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さぁ、はじめようか
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取り押さえられ髪を引っ張り無理矢理首を上げさせられる。
その目にサディアスやマーカスが同じように抑え込まれ平伏す姿が映る。
そしてドアの所で抑え込まれているルーサー達の悲痛な表情が写る。
そのまま前を見る。
首から血を流し死体となった王であり父であった亡骸を見る。
(これまでか‥‥)
あと一歩だった。
自分が罠だと見抜けずにこの部屋にのこのこやって来てしまったのが敗因だ。
(くそっっ!!!)
自分の馬鹿さ加減にギリリっと奥歯を噛み締める。
あと一歩で、馬鹿げた内政を正し、この国を平和にするためにすべての力を注ぐことが出来たと言うのに。
「殿下!」
「ジーク殿下!」
自分の名を悲痛な声で叫ぶ者達の声が遠のいていく。
「‥‥すまぬ」
目を閉じる。
その閉じた瞼に映るは最後に見た美しい聖女のリディアだった。
そこでハッとする。
(いや、まだだ‥‥そうだ、あの男なら必ずここにやってくる)
兵が刀を振り上げる。
「まぁ、待て、まだ皆に別れの言葉を言い終えておらぬ」
振り上げた刀を降ろす兵を確認し口を開く。
(アレはこういう時にこそ役に立つ、それ以外は気に食わんがな)
「あー、なんだ、俺の失態で色々迷惑を皆にはかけてすまなかったな」
「殿下‥‥」
皆が涙する。
「思えばー本当に色々無茶をやったな、庭園を怪物ランドにすると言って植木を切ってみたがボロボロにしてしまったり、あー、あと噴水が味気ないとカラフルにするために赤ワインを大量に流し込んだこともあったなー、あーあれもあったな―――」
長々とあれやこれやと喋りまくるジークヴァルトに、アナベルが次第にイライラとし始める。
「―――あれは傑作だったな!ああ、あと―――」
「いい加減になさい!さっさと首を切り落としなさい!」
堪らずアナベルが叫んだ時だった――――
ドガーンッッ!!!!
不意の物凄い爆発音に皆が一斉に振り返る。
振り返った先の壁がボロボロと崩れ落ちていった。
「な、何事?!」
「なんだなんだ?!」
皆が焦りその壁を見る。
爆発により大きく開いた壁の穴。
そこからひょっこり大男が現れた。
「団長!これはマズいですよっっ」
キャサドラが慌てふためきながら大男の後に続いて入ってくる。
「だがドアからは無理だろう?あれはうちの兵だ、吹き飛ばすわけにもいかん」
「それはそうですがっっここ王室ですよ!」
「問題ない、直せばいい」
「団長―っまたディアが渋い顔しますよっ――――ってっっ?!」
そこで部屋の状況に気づきキャサドラの顔が蒼白する。
「ジーク殿下!!これは一体…」
ジークヴァルトにサディアスそしてマーカスまで取り押さえられている姿に愕然とする。
「す、すぐに取り押さえなさい!」
驚きに一瞬呆然としていたアナベルが我に返り叫ぶ。
アナベルの言葉に兵達が押し寄せる。
「邪魔だ」
オズワルドが手を軽く振る。
すると一掃するように、ジークヴァルト達を取り押さえた兵達までも全てが吹き飛ばされ壁や天井にぶち当たり倒れ落ちていく。
「な‥‥」
その力にアナベルが愕然とする。
「まさか…父親譲りの力を持っているというの‥‥」
最も恐れていたハーゼルゼット同様に力を見せたオズワルドに持っていた扇子をぐっと握りしめた。
「うぐっ」
「がっ」
天井に吹き飛ばされた兵がジークヴァルトとサディアスの上に落ちてくる。
「だ、団長?!」
「え・・・?」
皆が愕然とする。
