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◇5 初めてのシャレニア王国
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私の嫁ぎ先は海の向こう。そのため移動は船と馬車となる。船は暁明王国のものを。そして陸地に着いたら待っていてくれているらしいシャレニア王国の馬車で移動するらしい。だから、船を降りたら付いて来てくれた皆とさようならだ。
私は長年世話役として勤めてくれていた麗華と二人でシャレニアに行く事になっている。今まで尽くしてくれた他の侍女や護衛達はついてこない。本当はしきたりで一人で嫁ぐ事になるのだが、お父様がどうしてもという事でリーファだけを連れていく事となった。
「ほ~ら出来たよ、遠慮しないでた~んとお食べ」
「ありがたくいただきます!」
「はぁ……姫様の料理は本当に美味しいです……体が温まります……心に沁みます……」
「それはよかった」
付いて来てくれた皆のために毎日船の上で私が鍋をふるっている。もしかしたら嫁ぎ先で作らせてもらえない可能性があるから、今のうちに料理をしておこうという考えだ。
でも、もうそろそろで皆との旅も終わる。あと5日くらいしたら嫁ぎ先の国に入ることになる。そこからまた首都まで何日かかかることになるんだけど……
「嫁ぎ先で食べられるご飯、美味しいといいなぁ」
「そうですね。暁明とは違ったお料理でしょうし……」
まぁ、まだ少し時間があるんだから船の上でのご飯を堪能するとしよう。
なんて思いつつ、今日も料理を披露した。
それから数日後。嫁ぎ先であるシャレニア王国の港に入った。シャレニア王国は海に面しているから、この港に入ればもうシャレニア王国だ。
「お待ちしておりました、李・翠蘭様」
「ここからは我々シャレニア王国王宮騎士団がお送りいたします」
やっとシャレニア王国に到着だ。あとは馬車で数日。この国の首都に予定通りに着いたら結婚式となる。
「じゃあまたね、皆」
「姫様っ!!」
「我々一同、姫様の幸せを願っております!!」
「どうか、お元気でっ!!」
「うん、皆も体に気を付けてね」
「姫様ぁ!!」
あーはいはい泣かない泣かない。そこでシャレニア王国の人達見てるんだから。とにかく落ち着けお前達。
「お手をどうぞ」
「ありがとう」
この世界に来て、ヨーロッパ風の馬車に乗るのはこれが初めてである。今までは中華風の馬車を使っていたから。マンガとかで見た事はあるけれど、いざ乗るとなると少し緊張する。
踏み台があり、差し出してくれた手に自分の手を重ねて馬車の中へ。椅子はふかふか。座りごこちがとてもいい。きっと馬車が揺れたとしてもお尻が痛くならないかも。
向こうの馬車だと正座だし足が痺れたから足を崩したり体育座りで我慢していたのだけれど、これなら快適ね。
それからリーファも一緒に乗っての出発となった。
国の王女だから大人しくしなければ、と心がけてはいるけれど、初めて踏み入れた地だから好奇心が出てしまう。そもそも、しきたりで暁明から出た事がないのだから気分が上がるのは当たり前だ。
「とても素敵な景色ですね」
「そうね、初めて来たから」
「暁明と違う事ばかりではございますが、奥様のお役に立てるよう精進いたしますので、どうぞこれからもよろしくお願いします」
「リーファがいてくれてとても心強いよ」
いや、本当に。しきたり通りに一人で嫁いだら大変な事になってたはず。だから来てくれたことが本当に嬉しい。
お父様への感謝を噛み締めつつも、外を眺めた。国が変わると文化や雰囲気までが一気に変わる。シャレニア王国は、いわゆるヨーロッパ風だ。建物などを眺めると、何となくイギリスに旅行に来たような気分になる。まぁ、観光ではないのだから浮かれてはいられないけれど。
その後は何事もなく決められたルートをたどり、泊まる事が予定されていた宿に無事到着することが出来た。馬車を降りて見渡すと、とても豪華な宿が見える。今日泊まるのはこの宿らしい。
よくあるヨーロッパ系ぽい建物。二階建てで広い建物が多かった母国とは違って背が高い。窓を数えてみると、大体6階くらいだろうか。私としては、これホテルだろ、とツッコミたいところだ。
「ようこそいらっしゃいました、こちらへどうぞ」
姫様モードを崩さずにホテルの中へ。煌びやかに室内を照らす大きなシャンデリアが天井に備え付けられている。母国だと灯籠だから、新鮮に感じる。
部屋に案内され、高級ホテルとまではいかなかったけれど、ファンタジーマンガで出てきそうな貴族の屋敷を思わせる部屋に招かれた。
赤を基調としたものばかりなところを見ると、きっと気を遣ったんだろうな。母国の本宮は赤が基本の建物ばかりだから。慣れない事ばかりだろうから、見慣れた色の部屋の方がいいだろう、と。
うん、おもてなしの素晴らしいホテルだ。けれど、一番不安なものが一つ。
食事のご準備が出来ましたと呼ばれ、とある部屋へ案内された。私の斜め後ろについてくるリーファもどこか緊張気味……というか、ハラハラしている。うん、言いたいことは分かる。
