僕、天使に転生したようです!

神代天音

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「アンジュ、おはよう」
「ぅん、おはよーございます」

 今回の目覚めは比較的普通でなんだか安心する。これぞ普通の目覚めって感じ。
 そういえば、昨日の話し合いはどうなったのかな?

「お話し合い、終わった?」
「ああ、問題なく。今日から5人で一緒に過ごせるぞ」
「よかった!」

 問題は解決したらしい。よかった。

 それから朝ごはん。男所帯のようだけど、誰かが料理が上手いのか、とてつもなく美味しいスープとパンが出てきた。めっちゃ美味しい。

 そして、食後。
 ノクトが切り出した。

「アンジュ、昨日の話は覚えていますか?」
「うん。神話と僕が天使かもしれないお話でしょ?」
「はい。そうです。それに関係して、アンジュに一つ頼みたいことがありまして……」

 そう言ってノクトが話し出したのは、僕の見た目について。
 僕は種族特性が欠けている。だから、そのまま外に出て仕舞えば、天使だということがバレてしまう可能性が高い。

「天使であることをなるべく隠したいのです。協力してくれますか?」
「もちろん」

 自分のことだし、みんなと一緒にいるために必要なこと。協力しないなんてありえない。

「でも、どうすればいいの?」
「それは……」

 ノクトはアレンの方を振り返る。僕もそちらをみてみると、アレンは手に何かを持っている。

「じゃじゃーん! これ、飾り羽風の頭用アクセサリーでーす!」

 そう言ってアレンが差し出したのは、金色の羽飾り。アレンの言葉からして、頭につけるのだろう。

「アレンは手先が器用なので作ってもらっていたんです。これをつけてもらってもいいですか? 鬱陶しいとは思うのですが……」
「いいよ、全然大丈夫! みんなといるためなんでしょ?」
「アンジュ……!」

 またみんながなんだか目を覆って天井を向いている。なんでいつもこの仕草をするんだろう? 何か意味でもあるのかな?
 そんなことを考えつつ、アレンから手渡された羽を試しに頭につけてみる。羽はカチューシャのようなものに付けられていて、頭にスポッとはめるだけでいいらしい。
 試しにはめてみた。そして、自分でわかる限り、整えてみる。

「ソレイユ、どう?」
「よく似合っている。どこからどうみても鳥獣人にしか見えないな」

 ソレイユは一周ぐるりと僕の周りを回ってから、そう言った。フィンも隣でうんうんと頷いている。うまくいっているようだ。
 これで僕も天使じゃなくて鳥獣人の仲間入り。きっと怪しまれることはないだろう。
 ……そう言えば、なんで天使ってバレちゃダメなんだろう? 確かにバレたら大変そうではあるけど。まあ、ソレイユたちが隠すと決めたからには何か理由があるんだろう。僕はそれに従おう。

 それはまあ置いておいて、僕にはひとつ気になることがある。

「ねえ、ソレイユ。ぼくこれつけてたら外に出られる? ソレイユたちの冒険者のお仕事ついていける?」
「それは……」

 そう、僕は考えていたのだ。
 ソレイユたちには仕事がある。僕が知っている中で、冒険者は毎日のように朝早く出て自分に合った依頼を探し、それをこなす。
 しかも、ソレイユはS級だ。他のみんなのランクは知らないけど、パーティを組んでいるということは同程度に強いはずだ。きっと依頼がたくさんある。
 その間僕はどうするんだろう。常宿で1人待っているわけにはいかない。外に出なければいけないだろう。
 そこで、頭の飾り羽アクセサリー。これで外問題は解決だ。
 だけど、仕事についていっていいのか、まずついていけるのか、そこが問題。
 現にソレイユも答えに悩んでいる。

「どうしような……。1人でアンジュを残していくわけにはいかないし……。でも、俺たちの仕事は危険すぎる」
「坊主死んじまうな!」

 フィンがガハハと笑っているが、笑い事じゃないと思う。僕死んでるよ。
 死んだ魚の目でそう考えていると、アレンがポンっと手を打って言い出した。

「ギルドに預けていけばいいんじゃない? 託児所なかったっけ?」

 それいいじゃん! 僕は目を輝かせるけど、すぐにノクトが否定する。

「あれは8歳の子供までしか利用できませんよ。アンジュは見た目が8歳とは言え、本当は12歳です。無理でしょう」
「そうだったね……」

 またみんながズーンと悩み出す。もしかして——。

「……ぼく、お荷物?」
「「「「そんなことない!」」」」

 みんなが一斉にそう言ってくれる。

「そんなことはない。アンジュはまだ出会って一日だけど、大切な存在だ!」
「お荷物なんてことはないぞ、坊主」
「そうです。大切な大切な私たちの愛し子です」
「心配しなくていいんだよ?」

 そして、口々に否定してくれる。
 前の家だと僕は確実に邪魔者だった。そんな僕を大切だと思ってくれて、とてつもなく嬉しい。

「でも、ぼくどうすればいいんだろうね?」
「そうだな……。ほんとうにどうしようか……」

 またみんなでズーンと悩んでしまう。

「とりあえず、明日ギルマスに聞いてみますかね……」

 結局出た結論はノクトのその一言。なんとも消極的な結論だ。

 ぼくがみんなの仕事の間どうするかは今度に持ち越しだ。
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