信じられない光景に暫し瞼を瞬かせた。
「大丈夫か?」
「おい、わざとだろ?」
駆け寄ったオズワルドの足がジークヴァルトの頭を踏みつけていた。
「覆いかぶさっている兵で見えなかっただけだ」
「嘘をつけ、お前が間違えるはずないだろ!」
睨みつけるジークヴァルトの目線から顔を逸らすオズワルド。
「何やってんですか!団長!」
「殿下の頭を足で…」
皆が驚愕し唖然としたまま硬直する。
元王宮騎士団長でありジークヴァルトの臣下であるオズワルド。
のはずが、しっかりとジークヴァルトの頭を踏みつけていた。
アナベルさえも驚きのあまりぽかーんと口を開きっぱなしだ。
「お前が俺達をどう思っているかよおく解るな」
「ふん」
「早く足をどけなさい!」
自分の上に覆いかぶさった兵をどかしながらサディアスが声を上げる。
その声に仕方がないというようにオズワルドがジークヴァルトの頭から足をどけた。
「ふぅ…やれやれ」
頭をさすりながらジークヴァルトも起き上がる。
その様を我に返りわなわなと震え見るアナベルが叫んだ。
「この男は危険よ!すぐに牢に閉じ込めなさい!」
「危険なのはあなたです、アナベル様」
そこで復活したサディアスが立ち上がる。
「何をしているの!早くもう一度取り押さえなさい!」
兵達がよろよろと立ち上がりまたサディアスに向かうも、今度は水の壁に阻まれる。
「オズワルド」
ジークヴァルトに呼ばれ封筒を手渡す。
それを受け取ったジークヴァルトが一瞬目を見開く。
「これは…、なるほど」
「何なのです?それは」
アナベルが怪訝の眼差しでそれを見る。
「ああ、これか?」
ジークヴァルトが手で翳した封筒を見てピクッと動きを止める。
「どうした?顔が青ざめているが?」
「その封筒を奪い取りなさい!!」
「おっと、そうはいかん」
ブオンっと熱風が吹いたと思ったら兵達を退ける。
「これを見よ!」
皆の前で封筒を高々と翳す。
するとその封筒から複雑な魔法の封印が浮かび上がる。
「これはっ!!」
「前王妃様の‥‥」
そこに居た者達がその封印に施された紋章に注目する。
「これは特別な魔法でな、母しか使えぬ封印魔法、これは特定の者しか解除できぬ、そして、燃やすことも破ることも消すことも出来ぬ」
「へぇ~」
「くっ」
アナベルが苦い顔をし唇を噛みしめる。
「それで自分の寝室の絵画の裏に隠していたのか」
「!」
キャサドラの言葉に皆が驚きざわめく。
「一体、それにはなんて書かれているんです?」
皆が注目する中、前王妃の息子であるジークヴァルトが封印を解く。
「何々?その戦はアナベルの罠です、戦をしてはなりません、至急お戻りください」
その内容にどよめく。
「…売国奴ではなかったのか?」
「アナベルの罠って…」
「前王妃は戦をさせたのではなく止めようとしていた…ってことか?」
「という事は、ハーゼルゼット様はその罠に気づき先に城に戻られた?」
皆がどよめく中、サディアスが口を開く。
「前王妃の封印を施したこの封筒がなぜあなたの部屋にあったのでしょう」
「ぅっ」
「これで言い逃れは出来ないな、アナベル」
アナベルがジークヴァルトを睨む。
「アナベル王妃、あなたこそ売国奴です!すぐにアナベルを取り押さえなさい!」
サディアスの言葉に兵がアナベルを取り押さえる。
ジーク派の兵から歓声が上がる。
「まだよ!ジークヴァルト!あなたは陛下殺害という謀反を犯したことをお忘れではなくて!」
「そ、そうだ!ジーク殿下は王を殺した!」
「そっちの方が大罪だ!!」
今度はアナベル派の反論の声が上がる。
「ジークヴァルト!あなたも同罪ですわ!即刻ジークヴァルトを取り押―――――」
