社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依

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7話 ルナ

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 マサルは、次の日にもう一度ガルドが経営する奴隷商会に来ていた。

「マサル様、今日はいったいどうかしたのですか?まさかこのエルフが何か粗相をしたとか?」

「いえ、そんな事はありませんよ。色んなことを教えてもらっています」

「では、昨日の今日でどのような御用で?」

「もう一人奴隷を購入しようと思いまして……」

「えっ、もう一人ですか?」

「駄目でしょうか?」

「い、いえ、私の方は全然構いませんよ。ですが、お金の方は大丈夫ですか?」

「はい、師匠のとこを出る時、いっぱい持たせていただきましたから大丈夫です」

「そ、そうですか……わかりました。では、今日はどんな用途の奴隷が御入用ですか?」

「前衛で戦える仲間欲しいんです。要は僕の護衛をできるような人間ですね」

「でしたら、戦争奴隷か元冒険者の借金奴隷がよろしいですね。予算はどれほどまででしょうか?」

「500万ゼニーまでは大丈夫です」

「なるほど。それじゃ、5人ほどいるので連れてきます」

 ガルドが連れてきたのは5人で、ドワーフ男が二人・竜人女1人・エルフ男一人・狐獣人女一人だった。そして、マサルは5人を鑑定すると、さすが5人は戦闘職だけあり攻撃力・防御力文句なしだった。
 しかし、ドワーフはどちらかといえば、戦闘より鍛冶に向いているみたいだった。そして、エルフの男性も弓を使った方が役に立ち、接近戦は向いていなかった。

「ガルドさん、ドワーフとエルフ男性は自分の求める人ではありません」

「そうですか?」

「そして、竜人と狐獣人の女性とお話しさせてもらってよろしいですか?」 

「はい、構いませんよ」

 ガルドはドワーフとエルフの男性を連れて部屋を出た。

「えーっと、初めまして、僕はマサルと言います。あなた達の得意な事を言って貰っていいですか?」

「あたしは竜人で戦いの最中は皮膚を硬質化させて、敵につっこむことを得意とする戦法で戦います」

「あたしは、彼女のように防御力はありませんが、俊敏力を生かし回避する事で戦闘することが出来ます」

「なるほど!」

 マサルは、その後もいろいろ2人に聞いた。竜人女性は本当に戦闘に特化したアタッカータイプだが、狐獣人は回避タンカーと言ってもよかった。
 マサルにとって、護衛なのでどちらでも役に立ってくれると思ったが、嗅覚や聴覚に優れた狐獣人の女性の方が安心できる感じがした。

 そして、マサルはガルドに狐獣人の女性を求めたのだった。

「戦闘なら竜人の方が優秀ですが本当にいいのですか?」

「えぇ。獣人女性の方が気に入りました。この子を仲間にしたいです」

「分かりました。それでは200万z(ゼニー)になります」

 マサルは、ミスリル貨2枚を支払った。マサルは自分で支払ったが、これ一枚で100万円かと心の中で驚いていた。そして、狐獣人と契約を結んで奴隷商会を後にしたのだった。

 町の広場に来たマサルは、狐獣人の女性に話しかけた。新しく仲間になった狐獣人の女性は、可愛らしい女の子に狐の耳と尻尾が生えていた。しかし、奴隷であるためその表情は暗く服もボロボロだった。

「君の名前は?」

「あたしの事は、狐とでも呼んでくれたらよろしいですよ。名前はありませんので」

「ご主人様、奴隷に落とされると、私の時もそうですが名前は無くなります。主人が呼びやすい名前で命令すればいいので、不要になるのですよ」

 ソフィアは、マサルの知りたい情報をすぐに教えてくれた。

「そ、そうなんだ……なんか寂しいルールなんだな」

「いえ、奴隷は所有物とかんがえればいいので、いちいち名前を呼ばなくともいいのですよ。どちらかといえばご主人様が変わっている部類になるのですよ」

「そ、そっか……じゃあ、君の名前は俺が考えてもいいか?」

「えっ?」

「そうだな……君はルナにしよう。意味は月の女神と言う意味がある」

 ソフィアの時と同じく、ルナはまた涙を流しその場に膝をつき頭を下げたのだった。

「ど、どうした?ルナって名前は嫌なのか?」

「いいえ、違います。とてもうれしく思います。この名前はあたしの親が付けてくれた名前と一緒です。本当に嬉しく思います」

「そ、そっか、同じでよかったよ。こっちはソフィアと言うんだ。仲良くしてやってくれよ?」

 ルナの言葉を聞き、ソフィアも驚いたのは言うまでもなかった。

「は、はい」

 ルナは、ソフィアと握手をして笑顔になっていた。

「ルナ、悪いんだがこの町を出るつもりなんだ。君の装備を買いに行くからこれからよろしく頼むな」

「は、はい!」

 マサルは、ルナの装備を聞き驚いた。元冒険者だったルナは拳闘士だったのだ。武器はナックル。防具は身軽な服装で良かった。冒険者の頃は魔法のアクセサリーで速度を重点的にあげ、ダメージを耐えるより回避してダメージを受けないスタイルで戦っていた。つまり、回避タンカーもできるアタッカーだった。

