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◇4 初めて島を離れる時
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それからしばらくして、またシャレニア王国の方々が来日したことを報告された。
「さ、姫様は今日絶対にここから出てはいけませんからね。キッチンもダメですよ」
「あーはいはい」
今日はこれから儀式が行われる予定であるけれど、儀式まで私は住まいである後宮からは一歩も出ないよう言われている。
キッチンにも行けないから、つまらなさを感じつつもその準備を着々と進めていた。
もうこの本宮に旦那様がいるから、どんな人なのかとても気になる。けれど、儀式で私は頭に白い布を被らないといけないから見えないんだよねぇ……
布は半透明ではあるけれど、これから顔を合わせる事になる旦那様はよく見えないし。
これから一生を添い遂げるのだから見ておきたい気持ちは大きいけれど、しきたりなのだから仕方ない。数日後にシャレニア王国で行われる結婚式までお預けだ。
双子達を偵察に行かせて報告させる、という手もあるけれど、お母様に見つかれば怒られる。それでなくても今回の結婚に反対していた(公私混同)お父様をなだめるのに大変なんだ。仮にもこの国の王なんだからしっかりしてくれ。
他では優秀な王のはずなのにこういう事に関するものはアホなんだから困りものだ。
だから私は結婚せずに19歳になってしまったんだ。国内の華族達から何度も結婚話はあったのに、全部蹴り飛ばしちゃったから。はぁ、大丈夫かあの王は。
これから行われる儀式中、結婚相手と会う事になるのだけれど、当然わが父である陛下もいらっしゃる。シャレニア王国の方々の前でやらかすような事はないだろうけれど……頼みますよ、お父様。
「結構重いね、これ」
「我が国の伝統衣装でございますから、我慢なさってくださいね」
「姫様はいつも堅苦しいものはすぐに脱いでしまう癖がありますからね。今日だけは頼みましたよ」
「はいはい、分かってますよ~」
ゆったりとした普段着と違って伝統衣装などの正装は窮屈だ。だからいつも普段着が恋しくなってしまう。
それにしても、この伝統衣装は見事だ。この国はチャイナドレスではなく漢服が基本だ。高級品ですよとでも言わんばかりの素晴らしく色鮮やかな赤と黒と金色の衣装。何枚も重ねられているのだけれど、その一枚一枚に細かい刺繍が施されている。
それに、帯も華やかで本当に素晴らしい。顔隠しちゃうから主役はこの伝統衣装になりそうだ。
絶対汚さないよう気を付けよう。
本来なら、王族は伝統衣装を身にまとい王に結婚の許しを請う。それから式が行われ、頭にかけてある布を取る。だが、今回はあちらの国で結婚式を行うため、相手の前で頭にかけられた布を取る事はない。
もったいないような気もするけれど、こればっかりは仕方ない。
本来ならこの儀式はしないはずだった。でも、あちら側の国のご要望で儀式だけすることになったのである。中途半端ではあるけれど、暁明王国の伝統を尊重したいというあちら側の意思の元、中途半端ではあるもののこの儀式だけが行われる事となった。
「これ、転ばないよう気を付けなきゃ」
「姫様は器用でございますから大丈夫でしょう? ですから、前を見てビシッとまっすぐに姿勢を保ってくださいませ」
「はぁ~い」
大切な儀式でもあるし、外部の者達が何人も参列するのだから、ちゃんと姫様モードに入りますとも。これでもこの国の王族なのだから、それくらいはちゃんと心得ている。だから安心して。
それよりも、私の旦那様がだいぶ気になる。どんな人なんだろう。やっぱり筋肉ムキムキ? 顔に傷がある堅物? 今日は顔が見られないからよく分らないかもしれないけど、声は聞けるからそれは楽しみだ。
時間になったので用意されていた馬車に乗り込んだ。
本宮に着き馬車から降りると、頭に布をかけられた。半透明だから周りは見えるけれど、目の前に人が立っても服の色や身長くらいしか分からない程度だ。