叫ぼうとしたアナベルとジークヴァルトの間に老いぼれた男が落ちてきた。
「! 王宮医師?!」
「リオ?!」
不意に現れたリオが王宮医師をぐりっと踏みつける。
「ほら、話しなよ」
「ひぃっ…ぅ…、わ、私はアナベル様に頼まれて…へ、陛下を暗殺するために体が徐々に弱っていく薬を飲ませました…」
皆が驚き息を飲み込む。
「薬師を買収していたか」
「薬師を?!」
「リディア嬢が言った通りでしたか…」
「わ、私は悪くない!私はアナベル様に脅されて!!」
「お黙りなさい!嘘をつくのではないわ!」
またさらにリオがぐりっと踏みつける。
「ひぃっっ…、く、薬をっ、今日お出しした薬を見て頂ければ解ります!まだ飲まれていないはずです…」
「!」
アナベルが焦り動こうとするのを抑え込まれる。
「私はアナベル様に脅されただけ!私は悪くない!――ぐっ」
「うるさい」
必死に無罪を主張して叫ぶ王宮医師を気絶させるリオ。
「容赦ないな、薬師は一般人だろ」
キャサドラが頭に手をやる。
静まり返る中、サディアスがアナベルに向き直る。
「陛下暗殺を謀ったのもアナベル様、あなたとなりますね」
「く、薬で弱らせろと言ったことは認めますわ、ですが暗殺までは謀っていない、ジークヴァルトの剣を見よ!王を切った血が何よりの証拠!本物の謀反を起こしたのはこの男よ!」
「あー、それも残念だがこいつの血だ」
ゲラルトが腕に怪我を負った刺客を連れ現れる。
「!」
「ほーら、吐け」
ナイフを首に当てられた刺客が観念したように口にした。
「認める…、この女に金で雇われた、俺は金の分の仕事をしただけだ」
皆がアナベルを見る。
「これで全て証拠が出そろいましたね」
「もう言い逃れはできんな」
「くっ‥‥」
ジークヴァルトを睨みつけるアナベルを冷酷な眼差しで見下ろす。
「すぐに牢屋に閉じ込めなさい!取り調べは後で私が直々にします」
「はっ」
連行されていくアナベルを見てドッと歓声が沸く。
ジーク派の長きに渡る念願の願いが達成したのだ。
兵達が、ジーク派が、城中が、涙を流し歓喜した。
「とうとうやりましたね」
「ああ」
兵達が去った静かな部屋でサディアスの言葉にジークヴァルトはしっかりと頷く。
「よかったっ…よかったっっ!!」
感無量にまたボロボロと涙するキャサドラ。
「これで、これで団長もハーゼルゼット様も解放ですねっっううっっ」
ボロボロのキャサドラに優しい笑みを浮かべると、ジークヴァルトはオズワルドを見た。
「今までよく耐えてくれた、礼を言う」
「約束だからな」
「こういう時ぐらい少しは笑顔とか見せようぜ?」
ゲラルトが相変わらずのオズワルドの能面に突っ込み、ジークヴァルト達が軽く笑う。
「ですが…」
サディアスの言葉に皆が黙り陛下が眠るベッドを見る。
「罠だと気づいていれば…」
「私も見落としておりました、軍師である私の落ち度です」
皆が陛下の元へと歩み寄る。
「父上‥‥」
ジークヴァルトが足を折りベッドに手を付く。
すると、不意にゆらゆらと辺りが揺らめき出した。
「これはっ」
揺らめきが落ち着いたと思ったら、傷一つないただ静かに眠る陛下が現れ驚く。
「父上!」
「陛下っ?!」
「っ、幻覚魔法か」
オズワルドの言葉にハッとする。
「幻覚魔法と言えば黒魔法、イザークか!」
「そう言えばリディア嬢はまだ部屋に?」
サディアスがキャサドラを見る。
「え?リオと共に先にこの部屋に向かったはずですが…?」
「王室に?一回も見てないぞ?」
「っ、リオは?!」
ジークヴァルトが慌てて辺りを見渡すもリオの姿がない。
「チッやられたっ」
「団長?!」
オズワルドが部屋を飛び出す。
「一体どうしたんです?!」