「って事は、まず二人の服を買いに行く事にしよう」

「「服はこれでいいですよ!」」

 ソフィアとルナは見事にハモった。

「いいや、駄目だよ!旅に出るのに靴もないなんて自殺行為だろ?」

 この調子だとマサルは、今日は町を出るのは無理だとふんでいた。2人の旅の準備を万端にしないと危険だと思ったからだ。

 そして、今日一日マサル達は町で旅の準備に勤しんだ。装備や服、下着類鍋や調理道具食材などたびに必要なものを、ソフィアとルナに聞き一日かけて準備したのだった。

 そして、昨日泊まった宿屋に帰ったのだった。

「なんだい?また一人増えたのかい?」

「ええ!3人で泊まれる部屋をお願いします」

「ご主人様⁉あたし達は奴隷部屋で十分ですよ?」

「いいや、駄目だ。ソフィアも昨日は同じ部屋に泊まっているし、奴隷部屋では疲れが取れないからな」

 ルナはマサルの行動に驚く事ばかりだった。服や下着も買ってくれて、部屋も主人と同じ部屋、ご飯もお腹いっぱいにしてくれたのだ。昼ご飯は、屋台の肉串を買ってくれて、ソフィアに聞くと1日3食くれたいうのだ。
 ソフィアはもう、昨日の事もあり、主であるマサルに訴える事はなく、全てを受け入れている感じだった。
 


 そして、3人はお腹がいっぱいになって部屋に戻ってきていた。

「そういえばさ……」

「なんでしょうか?」

「風呂ってないの?」

「お風呂は貴族様しか入れませんね。平民達は井戸の水で身体を拭くか、宿屋に頼んでお湯を貰うかして体を拭きます」

「そ、そうなの?」

「ご主人様は今までお風呂に入っていたのですか?」

「ああ……師匠のところには風呂があったからな……町にも普通にあると思っていた……」

「宿屋に頼んでお湯を貰ってきましょうか?」

「いや、自分で出すよ」

 マサルは、今日買ってきたバケツにお湯を魔法で出したのだった。

「「……」」

「なんで、お湯がでるのですか?」

「えっ?これって普通じゃないのか?」

「普通じゃありませんよ。ウォーターで水を出すならわかりますよ?」

「いやいや、ウォーターが出来るなら運動エネルギーを加えてやったら、お湯が出来るじゃないか」

 これは、マサルだから分かる事だった。科学の知らないソフィアにとってウォーターは水であり、お湯にする為にはファイアで加熱しないといけない事だった。当然、ルナはこれを見て開いた口が塞がらなくて、呆然としていた。

「君達も体を拭くだろ?」

「「いいのですか?」」

 マサルは2人の分もお湯を出し、部屋の外に出ようとした。

「「どこに行くのですか?」」

「えっ?君達が身体を拭くのだから、部屋の外に……」

「「何を言っているのですか?」」
「私達は見られても構いません。ご主人様が部屋を出ていく必要なんてどこにあるのですか?」

「だが、君達は女性じゃないか。年頃の女性が簡単に男の前で服を脱ぐなどだめだ!」

「何を言っているのですか?あたし達はご主人様の物ですよ。夜は奉仕するつもりだし裸を見られるくらい何を言っているのですか」

「馬鹿な事を言うんじゃない。昨日ソフィアにも言ったが、夜の奉仕は必要ない」

「えっ……なんでですか?」

「簡単に好きでもない男に身体を許すんじゃない。いいな?」

「あたしは、ご主人様のこと好きですよ。こんなによくしてくれるのに、嫌いなわけないじゃないですか。なにを言っているのですか?」

「まだ知り合って24時間も経ってないじゃないか?」

「時間なんて関係ないですよ。あたしはご主人様に一生ついていくつもりですしね」

 ルナは、ソフィアと違って結構肉食系だった。購入した時とは違い、いまはもう落ち込んでおらず、明るくマサルにグイグイくる感じになっていた。
 そうなると、ソフィアもルナには負けてはいられないとばかりに、マサルに迫ってきたのはいう間でもなかった。

「ちょっと待て……ソフィアには昨日言ったんだがこれはまずいって……」

「どういう事ですか?」

「僕は、君達を奴隷として使わないって。奴隷としての常識は別にやらなくて構わないよ。それよりまずは信頼関係を積む方が大事なんだ」

「信頼関係ってどういう意味ですか?ご主人様は、あたしの事が信頼していないって事でしょうか?」

「そうじゃないよ。ルナは、今日奴隷として購入されたばかりだろ?」

「はい……」

「ソフィアも昨日知り合ったばかりだ。信頼し合う仲間になりたいのに、君達からご主人様と言われて敬語のままでは、関係性が師従のようだろ?」

「「それはしょうがないですよ。主人と奴隷の関係じゃないですか」」

「だから、もっと砕けた感じで話してくれるようになれば、仲間として感じる事が出来るだろ?」

「「それはむりです!」」

「何でだよ……」

「ご主人様はそうお思われても、私達にとってはご主人様じゃないですか」

「それはそうだと思うけど、時間が経てばもっと違う様に」

「なりません。あたし達は奴隷であり、それ以上でもそれ以下でもありませんから」

 ソフィアを昨日説得したが、女性が二人になった事で、マサルは言い負かされてしまった。しかし、夜の奉仕は明日はこの町を旅立つ事になるから、ちゃんと寝る様にと説得したのだった。



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