侍女にゆっくりと手を引かれ儀式の会場となる謁見室の扉前に。そこには、私の弟達、双子が待ち構えていた。
「「ねーちゃん!」」
ここから先は双子に手を引かれて謁見室に入る事になっている。
私の両手をそれぞれに取ってくれた。使用人の、では開けますよという声で謁見室の扉が開かれる。
ねーちゃん行くぞ~! と小声が聞こえてきて、三人揃って最初の一歩を踏み出した。私達三人息ピッタリすぎだろと内心思ったけれど、今に始まった事ではないので不思議な事ではない。
ゆっくりとまっすぐに続く赤い敷物の上を歩いた。王座に座る陛下の目の前まで辿り着くと、三人揃って足を止め、じゃあねと双子は私から離れていった。
「第一王女、李・翠蘭、ただいま参上仕りました」
私はその言葉と共に右足を左足の斜め後ろに下げる。両手は両方の袖を付け胸のあたりの高さに持ってくる。頭を少しだけ前に傾け目を閉じ、少しだけ膝を折り戻した。これが、正式な場での、王に対する挨拶の仕方だ。
布を被っているので、結構大きな声で発しなければならないのだけれど、部屋に響き渡ったようなので良しとしよう。
私の見つめる先には、お父様である国王陛下、そして隣にお母様である王妃殿下が椅子に座っている。
……泣いてない? 大丈夫? うん、シャレニア王国の方々がざわざわしていないから大丈夫だと思う。たぶん心の中は大号泣だろうけれど。いや、二人だけではなく、元老院のおじいちゃん達もそうだろう。
そう思うと、結婚を拝命された時の事を思い出してしまい、つい呆れ顔を浮かべるところだった。布を被っていてよかった。
けれど、ダメよ、シャレニア王国の方々の前でみっともない姿をさらしては。私が恥ずかしくなるから。
そして、私はちらりと横を覗き見た。いた。私の未来の旦那様が。未来、といってもだいぶすぐの未来ではあるけれど。思ったよりも背が高いな、と思いつつも視線を前に戻す。
国王陛下の斜め前、一段下に立つ年配の男性が話しだす。この国の華族の中での最上位、元老院と呼ばれる地位に立つおじいちゃんではあるけれど、涙もろいのでだいぶ心配ではある。
昨日、ボケてはございませんよと笑ってはいたけれど、こちらは絶賛ハラハラドキドキしている。
「――では、我が国シャレニア王国にてお待ちしております」
隣の方が、王に向かってそう述べた。初めて聞いたけれど、意外と声がカッコいい。布を被ってるからよく分らないけど、背が高いし。私は背の高い人は好みだ。あとは、中身と顔。けれど、この布では顔は分からないから確認出来ないな。
「待ってるな、スイランちゃん」
隣の方が私より先にこの謁見室から立ち去ろうとしていた瞬間、そう聞こえてきた。私に向けて、小さな声で。
まさか話しかけてくるとは思わず、素っ頓狂な顔になってしまった。布があってよかった。
つい、ずっきゅんしてしまった。そんな言葉をかけてくださるとは。恐らくではあるけれど、きっと優しい人なのだと思う。国同士の政略結婚であるため断れなかったであろうこの結婚に、もし不満を持っているのであれば、そんな事は言わないはずだから。
そう思うと、早く嫁ぎたいと思ってしまった。追いかけたい。一緒にシャレニア王国行きたい。
私にとってはイケメンスパダリが理想ではあるけれど、優しい人であるのであれば万々歳である。お父様ありがとう。
そんな事を考えつつ、新郎様が謁見室から出たタイミングで双子が来てくれて一緒に退出した。これでようやく儀式は終わりだ。
「ねーちゃんねーちゃん! 旦那かっこいいよ! 大丈夫だよ!」
「顔良し家柄良し腕っぷし良し! 将来安泰!」
お前ら、何言ってるのさ。目キラキラしてんぞ。お前らも心掴まれたのか。気になる、気になりすぎる。というか、将来安泰だなんて言葉どこで覚えたんだ。誰だ、教えたやつ。
まぁ、二人がそう言うのであれば大丈夫だろう。
それから一週間後、帰っていったシャレニア王国の方々を追いかけるようにして私達も船に乗りシャレニア王国に向けて出発した。