「今すぐリディア達を追え!」
「追えって?」
「この隙を突いて逃亡したのだ!」
「は?まさか本当に逃亡?」
「急げ!!全動員を使ってもいい!何としてでも捕まえろ!」
「はっ」
キャサドラたちが一斉に部屋を飛び出す。
「やられましたね」
「ああ」
「私はアナベルの方に向かいます」
「頼む」
疾走していた馬の脚がゆっくりとなる。
「ここまでくれば、もう問題ないでしょう」
「僕、休憩場所を探してくるよ」
馬の隣を並走していた男が闇へと消える。
「お身体は大丈夫ですか?」
「はぁ~、身体ガシガシだわ」
うーんと大きく伸びをするとパサッと布が落ち、そこから美しい金の髪が現れ風に靡く。
「上手くいってよかったですね、リディア様」
「ほんと、やっと抜け出せたわ」
そう言うと自分の服を見る。
「これ着替えないとね」
「リオ様が見つけられた場所なら安全でしょうから、そこで着替えましょう」
「そうね」
駆け抜けてきた道を振り返る。
「心配はいりません、幻覚魔法を使っていますから私達の姿は街の者達には気づかれていません、情報が無ければ探りようもないでしょう」
「流石ね」
イザークを連れてこれて本当に良かったと心の中で思う。
(もう黒魔法使いまくっても問題ないし、リオもいるし、この逃亡楽勝ね♪)
「姉さま、もう少し先に川があったよ、馬もそこで休ませるといいかも」
「うん、そうしよう」
そうして馬を休ませながら闇魔法で着替えを済ます。
「あとどれぐらいなの?」
「まだ少し掛かりますが、ここからはゆっくり走っても大丈夫でしょう、リディア様は私に凭れ眠って下さっていて大丈夫です」
もう既に夜が更けている。
明るい月を見上げる。
「どんな家かしら?」
「ディーノ様が仰るには普通の民家と聞いております、備品も全て準備下さっているとか」
「あーあ、姉さまと二人が良かったのに」
リオが不貞腐れる。
「そう言えば、姉さま、沢山のガラス玉どうするの?」
「私も気になっていました、ディーノ様にたくさん注文されていたようですが」
「売るのよ」
「え‥?」
二人が首を傾げる。
「生活するのにお金はいるでしょう」
「ガラス玉なんかお金になるの?」
「ただのガラス玉じゃないわ、魔除けのお守りにするの」
「魔除け?」
「なるほど、ガラス玉に光の力を閉じ込めるのですね」
イザークが感心するように言葉にする。
「魔物があちこち出没している今、魔除けは皆喉から手が出るほど欲しい筈でしょ?」
「考えましたね」
「売れるもの売ってお金は手に入ったけど、ずっと暮らしていくならお金は必要でしょ」
「流石姉さま!」
「あなた達にはしっかりと売りさばいてもらわないと」
「任せといて!生活に困らないぐらいいーっぱい売るよ!」
「リディア様の魔力の入ったお守りなら効力は間違いありません、売ろうとしなくても向こうから客がやってくるようになるでしょう」
新しい生活に心を馳せ、皆の顔が明らむ。
「さ、休憩終わり!早く我が家へ向かいましょう♪」
”我が家”という言葉にリオとイザークの瞳もキラキラと輝く。
「じゃ、僕、先に行くね!賊とかいたらやっつけておくよ」
そう言って嬉しそうに飛び跳ね消える。
「さ、我々も参りましょう」
イザークの手を取るとまた再び馬の背にまたがった。
その目にサディアスやマーカスが同じように抑え込まれ平伏す姿が映る。
そしてドアの所で抑え込まれているルーサー達の悲痛な表情が写る。
そのまま前を見る。
首から血を流し死体となった王であり父であった亡骸を見る。
(これまでか‥‥)
あと一歩だった。
自分が罠だと見抜けずにこの部屋にのこのこやって来てしまったのが敗因だ。
(くそっっ!!!)
