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◇21 まさかのわんこ?
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「……あの、旦那様、一旦離れていただけないでしょうか……」
「はいどうぞ」
「……ありがとうございます」
それからというものの、旦那様のわんこ化が進み、常にべったりとなってしまった。あの余裕たっぷりの大人な旦那様は一体どこに行った。
『やっぱり我慢はよくないよね? 年上だからって大人ぶって意地張っても意味ないし』
なんて言いつつくっついてくるんだが。何、我慢って。しかも、大人ぶってたんだ、意地まで張って……それを考えると、嬉しいかもしれない。何となく陛下方が旦那様を招集した理由が分かった気がする、うん。
……でも、言ってみれば私の料理でここまで旦那様をわんこ化させたって事よね。だいぶ複雑だ。変なものは食べてないはずなのに。
「へぇ、今日もスイランが淹れてくれるんだ」
「……旦那様にお茶を淹れる係は、私なので……」
「嬉しい、ありがとうスイラン」
今日のアフタヌーンティーにはハーブティーを用意した。あの陛下方とのお茶会の事があり紅茶を飲む気にはなれなかった。リラックス効果もあるから、落ち着いた時間を過ごしたいと思いそれを選んだ。
このお茶はハーブティーだからカフェインがない。だから、就寝前にも飲めるお茶である。あのお茶を目の前にしてカフェインを取る気がうせてしまった、というところもある。
この国では、大量に茶葉をポットに入れて飲むのが普通。でも、そんな事をすればカフェインを過剰摂取してしまう。カフェイン過剰摂取に対する体への影響はいくつもある。それに、妊婦さんが飲めば胎児にだって影響を及ぼしてしまう。
シャレニア王国の出生率は暁明王国の出生率をだいぶ下回っている。そして、出産時の死亡ケースも少なくない。きっとそれは、身体の健康が直結しているはずだ。
暁明も最初は出生率は低かったものの、今では爆上がりで人口増加となっている。子供が生まれるという事はすなわち、国の存続に直結するのだ。だから、今では元気に働く若者たちが増えている。
だからこそ、出生率を上げる事は国にとって重要な事となる。
となると、まずは紅茶を何とかしたいところだ。人間が健康になる為には生活習慣を改善させる事。運動に睡眠、そして食事。だからこそ、食事を改善しないといけない。
そして旦那様も、仕事に行く際にはお弁当をお願いしたいと言ってきた。それだけ、もう暁明料理(?)の虜となってしまったのだ。これなら旦那様は健康で長生きすること間違いなし。旦那様は重要な役職についていらっしゃるから、長生きで頑張っていただきたい。
身体が健康であれば調子よく仕事が出来るしね。
だから、お弁当は美味しく作らせていただきますよ。
「ス~イランっ、明日デートしよっか」
「え?」
「休暇もあと少ししかないから、一緒にお出かけしよ?」
デート、ですか……デートなんて初めてなのですが……大丈夫かな。
何か言いたいところではあるけれど、この満面の笑みで行き先は秘密と言われてしまえば……そうするしか出来ない。
「楽しみにしてて」
「……分かりました」
となると、お昼ご飯のお弁当がいるか。じゃあ、明日のお弁当は何にしようかな。サンドウィッチ……いや、おにぎりか。うん、おにぎり一択だな。具は鮭か。
あとは……何がいいかな。なんて内心ちょっと浮かれていた。
何となくではあるけれど、旦那様は、私と一緒に湯浴みをしたいらしい。遠回しにそう言ってくるけれど、さすがにちょっとそれは恥ずかしいからとやんわり断っている。旦那様としても、無理強いはしたくないらしいからそこで折れてくれる。私と喧嘩したくないらしいから、なんだと思う。
「よろしいのですか? 奥様」
「何、リーファ」
湯浴み係のリーファは、こんな様子の私達を心配しているのか、遠回しにそう聞いてくる。けれど……あんなイケメンな旦那様とお風呂だなんて、ハードルが高すぎる。
リーファは、まだ数日間しか一緒にいない旦那様だから何か思う事があるんじゃないかと心配しているみたいだけど、決してそんな事はない。ハードルが高いだけだ。
まぁ、寝室は一緒なんだけどさ。これからべったりタイムが来る。さて困ったぞ。
と、思いつつも寝室に向かったけれど……寝室の扉の前で旦那様が見えた。それと、執事のセドリックも。話をしているのかな。
「――いや、この件に関しては俺の方から……」
紙を持ちながら話しているから、もしかしたら仕事の話なのかな。休暇ではあっても、仕事はあるらしい。でも、ずっと私にべったりだったよね。ちゃんと仕事しないといけなかったのでは?