我が国が誇る、素晴らしく派手な船。これに乗って私はシャレニア王国に向かう事になる。豪華客船を思わせるくらいの大規模な船だ。部屋数は豪華客船ほどはないけれど、内装は宮殿と同じように作られているのだからまさしく豪華と言える船だ。
我が国の船がこんなにも素晴らしいという事はすなわち、この国は小さいながらに技術が発展しているという事。
我が国と繋がりのある国からたびたび使節団が来訪するため、専用の船が数隻用意されている。その船に他国の者達を乗せるという事は、我が国の技術を他国に知らしめるという狙いもある。
見栄を張っている、とも言えるが、もし仮に戦争になったとしよう。海上戦なんて周りにある他国が出来るわけがないから、島国であるこの国に攻め込むなんてことは死にに行くようなものだ。
だから、うちと仲良くしたい国が多数いる。
海に面した国には、排他的経済水域というものがある。簡単に言えば、国の所有する海域という事。ここまでが我が国の領域ですよって定められた場所だ。
その海域が一番広い国は世界中見渡しても我が国が一番である。その海域を維持出来るという事はすなわち目が行き届いているという事。管理が出来るほどの技術があるという事だ。もし少しでもウチの海域に侵入してみろ。すぐにウチの立派な船に迎えられて牢屋行きだ。
そんな国と喧嘩出来るやつがいるか? いや、いないでしょ。『海を支配する国』と言われる程なのだから。
そのおかげで、貿易も出来ている。我々の扱っているものは他国とまるで違うからだ。我が国と貿易したい国はだいぶ多いけれど、一応優秀な国王陛下がいるためここまで何もトラブルなく平和を築けているというわけだ。
さて、とっても優雅な船の旅を始めようではないか。
「姫様ぁぁぁぁ!!」
「お体に気を付けて!」
「たまには戻ってきてくださいね!」
「旦那様と仲良く!」
という暁明王国国民に見送られ、そして……
「翠蘭ちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「いいのよ! もし辛くなったら帰ってきても!!」
思った通り、お父様達は大号泣である。けど、あの、お母様、気が早すぎると思うのですが。
なんて思いつつ、使用人達と一緒に船に乗り込んだ。ではお父様、お母様、弟達、皆さん。お元気で。
「さ、姫様は今日絶対にここから出てはいけませんからね。キッチンもダメですよ」
「あーはいはい」
今日はこれから儀式が行われる予定であるけれど、儀式まで私は住まいである後宮からは一歩も出ないよう言われている。
キッチンにも行けないから、つまらなさを感じつつもその準備を着々と進めていた。
もうこの本宮に旦那様がいるから、どんな人なのかとても気になる。けれど、儀式で私は頭に白い布を被らないといけないから見えないんだよねぇ……
布は半透明ではあるけれど、これから顔を合わせる事になる旦那様はよく見えないし。
これから一生を添い遂げるのだから見ておきたい気持ちは大きいけれど、しきたりなのだから仕方ない。数日後にシャレニア王国で行われる結婚式までお預けだ。
双子達を偵察に行かせて報告させる、という手もあるけれど、お母様に見つかれば怒られる。それでなくても今回の結婚に反対していた(公私混同)お父様をなだめるのに大変なんだ。仮にもこの国の王なんだからしっかりしてくれ。
他では優秀な王のはずなのにこういう事に関するものはアホなんだから困りものだ。
だから私は結婚せずに19歳になってしまったんだ。国内の華族達から何度も結婚話はあったのに、全部蹴り飛ばしちゃったから。はぁ、大丈夫かあの王は。
これから行われる儀式中、結婚相手と会う事になるのだけれど、当然わが父である陛下もいらっしゃる。シャレニア王国の方々の前でやらかすような事はないだろうけれど……頼みますよ、お父様。
「結構重いね、これ」
「我が国の伝統衣装でございますから、我慢なさってくださいね」
「姫様はいつも堅苦しいものはすぐに脱いでしまう癖がありますからね。今日だけは頼みましたよ」
「はいはい、分かってますよ~」
ゆったりとした普段着と違って伝統衣装などの正装は窮屈だ。だからいつも普段着が恋しくなってしまう。
