の瞳を持つアーリアは、第2王子の婚約者だった。 政略結婚だが、それでもアーリアは第2王子のことが好きだった。 彼にふさわしい女性になるために努力するほど。 しかし、アーリアのそんな気持ちは、 ある日、第2王子によって踏み躙られることになる…… ※本編は悲恋です。 ※裏話や番外編を読むと本編のイメージが変わりますので、悲恋のままが良い方はご注意ください。 ※本編2(+0.5)、裏話1、番外編2の計5(+0.5)話です。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください

LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。 伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。 真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。 (他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…) (1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)

処理中です...