話が終わるまでここで立ってるのはなぁ、と思いつつ来た道を戻ろうとしたけれど……
「あ、スイラン」
見つかった。結構離れているのに、さすが騎士様だ。
紙をセドリックに渡してから、おいでと手招きされてしまった。
「お仕事ですか?」
「うん、まぁ……でも終わったから大丈夫だよ」
……本当に? そう言いたかったところではあるけれど、満面の笑みで握られた手を引かれてしまい、そのまま二人で寝室に。
「明日のデート、楽しみだね。あぁ、お弁当はコック達に任せたからスイランは明日の準備、ゆっくりでいいよ」
「そう、ですか……」
ちらり、と横にいる旦那様を見上げると……お風呂上りなのか、ポタ、ポタと髪から水滴が垂れている事に気が付いた。急いで出たのかな、お風呂。
ごしごしと雑に髪をタオルで拭いているけれど……
「……あまり乗り気じゃない?」
「えっ? あ、いえ、楽しみです」
生返事をしてしまったからか、そう思われてしまった。頭を撫でてくれるけれど、ちょっとがっかりさせちゃったかな。
「……あの、旦那様、お仕事……」
「仕事? 大丈夫だよ。まだ休暇だしね」
確かに、休暇ではあるけれど……本当に? 旦那様はお忙しい役職だし、大公家の当主でもある。それなのに、初めてシャレニアに来た私の為に無理に時間を空けてデートに誘わなくても……
「スイラン」
「あっ」
そうグルグル考えていると、いきなり抱き上げられてしまった事に気が付いた。そして、ソファーに座った旦那様の膝に降ろされてしまう。
「本当に仕事は大丈夫だよ。さっきのはただのちょっとした確認だっただけだしね。だから、スイランは気にしなくていい」
「……」
「俺、結構楽しみにしてるんだ。スイランと初めてのデートに。だってスイラン、暁明から出たのはこの結婚が初めてでしょ? なら、スイランにとって初めてのことが沢山あるって事だ。だから、一緒にスイランの初めてを探したいな」
私の、初めて……まぁ、確かに暁明から出たのは今回が初めてだ。レッスンでシャレニア王国の事を学んだけれど、実際に見るのとではわけが違う。
それを、旦那様と一緒に探すのは……楽しそうではある。
「……楽しみ、です」
「うん」
どこに行くのかは知らないけれど、きっと楽しいところだと思う。楽しみ、だな。
一体どこに行くんだろう。秘密だって言ってたけれど……シャレニアのデートスポットってどうなんだろう? そう考えていると、ポタっと旦那様の前髪からまた水が垂れた。拭ききれていなかったのかな。
旦那様の肩にかけてあったタオルに手を伸ばし、そしてそのタオルで旦那様の頭に乗せた。
「あ、ごめん。服、濡れちゃった?」
そして、わしゃわしゃとそっと髪を拭いてみた。
「いいよ」
「風邪、引いちゃいますよ」
まぁ、強い騎士様が風邪を引くかは疑問だけれど。
でも、口では断っているけれど、続ける私を止める事はしてこない。むしろ嬉しそうでもある。
それにしても旦那様の髪は、とっても綺麗な赤だ。こうマジマジと見ることはなかったから、ついじーっと見てしまう。
「……赤、綺麗ですね」
「スイランのピンクも綺麗だけどね。赤、好き?」
サラッとそんな事を言わないでほしい。やめてください、顔が火照りそうだから。
「……強い騎士様っぽくて、好きです。ただのイメージですけど……」
「赤い髪で生まれてよかったぁ。嬉しい、運命?」
あの、変な事言わないでください。リアクションに困るから。はぁ、顔良すぎる。
まぁでも、こんなにカッコいい旦那様とデートが出来るなんて、私は幸運だな。明日がとても楽しみだ。
「はいどうぞ」
「……ありがとうございます」
それからというものの、旦那様のわんこ化が進み、常にべったりとなってしまった。あの余裕たっぷりの大人な旦那様は一体どこに行った。
『やっぱり我慢はよくないよね? 年上だからって大人ぶって意地張っても意味ないし』
なんて言いつつくっついてくるんだが。何、我慢って。しかも、大人ぶってたんだ、意地まで張って……それを考えると、嬉しいかもしれない。何となく陛下方が旦那様を招集した理由が分かった気がする、うん。
