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◇3 幽霊?
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「あ~、お腹空いた……」
今日も怒涛の一日だった。まぁ、覚悟はしていたけれど……眠い。そしてお腹空いた……
今日は使節団の方々との食事会はなかったから朝から何も食べてない。というか、食べる暇すらなかった。キッチンは忙しすぎて味見しか出来なかったし!
そう思いつつも庭に面する廊下をゆっくりと歩いている時だった。
「ん? ご機嫌麗しゅう、殿下」
「……えぇ」
……やっべぇ、この人、シャレニア王国の人じゃん。
ここは使用人達が通る事が多い廊下ではあるけれど、庭に面しているためその可能性もあった。けれど、今シャレニア王国の方々は本宮の会場で宴を開いているはずなんだけど。私は用事があるって抜けてからキッチンに行った帰りなんだけどさ。一応サボりだ。
私は暁明王国王族の者達と同じく桃色の瞳と髪色をしている。だから、私の事は一発で第一王女だと分かってしまう。
さて、どうしたものか。逃げる? 逃げるか? すみません急いでるんで~! って。いや、姫様モード入れなきゃいけないよね。
「……いい匂いがする」
「えっ」
私の目の前にいる男性は、見たところ護衛の方みたいだ。見回り? でもうちの兵がちゃんと警備しているはずだけど。もしかして……私と同じくサボり?
けれど、いい匂いというのは……このかご?
今私が持っているかご。掛けられた布を開くと、出てくるのはおにぎりである。けれど、そんなに匂いする?
「……食べる?」
「……よろしいのですか?」
「えぇ。忙しくしている私のために侍女が気を利かせて用意してくれたのだけれど、実はお腹いっぱいで……忙しいようだから受け取ったのだけれど、もったいないから、代わりに食べてくれるかしら」
な、なんとか、納得してくれてる……? 大丈夫?
でも、姫様がこんなかごを一人で持ってこんなところ歩いてるなんて、食いしん坊な王族の王女が勝手にキッチンに行ってもらってきたみたいだし。
だって、私が歩いてきた側の先にあるのキッチンだもん。それは、だいぶ恥ずかしい。
不安を抱えつつも、どうぞ、とかごを彼に渡そうと前に出した。
「……いえ、ですが王族の方からいただいてしまうのは……」
「気にしないで。お仕事中だと何かと食事する時間を取るのが難しいでしょうし……どうかしら?」
「……そこまでおっしゃってくださるのでしたら、殿下のご厚意に感謝して、ありがたくいただきます」
よ、よかった……
姫様モード、大丈夫かしら。
「ありがとうございます」
微笑の表情を浮かべて、そう言ってくれたことが何となくくすぐったかった。どうしてだろう。この、金色に光る瞳が気になるからだろうか。
だけど……この雰囲気を、一気にぶち壊したのだ。……私のお腹の音で。
「……」
「……」
……はっず。
「……ぷっ」
ですよねぇ!? 笑いますよね!!
あ~どうしよう!! 王族の王女がお腹鳴らすなんて恥ずかしすぎるって!!
「申し訳ございません。殿下もお腹が空いていらっしゃるのであれば、全部はいただけませんね。一緒に食べるとなると、殿下は嫁ぐ身でありますので勘違いされてしまう可能性もありますから、行儀は悪いですが……」
そのまま食べるらしい、そのまま中に入っていたおにぎりを取り、大きな口でパクリと食べた。
この人は、リアクションが大きいらしい。食べた瞬間、目を光らせていた。
「米、でしたか。とても美味しいです。中身は何だろう……」
私に聞くかのようにして中身を見せてくれた。まぁ、見せられなくても中身は知っているが。
「……それは鮭ね」
「鮭ですか。焼いたのかな。とっても美味しいです。さすが、海に囲まれた国だ。魚類はどれも美味しい」
「料理長達に伝えておくわね。きっと喜ぶわ」
まさか、3口で食べ終えてしまうとは。結構大きかったのに、口大きいな。それに、もっとゆっくり食べてもよかったのに。
でも、頬張るように食べている様子に、作った甲斐があったと嬉しさが込み上がった。
はい、どうぞ。そう言いつつも笑顔で私にかごを渡してくれた。
「ご馳走様でした。とても美味しかったです」
「それは、よかった……」
「殿下はどちらに? 宜しければお供しますが……」
「あ、いえ、いいわ。早く持ち場に戻ったほうがいいと思うから、行ってちょうだい」
さすがにお供はちょっとな……
「……やっぱり可愛い」
とても小さな声で呟いたその言葉は、私の耳には届かなかった。
では失礼します、と一礼し戻っていった。
……姫様の欠片もないな。これ、お母様にバレたら殺されかねない。黙っててくれるといいんだけど。
その後、何事もなくシャレニア王国の使節団は母国に戻っていった。そして、数日後にまたこちらに来る事となっている。
でも……いなかったな、使節団の人達の中に。昨日会った護衛の人。
……幽霊? まさかの幽霊? 私、幽霊におにぎり食べてもらっちゃったの?
