社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依

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24話 ダンジョンから撤退する者達

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 マサルは、冒険者達が次々と罠にひっかかるのを見て、唖然としてしまっていた。ルナたちが言うには、扉の鍵を開ける時に罠が一個あるぐらいで、逃げ場がなくなるような罠の仕掛け方はなかったらしい。

「それじゃあ、罠の意味が無いんじゃないのか?」

「あたしは、今までのダンジョンの経験はそんな感じでしたよ」

 マサルの思っていたダンジョンとは何か違っていた。それもそのはずで、もっと成長したダンジョンならそれもあり得たのだろう。
 それはDPであり、普通は罠にDPを使わないというより使えなかったというのが正しいのだ。大抵のダンジョンは階層を増やしたり、魔物を生み出したりする方にDPを使う感じである。

 マサルのダンジョンは、DPが多いうえに、まだできたばかりで階層も少ない。それ故に、DPの使い方が他のダンジョンと違うというのが正しい言い方だった。

「マスター、どちらにしてもこのままでは出来たばかりのこのダンジョンは、S級ダンジョンとして認定されるのは間違いありません」

「ま、まじか……」

 そして、救いだったのは突入してきた冒険者達が、Aランク冒険者達だった事だ。いろんな経験がある人間達だった為、慎重に行動したので引き返す事ができたパーティーもたくさんいた事だった。

「指揮官!このダンジョンは無理だ!」

「どういう事だ?」

「一階層で犠牲者が出たんだ!こんなダンジョンは見たことが無い!」

「ば、馬鹿な!お前達が犠牲者を出しただと?」

「このダンジョンは、今まで経験したものと異なる!もっと準備を整えた方がいい」

「その答えは早計過ぎだろう?」

「俺達は、この目で現場を見てきたんだ。その情報を無視するというのか?」

「そうは言わない。しかし、考えてみろ。情報ではたった3ヶ月で、急激に魔物がAランクに成長したという事もあるんだぞ?」

「それがどうしたというんだ?」

「よく考えてみろ。これ以上時間を空けたらどうなる思う?」

「うっ……そ、それは……」

「そうだ、このまま放置して見ろ。本当にこのダンジョンには手が出せなくなり、この土地は人間の住めるような土地ではなくなるんだぞ?」

「だからと言って、ロクな準備もしないで突入したら無駄死になるじゃないか?俺達は現場で動くんだぞ?」

 冒険者の意見は当たり前だった。一階層で罠と魔物のコラボで防御しているダンジョンでは、もっと準備が必要であり、国に報告して騎士団の参加が必要になるのである。

「むぐぐぐ!こうしている間にもダンジョンは……」

「このまま、ダンジョン調査を強行するならば俺達は協力は出来ない!」

 帰ってきた冒険者は、指揮官に訴えたのだった。指揮官も又その報告に頭を悩ませた。突入をして帰ってきた冒険者は全体の7割だったからだ。7割帰って来たというのなら大丈夫だという意見もあるのだろうが、忘れてはならないのは突入した冒険者がBランク以上の冒険者であり、そのすべてが一階層での出来事だった。

 これはもう、S級ダンジョンと言われてもおかしくないダンジョンだった。



 マサルはこの状況を見て、ダンジョンの強化を進めることにしたのだった。

「マスター、この状況はまずいかもしれませんよ?」

「ああ……まさか、1階層どころか1階層の2割程度しか進行されないとは思いもしなかったよ……」

「まさか、マスターのダンジョン強化が、こういう事だとは私も分かりませんでした」

「まあ、今更そんな事を言いあっても、もう遅いだろうな」

「はい……今回犠牲になった冒険者達のDPは大量に入手できています。これらを使って、ダンジョンの階層を10階に増やす事を推奨します」

「いや、階層はこのままでいいよ」

「マスター?それはどういう意味でしょうか?たぶん人間達は国に報告して、人数で押し寄せてきますよ?」

「そうですよ、ご主人様!オーブの言う事は理にかなっていますよ。今回Bランクの冒険者が犠牲になりましたが、Aランクの冒険者は全員生き残っています。今回の事を証言するに違いません」

「ははっ……いいかい?階層を増やしたところで、騎士団という大群を止めらるわけじゃないよ」

「どういう事ですか?」

「いいかい?ダンジョンに突進できる人数は限られている。だからこそ、冒険者達は1パーティー6人と言う人数で活動するんだろ?」

「それはそうですが……」

「ダンジョンのエキスパートの冒険者ですら、魔物と罠に手こずった訳だろ?だったら、そちらの方面に特化するべきだと思う」

「それで大丈夫なのですか?」

「マスター、それって今回ランクが上がって出来るようになった合成に勝機があるという事ですか?」

「そうだよ。Bランク冒険者が犠牲になりダンジョンランクが上がっただろ?」

「はい!」

「この魔物合成で、高ランクの魔物が生み出せるはずだ」

「ですが、それもギャンブルのようなもので……」

「魔物ガチャで生み出された魔物はどうだった?高ランクの魔物がたくさん出たじゃないか?」

「た、確かに……」

「つまり、僕の予想では運が作用していると思うんだよ」

「運ですか?」

「要は、僕のステータスであるLUK値だな。これが高いから、高ランクの魔物がたくさん出現したと考えるのが妥当だと思う」

「な、なるほど……」

「ここで僕の案だが、この魔物がもしグレーターアースエレメンタルより、さらに強い魔物だったらどうだ?」

「それは確かに、十分耐えうるダンジョンになるかと思います」

「だろ?だから、階層を増やすより魔物強化と罠の強化を進めようと思う。階層は、もっとDPが貯まってからでも遅くはないと思うよ」

「わかりました。マスターの案に賛成です」

「ご主人様。あたしは何もしなくてよろしいのですか?」

「ルナは、最終防衛ラインの警護だろ?前線は魔物で十分だよ」

「ですが……」

「いいかい?僕達の目的は、冒険者や兵士を倒す事じゃないんだよ?」

「えっ?」

「確かに、君達が殺された時、僕は村の人間に仕返しがしたいと思った。だけど、ちゃんと無事蘇生できたことで目的が変わった」

「変わった?」

「ああ……地上の事はもうどうでもよくなったんだ。このダンジョンを、強固なものにしてみんなで生活が出来ればいいんだ」

「本当にそれでいいんですか?このダンジョンを攻めに来るんですよ?」

「わかっているよ。だからこそ、誰も踏み込めないダンジョンに成長させる必要があるんだろ?」

「こちらから攻め入らないって事ですか?」

「攻め入ってどうするんだよ?自衛で十分だろ?」

「それで本当にいいんですか?」

「構わないよ。争っても良い事なんかないよ」

 マサルは、自分の生活さえ自由に楽しければいいと言い切った。しかし、その平穏な生活を害してくるものには容赦しないと、ソフィアとルナに説明したのだった。



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