氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第1章 レアスキルは偉大

25話 生産ギルド、ショウに怒られる

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 商人ギルド本部では、ベラが幹部に呼び出され事情を聴かれていた。ベラは、今回の事を隠し騒動はアリサの奴隷落ちで納得してもらったとしていた。その事でベラは本部勤務で栄転を果たしていた。
 商人ギルド本部はブリガンダイン王国の王都グシリアに拠点を構えている。

「ベラ部長!今の話は本当なのか?」
「も、申し訳ありませんでした!」
「なぜ、そんなすぐばれる嘘を!」
「まさか、魔導士様がPOT錬成術のスキルを持っていたなんて思わなかったんです・・・」
「馬鹿もの!スキルを持っていたとか持っていなかったとか問題ではない!」

 本部ギルドマスターが怒るのも無理はなかった。その時にちゃんと謝罪してればこんな事にはならなかったからだ。

「うっ・・・」
「なんとか言ったらどうなんだ!なぜそんな嘘をついた!」
「私のキャリアを失いたくなかったんです・・・」
「はぁあ!?そのくだらないお主のキャリアとやらで、マートンの町の商人ギルドは潰れるかもしれんのだぞ!」
「うっううっ・・・」
「私がなんで・・・たかが受付嬢のミスで責任を取らされなくてはならないんですか!受付嬢を奴隷に落としたからそれでいいじゃない!」
「いい加減にしろぉ~~~!貴様のせいで儂が出向く事になったのが分からぬのか!」
「・・・・・・・・・」
「貴様も一緒に着いてくるんだ!いいな?」
「な、なんで私が・・・」
「当たり前だ!今回の責任をとってもらうからな。覚悟しろよ!」

 本部のギルドマスターは目を充血させベラを睨みつけた。

「わ、私は悪くない!あの女が魔導士を追い払ったから悪いの!」

 ベラはヒステリーを起こし、まるで子供のように泣き叫んだ。その姿にギルドマスターはなぜこんな奴が出世したのか頭を抱えるのだった。そして、商人ギルドマスターはベラを強制連行しマートンの町にやって来る事になる。

 そして、ここは生産ギルドの一室ではレジーナの上司に相談をしていた。

「す、すいません。まさか私・・・魔導士様がPOT錬成術を使えると思っていなくて・・・」
「どういう事だ?なぜ謝っているんだ」

 商人ギルドと生産ギルドのやりとりはすでにギルド中に広まりヒールポーションの廃止を決めて、ここ数日レジーナは寝れない夜を過ごしていたのだ。

「魔導士様は一度、生産ギルドの登録をしに来た事があったんです・・・」
「はぁあ!?」

 レジーナはその時の事を上司に説明をしたのだった。その時に確かに、ショウはPOT錬成術のスキルはないと言ったのだ。なので、年齢的に生産ギルドの登録はお勧めしないとアドバイスのつもりで断ったと正直に話したのだ。
 それを聞いた上司は一気に体温が下がる感じがした。

「だから魔導士様はヒールポーションの値が崩れる事も厭わなかったのか・・・」
「ハーネル主任どうしたらよろしいでしょうか?」
「一度ギルドに報告し謝罪しよう。謝罪は俺も一緒にいくから。それとガンツにも謝罪させないといけない。ったく。あいつは何を考えているんだ」

 ハーネルはガンツの行動に腹を立てていた。ガンツは以前にもギルド職員の仕事に口を出し出しゃばるなと何回も言われていたのだ。

「あいつの出しゃばる態度にはギルドでも問題になってたんでギルドから忠告を何回もしてたんだが、あいつは今回の件で処罰を受けるだろう」
「そ、そうですか・・・」
「しかし、レジーナ、君も今回の件でなにかしら処罰を受けるかもしれない」
「そ、そんな・・・」
「なるべく庇うつもりだが相手は魔導士様だ。私にもどうなるか想像もつかないのが正直な感想だ」
「・・・・・・・・・」

 レジーナはハーネルの言葉に暗く沈んでしまう。とりあえず、謝罪しないと話は進まないので、その日の内にギルドに報告し5人でショウの土地に訪問をする事になった。



【ご主人様。面会に来てる人がいます。約束はないようですがどうなされますか?】
「約束がない?たしかに商人ギルドのギルドマスターがくるのには早すぎるな」
【なんでも生産ギルドの方らしいです】
「わかったすぐに行くよ」