こっわ。
今日も怒涛の一日だった。まぁ、覚悟はしていたけれど……眠い。そしてお腹空いた……
今日は使節団の方々との食事会はなかったから朝から何も食べてない。というか、食べる暇すらなかった。キッチンは忙しすぎて味見しか出来なかったし!
そう思いつつも庭に面する廊下をゆっくりと歩いている時だった。
「ん? ご機嫌麗しゅう、殿下」
「……えぇ」
……やっべぇ、この人、シャレニア王国の人じゃん。
ここは使用人達が通る事が多い廊下ではあるけれど、庭に面しているためその可能性もあった。けれど、今シャレニア王国の方々は本宮の会場で宴を開いているはずなんだけど。私は用事があるって抜けてからキッチンに行った帰りなんだけどさ。一応サボりだ。
私は暁明王国王族の者達と同じく桃色の瞳と髪色をしている。だから、私の事は一発で第一王女だと分かってしまう。
さて、どうしたものか。逃げる? 逃げるか? すみません急いでるんで~! って。いや、姫様モード入れなきゃいけないよね。
「……いい匂いがする」
「えっ」
私の目の前にいる男性は、見たところ護衛の方みたいだ。見回り? でもうちの兵がちゃんと警備しているはずだけど。もしかして……私と同じくサボり?
けれど、いい匂いというのは……このかご?
今私が持っているかご。掛けられた布を開くと、出てくるのはおにぎりである。けれど、そんなに匂いする?
「……食べる?」
「……よろしいのですか?」
「えぇ。忙しくしている私のために侍女が気を利かせて用意してくれたのだけれど、実はお腹いっぱいで……忙しいようだから受け取ったのだけれど、もったいないから、代わりに食べてくれるかしら」
な、なんとか、納得してくれてる……? 大丈夫?
でも、姫様がこんなかごを一人で持ってこんなところ歩いてるなんて、食いしん坊な王族の王女が勝手にキッチンに行ってもらってきたみたいだし。
だって、私が歩いてきた側の先にあるのキッチンだもん。それは、だいぶ恥ずかしい。
不安を抱えつつも、どうぞ、とかごを彼に渡そうと前に出した。
「……いえ、ですが王族の方からいただいてしまうのは……」
「気にしないで。お仕事中だと何かと食事する時間を取るのが難しいでしょうし……どうかしら?」
「……そこまでおっしゃってくださるのでしたら、殿下のご厚意に感謝して、ありがたくいただきます」
よ、よかった……
姫様モード、大丈夫かしら。
「ありがとうございます」
微笑の表情を浮かべて、そう言ってくれたことが何となくくすぐったかった。どうしてだろう。この、金色に光る瞳が気になるからだろうか。
だけど……この雰囲気を、一気にぶち壊したのだ。……私のお腹の音で。
「……」
「……」
……はっず。
「……ぷっ」
ですよねぇ!? 笑いますよね!!
あ~どうしよう!! 王族の王女がお腹鳴らすなんて恥ずかしすぎるって!!
「申し訳ございません。殿下もお腹が空いていらっしゃるのであれば、全部はいただけませんね。一緒に食べるとなると、殿下は嫁ぐ身でありますので勘違いされてしまう可能性もありますから、行儀は悪いですが……」
そのまま食べるらしい、そのまま中に入っていたおにぎりを取り、大きな口でパクリと食べた。
この人は、リアクションが大きいらしい。食べた瞬間、目を光らせていた。
「米、でしたか。とても美味しいです。中身は何だろう……」
私に聞くかのようにして中身を見せてくれた。まぁ、見せられなくても中身は知っているが。
「……それは鮭ね」
「鮭ですか。焼いたのかな。とっても美味しいです。さすが、海に囲まれた国だ。魚類はどれも美味しい」
「料理長達に伝えておくわね。きっと喜ぶわ」
まさか、3口で食べ終えてしまうとは。結構大きかったのに、口大きいな。それに、もっとゆっくり食べてもよかったのに。
でも、頬張るように食べている様子に、作った甲斐があったと嬉しさが込み上がった。
はい、どうぞ。そう言いつつも笑顔で私にかごを渡してくれた。
「ご馳走様でした。とても美味しかったです」
「それは、よかった……」
「殿下はどちらに? 宜しければお供しますが……」
「あ、いえ、いいわ。早く持ち場に戻ったほうがいいと思うから、行ってちょうだい」
さすがにお供はちょっとな……
「……やっぱり可愛い」
とても小さな声で呟いたその言葉は、私の耳には届かなかった。
では失礼します、と一礼し戻っていった。
……姫様の欠片もないな。これ、お母様にバレたら殺されかねない。黙っててくれるといいんだけど。
その後、何事もなくシャレニア王国の使節団は母国に戻っていった。そして、数日後にまたこちらに来る事となっている。
でも……いなかったな、使節団の人達の中に。昨日会った護衛の人。
……幽霊? まさかの幽霊? 私、幽霊におにぎり食べてもらっちゃったの?
こっわ。
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