自分の馬鹿さ加減にギリリっと奥歯を噛み締める。
あと一歩で、馬鹿げた内政を正し、この国を平和にするためにすべての力を注ぐことが出来たと言うのに。
「殿下!」
「ジーク殿下!」
自分の名を悲痛な声で叫ぶ者達の声が遠のいていく。
「‥‥すまぬ」
目を閉じる。
その閉じた瞼に映るは最後に見た美しい聖女のリディアだった。
そこでハッとする。
(いや、まだだ‥‥そうだ、あの男なら必ずここにやってくる)
兵が刀を振り上げる。
「まぁ、待て、まだ皆に別れの言葉を言い終えておらぬ」
振り上げた刀を降ろす兵を確認し口を開く。
(アレはこういう時にこそ役に立つ、それ以外は気に食わんがな)
「あー、なんだ、俺の失態で色々迷惑を皆にはかけてすまなかったな」
「殿下‥‥」
皆が涙する。
「思えばー本当に色々無茶をやったな、庭園を怪物ランドにすると言って植木を切ってみたがボロボロにしてしまったり、あー、あと噴水が味気ないとカラフルにするために赤ワインを大量に流し込んだこともあったなー、あーあれもあったな―――」
長々とあれやこれやと喋りまくるジークヴァルトに、アナベルが次第にイライラとし始める。
「―――あれは傑作だったな!ああ、あと―――」
「いい加減になさい!さっさと首を切り落としなさい!」
堪らずアナベルが叫んだ時だった――――
ドガーンッッ!!!!
不意の物凄い爆発音に皆が一斉に振り返る。
振り返った先の壁がボロボロと崩れ落ちていった。
「な、何事?!」
「なんだなんだ?!」
皆が焦りその壁を見る。
爆発により大きく開いた壁の穴。
そこからひょっこり大男が現れた。
「団長!これはマズいですよっっ」
キャサドラが慌てふためきながら大男の後に続いて入ってくる。
「だがドアからは無理だろう?あれはうちの兵だ、吹き飛ばすわけにもいかん」
「それはそうですがっっここ王室ですよ!」
「問題ない、直せばいい」
「団長―っまたディアが渋い顔しますよっ――――ってっっ?!」
そこで部屋の状況に気づきキャサドラの顔が蒼白する。
「ジーク殿下!!これは一体…」
ジークヴァルトにサディアスそしてマーカスまで取り押さえられている姿に愕然とする。
「す、すぐに取り押さえなさい!」
驚きに一瞬呆然としていたアナベルが我に返り叫ぶ。
アナベルの言葉に兵達が押し寄せる。
「邪魔だ」
オズワルドが手を軽く振る。
すると一掃するように、ジークヴァルト達を取り押さえた兵達までも全てが吹き飛ばされ壁や天井にぶち当たり倒れ落ちていく。
「な‥‥」
その力にアナベルが愕然とする。
「まさか…父親譲りの力を持っているというの‥‥」
最も恐れていたハーゼルゼット同様に力を見せたオズワルドに持っていた扇子をぐっと握りしめた。
「うぐっ」
「がっ」
天井に吹き飛ばされた兵がジークヴァルトとサディアスの上に落ちてくる。
「だ、団長?!」
「え・・・?」
皆が愕然とする。
信じられない光景に暫し瞼を瞬かせた。
「大丈夫か?」
「おい、わざとだろ?」
駆け寄ったオズワルドの足がジークヴァルトの頭を踏みつけていた。
「覆いかぶさっている兵で見えなかっただけだ」
「嘘をつけ、お前が間違えるはずないだろ!」
睨みつけるジークヴァルトの目線から顔を逸らすオズワルド。
「何やってんですか!団長!」
「殿下の頭を足で…」
皆が驚愕し唖然としたまま硬直する。
元王宮騎士団長でありジークヴァルトの臣下であるオズワルド。
