目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜

楠ノ木雫

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第十章 幸せとは

◇102 結婚披露宴パーティー

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 今社交会で出回っている噂は、トリストン殿下と私が近々婚約するかもしれないというもの。最近私と一緒にいる所をよく見るナカムラ家の次男は、ただ同じ故郷の者の血を継いでいる人物だから何かと頼っているという事だけ。というものだ。

 その噂を流したのは、この国の王妃様。それを知らせてくれたのは今回の主役である王太子妃殿下だ。

 彼女は、自分に出来る事は何でもする、とおっしゃって下さった。

 だから、彼女の言葉に甘える事にしたのだ。


「アドマンス公爵、アドマンス公爵夫人、アドマンス令嬢、ナカムラ男爵家子息・・・・・・・・・のご入場です!」


 結婚披露宴パーティーに、タクミを参加させてもらえる許可を頂いたのだ。


「……分かってはいたけど、居心地悪いな」

「視線が痛い。いつも以上だよこれ」

「まぁ、そうなるだろうな。だって俺がいるんだもん」


 私のパートナーにタクミを選んだ。そして、お父様とお母様も一緒に入場した。私の左手の薬指には結婚式では付けていなかった指輪。これは、親公認でお付き合いをしていて、婚約もしていますよ~っていう事を周りに言っているようなものらしい。

 因みにこれを考えたのはお母様。ここにいないお兄様は、お父様が私達と一緒に入場する事になり代わりにフェレール団長さんと警護のお仕事中です。すんごく嫌そうな顔をしていたけれど。あんな顔私初めて見た。

 その後、一番最後に入場した王族の方々。ちらり、と王妃様と目が合い、驚いた顔を見せたのだ。きっとそれは、私の隣にいる人物のせいだろう。

 あ、あと王太子妃殿下は私にニコリと微笑まれた。本当にありがとうございます、殿下。

 王様の乾杯の合図で、結婚披露宴パーティーは始まったのだ。


「やるわね、アヤメ」

「お母様に教えてもらったの」


 人より先に私達の元へやってきたのはカリナだった。というより、周りは話しかけづらいというのが本音なのかな。噂とは違うぞって疑っていたりしているのかも。

 実はカリナにも今日タクミが来る事は知らせてなかった。知っていたのはアドマンス家の人達と、王太子妃殿下、あとドレスと紳士服を作ってくださったリアさんだけ。




「お久しぶりでございます、アドマンス嬢。して、そちらの方は……」

「あぁ、私の婚約者です」

「初めまして、タクミ・ナカムラです」


 あ~らら~、皆さん唖然としてません? 最初の噂では【なかむら】の店主とお付き合いしているのかもと言われていたけれど、まさか婚約までするなんて、と思ってるのかしら。


「サミットの会食を担当したと聞きました。さすがスフェーン王国を料理大国に導いた異世界人のお孫さんですね。今度お店にもうかがわせてください」

「お褒めに頂き光栄です。お待ちしています」


 うわぁ、凄くニコニコしてるよこの人。余所行きの顔ってやつですか。


「こんなに遠い国の方と婚約だなんて、色々と大変なのでは?」

「確かに隣国でもありませんが、私達にとってそれは苦ではありません。それに最近はセオリシア王国を通ることが出来るようになりましたので、半分の日数で行き来する事が出来るようになりましたしね」

「あらまぁ、お二人はそこまで愛し合っていただなんて。理想の婚約者像ですね」


 ……あの、やめて下さい。そんな恥ずかしい事をどストレートに言うの。タクミさんも、私にニコニコ顔見せてこないで。


「ですが、アドマンス嬢がこちらにいらしてまだ数ヶ月、それで婚約となるといささか早すぎるのでは?」

「私達にとって時間は関係ありません。ただ私にとってアヤメさんが一番大切な存在になってくれた、それだけでいいんです。それにアヤメさんはとても魅力的な方で人気がありますから、誰かにとられる前に捕まえておかないと大変ですからね」

「確かにそうですね。アドマンス嬢は社交界の人気の的ですから、狙っていた子息は何人もいた事でしょう」


 よく本人の前で言えるな。照れるからやめてくれ、お願いだから。質問されて答えなくちゃならない場なのは分かるけどさ。


「疲れたか?」

「大丈夫」

「疲れたら言って」

「はーい」


 パーティーで一緒にいるのはこれが二回目。ただでさえ紳士服を着ているのが珍しいっていうのに、貴族バージョンは全っっっ然慣れない。この人誰。何だったら【なかむら】の制服で来ても良かったのに

