コーヒーとCEOの秘密🔥他

シナモン

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緑川、人類の運命を背負う

魔法の杖

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「ねーあれアポロンじゃね」

 石造りの窓枠にもたれてぼけっと外を眺めていると、もはや見慣れた花園に美しい男女が仲睦まじく顔を突き合わせていた。

「おお、そうだな」へパ師匠が答える。

「相手の女は誰」

「アルテミスだよ。アポロンの妹」

「へー」

 アルテミス…聞いたことがあるぞ。確か月の女神…。兄妹でイチャコラか。もはや何でもありだな。

 あれ以来アポロンは攻め込んでくることもなく、花園の中心で優雅に竪琴を鳴らしたり、女性と戯れている姿を見かける。

 その女性は妖精なのだそうだ。

 神と半人半神が繰り広げる美しい光景。

 男女を問わずイチャコラし合う…。

 これが天国かあ。

 なんか退屈なんだけど…。Not美形の俺。

 タイムマシンの核となるヘルメットは完成したものの、エネルギー注入が上手くいかない。

 いや、注入というか…、

 電源がよくわからない。

 そりゃそうだ、ここには媒体…、電力を安定供給する手立てがないのだ。

 やり直しか。くそっ。

 いや、電気自体はある。思うにこの世界、雲の中だけあって微弱な電気を帯びているらしい。

 俺の自作ソーラーバッテリーが常に充電されていることから確信した。それに、俺のスマホを真似た疑似スマホがちゃんと作動したしな。

 問題は、それをどうタイムマシンの動力源となるべく増幅するかだ。さすがに電力の桁が違う。


「ミドリカワは面白いもの作るのね」

 外の小さな神殿で休んでるといつの間にかそばにいたペルセポネが不思議そうにヘルメットをかざした。

「面白い?」

「ええ。何をするものかしら。ヘルメスの兜とも違うのね」

「電力を流して、計算式通りに時間をさかのぼったり未来に飛んだりするんだよ」

「でんりょく? けいさん? みらい?」

 不思議そうに眼を丸める。
 そのしぐさ、本当に愛らしい。
 装束はスケスケで、よく見ると○○が丸見えだ。
 初めて見たときは下半身がやばかった。
 俺はと言えば男版のスケスケ装束にいつもの作業ベストという元の世界でも中々見ない恰好をしているわけだが。
 ここではそんな恰好をうすら笑う連中なんていない。
 そして、最初はいちいち興奮していた彼女の恰好に何も感じなくなった。
 こんなものなのかなあ?
 年取って精力の衰えた爺のような状態なのだろうか。

「私が被ればアテネのように強くなれるかしら」

 鉄みたいな合金だが、正式な物質名は不明。
 同じようなものをかぶってる男はそこそこ見かける。

 ゼウスの腰ぎんちゃくみたいな野郎と、もう一人、粗暴な男。

 こいつらも例のごとく、美男子ぞろい。

 全く、どいつもこいつも美男美女だらけ、感動も薄れるっての。

「あいつ…あのアレスって野郎、へパをバカにしやがって」

 ぶつぶつ呟く。すれ違うたびにヘパを見下した発言。だがその野蛮なアレスこそ、美男中の美男、あのアポロンをしのぐほどの美丈夫なのだ。長く黒い髪、切れ長の冷たい瞳、鼻筋もしなやかな肢体も整いすぎている。
 いつも動物の死体を一人乗りの戦車に乗せ、血なまぐさいまま食らう。当然血がしたたり落ち、皆の嫌われ者らしい。

「俺は別に平気さ。腹が立てばまた罠にはめてやるさ」

 ヘパイストスは悠然と言ってのける。

 でもなあ…。言っちゃ悪いが、へパも俺と大して変わらない風貌だ。
 おかしくない?
 美男美女しかいない世界で差別はよくないだろう。
 どうせなら全員そうしろって。外の世界から来た俺はどうしようもないにしても。

「あー―ー、早く帰りてえなあ」

 アイディアが浮かばず、横になって天を見上げた。天の天に太陽が輝いている。



 ……ふぉっふぉっふぉっ…。お前、面白いものを作るのう。

 何か聞こえた。
 起き上がってキョロキョロするが、ヘパもペルセポネも反応はない。


 ……どうせなら杖を作ってみんか。

 はあ?



 ――――天に穴をあけるのだ。
 ――――ゼウスが手にしているあれじゃ。
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