目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜

楠ノ木雫

文字の大きさ
45 / 115
第六章 カーネリアン王国の夏

◇45 出発!

しおりを挟む
 私は、ナナミちゃん、タクミ君と同じ馬車に乗ったる事になった。全員一緒の馬車となると窮屈だし男性がタクミ君一人だけだから気まずいと思うから。まぁ、両手に花ではあるけれど。

 因みに二人の今の恰好は洋服。いつもの和服だと目立つから、だそうだ。やっぱりそういう姿を見ると新鮮に感じるかも。

 ふと馬車の中から外を覗いてみると、首都の門が見えてくる。


「もしかしてアヤメちゃんって首都から出た事ない?」

「あぁ、あるよ。第二首都と第三首都だけだけど」

「あ、そっか。そっちにも新しく郵便局作ったんだよね」

「そうそう、それの下見に何回か行ったんだ」


 事業を立ち上げたのは私なんだから、現場を見ないとと思ってマリア達と一緒に向かった事がある。でも一回だけだったし、ちゃんとは見れなかったからもう一回視察をするつもりではある。

 これから、第三首都ターザニシアスに行くみたい。そこで宿に泊まってから、スラス伯爵領を通って隣のアドマンス領に。と言ってもアドマンス領地はとっても広いらしくて、領地に入ったとしても屋敷までは遠いから一晩宿を取る事になる。

 だからアドマンス領の屋敷まで4日間かけて行くことになる。


「スフェーンからここに来るまで大体20日くらいだったから、私達は旅には慣れてるかな。アヤメちゃんは旅行初めてなんでしょ?」

「うん。というより、ここに来る前も全然旅行って行った事ないんだよね」

「じゃあ人生で初めての旅行って事か?」

「うん、そうかも」


 まさかこんなところで旅行が出来るとは思わなかったよ。

 というか、2人の母国まで20日かかるなんて、やっぱり隣国じゃないからそれなりには距離があるよね。

 それにしても、この馬車の中は本当に涼しい。この馬車には冷気魔導具搭載されているらしい。初夏で体調を崩した私の為に用意してくれたみたいで、あと魔道具の日傘にも涼しい機能が搭載されているらしい。

 そして何より、今回の旅ではあの方がご同行してくださった。それは、シモン先生。

 え、先生も一緒にいいんですか? って思ったんだけど、先生本人はもうウキウキだった。アドマンス領ってそれだけ涼しくて快適な場所らしい。そりゃ、こんな猛暑の中城の中で仕事するよりこっちで旅行した方がいいに決まってる。楽しい旅行にしましょうね、先生。


「体調は?」

「平気で~す!」

「本当か?」

「本当です~~!」

「私達、夫人からアヤメちゃんの体調確認の任務課せられてるから、ちゃんと言ってね?」

「え、そうなの?」

「そ」


 お母様ったら、私を何だと思ってるんです? 気分悪い時はちゃんと言いますって。もう。


 これから行く第3首都は行ったことあるけどよく知らないからどんな宿なのかとっても楽しみ。

 と、思っていたのに……


「え……ホテルじゃん」


 4階建てでそこまで高くはないけど、とっても大きい建物。そして見た目がモロホテル。え、ここですか。


「アヤメ、転ぶぞ」

「あ、うん、ありがと……」


 馬車を降りようとしていたけれど、驚きすぎて踏み外すところだった。タクミ君が出してくれた手に掴まったけど。何とも紳士な方である。……けど、ナナミちゃんには出さないらしい。


「おいコラ愚兄」

「あ?」


 ……ナナミちゃん、半ギレですか。

 見なかった事にしつつも中に入ると、やっぱりホテルだと感じた。広いエントランスがあって、奥にカウンター。受け付けはあそこでするのかな。


「お待ちしておりました、オーナー・・・・


 ……ん? オーナー? お母様にそう言った?

 予約してるって聞いたけれど……


「あら、知らなかったのね。このホテル、アドマンス家が経営してるのよ」

「……わぁ」


 なるほど、そういう事でしたか。凄いな、アドマンス家。知ってたけど。私が知る事業だけでも凄いなぁって思ってたけど、もう一つですか。あとでそういうの聞いてみようかな。

 と思いつつ、受付を終えた。

 ちらりと見えた、ジルベルト達。私達の荷物、運んでくれてる。


「アヤメちゃんが教えてくれたエレベーター、このホテルに導入したいなって思ってるの」


 ……言ったな、エレベーター。ナカムラ兄妹が遊びに来てくれた時日本にあるエレベーターが話に出てきたんだった。そこからお母様に話してエレベーター制作が始まってたんだった。私そこからノータッチだったからどうなってるのか知らなかった。


「なるほど、お客様のお荷物部屋に運ぶならあった方がいいですよね」

「そう。あとで話そうと思ってたんだけど……でも今日は旅行で来たから、この話は後にしましょうか」

「はい!」


 エレベータ―は安全をきちんと確保しないといけないからまだ時間がかかると思うな。


 今日は、お母様とリアさん、私とナナミちゃん、タクミ君で部屋に別れる事になっている。


「わぁ! 広い!」

「おぉー!」


 部屋もとっても綺麗で、やっぱりホテルだった。スイート? スイートなの?