案内されたへやには、テーブルと椅子が用意されいて、着席すると料理長が現れた。洋食の料理長のような白い服装だ。
「本日はこのホテルにお立ち寄りいただき誠に光栄でございます。僭越ながら、このレストランの代表を務めております私がお食事をご用意させていただきました。シャレニア王国の特産物を取り入れたものをご用意いたしましたので、お楽しみいただけると光栄です」
そうして私の前に並べられた料理。ここはフレンチレストランのコース料理のように出される仕組みらしく、食べ終わったら次の料理が出てくるらしい。最初に出てきたのは野菜がふんだんに使われた料理。オードブル、前菜なのかな。
「……」
「いかがでしょうか」
「……とても不思議な、味ね」
私の口には到底合わない料理、と言いたい。それくらい、よく分からない味だった。美味しい、と言えば嘘になりそうだ。この、野菜に絡められたソースは一体何なんだ。
その後スープを出された。見た目はポタージュのようだけれど……一口目でスプーンが止まってしまうくらい、強烈な味だった。濃い。非常に、濃い。
「……その、長旅で疲れてるみたいだから、量を減らしてもらいたいのだけれど、いいかしら」
「かしこまりました」
食材すらよく分からず、恐らくあの野菜だろうというものはあったけれど知っている味は見つからず、その代わりに強烈な……スパイス? よく分からないけれど、私の口に合わなかった、では片づけられないくらいの衝撃的な味だった。これは、マズいぞ。と悪寒までしてしまう。
私の様子を見ていたリーファは……青ざめていた。食材の為にちゃんと残さず食べるという私の性格を知っているから、ワインは「奥様はお疲れのようですからアルコールではなくお水でお願いいたします」と気を利かせてくれた。
そして、お水を何杯も飲む私のコップに、空にならないよう何杯も注いでくれた。
いやまさか。……いや、このホテルだけかもしれない。
……と思っていたのに、私の期待をことごとく粉々に砕いてきた。食材に失礼だぞと怒りを出しそうになってしまうほどの料理が私の目の前に出されて、料理を減らしてほしい、最終的には味を薄くしてほしいとまで言ってしまう始末。我儘ですみません。
あぁ、家に帰りたい。
早くも、心の中で弱音を吐いてしまった。まだ結婚式すら挙げていないにもかかわらず。
「奥様……」
「大丈夫……うん、大丈夫……」
ほら、誰だって家庭の味って違うでしょ? 同棲とか結婚したら味をどちらかが合わせないといけなかったりするって前世で誰かに聞いた事あるし。だから、きっとそれだ。うん。これは当たり前の事、だと、思う。
……私……大丈夫かな……
私は長年世話役として勤めてくれていた麗華と二人でシャレニアに行く事になっている。今まで尽くしてくれた他の侍女や護衛達はついてこない。本当はしきたりで一人で嫁ぐ事になるのだが、お父様がどうしてもという事でリーファだけを連れていく事となった。
「ほ~ら出来たよ、遠慮しないでた~んとお食べ」
「ありがたくいただきます!」
「はぁ……姫様の料理は本当に美味しいです……体が温まります……心に沁みます……」
「それはよかった」
付いて来てくれた皆のために毎日船の上で私が鍋をふるっている。もしかしたら嫁ぎ先で作らせてもらえない可能性があるから、今のうちに料理をしておこうという考えだ。
でも、もうそろそろで皆との旅も終わる。あと5日くらいしたら嫁ぎ先の国に入ることになる。そこからまた首都まで何日かかかることになるんだけど……
「嫁ぎ先で食べられるご飯、美味しいといいなぁ」
「そうですね。暁明とは違ったお料理でしょうし……」
まぁ、まだ少し時間があるんだから船の上でのご飯を堪能するとしよう。
なんて思いつつ、今日も料理を披露した。
それから数日後。嫁ぎ先であるシャレニア王国の港に入った。シャレニア王国は海に面しているから、この港に入ればもうシャレニア王国だ。
「お待ちしておりました、李・翠蘭様」
「ここからは我々シャレニア王国王宮騎士団がお送りいたします」
やっとシャレニア王国に到着だ。あとは馬車で数日。この国の首都に予定通りに着いたら結婚式となる。
「じゃあまたね、皆」
「姫様っ!!」
「我々一同、姫様の幸せを願っております!!」
「どうか、お元気でっ!!」
「うん、皆も体に気を付けてね」
「姫様ぁ!!」
あーはいはい泣かない泣かない。そこでシャレニア王国の人達見てるんだから。とにかく落ち着けお前達。
「お手をどうぞ」
「ありがとう」
この世界に来て、ヨーロッパ風の馬車に乗るのはこれが初めてである。今までは中華風の馬車を使っていたから。マンガとかで見た事はあるけれど、いざ乗るとなると少し緊張する。
踏み台があり、差し出してくれた手に自分の手を重ねて馬車の中へ。椅子はふかふか。座りごこちがとてもいい。きっと馬車が揺れたとしてもお尻が痛くならないかも。
向こうの馬車だと正座だし足が痺れたから足を崩したり体育座りで我慢していたのだけれど、これなら快適ね。
