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さぁ、はじめようか
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(これは‥‥)
リディアが固まったままイザークを見る。
「お嫌かもしれませんが、メイドが居ないためご辛抱ください」
本来、貴族の女性はメイドが体を洗う。
また平民扱いとはいえ、城に聖女試験として招いた一応客人なのだ。
城が用意した執事だということは、身体を自分で洗わせるようなことは失礼にあたるわけで…。
主人であるリディアの体を洗うためにお風呂まで入ってきたイザークが申し訳ない表情を作る。
流石のリディアもシチュエーションを楽しむ前に、羞恥心の方が勝つ。
固まり立つリディアにイザークが胸に誓いを立てるように手を置く。
「大丈夫です、体には触れません」
「え?」
そう言うなり指をパチンと鳴らす。
あっという間にリディアの体が泡にまみれる。
「おおおっっ」
「そろそろ、流しますね」
こくこくと頷くリディアにまた指をパチンと鳴らす。
すると体の周りにお湯が流れ出す。
「おおおおっっ」
水の生活魔法は何度か見たことはあるが、お湯を出したり、こんなに精密に使っているのは見たこともない。
それに泡の魔法はそうお目にかかるものではない。
高級貴族の間ぐらいしか使われていないだろう。
一般の貴族は普通に石鹸を使って洗う。
それを難なく熟してしまうイザークはやはり城が用意した執事なのだと実感する。
「次に髪ですが…」
「?」
そこで言い淀むイザーク。
「髪がその…大変失礼な発言とは思いますが…、少々痛んでいる様にお見受けられます、頭皮マッサージも兼ねて頭と髪に触れて洗いたいのですが…お許しいただけますか?」
この時点で面倒くさがりなリディアはあっさり状況を受け入れ、女としてそれでいいのかと突っ込みたくなるぐらい見事スッキリ女の羞恥を捨て去った。
「構わないわ、どうすればいいの?」
「!」
了承を得れると思っていなかったのか、今度はイザークの方が驚き固まる。
「どうしたの?」
「いえ、ではリディア様はお湯にお浸かり下さい」
我に返ったイザークに言われた通りお湯に入る。
「では失礼いたします」
頭をイザークの膝に乗せる。
「そう言えば‥」
髪に触れようとした長い指がビクッとし動きを止める。
「どうかなさいましたか?」
「ああ、いえ、その服を着たままでいいの?」
イザークはリディアに気を使ってか執事服を着たままだ。
「問題ありません、すぐに乾かせますので」
「!」
(魔法は便利ねぇ~)
やっぱり魔法を早く使えるようになりたいと心で思いながら、改めて前を向き目を瞑る。
「では始めますね」
イザークの長い指がマッサージするようにリディアの髪を洗っていく。
(はぁ~、これいいわ~、ヘッドスパだわヘッドスパ~)
美容室でやってもらうと高いのよねーと、すっかり羞恥心の欠片さえも捨てたリディアは至れり尽くせりの入浴を楽しんだ。
「ふぅ~‥‥美味しい」
イザークの入れてくれたお茶を飲む。
(はぁあぁあ、いいわ~最っ高だわぁあ~~~)
起きてから丸一日、至れり尽くせりの生活にリディアはとてもご機嫌に酔い痴れていた。
「リディア様、クッキーが焼き上がりました、こちらもどうぞお召し上がりください」
美味しそうなクッキーが差し出される。
丸一日イザークと共にいて、彼の有能ぶりに舌を巻きまくりだった。
執事本来の仕事である主人の身の回りの世話はもちろん、食事にしても掃除にしても、また身のこなしや魔法も何もかも全てが一流。
ただただ感心するばかりだ。
(はぁあ~一家に一人欲しいわ~~~)
そんな邪な考えに浸っていると身体がドンっと何かに体当たりされたと思ったら、腰をギューッとその何かに抱き込まれた。
「姉さま!!会いたかった!!!」
その声にすぐにリオだと気づく。