 私有地の出入り口に行くと、偉い立場の雰囲気を出す男性と女性とハーネル・レジーナ・ガンツの5人、それとここまで護衛の冒険者らしき人間が10人いた。

「この度はレジーナとガンツが失礼な事して申し訳ありませんでした。これはつまらないものですがお納め下さい」
「これはご丁寧にありがとうございます。こんな所ではなんですからどうぞお上がり下さい」

 ショウは客室に案内した。客室はハウスではなく、大木が形を変え家のようになっていた。当然、ドライアドの仕事である。

「これは一体・・・大木が家のようになっているとは?」
「どうぞこちらへ」

 ショウはギルドの偉いさん達を中に案内すると、アリサがお茶を運んで来た。

「それで今日はどのようなご要件でしょうか?」
「まずは私ギルドマスターのアードンと申します」
「私は副ギルドマスターのランと申します」
「私はレジーナの上司でハーネルと申します」
「これはこれはお偉いさん全員で恐縮です。そちらの2人がいるという事は登録の件で来たという事ですね」
「はい。私共も今日聞いたばかりで驚いたのですが、魔導士様が以前当ギルドに登録をしにきたと聞きました。その際、こちらのレジーナとガンツが余計な事を言って登録を拒否したそうで・・・」
「だけどよう!あの時、魔導士様が・・・」
「お前は黙ってろ!」

 ガンツが言い訳をしようとしたら、間髪入れずギルドマスターのアードンが大声を出し征する。その迫力にガンツは青い顔をして黙ってしまう。

「それで今後こういった事が起きないように教育指導を徹底させますので今回の事はお許しください!」

 アードン達は言い訳せずに謝罪だけしたのだった。

「ふ~ん。生産ギルドはしっかりしているんだな?」
「はっ?」
「いや、気にしないでくれ。こっちの話だ。なら、いいよ」
「はっ?」
「だから、君達のした事はもう気にしてないから謝罪を受け入れるよ」
「本当ですか?」

 生産ギルドの人間は、ショウが謝罪を受け入れると言って笑顔が漏れる。

「だけど今回だけだよ。また同じ事が起こったとわかれば、俺は許さないからな」
「それはもう・・・重々承知しています。それでなのですが魔導士様はPOT錬成術をお持ちなのですか?レジーナが言うにはなかった聞き、魔導士様の登録を躊躇したと聞きましたが?」
「確かに俺はPOT錬成術は持ってないよ」
「おかしいだろ?POT錬成術が無いのに、巷では効果の高いポーションを・・・」
「だから、お前は黙ってろ!話がややこしくなる!」
「うーん・・・ガンツさんだったっけ?」
「ああ。そうだ!」
「あんたは悪いやつじゃないんだが空気を読んだほうがいいよ。じゃないと同じ間違いを起こすぞ」
「なんだよ!俺は気になったから・・・」
「だよな?典型的な職人気質のドワーフだ。だが、あんたは自分の事だけしてた方がいい職人になるよ」
「魔導士様の言う通りだ。お前はホールにいて何かと口を挟んでトラブルを起こす。ギルドから何回も忠告をいれているだろ。それを気にせず受付嬢の仕事に口を挟んで今回の事が起こったのがわからんのか!」
「だけどよう・・・魔導士様にPOT錬成術が無いなら他の道を教えてやるのも先輩としての役目だぜ」
「俺はあんたの後輩になるのはゴメンだ」
「なっ・・・」
「ガンツさん、俺からの忠告だ!あんたは一人親方でいた方がいい。弟子が出来てもその弟子は潰されるだけだ」
「バカ言ってじゃねぇ!俺はいつか弟子をいっぱい抱える大親方になるんだ!」

 ガンツはショウの言葉に顔を真っ赤にして激昂する。

「夢を見るのは勝手だ。今現在あんたの後輩は着いてきてるか?」
「それがガンツを師匠に新人を紹介しているのですが、みんな一ヶ月も保たず辞めてしまうのです・・・」
「だろうな。こいつの下では職人は育たないだろうな」
「なんだと!今までのやつらは根性が足りねぇんだ」
「ギルドマスターさん、こいつはどうにかした方がいいぞ。また、同じ事を絶対繰り返す」
「はぁあ~~~!?魔導士様だからって好き勝手言ってんじゃねえ!」
「「「「「「あっ!」」」」」」

 ガンツはショウの言葉に我慢の限界を越えて、とうとう殴りかかる。ギルドマスターのアードン達はその場に固まっていた。

【・・・・・・・・・】

 殴りかかるガンツは息を飲んで固まる。ガンツの首元にはホムンクルスの剣が当てられていたからだ。

「さて、ガンツさん。これは正当防衛だか何か言いたい事はあるか?」
「うぐっ・・・てめぇきたねぇぞ・・・」
「と、冗談はこの辺で終わりにしておこうか?」
「はっ?」
「剣を収めてくれ」