それからリーファも一緒に乗っての出発となった。
国の王女だから大人しくしなければ、と心がけてはいるけれど、初めて踏み入れた地だから好奇心が出てしまう。そもそも、しきたりで暁明から出た事がないのだから気分が上がるのは当たり前だ。
「とても素敵な景色ですね」
「そうね、初めて来たから」
「暁明と違う事ばかりではございますが、奥様のお役に立てるよう精進いたしますので、どうぞこれからもよろしくお願いします」
「リーファがいてくれてとても心強いよ」
いや、本当に。しきたり通りに一人で嫁いだら大変な事になってたはず。だから来てくれたことが本当に嬉しい。
お父様への感謝を噛み締めつつも、外を眺めた。国が変わると文化や雰囲気までが一気に変わる。シャレニア王国は、いわゆるヨーロッパ風だ。建物などを眺めると、何となくイギリスに旅行に来たような気分になる。まぁ、観光ではないのだから浮かれてはいられないけれど。
その後は何事もなく決められたルートをたどり、泊まる事が予定されていた宿に無事到着することが出来た。馬車を降りて見渡すと、とても豪華な宿が見える。今日泊まるのはこの宿らしい。
よくあるヨーロッパ系ぽい建物。二階建てで広い建物が多かった母国とは違って背が高い。窓を数えてみると、大体6階くらいだろうか。私としては、これホテルだろ、とツッコミたいところだ。
「ようこそいらっしゃいました、こちらへどうぞ」
姫様モードを崩さずにホテルの中へ。煌びやかに室内を照らす大きなシャンデリアが天井に備え付けられている。母国だと灯籠だから、新鮮に感じる。
部屋に案内され、高級ホテルとまではいかなかったけれど、ファンタジーマンガで出てきそうな貴族の屋敷を思わせる部屋に招かれた。
赤を基調としたものばかりなところを見ると、きっと気を遣ったんだろうな。母国の本宮は赤が基本の建物ばかりだから。慣れない事ばかりだろうから、見慣れた色の部屋の方がいいだろう、と。
うん、おもてなしの素晴らしいホテルだ。けれど、一番不安なものが一つ。
食事のご準備が出来ましたと呼ばれ、とある部屋へ案内された。私の斜め後ろについてくるリーファもどこか緊張気味……というか、ハラハラしている。うん、言いたいことは分かる。
案内されたへやには、テーブルと椅子が用意されいて、着席すると料理長が現れた。洋食の料理長のような白い服装だ。
「本日はこのホテルにお立ち寄りいただき誠に光栄でございます。僭越ながら、このレストランの代表を務めております私がお食事をご用意させていただきました。シャレニア王国の特産物を取り入れたものをご用意いたしましたので、お楽しみいただけると光栄です」
そうして私の前に並べられた料理。ここはフレンチレストランのコース料理のように出される仕組みらしく、食べ終わったら次の料理が出てくるらしい。最初に出てきたのは野菜がふんだんに使われた料理。オードブル、前菜なのかな。
「……」
「いかがでしょうか」
「……とても不思議な、味ね」
私の口には到底合わない料理、と言いたい。それくらい、よく分からない味だった。美味しい、と言えば嘘になりそうだ。この、野菜に絡められたソースは一体何なんだ。
その後スープを出された。見た目はポタージュのようだけれど……一口目でスプーンが止まってしまうくらい、強烈な味だった。濃い。非常に、濃い。
「……その、長旅で疲れてるみたいだから、量を減らしてもらいたいのだけれど、いいかしら」
「かしこまりました」
食材すらよく分からず、恐らくあの野菜だろうというものはあったけれど知っている味は見つからず、その代わりに強烈な……スパイス? よく分からないけれど、私の口に合わなかった、では片づけられないくらいの衝撃的な味だった。これは、マズいぞ。と悪寒までしてしまう。
私の様子を見ていたリーファは……青ざめていた。食材の為にちゃんと残さず食べるという私の性格を知っているから、ワインは「奥様はお疲れのようですからアルコールではなくお水でお願いいたします」と気を利かせてくれた。
そして、お水を何杯も飲む私のコップに、空にならないよう何杯も注いでくれた。
いやまさか。……いや、このホテルだけかもしれない。
……と思っていたのに、私の期待をことごとく粉々に砕いてきた。食材に失礼だぞと怒りを出しそうになってしまうほどの料理が私の目の前に出されて、料理を減らしてほしい、最終的には味を薄くしてほしいとまで言ってしまう始末。我儘ですみません。
あぁ、家に帰りたい。
早くも、心の中で弱音を吐いてしまった。まだ結婚式すら挙げていないにもかかわらず。
「奥様……」
「大丈夫……うん、大丈夫……」
ほら、誰だって家庭の味って違うでしょ? 同棲とか結婚したら味をどちらかが合わせないといけなかったりするって前世で誰かに聞いた事あるし。だから、きっとそれだ。うん。これは当たり前の事、だと、思う。
……私……大丈夫かな……
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