「目を覚ましたんだね!!良かったぁっっ姉さまっっ」
感無量でリディアに抱き着くリオ。
(いや~すっかりリオの事忘れてたわー)
非情なリディアはリオの存在をすっかり見事に忘れていた。
「姉さま!!こんな所早く出よう?僕こんな所嫌だっっ」
ぐりぐりと顔をお腹に押し付けてくるリオを、安定のリセットを施す。
そしてクッキーを一つ摘まみ、サクサクといい音を立てて食す。
(はぁ~~~、破格クッキーとは段違いね…)
クッキーを堪能するリディア。
「あの…、こちらの方は…、もしかして一緒に連れてこられたというリディア様の義理の弟、リオ様でよろしいでしょうか?」
「っ!」
誰だこいつという様に、グルルルっと威嚇を始めるリオ。
「姉さま一人じゃないの?!‥‥他に気配がない、もしかしてこいつとずっと二人きりで…」
真っ青になるリオを他所にリディアはもう一枚クッキーを手に取る。
サクッサクッサクッ
「はぁ~、これならいくらでも食べられるわ…」
「姉さまっすぐに出よ!今すぐここからっっ」
バタンッッ
そこで派手な音を鳴らしてドアが開く。
「みーつーけーたーーー、ぜぇぜぇぜぇ」
ドアには息を切らしたミドルなガタイのしっかりした男が立っていた。
「まぁた、抜け出しやがってぇ…、今回どうしても見つからねぇからもしかしたらと来てみりゃ、やはりここだったか‥‥」
肩で息をしながらズカズカと部屋に入ってくる。
「どうかなさいましたか?」
スッと男の前にイザークが立つ。
「おおっとすまない、えーと、俺の名はゲラルト、こいつをサディアス様にしつけてくれと頼まれたんだが隙あらば逃亡しやがって、今もまた逃亡しやがったんだが見つからくてな、この施設に入りたがっているのは解っていたから念のためにサディアス様の許可を頂いて見に来たというわけさ」
「そうでしたか…」
サディアスの許可が下りているなら何も言えないとイザークが下がる。
「すまないな、こいつを捕らえたらすぐに出て行くよ」
「!」
そう言ったかと思えば、ミドルダンディなおっさんの姿が消えた。
「チッ」
リオが居た場所で舌打ちする。
「姉さま、このまま出て行こうよ、僕、どこにでも連れて行ってあげるよ」
リディアを抱いて窓の近くに姿を現すリオ。
「はぁ~、このクッキーにこのお茶、流石一流はセンス抜群ね~」
完全リオをリセットしているリディアは、イザークのお茶とクッキーを楽しみ続ける。
「ほぉう?これがお前の大好きな姉さまってのは…」
ミドルダンディがここで改めてマジマジとリオの腕の中にいるリディアを見る。
そんな男の目線から見えないように自分の背を向け、威嚇する。
「姉さま、ねぇ、命令してよっ、あの時みたいに「外に連れ出して」って!」
潤んだ瞳でリディアを見るも、リセット完了しているリディアの目に映るはクッキーとお茶のみだ。
「そいつぁ、辞めといた方がいいぞ?坊主」
お前は黙れと言う様に睨むリオにやれやれと頭お掻く。
「確か、その嬢ちゃんをここに入れたのは殿下だったよな?」
「はい、ジークヴァルト様に間違いございません」
イザークが頷く。
「いいか坊主、今殿下は現国王が倒れて国王代理だ、てことはだ、その嬢ちゃんが出て行くという事は国王に反旗を翻るという事になる、そうなると国中どこにいても追われ続け、あげく男爵程度なら始末される可能性が大いにある」
「!」
リオが驚いてミドルダンディに振り返る。
そんな二人の会話にリディアはお茶を一口啜る。
(なるほど、そういう事…)
よく考えてみると、別にジークヴァルトが連れてきたと言わなくても良かったのだ。
「徴が出たものが見つかった」だけでいい。
それをわざわざジークヴァルト直々に連れてきたとする事で、リディアを逃げないように囲ったのだと理解する。
(お陰で平民待遇ね、別にイザーク有能だからいいけれど…)
「そんな…」
リオが真っ青になり呆然と突っ立つ。
そんなリオの自分を掴む腕をちらりと見る。
(少し肉が付いた?)