……でも、言ってみれば私の料理でここまで旦那様をわんこ化させたって事よね。だいぶ複雑だ。変なものは食べてないはずなのに。
「へぇ、今日もスイランが淹れてくれるんだ」
「……旦那様にお茶を淹れる係は、私なので……」
「嬉しい、ありがとうスイラン」
今日のアフタヌーンティーにはハーブティーを用意した。あの陛下方とのお茶会の事があり紅茶を飲む気にはなれなかった。リラックス効果もあるから、落ち着いた時間を過ごしたいと思いそれを選んだ。
このお茶はハーブティーだからカフェインがない。だから、就寝前にも飲めるお茶である。あのお茶を目の前にしてカフェインを取る気がうせてしまった、というところもある。
この国では、大量に茶葉をポットに入れて飲むのが普通。でも、そんな事をすればカフェインを過剰摂取してしまう。カフェイン過剰摂取に対する体への影響はいくつもある。それに、妊婦さんが飲めば胎児にだって影響を及ぼしてしまう。
シャレニア王国の出生率は暁明王国の出生率をだいぶ下回っている。そして、出産時の死亡ケースも少なくない。きっとそれは、身体の健康が直結しているはずだ。
暁明も最初は出生率は低かったものの、今では爆上がりで人口増加となっている。子供が生まれるという事はすなわち、国の存続に直結するのだ。だから、今では元気に働く若者たちが増えている。
だからこそ、出生率を上げる事は国にとって重要な事となる。
となると、まずは紅茶を何とかしたいところだ。人間が健康になる為には生活習慣を改善させる事。運動に睡眠、そして食事。だからこそ、食事を改善しないといけない。
そして旦那様も、仕事に行く際にはお弁当をお願いしたいと言ってきた。それだけ、もう暁明料理(?)の虜となってしまったのだ。これなら旦那様は健康で長生きすること間違いなし。旦那様は重要な役職についていらっしゃるから、長生きで頑張っていただきたい。
身体が健康であれば調子よく仕事が出来るしね。
だから、お弁当は美味しく作らせていただきますよ。
「ス~イランっ、明日デートしよっか」
「え?」
「休暇もあと少ししかないから、一緒にお出かけしよ?」
デート、ですか……デートなんて初めてなのですが……大丈夫かな。
何か言いたいところではあるけれど、この満面の笑みで行き先は秘密と言われてしまえば……そうするしか出来ない。
「楽しみにしてて」
「……分かりました」
となると、お昼ご飯のお弁当がいるか。じゃあ、明日のお弁当は何にしようかな。サンドウィッチ……いや、おにぎりか。うん、おにぎり一択だな。具は鮭か。
あとは……何がいいかな。なんて内心ちょっと浮かれていた。
何となくではあるけれど、旦那様は、私と一緒に湯浴みをしたいらしい。遠回しにそう言ってくるけれど、さすがにちょっとそれは恥ずかしいからとやんわり断っている。旦那様としても、無理強いはしたくないらしいからそこで折れてくれる。私と喧嘩したくないらしいから、なんだと思う。
「よろしいのですか? 奥様」
「何、リーファ」
湯浴み係のリーファは、こんな様子の私達を心配しているのか、遠回しにそう聞いてくる。けれど……あんなイケメンな旦那様とお風呂だなんて、ハードルが高すぎる。
リーファは、まだ数日間しか一緒にいない旦那様だから何か思う事があるんじゃないかと心配しているみたいだけど、決してそんな事はない。ハードルが高いだけだ。
まぁ、寝室は一緒なんだけどさ。これからべったりタイムが来る。さて困ったぞ。
と、思いつつも寝室に向かったけれど……寝室の扉の前で旦那様が見えた。それと、執事のセドリックも。話をしているのかな。
「――いや、この件に関しては俺の方から……」
紙を持ちながら話しているから、もしかしたら仕事の話なのかな。休暇ではあっても、仕事はあるらしい。でも、ずっと私にべったりだったよね。ちゃんと仕事しないといけなかったのでは?
