社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依

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44話 他国が協力する条件

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 王国は、すぐさま他国に協力を募る書簡を送った。そして、帝国と聖教国では会議が開かれ騒然となった。そこには、SSS級ダンジョンが王国領にできたと書いてあったからだ。
 隣接する2国は、もしこのダンジョンが溢れることがあれば王国は滅亡し、自分達も多大な被害を受けることになるのだ。

「皇帝陛下!これはすぐにでも、王国に詳しい情報を得ないと……」

「しかし……情報を得るという事は、王国に協力する事を前向きに考えねばならん……」

 上級貴族は、皇帝が何を言っているのか分かっていた。帝国領では、ここ数年凶作のあおりで、他国に援助できるほど余裕がある訳ではなかった。

「協力するという事は、出兵に金がかかる……今の帝国にそこまで余裕があるわけではない」

「では、王国に協力する代わりに王国に出資を願い出てはどうでしょうか?あくまでも、帝国としては協力をしたいが、ここ近年不作のせいで無理だというのです」

「そんなに上手く行くと思うか?」

「王国でも、帝国の事情は掴んでいるはずです。国内情勢がひっ迫しているのに、他国の事で出兵は出来ないというのです。しかし、王国ではSSS級ダンジョンをどうにかしたいはず!我が国の戦力を当てにしているからこそ、こうして協力を募っているのです」

「た、確かに……」

「では、すぐにその内容で、王国に書簡を送るのだ!」

「はっ!」

 帝国では、ここ近年降水量が少なく、農作物が育っていなかった。その為、税収が減っていて平民は他国に移住し始めていたのだった。帝国は他国に援助してもらっていたぐらいだった。

 聖教国では、SSS級ダンジョンだと聞き、魔物は撲滅しないといけないという理由で、すぐにでも王国領に行ける準備を開始した。

 魔人国でも過去にスタンピードの被害があり、先代魔人王がダンジョンを発見する魔道具を開発したぐらい注意していた為、王国に対し協力は惜しみなかった。

 ドワーフ国は、王国に対し武器や防具等の輸入の増加を求めてきた。そして、王国が悩ませたのは新開発したゴーレムの購入だった。
 ドワーフ国としたら、今回のダンジョン攻略に使うのに丁度良かったからだ。どれぐらいの効果が発揮できるのか検証が出来るからであって、その開発費が王国から出資させる事が出来るのだ。
 そのゴーレムは、魔物型と称されており、サーベルタイガーなど魔物の特徴をとらえていて、牙や爪にはミスリル素材を使った高級ゴーレムだった。
 最高級のドラゴン型になると、鱗にアダマンタイトを使い防御力が高く、爪や牙には魔法力を通しやすいミスリルを使っていた。
 そして、ドラゴン型の内部に火属性の魔石が使われており、ブレスまで放出するのだった。これらのゴーレムを輸入しろと、ドワーフ国は王国に求めてきた。

 そして、最後にエルフ国は、王国には協力しない事を表明した。実はエルフ国は、ヒューマン国に恨みを持っていた。
 過去に、マサルにエルフ国でもヒューマン奴隷がいると説明していたが、実際はヒューマン国に、エルフが攫われていたのである。エルフはその見た目で、無理やり攫われていて奴隷にされていたのだった。
 エルフ国にいるヒューマン奴隷は、エルフを攫ったヒューマンが、罪に問われた奴隷だったのだ。つまり、エルフ国にはこういった犯罪奴隷としかいなかったのだ。
 だから、エルフ国が王国に協力することは絶対あり得なかった。どちらかといえば、迷惑をかけるヒューマンを滅亡させて欲しいとも考えていたくらいだった。

 こうして、王国は辛い選択を強いられる事になった。聖教国と魔人国は、有事の際には王国からの無償提供を求められたからである。
 つまり、今は王国が最大強国として大陸を支配しているが、これからはダンジョン攻略を協力した代わりに、聖教国と魔人国の言う事は絶対に聞いてほしいという事だった。



 これらの返答に、王国では貴族達が憤慨したのはいう間でもなかった。

「他国はどういうつもりなのでしょうか?」
「そうです!あのダンジョンが溢れれば、どういう事になるのか全く分かっておらん!」
「ここは、地上にある国が協力をしないと、大変な事になるというのに……」

「お主達!各国に使者を送るのだ!そして、より詳しい情報を提供し協力を募るのだ!」

「「「「はっ!」」」」

 王国は、他国に書簡を送るだけでは説得力に欠けると思い、使者を出す事にしたのだった。



 その頃ダンジョンでは、マサルとソフィアが話し合っていた。

「ご主人様、少しよろしいですか?」

「うん?どうかしたのか?」

「本当に連合国はやって来ると思いますか?」

「まあ、時間はかかるだろうけど来ると思うよ。しかし、今日まで世界情勢を教えてもらっていたけど、エルフ国は動かないだろうな」

「それなのですが、エルフ国をこちらに引き込みませんか?」

「はっ?なんで?そんなことしなくともいいよ」

「ですが連合国が来た場合、味方がいるだけで頼りになりますよ?」

「確かにエルフの戦闘力は頼りになるが、ソフィア達だけで十分だよ」

「しかし、連合国となれば今までの人数が違ってきます」

「大丈夫だって。人数が多かろうとダンジョンでは役に立たないよ」

「ですが、5階層からはフィールドエリアになるではありませんか?それこそ少数精鋭では太刀打ちのできない事が出てきても……」

「それはそうかもしれない……しかし、5階層を守るのはビャクヤだよ?伝説の生き物である白虎の化身だ。それにビャクヤだけじゃなく、セイミとグレンは全然戦闘していない」

「それはそうですが……」

「それに、エルフ国とつながりを持っても後々大変になるだけだよ。僕は誰にも、感化されず生活をしたいだけだしね」

「そ、そうですか……」

「ソフィアは何か心配事があるのかい?」

「エルフ国は、今回絶対に連合国に参加しないと、ご主人様は言いましたよね?」

「ああ……言ったね」

「そうなった時、エルフ国はどうなりますか?」

「なるほど!ソフィアは同胞の心配をしている訳か」

「はい……」

「申し訳ないが、それは分からないというしかないよ。ひょっとしたら、連合国に強制参加させられる為に攫われるかもしれない」

「そ、そんな!」

「しかしだ……それを防ぐために僕が動くのは不可能だよ」

「どうしてですか?」

「それも時代というしかないよ。僕はダンジョンマスターであって、英雄でも勇者でもないというしかないからね」

「……」

「しかし、仲間であるソフィア達に何かあった場合、僕は何があっても助けるつもりだよ。今まではこの世界の事がよくわかっていなかったし、魔法の使い方もよくわかっていなかっただけだからね」

 マサルは、ようやくこの世界の事を頭で理解し慣れてきたといったのが正解だった。45年間日本で育ってきたマサルにとって、それほどまでにこの世界の常識はマサルにとって非常識だったからだ。

 マサルが今回、王国に口を出したのは奴隷を囮にダンジョン攻略をする事が許せなかっただけだった。これが、他のダンジョンだけであったなら、マサルは何もしなかっただろう。しかし、それを目の前でやられた事がどうしても不快だったのだ。


 
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