痩せ細っていた腕が少しがっしりとしてきているように感じる。
ここで栄養ある物を食べさせてもらっているのだろう。
(いい感じね‥‥)
いずれここからは出て行く予定である。
その時にリオを利用する可能性だってある。
そんな事を考えながらもう一度お茶を飲もうとしてふと思いつく。
(あ…、イザークでもいいかも‥‥)
至れり尽くせりのイザーク、リオも似た所はあるが纏わりつかれるのと下手するとヤンデレになるのは困りものだ。
前にも言ったが、既にリオはヤンデレを発症している。時すでに遅しだ。
しかもリオの隣にいる筈のリディアが今イザークに取って代わられたことで更にヤンデレを開花さしていることにリディアは全く気づいていない。
(このゲームの攻略男子チョロい筈だから、上手くいけばお持ち帰りできる?)
相変わらず邪な考えに没頭するリディア。
「それにな、あの殿下が連れてきたお前のその姉さまは、聖女になる可能性も高い、という事はだ」
さっきまで離れた所にいた筈のミドルダンディが不意に目の前に現れリオに顔を近づける。
「お前の姉さまはこれから沢山の危険が伴う、姉さまを守りたきゃもっと強くならねえと無理だ、いいか?姉さまとずっと一緒にいたいなら俺の特訓でもっと強くなれ」
「‥‥」
押し黙るリオ。
真剣に考えこむリオとは裏腹に呑気にお茶を楽しむ。
危険を伴う前にさっさとここをおさらばする予定のリディアには全く興味のない話だった。
まずはこの場所で情報や技術習得の目的が出来たのでジークヴァルトやサディアスの目論見の囲まれていても今は全く問題ない。
「‥‥強く…」
リオがスッとその場から移動すると、そっとリディアを元の椅子へと座らす。
「姉さま、僕、強くなるよ、もっともっと強く、いつでも姉さまと一緒にどこにでも行けるように、僕頑張るよ!」
そのままリディアに抱き着く。
「待っててね、姉さま」
こうしてリオもまたここに居ることを決めた。
男と名残惜しそうな表情を見せながらリオが去っていく。
また部屋に静けさが戻ってくる。
最後のカップに残ったお茶を飲み干す。
「さて…と」
(これからが大変ね、少し頑張るとしましょうか)
「イザーク」
「はい、何でございましょう?」
「一つ頼みがあるの」
リディアが固まったままイザークを見る。
「お嫌かもしれませんが、メイドが居ないためご辛抱ください」
本来、貴族の女性はメイドが体を洗う。
また平民扱いとはいえ、城に聖女試験として招いた一応客人なのだ。
城が用意した執事だということは、身体を自分で洗わせるようなことは失礼にあたるわけで…。
主人であるリディアの体を洗うためにお風呂まで入ってきたイザークが申し訳ない表情を作る。
流石のリディアもシチュエーションを楽しむ前に、羞恥心の方が勝つ。
固まり立つリディアにイザークが胸に誓いを立てるように手を置く。
「大丈夫です、体には触れません」
「え?」
そう言うなり指をパチンと鳴らす。
あっという間にリディアの体が泡にまみれる。
「おおおっっ」
「そろそろ、流しますね」
こくこくと頷くリディアにまた指をパチンと鳴らす。
すると体の周りにお湯が流れ出す。
「おおおおっっ」
水の生活魔法は何度か見たことはあるが、お湯を出したり、こんなに精密に使っているのは見たこともない。
それに泡の魔法はそうお目にかかるものではない。
高級貴族の間ぐらいしか使われていないだろう。
一般の貴族は普通に石鹸を使って洗う。
それを難なく熟してしまうイザークはやはり城が用意した執事なのだと実感する。
「次に髪ですが…」
「?」
そこで言い淀むイザーク。
「髪がその…大変失礼な発言とは思いますが…、少々痛んでいる様にお見受けられます、頭皮マッサージも兼ねて頭と髪に触れて洗いたいのですが…お許しいただけますか?」
この時点で面倒くさがりなリディアはあっさり状況を受け入れ、女としてそれでいいのかと突っ込みたくなるぐらい見事スッキリ女の羞恥を捨て去った。
「構わないわ、どうすればいいの?」
「!」
了承を得れると思っていなかったのか、今度はイザークの方が驚き固まる。