のはずが、しっかりとジークヴァルトの頭を踏みつけていた。
アナベルさえも驚きのあまりぽかーんと口を開きっぱなしだ。
「お前が俺達をどう思っているかよおく解るな」
「ふん」
「早く足をどけなさい!」
自分の上に覆いかぶさった兵をどかしながらサディアスが声を上げる。
その声に仕方がないというようにオズワルドがジークヴァルトの頭から足をどけた。
「ふぅ…やれやれ」
頭をさすりながらジークヴァルトも起き上がる。
その様を我に返りわなわなと震え見るアナベルが叫んだ。
「この男は危険よ!すぐに牢に閉じ込めなさい!」
「危険なのはあなたです、アナベル様」
そこで復活したサディアスが立ち上がる。
「何をしているの!早くもう一度取り押さえなさい!」
兵達がよろよろと立ち上がりまたサディアスに向かうも、今度は水の壁に阻まれる。
「オズワルド」
ジークヴァルトに呼ばれ封筒を手渡す。
それを受け取ったジークヴァルトが一瞬目を見開く。
「これは…、なるほど」
「何なのです?それは」
アナベルが怪訝の眼差しでそれを見る。
「ああ、これか?」
ジークヴァルトが手で翳した封筒を見てピクッと動きを止める。
「どうした?顔が青ざめているが?」
「その封筒を奪い取りなさい!!」
「おっと、そうはいかん」
ブオンっと熱風が吹いたと思ったら兵達を退ける。
「これを見よ!」
皆の前で封筒を高々と翳す。
するとその封筒から複雑な魔法の封印が浮かび上がる。
「これはっ!!」
「前王妃様の‥‥」
そこに居た者達がその封印に施された紋章に注目する。
「これは特別な魔法でな、母しか使えぬ封印魔法、これは特定の者しか解除できぬ、そして、燃やすことも破ることも消すことも出来ぬ」
「へぇ~」
「くっ」
アナベルが苦い顔をし唇を噛みしめる。
「それで自分の寝室の絵画の裏に隠していたのか」
「!」
キャサドラの言葉に皆が驚きざわめく。
「一体、それにはなんて書かれているんです?」
皆が注目する中、前王妃の息子であるジークヴァルトが封印を解く。
「何々?その戦はアナベルの罠です、戦をしてはなりません、至急お戻りください」
その内容にどよめく。
「…売国奴ではなかったのか?」
「アナベルの罠って…」
「前王妃は戦をさせたのではなく止めようとしていた…ってことか?」
「という事は、ハーゼルゼット様はその罠に気づき先に城に戻られた?」
皆がどよめく中、サディアスが口を開く。
「前王妃の封印を施したこの封筒がなぜあなたの部屋にあったのでしょう」
「ぅっ」
「これで言い逃れは出来ないな、アナベル」
アナベルがジークヴァルトを睨む。
「アナベル王妃、あなたこそ売国奴です!すぐにアナベルを取り押さえなさい!」
サディアスの言葉に兵がアナベルを取り押さえる。
ジーク派の兵から歓声が上がる。
「まだよ!ジークヴァルト!あなたは陛下殺害という謀反を犯したことをお忘れではなくて!」
「そ、そうだ!ジーク殿下は王を殺した!」
「そっちの方が大罪だ!!」
今度はアナベル派の反論の声が上がる。
「ジークヴァルト!あなたも同罪ですわ!即刻ジークヴァルトを取り押―――――」
叫ぼうとしたアナベルとジークヴァルトの間に老いぼれた男が落ちてきた。
「! 王宮医師?!」
「リオ?!」
不意に現れたリオが王宮医師をぐりっと踏みつける。
「ほら、話しなよ」