それにしても、この伝統衣装は見事だ。この国はチャイナドレスではなく漢服が基本だ。高級品ですよとでも言わんばかりの素晴らしく色鮮やかな赤と黒と金色の衣装。何枚も重ねられているのだけれど、その一枚一枚に細かい刺繍が施されている。
それに、帯も華やかで本当に素晴らしい。顔隠しちゃうから主役はこの伝統衣装になりそうだ。
絶対汚さないよう気を付けよう。
本来なら、王族は伝統衣装を身にまとい王に結婚の許しを請う。それから式が行われ、頭にかけてある布を取る。だが、今回はあちらの国で結婚式を行うため、相手の前で頭にかけられた布を取る事はない。
もったいないような気もするけれど、こればっかりは仕方ない。
本来ならこの儀式はしないはずだった。でも、あちら側の国のご要望で儀式だけすることになったのである。中途半端ではあるけれど、暁明王国の伝統を尊重したいというあちら側の意思の元、中途半端ではあるもののこの儀式だけが行われる事となった。
「これ、転ばないよう気を付けなきゃ」
「姫様は器用でございますから大丈夫でしょう? ですから、前を見てビシッとまっすぐに姿勢を保ってくださいませ」
「はぁ~い」
大切な儀式でもあるし、外部の者達が何人も参列するのだから、ちゃんと姫様モードに入りますとも。これでもこの国の王族なのだから、それくらいはちゃんと心得ている。だから安心して。
それよりも、私の旦那様がだいぶ気になる。どんな人なんだろう。やっぱり筋肉ムキムキ? 顔に傷がある堅物? 今日は顔が見られないからよく分らないかもしれないけど、声は聞けるからそれは楽しみだ。
時間になったので用意されていた馬車に乗り込んだ。
本宮に着き馬車から降りると、頭に布をかけられた。半透明だから周りは見えるけれど、目の前に人が立っても服の色や身長くらいしか分からない程度だ。
侍女にゆっくりと手を引かれ儀式の会場となる謁見室の扉前に。そこには、私の弟達、双子が待ち構えていた。
「「ねーちゃん!」」
ここから先は双子に手を引かれて謁見室に入る事になっている。
私の両手をそれぞれに取ってくれた。使用人の、では開けますよという声で謁見室の扉が開かれる。
ねーちゃん行くぞ~! と小声が聞こえてきて、三人揃って最初の一歩を踏み出した。私達三人息ピッタリすぎだろと内心思ったけれど、今に始まった事ではないので不思議な事ではない。
ゆっくりとまっすぐに続く赤い敷物の上を歩いた。王座に座る陛下の目の前まで辿り着くと、三人揃って足を止め、じゃあねと双子は私から離れていった。
「第一王女、李・翠蘭、ただいま参上仕りました」
私はその言葉と共に右足を左足の斜め後ろに下げる。両手は両方の袖を付け胸のあたりの高さに持ってくる。頭を少しだけ前に傾け目を閉じ、少しだけ膝を折り戻した。これが、正式な場での、王に対する挨拶の仕方だ。
布を被っているので、結構大きな声で発しなければならないのだけれど、部屋に響き渡ったようなので良しとしよう。
私の見つめる先には、お父様である国王陛下、そして隣にお母様である王妃殿下が椅子に座っている。
……泣いてない? 大丈夫? うん、シャレニア王国の方々がざわざわしていないから大丈夫だと思う。たぶん心の中は大号泣だろうけれど。いや、二人だけではなく、元老院のおじいちゃん達もそうだろう。
そう思うと、結婚を拝命された時の事を思い出してしまい、つい呆れ顔を浮かべるところだった。布を被っていてよかった。
けれど、ダメよ、シャレニア王国の方々の前でみっともない姿をさらしては。私が恥ずかしくなるから。
そして、私はちらりと横を覗き見た。いた。私の未来の旦那様が。未来、といってもだいぶすぐの未来ではあるけれど。思ったよりも背が高いな、と思いつつも視線を前に戻す。
国王陛下の斜め前、一段下に立つ年配の男性が話しだす。この国の華族の中での最上位、元老院と呼ばれる地位に立つおじいちゃんではあるけれど、涙もろいのでだいぶ心配ではある。
昨日、ボケてはございませんよと笑ってはいたけれど、こちらは絶賛ハラハラドキドキしている。