「どうしたの?」
「いえ、ではリディア様はお湯にお浸かり下さい」
我に返ったイザークに言われた通りお湯に入る。
「では失礼いたします」
頭をイザークの膝に乗せる。
「そう言えば‥」
髪に触れようとした長い指がビクッとし動きを止める。
「どうかなさいましたか?」
「ああ、いえ、その服を着たままでいいの?」
イザークはリディアに気を使ってか執事服を着たままだ。
「問題ありません、すぐに乾かせますので」
「!」
(魔法は便利ねぇ~)
やっぱり魔法を早く使えるようになりたいと心で思いながら、改めて前を向き目を瞑る。
「では始めますね」
イザークの長い指がマッサージするようにリディアの髪を洗っていく。
(はぁ~、これいいわ~、ヘッドスパだわヘッドスパ~)
美容室でやってもらうと高いのよねーと、すっかり羞恥心の欠片さえも捨てたリディアは至れり尽くせりの入浴を楽しんだ。
「ふぅ~‥‥美味しい」
イザークの入れてくれたお茶を飲む。
(はぁあぁあ、いいわ~最っ高だわぁあ~~~)
起きてから丸一日、至れり尽くせりの生活にリディアはとてもご機嫌に酔い痴れていた。
「リディア様、クッキーが焼き上がりました、こちらもどうぞお召し上がりください」
美味しそうなクッキーが差し出される。
丸一日イザークと共にいて、彼の有能ぶりに舌を巻きまくりだった。
執事本来の仕事である主人の身の回りの世話はもちろん、食事にしても掃除にしても、また身のこなしや魔法も何もかも全てが一流。
ただただ感心するばかりだ。
(はぁあ~一家に一人欲しいわ~~~)
そんな邪な考えに浸っていると身体がドンっと何かに体当たりされたと思ったら、腰をギューッとその何かに抱き込まれた。
「姉さま!!会いたかった!!!」
その声にすぐにリオだと気づく。
「目を覚ましたんだね!!良かったぁっっ姉さまっっ」
感無量でリディアに抱き着くリオ。
(いや~すっかりリオの事忘れてたわー)
非情なリディアはリオの存在をすっかり見事に忘れていた。
「姉さま!!こんな所早く出よう?僕こんな所嫌だっっ」
ぐりぐりと顔をお腹に押し付けてくるリオを、安定のリセットを施す。
そしてクッキーを一つ摘まみ、サクサクといい音を立てて食す。
(はぁ~~~、破格クッキーとは段違いね…)
クッキーを堪能するリディア。
「あの…、こちらの方は…、もしかして一緒に連れてこられたというリディア様の義理の弟、リオ様でよろしいでしょうか?」
「っ!」
誰だこいつという様に、グルルルっと威嚇を始めるリオ。
「姉さま一人じゃないの?!‥‥他に気配がない、もしかしてこいつとずっと二人きりで…」
真っ青になるリオを他所にリディアはもう一枚クッキーを手に取る。
サクッサクッサクッ
「はぁ~、これならいくらでも食べられるわ…」
「姉さまっすぐに出よ!今すぐここからっっ」
バタンッッ
そこで派手な音を鳴らしてドアが開く。
「みーつーけーたーーー、ぜぇぜぇぜぇ」
ドアには息を切らしたミドルなガタイのしっかりした男が立っていた。
「まぁた、抜け出しやがってぇ…、今回どうしても見つからねぇからもしかしたらと来てみりゃ、やはりここだったか‥‥」
肩で息をしながらズカズカと部屋に入ってくる。
「どうかなさいましたか?」
スッと男の前にイザークが立つ。
「おおっとすまない、えーと、俺の名はゲラルト、こいつをサディアス様にしつけてくれと頼まれたんだが隙あらば逃亡しやがって、今もまた逃亡しやがったんだが見つからくてな、この施設に入りたがっているのは解っていたから念のためにサディアス様の許可を頂いて見に来たというわけさ」
「そうでしたか…」
サディアスの許可が下りているなら何も言えないとイザークが下がる。
「すまないな、こいつを捕らえたらすぐに出て行くよ」
「!」
そう言ったかと思えば、ミドルダンディなおっさんの姿が消えた。
「チッ」
リオが居た場所で舌打ちする。
「姉さま、このまま出て行こうよ、僕、どこにでも連れて行ってあげるよ」
リディアを抱いて窓の近くに姿を現すリオ。