「ひぃっ…ぅ…、わ、私はアナベル様に頼まれて…へ、陛下を暗殺するために体が徐々に弱っていく薬を飲ませました…」
皆が驚き息を飲み込む。
「薬師を買収していたか」
「薬師を?!」
「リディア嬢が言った通りでしたか…」
「わ、私は悪くない!私はアナベル様に脅されて!!」
「お黙りなさい!嘘をつくのではないわ!」
またさらにリオがぐりっと踏みつける。
「ひぃっっ…、く、薬をっ、今日お出しした薬を見て頂ければ解ります!まだ飲まれていないはずです…」
「!」
アナベルが焦り動こうとするのを抑え込まれる。
「私はアナベル様に脅されただけ!私は悪くない!――ぐっ」
「うるさい」
必死に無罪を主張して叫ぶ王宮医師を気絶させるリオ。
「容赦ないな、薬師は一般人だろ」
キャサドラが頭に手をやる。
静まり返る中、サディアスがアナベルに向き直る。
「陛下暗殺を謀ったのもアナベル様、あなたとなりますね」
「く、薬で弱らせろと言ったことは認めますわ、ですが暗殺までは謀っていない、ジークヴァルトの剣を見よ!王を切った血が何よりの証拠!本物の謀反を起こしたのはこの男よ!」
「あー、それも残念だがこいつの血だ」
ゲラルトが腕に怪我を負った刺客を連れ現れる。
「!」
「ほーら、吐け」
ナイフを首に当てられた刺客が観念したように口にした。
「認める…、この女に金で雇われた、俺は金の分の仕事をしただけだ」
皆がアナベルを見る。
「これで全て証拠が出そろいましたね」
「もう言い逃れはできんな」
「くっ‥‥」
ジークヴァルトを睨みつけるアナベルを冷酷な眼差しで見下ろす。
「すぐに牢屋に閉じ込めなさい!取り調べは後で私が直々にします」
「はっ」
連行されていくアナベルを見てドッと歓声が沸く。
ジーク派の長きに渡る念願の願いが達成したのだ。
兵達が、ジーク派が、城中が、涙を流し歓喜した。
「とうとうやりましたね」
「ああ」
兵達が去った静かな部屋でサディアスの言葉にジークヴァルトはしっかりと頷く。
「よかったっ…よかったっっ!!」
感無量にまたボロボロと涙するキャサドラ。
「これで、これで団長もハーゼルゼット様も解放ですねっっううっっ」
ボロボロのキャサドラに優しい笑みを浮かべると、ジークヴァルトはオズワルドを見た。
「今までよく耐えてくれた、礼を言う」
「約束だからな」
「こういう時ぐらい少しは笑顔とか見せようぜ?」
ゲラルトが相変わらずのオズワルドの能面に突っ込み、ジークヴァルト達が軽く笑う。
「ですが…」
サディアスの言葉に皆が黙り陛下が眠るベッドを見る。
「罠だと気づいていれば…」
「私も見落としておりました、軍師である私の落ち度です」
皆が陛下の元へと歩み寄る。
「父上‥‥」
ジークヴァルトが足を折りベッドに手を付く。
すると、不意にゆらゆらと辺りが揺らめき出した。
「これはっ」
揺らめきが落ち着いたと思ったら、傷一つないただ静かに眠る陛下が現れ驚く。
「父上!」
「陛下っ?!」
「っ、幻覚魔法か」
オズワルドの言葉にハッとする。
「幻覚魔法と言えば黒魔法、イザークか!」
「そう言えばリディア嬢はまだ部屋に?」
サディアスがキャサドラを見る。
「え?リオと共に先にこの部屋に向かったはずですが…?」
「王室に?一回も見てないぞ?」
「っ、リオは?!」
ジークヴァルトが慌てて辺りを見渡すもリオの姿がない。
「チッやられたっ」
「団長?!」
オズワルドが部屋を飛び出す。
「一体どうしたんです?!」