「――では、我が国シャレニア王国にてお待ちしております」
隣の方が、王に向かってそう述べた。初めて聞いたけれど、意外と声がカッコいい。布を被ってるからよく分らないけど、背が高いし。私は背の高い人は好みだ。あとは、中身と顔。けれど、この布では顔は分からないから確認出来ないな。
「待ってるな、スイランちゃん」
隣の方が私より先にこの謁見室から立ち去ろうとしていた瞬間、そう聞こえてきた。私に向けて、小さな声で。
まさか話しかけてくるとは思わず、素っ頓狂な顔になってしまった。布があってよかった。
つい、ずっきゅんしてしまった。そんな言葉をかけてくださるとは。恐らくではあるけれど、きっと優しい人なのだと思う。国同士の政略結婚であるため断れなかったであろうこの結婚に、もし不満を持っているのであれば、そんな事は言わないはずだから。
そう思うと、早く嫁ぎたいと思ってしまった。追いかけたい。一緒にシャレニア王国行きたい。
私にとってはイケメンスパダリが理想ではあるけれど、優しい人であるのであれば万々歳である。お父様ありがとう。
そんな事を考えつつ、新郎様が謁見室から出たタイミングで双子が来てくれて一緒に退出した。これでようやく儀式は終わりだ。
「ねーちゃんねーちゃん! 旦那かっこいいよ! 大丈夫だよ!」
「顔良し家柄良し腕っぷし良し! 将来安泰!」
お前ら、何言ってるのさ。目キラキラしてんぞ。お前らも心掴まれたのか。気になる、気になりすぎる。というか、将来安泰だなんて言葉どこで覚えたんだ。誰だ、教えたやつ。
まぁ、二人がそう言うのであれば大丈夫だろう。
それから一週間後、帰っていったシャレニア王国の方々を追いかけるようにして私達も船に乗りシャレニア王国に向けて出発した。
我が国が誇る、素晴らしく派手な船。これに乗って私はシャレニア王国に向かう事になる。豪華客船を思わせるくらいの大規模な船だ。部屋数は豪華客船ほどはないけれど、内装は宮殿と同じように作られているのだからまさしく豪華と言える船だ。
我が国の船がこんなにも素晴らしいという事はすなわち、この国は小さいながらに技術が発展しているという事。
我が国と繋がりのある国からたびたび使節団が来訪するため、専用の船が数隻用意されている。その船に他国の者達を乗せるという事は、我が国の技術を他国に知らしめるという狙いもある。
見栄を張っている、とも言えるが、もし仮に戦争になったとしよう。海上戦なんて周りにある他国が出来るわけがないから、島国であるこの国に攻め込むなんてことは死にに行くようなものだ。
だから、うちと仲良くしたい国が多数いる。
海に面した国には、排他的経済水域というものがある。簡単に言えば、国の所有する海域という事。ここまでが我が国の領域ですよって定められた場所だ。
その海域が一番広い国は世界中見渡しても我が国が一番である。その海域を維持出来るという事はすなわち目が行き届いているという事。管理が出来るほどの技術があるという事だ。もし少しでもウチの海域に侵入してみろ。すぐにウチの立派な船に迎えられて牢屋行きだ。
そんな国と喧嘩出来るやつがいるか? いや、いないでしょ。『海を支配する国』と言われる程なのだから。
そのおかげで、貿易も出来ている。我々の扱っているものは他国とまるで違うからだ。我が国と貿易したい国はだいぶ多いけれど、一応優秀な国王陛下がいるためここまで何もトラブルなく平和を築けているというわけだ。
さて、とっても優雅な船の旅を始めようではないか。
「姫様ぁぁぁぁ!!」
「お体に気を付けて!」
「たまには戻ってきてくださいね!」
「旦那様と仲良く!」
という暁明王国国民に見送られ、そして……
「翠蘭ちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「いいのよ! もし辛くなったら帰ってきても!!」
思った通り、お父様達は大号泣である。けど、あの、お母様、気が早すぎると思うのですが。
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