社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依

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45話 エルフ国との交渉決裂

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 マサルはソフィアに悪いが、エルフ国と組むような事はないと説明した。

「ソフィア。君には凄くお世話になっているけど、こればかりは諦めてくれないか?」

「……」

「ソフィア?もし、あれなら君をエルフの村に還してあげようか?君は自分の家族が心配なんじゃないのか?」

「わたしは、ご主人様と離れたくはありません!家族の事は心配ですが、ご主人様と離れたくはないんです!」

「わかったよ。とにかく今のままでいてくれるかい?」

 ソフィアは、マサルの言う事を聞き、持ち場に戻っていった。

「マスター、どうするおつもりですか?」

「こればかりはどうしようもないな……エルフ国とヒューマン国の事だからね。僕が、どうこう出来ることでもないよ」

「ただ、言えるのはヒューマン国に、どうこう出来るかは怪しくなるだろうね……」

「どういう事ですか?」

「エルフの国を襲うより先に、このダンジョンを何とかしないといけないといけないという事だよ。王国は2度も騎士団を犠牲にしているんだよ?他国との同盟を先に考えて、このダンジョンにやって来るはずだよ」

「た、確かに……」

「それによって、ヒューマン国や連合国は勢力を弱体させる事になるからね。それからカグヤ達の出番で、こちらの要望を聞かざるを得なくなるという訳だよ」



 その頃王国では、他国からの要求に騒然となっていた。

「帝国は、今まで以上に援助を求めてきておるのか?」

「はい……国王どのようにしますか?」

「どれくらい求めてきておるのだ?」

「今までの2倍と申しています」

「馬鹿な事を!2倍だと⁉1.2倍までに交渉をせよ!」

「ドワーフ国の、ドラゴン型ゴーレムの購入は無理だと申せ!あんな馬鹿高いゴーレムは必要はない!」

「では、どのくらいの量を?」

「それくらい自分で考えるのだ!国家予算から考えても、ドワーフ国の要求する4分の1が限界だ!それ以下に交渉せよ!」

 王国では、他国から足元を見られてとんでもない要求をされていた。これも、今まで王国が好き勝手やって来た行いに対しての要求だった。

「しかし、国王!それだと他国は動かない可能性が……」

「諦めるでない!もし、協力が無くスタンピードが起こったら、どのくらいの被害状況になるのか説明するのだ」

 王国の言う事は当たり前だった。仮にカグヤという女が真祖だった場合、その被害は王国だけでとどまらず、帝国はもちろん聖教国まで滅亡し、その地帯は人間の生活区域ではなくなるからだ。
 とにかく、今は他国が同盟を組みダンジョン攻略をしないと、ヒューマン族の未来はないといいたかったのだ。

 帝国では、王国の外交貴族がやってきて、そのことを説明していた。

「本当にそれでよろしいのですか?」

「しかし、我が帝国もここ近年の飢饉で余裕がないのだ。こういっては何だが、このダンジョンの管轄は王国領の事ではないか?」

「普通のダンジョンなら、他国に協力など求めないです。帝国も王国にできたようなSSS級ダンジョンだったらどうするのですか?わたし達と同じように協力を募るはずです」

「そ、それは……しかし、今の帝国の状況は、その場所に兵士を送るだけでも苦しい情況なのだ」

「だったら、もしSSS級ダンジョンが溢れた場合、同じような事を言っていられるのですか?王国も滅亡し、帝国だけで真祖と戦闘できるのですか?」

「それは……」

「王国としては、帝国だけじゃない聖教国やドワーフ国にも協力を募っています。帝国の支援を今までの2倍なんて払えるわけがないのを分かってください!」

「しかし1.2倍では……」

「このままでは国が滅亡してしまうのですよ?それならば1.2倍で了承して王国に協力してダンジョン攻略を遂行した方がいいとおもわれませんか?」

「しかし……その魔物は、本当にバンパイアの真祖なのか?」

「我々の情報では、騎士団長を始め3部隊が、その女の部下の魔物に殺されておる」

「真祖じゃなくその部下だと⁉そのダンジョンは一体どうなっているんだ?」

「ようやく、こちらの状況が伝わりましたか?そうです……今までのダンジョンは魔物がいるだけだったが、このダンジョンは違う。魔物が人の言葉をしゃべり組織を作っています。その頂点は、ダンジョンマスターだと思うが、魔物を指揮するのがその真祖と言われる女なのです」

