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第1章 レアスキルは偉大
34話 想定外の最上位種
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ショウは、ゴブリンに囚われている女性の檻を破壊する。しかし、女性達は余程酷い経験があったようで既に生きる希望を失っており檻から出ようとしなかった。
「私達に構わないでください・・・」
「帰る村ももうありませんし、私はここで死にたいと思います」
「駄目だ!」
ショウは女性達の辛さはわからないが自殺するのは許さないと大声で言う。これはショウが過労死しこの世界にやってきた事にある。確かに日本での暮らしは辛いものがあったが、それでも生きていれば楽しい事もあったからだ。ショウは仕事は辛かったが嫌いではなかった。ただ、自分のペースでできずにこの世を去ってしまいもっと人生を謳歌したかったのだ。それ故に辛い目に遭った事は同情するが、女性達が自ら命を絶とうとしているのは看過できなかったのだ。
「あんたは冒険者だろ?パーティーの仲間は生きたかったはずだ。君はまだ生きているだろ?なのに、自ら死を選ぶつもりか?」
「うわぁああああああああ!」
女性冒険者は泣き出してしまった。その泣き声にゴブリンが寄って来る。
「主様・・・女性を追い詰めないでください」
「こんな言い方しかできなくて悪いな・・・だが、自殺は駄目だ!」
「ううっ・・・」
「女性達を守りたいからできるだけこの場所でゴブリンの数を減らしてくれ」
「「「「「「はい!」」」」」」
アユミ達は女性の檻を背にしてゴブリンを討伐していく。そして、とうとうゴブリンの最上位種と言われるゴブリンジェネラルやゴブリンマスター、ゴブリンライダーやゴブリンクルセイダーが姿を現す。ただし、下級ゴブリンとは違い数は少なく3匹ほどだった。
「数は少ないがやれるか?」
「「「「「「見くびらないでください!」」」」」」
カホとイチョウ以外は前線に飛び出す。そして、ゴブリン最上位種に斬りつける。
『グギャアアアアアアアアア!』
ゴブリンマスターでも、アユミ達の剣を止められないが、ゴブリンジェネラルがアユミの剣を止めてニヤリと嘲笑したのだった。
『ぐぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!』
「あたしをなめんじゃねぇ!」
「アユミ!もっと冷静になりなさい」
アユミに声をかけるのはヨシノだ。ヨシノは槍術を持つが盾術も持ちタンカーも熟すホムンクルスだ。普段は温厚で癒し系の性格で戦闘時も沈着冷静な一面を持つ。
「アユミ!頭に血が昇って足元を掬われるわ。ゴブリンジェネラルは私達にとって大した魔物じゃないわ」
そう言って、ヨシノはゴブリンジェネラルの大剣を盾で薙ぎ払い出来た隙を見逃さす槍を穿った。
『グギャアアアアアアアアア!』
しかし、ゴブリンジェネラルの体力はヨシノの一撃では削り切ることは出来ない。
「さすがにジェネラルは体力があるわね・・・」
「あたしが盾になる!ヨシノは後ろに回り込んで」
「分かったわ!」
アユミとヨシノの連携攻撃が発動する。アユミがジェネラルにヘイトを掛け、ジェネラルはアユミに攻撃を仕掛ける。しかし、ヨシノの盾さばきを学びジェネラルの攻撃を受け流してタンカーの役目に徹したのだった。ジェネラルの攻撃はアユミに届かなくて、苛立ち始めるジェネラルの背中に槍で攻撃するヨシノ。しかし、ジェネラルの攻撃はアユミの盾さばきを圧倒し始める。
「くっ・・・ゴブリンの癖に」
「アユミ!正面でまともに受けちゃ駄目!体力が削られるわよ」
「そんな事言われても・・・」
ゴブリンジェネラルはアユミのヘイトで目が血走り、アユミを乱打する。その凄まじい腕力から繰り出される斬撃はアユミの顔をゆがめるのだった。
「アユミ!何を戸惑っている。たかがゴブリンだ!こうやって力でねじ伏せるんだよ!」
「「アスカ!」」
アスカはアユミとヨシノの戦闘に割って入る。そして、ゴブリンジェネラルを大剣で真っ二つに切り裂いてしまった。
『ぐがががががががががが・・・』
ゴブリンジェネラルは言葉にならない絶叫でその場に崩れ落ちる。
「た、助かったよ・・・アスカありがと」
「どういたしまして」