「今すぐリディア達を追え!」
「追えって?」
「この隙を突いて逃亡したのだ!」
「は?まさか本当に逃亡?」
「急げ!!全動員を使ってもいい!何としてでも捕まえろ!」
「はっ」
キャサドラたちが一斉に部屋を飛び出す。
「やられましたね」
「ああ」
「私はアナベルの方に向かいます」
「頼む」
疾走していた馬の脚がゆっくりとなる。
「ここまでくれば、もう問題ないでしょう」
「僕、休憩場所を探してくるよ」
馬の隣を並走していた男が闇へと消える。
「お身体は大丈夫ですか?」
「はぁ~、身体ガシガシだわ」
うーんと大きく伸びをするとパサッと布が落ち、そこから美しい金の髪が現れ風に靡く。
「上手くいってよかったですね、リディア様」
「ほんと、やっと抜け出せたわ」
そう言うと自分の服を見る。
「これ着替えないとね」
「リオ様が見つけられた場所なら安全でしょうから、そこで着替えましょう」
「そうね」
駆け抜けてきた道を振り返る。
「心配はいりません、幻覚魔法を使っていますから私達の姿は街の者達には気づかれていません、情報が無ければ探りようもないでしょう」
「流石ね」
イザークを連れてこれて本当に良かったと心の中で思う。
(もう黒魔法使いまくっても問題ないし、リオもいるし、この逃亡楽勝ね♪)
「姉さま、もう少し先に川があったよ、馬もそこで休ませるといいかも」
「うん、そうしよう」
そうして馬を休ませながら闇魔法で着替えを済ます。
「あとどれぐらいなの?」
「まだ少し掛かりますが、ここからはゆっくり走っても大丈夫でしょう、リディア様は私に凭れ眠って下さっていて大丈夫です」
もう既に夜が更けている。
明るい月を見上げる。
「どんな家かしら?」
「ディーノ様が仰るには普通の民家と聞いております、備品も全て準備下さっているとか」
「あーあ、姉さまと二人が良かったのに」
リオが不貞腐れる。
「そう言えば、姉さま、沢山のガラス玉どうするの?」
「私も気になっていました、ディーノ様にたくさん注文されていたようですが」
「売るのよ」
「え‥?」
二人が首を傾げる。
「生活するのにお金はいるでしょう」
「ガラス玉なんかお金になるの?」
「ただのガラス玉じゃないわ、魔除けのお守りにするの」
「魔除け?」
「なるほど、ガラス玉に光の力を閉じ込めるのですね」
イザークが感心するように言葉にする。
「魔物があちこち出没している今、魔除けは皆喉から手が出るほど欲しい筈でしょ?」
「考えましたね」
「売れるもの売ってお金は手に入ったけど、ずっと暮らしていくならお金は必要でしょ」
「流石姉さま!」
「あなた達にはしっかりと売りさばいてもらわないと」
「任せといて!生活に困らないぐらいいーっぱい売るよ!」
「リディア様の魔力の入ったお守りなら効力は間違いありません、売ろうとしなくても向こうから客がやってくるようになるでしょう」
新しい生活に心を馳せ、皆の顔が明らむ。
「さ、休憩終わり!早く我が家へ向かいましょう♪」
”我が家”という言葉にリオとイザークの瞳もキラキラと輝く。
「じゃ、僕、先に行くね!賊とかいたらやっつけておくよ」
そう言って嬉しそうに飛び跳ね消える。
「さ、我々も参りましょう」
イザークの手を取るとまた再び馬の背にまたがった。
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