 そして、登場してしまいました。

 こんな事になってしまった一番の元凶。


「王国の太陽、王妃殿下にご挨拶いたします」

「お初にお目にかかります、スフェーン王国ナカムラ男爵家の次男、タクミ・ナカムラでございます」

「初めまして、この場にいるという事は、もしかしてアヤメさんの今日の・・・パートナーかしら」


 今日の、が強調されたんだけど。タクミは今日だけって言いたいのかしら。


「あぁ、ご紹介が遅れてしまい申し訳ありません。タクミさんは私の婚約者です。なので、私のパートナーとして彼にエスコートしていただきました」

「……そう、じゃあその指輪は婚約指輪だったのね。おめでとう」

「勿体ないお言葉です」

「光栄です」


 うわ、笑顔怖っ。どれだけトリストン殿下と結婚させたかったのよ。

 すると、音楽が奏でられ始めた、今日のパーティーはダンスパーティー。王太子妃殿下はとてもダンスがお上手で好きだからと取り入れられたのだとか。

 この会場にはカーネリアンの人達とオリコットの人達がいる。それぞれ踊れる曲が違うから、順番ずつ曲が流れて踊ることになっている。あ、勿論皇太子妃様達はどちらも踊れるらしい。


「あら、ダンスが始まるのね。でも困ったわね、今日はスフェーンの曲は用意されてないの。それに、あなたの知ってるワルツもないから……でもアヤメさんはアドマンス家令嬢だから踊らない訳にはいかないわ。そしたら、トリスはどうかしら。トリスならアヤメさんの相手にふさわしいと思うのだけれど」


 やっぱりまだ諦めてくれないか。まさかダンスパートナーに殿下の名前を出すとは。次は従妹だからとか理由に出してきそうな気もしなくもない。殿下との手紙のやり取りの際とかにはもう家族なんだからとか言われたし。でも……


「ご心配なさらないでください。私は踊れますので」

「えっ」

「スフェーンとカーネリアンの文化や礼儀作法は少し違う所はありますから、今は勉強中なのです。ですが、ダンスは結構得意なんです。アヤメさんも私と何度も踊っていますので私がパートナーの方が躍りやすいかと思います」


 実は別荘でカーネリアンのダンスを習っていたのだ。ほら、レリシアさんが来てたでしょ? こっちに帰ってくるまで彼女にカーネリアンのダンスを教えてもらってたの。

 お母様はこうなる事を見越してレリシアさんを別荘に向かわせたんだと思う。ありがとうございます、お母様。レリシアさん。

 だいぶ時間がなかったんだけれど、タクミは上達が早すぎてレリシアさんが驚いていた。だから余程難しい曲ではない限り踊れる。とは言っても難しい曲なんて他の人も踊れる人はそんなにいないから踊る機会はないだろう。というか、私が無理だ。

 それを聞いた王妃殿下は……


「そう、それなら問題ないわね」


 と何となく悔しそうな笑顔で一言二言残し行ってしまったのだ。

 これは、作戦成功?

 隣のタクミは、余所行きではないいつもの笑顔を見せてきたから成功らしい。よかったぁ、これでトリストン殿下との噂はデマだって事が知れ渡る事だろう。

 んじゃ踊ろ~、とダンスホールの真ん中に連行されてしまったけれど、まぁ何とか踊る事は出来たのだった。そう言えば私大衆の中踊るのは初めてだったなと連れてかれてから思い出したから、ド緊張で踊ったけれど。


「何々、緊張してんの? アヤメちゃんは可愛いねぇ~」

「……煩い」


 何とか足は踏まず踊り切ることが出来た。タクミの足は無事でした。

 その後も何事もなくパーティーが終わりを告げたのだ。あの後王様から何か言われちゃうんじゃないかって冷や冷やしてたけど何もなくて良かった。

 はぁ、緊張が解けたら甘いもの食べたくなっちゃった。う~ん、プリン? でもこんな時間だから食べませんよ。太っちゃうもん。だから今度【なかむら】行った時にお願いしよう。

 あ、でもプリンは時間がかかっちゃうから事前に言わなきゃだよね。後で言わなきゃ。楽しみだなぁ。
 
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