 ナナミちゃんは、ベッドふかふか~! と大はしゃぎだ。窓の外の眺めもとっても綺麗。魔道具の灯りが並んで夜もとっても綺麗だって聞いた。楽しみだなぁ。

 夜の食事も新鮮だった。屋敷と【なかむら】以外で食事したことなかったし、ナナミちゃんとタクミ君と一緒に食事したことなかった。ナイフとフォークを優雅に使う二人が不思議に見えてつい笑ってしまいそうになった。

 ……お口に合ったかどうかは、分からないけれど。


「ねーねーアヤメちゃん、恋バナしよーよ!」

「え?」


 もう寝る準備万端、というところでナナミちゃんがそう言い出した。あるあるだよね、こういうのって。


「気になる人とかいないの?」

「ん~、そういうの分かんないや」

「え~つまんな~い」


 そういうの考えたことなかったし。そもそもそんな余裕なかったし。【クローバー】と【フラワーメール】が忙しすぎたのがあったから。


「ほら、一緒にいて楽しいとか、寂しくなった時ふと思い出す人とか、女の人と喋っててモヤモヤするとか、ないの?」


 ん~、あ、思い当たる人……いや、違うかな。

 それじゃナナミちゃんは? と質問返しをしておいた。ほんと、乙女だなぁ。


「ん~、私もないかも」

「一緒じゃん」

「あ、でもアヤメちゃんのお兄さんかっこいいな~っては思ったよ?」

「お兄様イケメンだもんね、毎日会う度眩しいもん。ナナミちゃんって面食い?」

「顔は最重要事項でしょ。顔よし、性格よし、高収入、そして腕の立つ人が一番の理想かな」

「えっ、お兄様じゃない」


 性格は……まぁ攻略すればいける?


「え? 強いの?」

「この国の近衛騎士団副団長」

「えぇ~!? もう最高じゃない!!」


 あ、だからお兄様を見るご令嬢の目があんなにギラギラしてたのね。理想の旦那像ってやつ? アドマンス家の後継者だし。本人は興味なさそうだけど。


「お兄様今婚約者いないよ。好きな人とかは聞いた事ないけれど……いなさそうかな?」

「へぇ~、アドマンス家の嫡男なのに意外! 婚約者いるんだと思ってた! そっか~狙い目? でも、物静かで寡黙っぽいよね。考えてる事全然表に出さないタイプ」

「ん~、確かにお兄様は表情を出さないけれど、甘いもの食べた時とかは表情筋仕事するよ」

「甘いもの好き……ギャップやば」


 そんな話で盛り上がり、早く寝るのよとお母様に言われてたからすぐにおやすみと灯りを消した。

しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

異世界で温泉はじめました 〜聖女召喚に巻き込まれたので作ってみたら魔物に大人気です!〜

冬野月子
恋愛
アルバイトの帰り道。ヒナノは魔王を倒す聖女だという後輩リンの召喚に巻き込まれた。 帰る術がないため仕方なく異世界で暮らし始めたヒナノは食事係として魔物討伐に同行することになる。そこで魔物の襲撃に遭い崖から落ち大怪我を負うが、自分が魔法を使えることを知った。 山の中を彷徨ううちに源泉を見つけたヒナノは魔法を駆使して大好きな温泉を作る。その温泉は魔法の効果か、魔物の傷も治せるのだ。 助けたことがきっかけで出会った半魔の青年エーリックと暮らしながら、魔物たちを癒す平穏な日々を過ごしていたある日、温泉に勇者たちが現れた。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています

せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?

志波 連
恋愛
病弱な父親とまだ学生の弟を抱えた没落寸前のオースティン伯爵家令嬢であるルシアに縁談が来た。相手は学生時代、一方的に憧れていた上級生であるエルランド伯爵家の嫡男ルイス。 父の看病と伯爵家業務で忙しく、結婚は諦めていたルシアだったが、結婚すれば多額の資金援助を受けられるという条件に、嫁ぐ決意を固める。 多忙を理由に顔合わせにも婚約式にも出てこないルイス。不信感を抱くが、弟のためには絶対に援助が必要だと考えるルシアは、黙って全てを受け入れた。 オースティン伯爵の健康状態を考慮して半年後に結婚式をあげることになり、ルイスが住んでいるエルランド伯爵家のタウンハウスに同居するためにやってきたルシア。 それでも帰ってこない夫に泣くことも怒ることも縋ることもせず、非道な夫を庇い続けるルシアの姿に深く同情した使用人たちは遂に立ち上がる。 この作品は小説家になろう及びpixivでも掲載しています ホットランキング1位!ありがとうございます!皆様のおかげです!感謝します!

騎士団寮のシングルマザー

古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。 突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。 しかし、目を覚ますとそこは森の中。 異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる! ……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!? ※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。 ※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。

召喚先は、誰も居ない森でした

みん
恋愛
事故に巻き込まれて行方不明になった母を探す茉白。そんな茉白を側で支えてくれていた留学生のフィンもまた、居なくなってしまい、寂しいながらも毎日を過ごしていた。そんなある日、バイト帰りに名前を呼ばれたかと思った次の瞬間、眩しい程の光に包まれて── 次に目を開けた時、茉白は森の中に居た。そして、そこには誰も居らず── その先で、茉白が見たモノは── 最初はシリアス展開が続きます。 ❋他視点のお話もあります ❋独自設定有り ❋気を付けてはいますが、誤字脱字があると思います。気付いた時に訂正していきます。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

処理中です...