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「リューン。領地の経営はどう?」
真剣なマリアに少しだけ困った表情を作った。
「わからないことだらけだよ。経営なんて勉強してこなかったから専門用語はわからないし、なにをどうすれば良いか手探りな状況かな・・・。流通の仕組みや流れがどうなっているのかやっと分かったきたくらいだし」
全然わからない。
今までやっていたことを継続すればいいのだろうとは思っている。だが兄は何を目指していたのだろうか?何を考えていたのか?
領民は兄に何を願いっていたのだろう。
このままでいいのか?みんなは不満はない?
それとも変えるべきなのか?やはりするのではなかったと思われたならどうしよう。
「少しずつすれば慣れていくわよ。わからないなら私が教えてあげるわ。こう見えて将来を有望されている商家の跡取り娘よ」
マリア手を胸にあて、堂々と言い切ってきた。本当に学生時代から変わらない。
そんな姿を見て少しだけ「大丈夫」と思えるのだから不思議だ。
「そうそう、本題よ」
「本題?」
「勿論、商売の話よ。マリアさんは困っている青年を見過ごすことはできないの」
「商売・・・。マリア」
意外な言葉に聞き返してしまう。
「この領地の絨毯を独占販売して欲しいのよ」
マリアはにこにこと話しだす。
「今回、国外を回って思ったのよ。ないものは他から求めればいいって。で、ここで作られる絨毯って目は細かくて丁寧に織り上げてるし、柄が綺麗でしょう。伝統的で祈りや繁栄の図案だったわよね。色だって素晴らしいもの。よく使われているあの赤色、私あれ好きなのよね」
「赤色?あれはカイガラムシだよ」
「カイガラムシ・・・虫?」
「そう暖かい地域でいる虫。この辺りは冬は山からの風で雪も多くて冷え込むけど逆に夏は蒸し暑いから生息してるみたいなんだ。調べたことはないけど変異種みたい。そのカイガラムシで染めてるだよ」
「むし・・・」
知らなかったようだ。
顔が引き攣っている。そんな顔をするなんて珍しい。
彼女は咳払いを一つして、どうにか立て直した。
「とっ・・・と、ともかく。あの絨毯は需要があると思うのよ!」
「本当に?」
「うん。一度話し合ってからでいいから前向きに考えてくれない?」
「・・・・・・。わかった」
マリアの顔を緩む。子供のような表情をする。
そして目を伏せ、僕の名前を呼んだ。
「ねぇ、リューン・・・」
「何?」
「二つ言ってもいい?」
「うん・・・」
「自信を持って・・・。リューンは周りを観察する能力に長けてると思うの。絵を描くことで得たものだと私は思ってる。でも、全部を取り込まなくていい。リューンが好きだと思うところを伸ばせばいいのよ。リューンはこの場所が好きでしょう?絵を見たことがあるからそう感じるの。だから・・・、だから自信を持ってやっていいの」
自信・・・。
難しいことを言ってくる。
「もう一つは・・・。えっと・・・、王都に帰ったら毎週土曜日は植物園の温室で勉強会しましょう。経営でわからないところを教えてあげる。それにあなたには休憩が必要だと思うの。働き詰めは効率に悪いわ。緑は目にもいいし、落ち着くし、リフレッシュになる!そうでしょう。ねっ?」
「・・・・・・そう、だね」
少し早口のマリアの言葉に僕は何も考えず頷いていた。
真剣なマリアに少しだけ困った表情を作った。
「わからないことだらけだよ。経営なんて勉強してこなかったから専門用語はわからないし、なにをどうすれば良いか手探りな状況かな・・・。流通の仕組みや流れがどうなっているのかやっと分かったきたくらいだし」
全然わからない。
今までやっていたことを継続すればいいのだろうとは思っている。だが兄は何を目指していたのだろうか?何を考えていたのか?
領民は兄に何を願いっていたのだろう。
このままでいいのか?みんなは不満はない?
それとも変えるべきなのか?やはりするのではなかったと思われたならどうしよう。
「少しずつすれば慣れていくわよ。わからないなら私が教えてあげるわ。こう見えて将来を有望されている商家の跡取り娘よ」
マリア手を胸にあて、堂々と言い切ってきた。本当に学生時代から変わらない。
そんな姿を見て少しだけ「大丈夫」と思えるのだから不思議だ。
「そうそう、本題よ」
「本題?」
「勿論、商売の話よ。マリアさんは困っている青年を見過ごすことはできないの」
「商売・・・。マリア」
意外な言葉に聞き返してしまう。
「この領地の絨毯を独占販売して欲しいのよ」
マリアはにこにこと話しだす。
「今回、国外を回って思ったのよ。ないものは他から求めればいいって。で、ここで作られる絨毯って目は細かくて丁寧に織り上げてるし、柄が綺麗でしょう。伝統的で祈りや繁栄の図案だったわよね。色だって素晴らしいもの。よく使われているあの赤色、私あれ好きなのよね」
「赤色?あれはカイガラムシだよ」
「カイガラムシ・・・虫?」
「そう暖かい地域でいる虫。この辺りは冬は山からの風で雪も多くて冷え込むけど逆に夏は蒸し暑いから生息してるみたいなんだ。調べたことはないけど変異種みたい。そのカイガラムシで染めてるだよ」
「むし・・・」
知らなかったようだ。
顔が引き攣っている。そんな顔をするなんて珍しい。
彼女は咳払いを一つして、どうにか立て直した。
「とっ・・・と、ともかく。あの絨毯は需要があると思うのよ!」
「本当に?」
「うん。一度話し合ってからでいいから前向きに考えてくれない?」
「・・・・・・。わかった」
マリアの顔を緩む。子供のような表情をする。
そして目を伏せ、僕の名前を呼んだ。
「ねぇ、リューン・・・」
「何?」
「二つ言ってもいい?」
「うん・・・」
「自信を持って・・・。リューンは周りを観察する能力に長けてると思うの。絵を描くことで得たものだと私は思ってる。でも、全部を取り込まなくていい。リューンが好きだと思うところを伸ばせばいいのよ。リューンはこの場所が好きでしょう?絵を見たことがあるからそう感じるの。だから・・・、だから自信を持ってやっていいの」
自信・・・。
難しいことを言ってくる。
「もう一つは・・・。えっと・・・、王都に帰ったら毎週土曜日は植物園の温室で勉強会しましょう。経営でわからないところを教えてあげる。それにあなたには休憩が必要だと思うの。働き詰めは効率に悪いわ。緑は目にもいいし、落ち着くし、リフレッシュになる!そうでしょう。ねっ?」
「・・・・・・そう、だね」
少し早口のマリアの言葉に僕は何も考えず頷いていた。
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