コーヒーとCEOの秘密🔥他

シナモン

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コーヒーとCEOの秘密 (完)

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 そもそもS物産自体が法すれすれの自転車操業的な古い経営体質の企業体なのである。

 村上を手引きした…女性。
 そんな女性と婚約……。裁判中ということはすでに破綻してるようだが。

 もしかして、あの冷淡さはこれが要因なのだろうか?

 婚約解消の理由がそこにあるのだとしたら。

(婚約……)

 そのことを忘れようとして日々任務に没頭しているのだろうか。

 そういう目で彼を見ると、嫌な上司から少し違ってくる。

 ……彼の態度は相変わらずだが。

「おはようございます」
「おはよう」

 仏頂面でこっち見ずに挨拶返し。

 と思ったら、話しかけられた。

「昨夜父と食事をしたんだが、妙なお願いをされてね」
「まあ、何ですか」

 間をためられたので聞き返した。

「うちの社所属の社会人野球部があるだろう? あれをどうしても存続させてくれというんだよ」
「そうですか。前会長は野球がお好きでしたね」

 そういえば社会人チームの大会に付き添ったことがあった。
 今目の前にいる男と顔立ちはよく似た、でも性格は全然違うジェントルマンな前会長。きっと若い頃はこんな顔だったに違いない。

「君、選手と接触があったそうだね」
「……はい」

 野球チームが中東へ遠征する際、ついて行ったことがある。

「真っ先に廃部する予定だったのに」

 突き放した冷たい言い様だが仕方ない。

(まあ、このご時世じゃあね…)

 吐き捨てたあと彼はまだ何か言いたそうで、仕方なく去らずにその場に佇んでいると、

「すまないが君、彼らに言ってくれないか」

 (ええ? 何ですって)

「……私は野球に詳しくないんだ。父に延々と説明されてうんざりだよ。うちのチームが無くなれば日本の社会人野球が消えてしまうと……そんなもの必要か?」

「はっきりおっしゃればいいじゃないですか」

「それが……言っているんだが押されてしまって。君にお願いできないか。君、マーケティング営業と採用もしていたそうじゃないか」

(あら、私を首切り役にするつもり?)

「無理ですわ、私、今の仕事で一杯一杯です」
「引き受けてくれたら君の任務は解除して希望職に回してあげるから。君、中東渉外希望していたんだろう?」
「・・・・・・」

(やっぱりこの男食えないわ)

 三津子は返事をためらった。愛想ひとつ見せるでもなく、嫌な仕事を部下に丸投げとは。メラメラと怒りが湧いてくる。

(何よ! こんな人、女の側から婚約解消すべき案件じゃない?…こんな無愛想ワーカホリック!)

 職権濫用……には腹立たしいが、この役を降りる絶好の機会でもある。

「即答しかねますわ。前会長のお話を伺ってからでもよろしいですか」
「そうだね。そうしてくれ」
「私の任務は廃部のみですか?」
「うん?」
「……逆に収益を上げる方向で存続の道もなくはないでしょうか。むしろその方がやり甲斐があります」
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