社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依

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47話 ダンジョンの完全勝利

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 連合団長は、飛翔竜王の言葉を聞き、その場に崩れ落ちた。

「これ以上は、もう逆らうでない。お主達に勝ち目はないんだからな」

 生き残った連合の精鋭部隊は悔しそうにしていた。

「まだわからぬのなら、国が滅ぶことになるぞ?ワシが王都に行けば全て決着がつくのが分からぬお主達ではあるまい!」

 精鋭部隊は、一矢報いる為にも悔し紛れに一言いった。

「そのでかい図体でここから出れるわけがないだろ!お前達ダンジョンモンスターは、あくまでもダンジョンを守るための存在だ!」

「ぐははははははは!お主は面白い事を言うのう!」

「何を笑っている!本当の事だろうが!」

「わしが、このダンジョンから出れぬと本当に思っておるのか?」

 飛翔竜王はニヤリと笑うと、人化というスキルを使った。すると、今までその龍の身体が縮み、人の身体になり、気品あふれたダンディズムな白髪のスラッタした体型の男性の姿となった。
 連合国の精鋭部隊は、その姿に恐怖した。人の身体に立派な角が生えている以外は、普通の人間と変わらないのだ。ただその姿からは、先ほどまでの龍の時と同じ雰囲気を纏っていた。

「どうだ?これならどこにでも行けるし、ダンジョンからも容易に出れると思わぬか?」

「も、申し訳ございません!我が部下がいらぬ事を言った……」

 団長は、この叡智龍がダンジョンの外に出たら、本当に国が亡ぶというより世界が滅ぶと思った。

「わかったならお主達はもう帰還せよ。そして、国に今回の事を報告し、我が主の提案を飲むように説明をせよ!」

「わかりました!」

 飛翔竜王は、連合国の精鋭部隊を4階層への階段まで案内し帰還させた。その周りにはいつの間にか、風の精霊たちが取り囲んでいた。
 シルフィードを始め、この空間には精霊がたくさん存在していた。空を見るとグリフォンやスカイドラゴン風属性の魔物が、こちらを睨んでいたのだった。

「くっ……我々はこんなダンジョンを攻略しようとしていたのか……」

「ようやく理解できましたか?それがどれだけ愚かな事か。貴方達の主に詳しく説明してくださいね」

 団長が独り言を言った言葉に、シルフィードがクスクス笑いながら伝言をしろと言ってきたのだ。これには、団長は奥歯を噛みしめ悔しさを滲み出していた。しかし、反撃などできるはずもなく我慢するしかなかった。
 4階へ上がる階段に、連合国を送り届けた所で、飛翔竜王はもう一度忠告を入れた。

「まあ、お主達の命の保証はしてやらないが、4階層までは自由に行動しても許してやる。しかし、5階層以降は役不足だ。我々も、相手するのは面倒だから決して降りてくるでないぞ」

「ぬぐぐぐ……」

「返事はどうした?」

「わ、分かり申した……」

 精鋭部隊は悔しそうに睨んだが、飛翔竜王にもう一度確認を取られ渋々返事をした。



 そして、無事4階へと上がった精鋭部隊の40%が戦死していた。4階層にあがった団長達は目を疑ったのだ。あの叡智龍の言ったようにここまで物資を運ぶ輸送部隊はどこにもおらず、テントだけを残して人間は消えていたのだった。
 敗残兵となった精鋭部隊は2階層に上がる階段で、真っ白な髪にメッシュのガラが入った少女と、アダマンタイトのように輝く髪の女性に会った。

「貴様たち何者だ!近づくんじゃない!」

「あたしはビャクヤ」
「私はダイヤ」
「貴方達に再度忠告します!私の旦那様に、これ以上迷惑をかける事はなりません。よろしいですね」

「ぐううう……分かっておる。このダンジョンを攻略などと馬鹿な考えはもうせぬ……」

「二言はありませんね」

「しつこい!」

 輸送部隊は、あの二人にやられたのだろうと、精鋭部隊の騎士達はそう思った。それと信じれない事だが、ビャクヤとダイヤと名のった女性達からは、あの叡智龍を凌駕する力を感じたのだ。

「このダンジョンは一体どうなっているんだ……」

 そして、さらに1階層の入り口付近には、ストレートで綺麗な青色の髪をもった女性と、ショートヘアで真っ赤に燃えるような赤い髪の女性が立っていた。

「貴様達もあの女の仲間か?」

「いいな!これ以上あたしのマサルに迷惑をかけるなよ」
「いいわね!これ以上わたしのマサル様に迷惑をかけないでね」

「ぐっ……何回も同じことを……」

 連合国はこうしてダンジョンに敗退したのだった。結局、王国は更に被害を広げただけだった。騎士団の再興は10年単位で育てないければ復活はあり得なかった。
 これは帝国も同じ状況となった。帝国は飢饉もあいまって更に厳しい状況である。
 