 ショウがホムンクルスに剣を収めるように言うと、ホムンクルスは無言で剣を収める。そしてショウはガンツに話し掛けた。

「ガンツさん悪かったな。しかし俺の言葉を聞いてどうおもった?たぶん、俺の何をしっているんだ?いい加減な事ばかり言いやがってムカつくと思っただろ?」
「だからなんだ!」
「そう。決めつけが悪いんだよ。あんたは俺がPOT錬成術がないから、ポーションが作れないから生産ギルドには相応しくないと決めつけ、横からシャシャリ出たんだよ」
「うぐっ・・・」
「そして、本来ならこれは俺とギルド、レジーナさんがやりとりする事だったんだ。レジーナさんからすればガンツさんの言動はありがた迷惑なんだ。わかるか?」
「ううっ・・・だったら最初からポーションを作れると言えば良かったんだ」
「そうたな。だが、俺は言わなかった。なぜか分かるか?」
「そんな事わかるかよ」
「あんたにあれ以上かかわるのが時間の無駄だったからだ」
「なっ・・・」
「俺とあんたは他人だ。俺は見ず知らずの他人の言う事を聞いて悩むつもりはサラサラないんだよ。時間は有限だからな。あんたはただ自分の狭い知識をひけらかしたいだけなんだ。だから、こういう事を繰り返すんだ」

 ガンツはショウにこれでもかと言うほどダメ出しをされてしまい何も言えなくなってしまった。

「アードンさん申し訳なかったな。俺がガンツさんに言う事じゃないのに」
「いえ、私共も困り果てた事でしたので助かります」
「ガンツさん、アードンさん達に感謝するんだぞ。今回の件であんたはそれ相応の処罰が下るだろうが腐るなよ」
「はぁあ!?俺が処罰?」

 ガンツはアードンに掴みかかるが、アードンはその手を払い除ける。

「当たり前だろうが!ガンツはランクをFに降格がすでに決まっている。また、Fランクから出直せ!」
「う、嘘だぁ!俺がFランクだなんて!」

 アードンはこの場でガンツの処罰を言い渡した。そして、レジーナにも、3ヶ月の謹慎と給料の20%のカットを言い渡し、アードン達はこの処罰で許してほしいと言う。
 ショウはすでに謝罪を受け取ると言ったので、これ以上ギルド内で決めた事に口出しはしないと言うと、アードン達は安堵した。

「魔導士様、それと生産ギルドの方に登録をお願いしたいのですがいかがでしょうか?」
「ああ・・・それはお断りします」
「な、なんでですか?」
「なんでって最初あんた達から俺の登録拒否したんじゃないか?たから、俺は冒険者ギルドに登録したんだぜ」
「で、ですが、魔導士様のポーションの腕は、生産ギルドで発揮できるかと・・・」
「アハハハ!馬鹿な事を!ギルドマスターさん今の状況をちゃんと見てるか?俺は冒険者ギルドでも成功しているじゃないか」
「そ、それは・・・」
「ちゃんと現状は見てないと足をすくわれるぜ?」
「一体何を?」
「POT錬成師達の事だよ。俺がヒールポーションを冒険者ギルドに買い取ってもらうから、あんた達はヒールポーションを諦め、ミドルヒールポーションに切り替えただろ?」
「それはしょうがない事だと・・・」
「生産ギルドのPOT錬成師達によく言っておけ!このままだと飯の種が無くなるぞとな」
「何を馬鹿な事を・・・」
「いいか?俺は生産ギルドじゃない。冒険者ギルドで空間魔導士としてダンジョンに単独でも潜れるんだ。これがどういう事か考えるんだな」
「ま、まさか?」
「そう、俺のレベルが上がるって事だ。素材は自分で取ってこれてミドルヒールポーションはおろかハイヒールポーションも普通に作れるようになるんだ。今いる錬成師は手を抜かず丁寧にポーションの製作をする事を教えてやらないと大変な事になるぞ」
「そ、そんな・・・」
「ヒールポーションでも丁寧に製作すれば単価は安くても利益はでるはずだからな。俺は冒険者の使うポーションの値が高すぎると思っているからな。生産ギルドの言う事を聞くつもりはまったくないと思ってくれよ」

 ショウの言葉に、生産ギルドの面々は暗く絶望の表情をするのだった。
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