「はぁ~、このクッキーにこのお茶、流石一流はセンス抜群ね~」
完全リオをリセットしているリディアは、イザークのお茶とクッキーを楽しみ続ける。
「ほぉう?これがお前の大好きな姉さまってのは…」
ミドルダンディがここで改めてマジマジとリオの腕の中にいるリディアを見る。
そんな男の目線から見えないように自分の背を向け、威嚇する。
「姉さま、ねぇ、命令してよっ、あの時みたいに「外に連れ出して」って!」
潤んだ瞳でリディアを見るも、リセット完了しているリディアの目に映るはクッキーとお茶のみだ。
「そいつぁ、辞めといた方がいいぞ?坊主」
お前は黙れと言う様に睨むリオにやれやれと頭お掻く。
「確か、その嬢ちゃんをここに入れたのは殿下だったよな?」
「はい、ジークヴァルト様に間違いございません」
イザークが頷く。
「いいか坊主、今殿下は現国王が倒れて国王代理だ、てことはだ、その嬢ちゃんが出て行くという事は国王に反旗を翻るという事になる、そうなると国中どこにいても追われ続け、あげく男爵程度なら始末される可能性が大いにある」
「!」
リオが驚いてミドルダンディに振り返る。
そんな二人の会話にリディアはお茶を一口啜る。
(なるほど、そういう事…)
よく考えてみると、別にジークヴァルトが連れてきたと言わなくても良かったのだ。
「徴が出たものが見つかった」だけでいい。
それをわざわざジークヴァルト直々に連れてきたとする事で、リディアを逃げないように囲ったのだと理解する。
(お陰で平民待遇ね、別にイザーク有能だからいいけれど…)
「そんな…」
リオが真っ青になり呆然と突っ立つ。
そんなリオの自分を掴む腕をちらりと見る。
(少し肉が付いた?)
痩せ細っていた腕が少しがっしりとしてきているように感じる。
ここで栄養ある物を食べさせてもらっているのだろう。
(いい感じね‥‥)
いずれここからは出て行く予定である。
その時にリオを利用する可能性だってある。
そんな事を考えながらもう一度お茶を飲もうとしてふと思いつく。
(あ…、イザークでもいいかも‥‥)
至れり尽くせりのイザーク、リオも似た所はあるが纏わりつかれるのと下手するとヤンデレになるのは困りものだ。
前にも言ったが、既にリオはヤンデレを発症している。時すでに遅しだ。
しかもリオの隣にいる筈のリディアが今イザークに取って代わられたことで更にヤンデレを開花さしていることにリディアは全く気づいていない。
(このゲームの攻略男子チョロい筈だから、上手くいけばお持ち帰りできる?)
相変わらず邪な考えに没頭するリディア。
「それにな、あの殿下が連れてきたお前のその姉さまは、聖女になる可能性も高い、という事はだ」
さっきまで離れた所にいた筈のミドルダンディが不意に目の前に現れリオに顔を近づける。
「お前の姉さまはこれから沢山の危険が伴う、姉さまを守りたきゃもっと強くならねえと無理だ、いいか?姉さまとずっと一緒にいたいなら俺の特訓でもっと強くなれ」
「‥‥」
押し黙るリオ。
真剣に考えこむリオとは裏腹に呑気にお茶を楽しむ。
危険を伴う前にさっさとここをおさらばする予定のリディアには全く興味のない話だった。
まずはこの場所で情報や技術習得の目的が出来たのでジークヴァルトやサディアスの目論見の囲まれていても今は全く問題ない。
「‥‥強く…」
リオがスッとその場から移動すると、そっとリディアを元の椅子へと座らす。
「姉さま、僕、強くなるよ、もっともっと強く、いつでも姉さまと一緒にどこにでも行けるように、僕頑張るよ!」
そのままリディアに抱き着く。
「待っててね、姉さま」
こうしてリオもまたここに居ることを決めた。
男と名残惜しそうな表情を見せながらリオが去っていく。
また部屋に静けさが戻ってくる。
最後のカップに残ったお茶を飲み干す。
「さて…と」
(これからが大変ね、少し頑張るとしましょうか)
「イザーク」
「はい、何でございましょう?」
「一つ頼みがあるの」
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