 そして、魔人国の魔法兵団はさらに深刻な状況だった。後方からのシルフィードの攻撃で、生き残った者は40%しか生還できなかった。生還できた魔法兵団は5体満足ではなく片手などを失い、強力な魔法を撃てなくなってしまっていた。
 その為、戦える魔法兵団は全体の20%もいなかったのである。

 ドワーフ兵団の、新開発されたゴーレム部隊は、他のダンジョンなら役に立ったのかもしれないが、このマサルのダンジョンでは何の役にも立たなかったのだ。
 強力とされたドラゴン型は、今までのゴーレムより高性能だっただけでスピードが全然だったのだ。外装にオリハルコンやアダマンタイトを使ったとしても、ビャクヤ達に取っては鋼鉄と変わらないのである。

 こうして、団長達はダンジョンを脱出できた。すると、ダンジョンに侵入しなかった部隊は何の被害もなかった。

「団長!よくご無事で!」

「お主達は無事だったのか?」

「は、はい!」

「な、何故、お前達はダンジョンに入らなかったのだ?」

 団長は残っていた部下に説明を求めた。すると驚愕の答えが返ってきたのだ。その部下は、ダンジョンの入り口の上空を指をさしたのだった。

「あの女が、我々の侵入を阻止してどうしても侵入できなかったのです」

 ダンジョンの入り口の上方部にある出っ張りに、こちらを見てニッコリ笑っているカグヤがいたのだ。部下が言う事には、物資を運び入れる為、ダンジョンに侵入していたのだが入ったとたん絶叫が聞こえ始めたらしい。
 部下達は引き続き物資を運び入れようとしたら、あの女がダンジョンの中から出てきて、自分達を攻撃をし始めてきたのだが、待機すると何もしてこなかったというのだ。団長達が心配だったが、ダンジョンの中に入る事も出来ず立ち往生していたと部下は説明した。

 団長は、その説明にはらわたが煮えくり返る思いだった。ここにいる部隊を全滅をわざとせずに情けをかけられたからだ。団長は勢いよくダンジョンの上方に鎮座するカグヤに怒鳴ったのだ。

「貴様ぁ~~~!どこまで我々を馬鹿にしたら気が済むのだ!」

 するとカグヤは笑顔を消し、団長の場所まで降りたのだった。その背には蝙蝠の羽が生えていて、妖艶な雰囲気をかもし出していた。

「貴方は初めましてですね。わたしはカグヤと申します」

「名前などどうでも良い!なぜだ!我々に情けなど!」

「おかしなことを言うかたですね。助けてあげた命ですよ?感謝こそされ文句を言われるとは」

「ぬぐぐ……なぜだ!なぜ情けなど!」

 団長のプライドはズタズタになっていた。

「そんなに説明が無いと納得できないのですか?」

「当たり前だ!こちらは国の為に命を懸けて戦っているのだ!その場に情けなどかけおって!」

「我が主様は、争い事が嫌いだからですよ。貴方は5階層で主様の言葉を聞いたはずです。戦闘開始の前に帰還せよと!」

「何だと……あの言葉は臆病風に吹かれて……」

 カグヤは団長の言葉に、また口に手を当ててクスクスと笑いだした。

「な、何がおかしい!」

「貴方達はこのダンジョンを体験してきたはずです。手も足も出ない連合国相手に、何でわたしの主様が臆病風に吹かれなければならないのですか?主様はお優しい方です。あえて、貴方達を殺す必要などないという程、争い事が嫌いなだけです」

「むぐぐぐぐ!」

「それに、このダンジョンに入らない人間は、攻めに来てはいないというのが答えになっていませんか?」

「な、何だと……」

「つまり、ダンジョンに入らないのに命を取ったら、ただの人殺しになるとはおもいませんか?」

「しかし、貴様たちはここに作った簡易村を全滅させたではないか」

「それは当たり前です!ここは主様がいるダンジョンの玄関と言ってもよい場所です。そんな場所に勝手に建物など建てないでください!目障りなだけです。今いる人間達は、ここにキャンプを張って呑気にピクニックをしているだけです」

 団長は、カグヤの説明に頭に血が上ったが何も言う事が出来なかった。剣で斬りつけようとしたいが、カグヤの発する威圧に会話するので精一杯だったのだ。

「納得いきましたか?それならば、24時間以内にこの場所から立ち去ってください!それ以上は本当に命を取らせていただきます。それと次はちゃんと、自分達の立場を考えて王族に伝えてくださいね。こちらの要望をちゃんと伝えないと本当にどうなるか分かりません事よ」

「ぐっ……」

 それだけ言うとカグヤは、ダンジョンの上方部分の岩の出っ張りに戻り、足を組んで腰を下ろした。



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