話が終わるまでここで立ってるのはなぁ、と思いつつ来た道を戻ろうとしたけれど……
「あ、スイラン」
見つかった。結構離れているのに、さすが騎士様だ。
紙をセドリックに渡してから、おいでと手招きされてしまった。
「お仕事ですか?」
「うん、まぁ……でも終わったから大丈夫だよ」
……本当に? そう言いたかったところではあるけれど、満面の笑みで握られた手を引かれてしまい、そのまま二人で寝室に。
「明日のデート、楽しみだね。あぁ、お弁当はコック達に任せたからスイランは明日の準備、ゆっくりでいいよ」
「そう、ですか……」
ちらり、と横にいる旦那様を見上げると……お風呂上りなのか、ポタ、ポタと髪から水滴が垂れている事に気が付いた。急いで出たのかな、お風呂。
ごしごしと雑に髪をタオルで拭いているけれど……
「……あまり乗り気じゃない?」
「えっ? あ、いえ、楽しみです」
生返事をしてしまったからか、そう思われてしまった。頭を撫でてくれるけれど、ちょっとがっかりさせちゃったかな。
「……あの、旦那様、お仕事……」
「仕事? 大丈夫だよ。まだ休暇だしね」
確かに、休暇ではあるけれど……本当に? 旦那様はお忙しい役職だし、大公家の当主でもある。それなのに、初めてシャレニアに来た私の為に無理に時間を空けてデートに誘わなくても……
「スイラン」
「あっ」
そうグルグル考えていると、いきなり抱き上げられてしまった事に気が付いた。そして、ソファーに座った旦那様の膝に降ろされてしまう。
「本当に仕事は大丈夫だよ。さっきのはただのちょっとした確認だっただけだしね。だから、スイランは気にしなくていい」
「……」
「俺、結構楽しみにしてるんだ。スイランと初めてのデートに。だってスイラン、暁明から出たのはこの結婚が初めてでしょ? なら、スイランにとって初めてのことが沢山あるって事だ。だから、一緒にスイランの初めてを探したいな」
私の、初めて……まぁ、確かに暁明から出たのは今回が初めてだ。レッスンでシャレニア王国の事を学んだけれど、実際に見るのとではわけが違う。
それを、旦那様と一緒に探すのは……楽しそうではある。
「……楽しみ、です」
「うん」
どこに行くのかは知らないけれど、きっと楽しいところだと思う。楽しみ、だな。
一体どこに行くんだろう。秘密だって言ってたけれど……シャレニアのデートスポットってどうなんだろう? そう考えていると、ポタっと旦那様の前髪からまた水が垂れた。拭ききれていなかったのかな。
旦那様の肩にかけてあったタオルに手を伸ばし、そしてそのタオルで旦那様の頭に乗せた。
「あ、ごめん。服、濡れちゃった?」
そして、わしゃわしゃとそっと髪を拭いてみた。
「いいよ」
「風邪、引いちゃいますよ」
まぁ、強い騎士様が風邪を引くかは疑問だけれど。
でも、口では断っているけれど、続ける私を止める事はしてこない。むしろ嬉しそうでもある。
それにしても旦那様の髪は、とっても綺麗な赤だ。こうマジマジと見ることはなかったから、ついじーっと見てしまう。
「……赤、綺麗ですね」
「スイランのピンクも綺麗だけどね。赤、好き?」
サラッとそんな事を言わないでほしい。やめてください、顔が火照りそうだから。
「……強い騎士様っぽくて、好きです。ただのイメージですけど……」
「赤い髪で生まれてよかったぁ。嬉しい、運命?」
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