「魔物が組織を組んでいるというのか?」

「そうです!だから、こうして帝国や他国にも協力を……」

 皇帝陛下は、今回の事を検討し直す事にした。そして、王国には援助を今までの1.2倍と承諾したのだった。

 聖教国と魔人国にも、そのようにより詳しく交渉をした結果王国の言い分を承諾し、もし自分の国にも同じようなことがあれば協力することを約束を交わしたのだった。

 ドワーフ国も又、そういった状況に納得して、今回のダンジョン攻略にゴーレム部隊を派遣すると約束に至ったのだ。これらのゴーレムは、今回の攻略で十分に役に立つと思われていたのだった。

 そして、最後はエルフ国だった。エルフ国は、王国に話し合いにすらならなかった。エルフ国からしたら当然であり、見た目がいいという理由で、同族をさらい奴隷にするのだからたまったものではない。

 エルフ国である眩惑の森に入ろうとしただけで、森の中から弓矢が飛んでくるのである。

「人族よ!これより先はエルフ国の領地である!一歩たりとも入る事まかりならん!」

「ちょっと待ってくれ!我々の話を!」

「情報はエルフ国でもつかんでいる!ダンジョンマスターは、王国に奴隷制度を見直すように言ってきておるのであろう?」

「何故それを!」

「エルフ国を馬鹿にするな!それぐらいたやすい事。ダンジョン側の要求を飲めばよかろう。エルフ国としてもその提案に賛成だ!」

「馬鹿なことを!なぜ王国が、ダンジョンマスターの言いなりにならなければいけない!」

「ふっ!何を言うかと思えば。じゃあ、エルフがなぜお前達と協力をせねばならん!王国奴隷制度が無くなれば、我が同胞も解放されるではないか!」

「そ、それは……」

「いいか?我々は人族と共闘などしない。どちらかといえば、ダンジョンマスター側と同意見だ。今まで奴隷にした同胞を全て解放せよ!そして、いたぶられた同胞の損害賠償を請求する!」

「そんなバカな事を!今までのエルフの損害賠償など払えるわけが……」

「我々エルフ国は、人族を許しはしない!スタンピードが起こり、王国が滅びたとしても、我々としては願ったり叶ったりだ!」

「馬鹿な!スタンピードが起きれば、エルフの国もただでは済まないんだぞ?分かっておるのか?」

「我々の国は眩惑で包まれ、世界樹である御神木に守られている。そのような心配などしていない!」

 エルフの国には世界樹があり、神聖な魔力に包まれていて魔物などが入る事がで居ないとされていた。しかし、それは只の噂であり、眩惑の森にも魔物は生息しているしダンジョンもある。
 このエルフが言ったのは、世界樹には魔物が近づけないという事である。もし、スタンピードが本当に起こった場合、エルフ達は最長老がいる世界樹の下に集まればいいというだけなのだ。

「貴様達は、自分だけ助かればいいというのか?」

「少なくとも人族は、この世からいなくなればいいとも考えているよ。分かったのなら、すぐにここから立ち去るがよい!」

 エルフの国に、交渉に来た王国の使者は、国にも入れてもらえなかったのだ。

 王国の使者として、他国に行った貴族達が帰還した。エルフ国以外の国には、協力要請の交渉を成功させたのだった。

「国王……申し訳ありません。エルフ国との交渉は決裂しました」

「エルフ国はしょうがないであろう……ダンジョンの事が済み次第決着をつける!今はダンジョンの事を第一に考えよう」

「はっ!」

 王国では、連合国であればダンジョン攻略が成せると、この時までは疑いもしていなかった。
 しかし、マサルのダンジョンはそれを遥かに上回っていた。連合国は、マサルのダンジョンに入った事を後悔することになるのを、ダンジョンに侵入するまでわかっていなかったのだ。


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