アスカの強さは、ホムンクルスで一番のレベルの高さだ。この世界のレベルは一応100レベルが上限とされている。一応とされているのは、それ以上のレベルが確認されていないのだ。その理由は1レベルから100レベルに上がる経験値と100レベルから101レベルに上がる経験値が同じという鬼畜仕様だからだ。そんな膨大な経験値を稼ぐなど寿命が先に尽きる事になる。つまり、長命種ならば101レベルになる可能性はあるがそんな事はなく限りなく不可能だった。100レベルに上がった人物より弱い魔物を倒しても経験値は微々たるものだからだ。その理由からして、100レベルがこの世界の上限とされていた。
そんな世界でアスカのレベルは95というのだからゴブリンジェネラルの強さなど赤子のようなものである。当然だがこの戦いでアスカ達のレベルは一つも上がってはいない。
「そろそろ来るよ!みんな気を引き締めて」
ゴブリン最上位種達を全滅させたアスカ達は、集落の奥から咆哮をあげ突進してくるゴブリンを睨みつけた。
『ぐおぉおおおおお!』
「さすがゴブリンだな。仲間が全滅するまで戦わないなんて愚か者だ」
しかし、目の前に現れたゴブリンキングにアスカ達は驚愕する。
「なんでゴブリンキングが3匹もいるんだ?」
咆哮をあげたゴブリンキングの後ろに二匹のゴブリンキングが一緒に現れたのだ。しかし、アスカ達は一瞬驚きはしたもののゴブリンキングに突進する。
「あたしが一匹を担当するから、スミエとアユミのペア、ヨシノとカオリのペアでゴブリンキングを倒して!」
「「「「分かったわ」」」」
アスカはとっさにタンカーとしての役割をもつアユミとヨシノを分けた。そして、3組に分けてゴブリンキングと戦うホムンクルス達は善戦をする。
『『ぐおぉおおおおおおおおおお!』』
そして、ショウは新たな咆哮に目を見開き驚いた。キング3匹の後方に新たなゴブリンキングらしき二匹が姿をあらわしたのだ。
「う、嘘だろ?ゴブリンキングが更に二匹・・・だと・・・冗談だろ?いや、違う!あれはゴブリンエンペラーとマザーか!」
その時、集落の外では数人の人影がその様子を見ていた。
「「「「「なんだあれは・・・」」」」」
「俺達は幻でもみているのか?」
「あれは魔導士様か?それにあの戦士達は」
「あれってまさかいつも仮面をかぶっていた女の護衛か?」
「なんか様子が違うみたいだが・・・」
「まさか、あの女性達を助けるつもりで集落に突入したのか?」
そうこの人影は冒険者ギルドの偵察部隊の斥候隊員であった。斥候隊員の一人は急いでその事実を伝えに町へと帰還する。また、残りの数十人は奥歯を噛み締め現状を見守る事しかできずにいた。
「おじちゃん!」
「イチョウどうした?」
「集落の外に人間がたくさんいる・・・多分斥候の人間だと思う・・・」
イチョウはパーティーの斥候の役割を担うホムンクルスだ。ギルドの斥候隊員が村に報せに戻った時に慌てて戻った時に気配が乱れたのをイチョウは察知したのだ。そして、イチョウは集落の外に数十人の気配を感じ取り、ショウに報告したのだった。
「ひょっとしてギルドの斥候隊員か・・・」
「そこまでは分からないけど嫌な感じはしない・・・」
「そうか。なら、イチョウ。その斥候隊員に伝えてくれないか?」
「分かった・・・」
ショウの言葉を聞いた瞬間、イチョウの姿がスッと消えてしまう。システィナとアリサの護衛はぶっちゃけカホだけでもなんとかなっていた。
「とりあえず時間を稼がないといけないな。時空の刃よ。敵を穿て!時空の槍!」
ショウは、襲い来るゴブリンエンペラーとマザーの二匹にスペイスタムジャベリンを撃ち込んだ。
『ぐがっ?』
「旦那様の魔法が効かないなんてなんてやつだ!」
スペイスタムジャベリンが命中するが、エンペラーとマザーの二匹は微動だにしない姿を見てアスカは驚愕する。
「アスカ!お前は目の前のキングに集中しろ」
「旦那様すいません!」
「早く倒してアユミ達の援護に回れ!」
「はい!」
アスカにキングを一人で倒す実力があるのは確実なのは分かっていたショウは、アスカに早く倒してアユミ達を助けるように指示をだす。そして、ショウはエンペラーとマザーに更にスペイスタムジャベリンを撃ち込む。
『『ぐがっがががががががが!?』』
そして、3発目の一撃でエンペラーとマザーの突進が止まったのだった。
「やっと効いたか・・・」
スペイスタムジャベリンは80%の確率でタイムストップがかかる。80%と聞くとかなりの確率で発動すると思うがそうではない。相手にもマジックレジストという能力がある可能性がある。当然だが、エンペラーやマザーのような最上位種の魔物がマジックレジストの能力があるのは当然で、その値は脅威の50%だ。つまり80%でかかる確率も50%を差し引かれ、30%まで低下してしまうのだ。
「エンペラーとマザーの動かなくなった!」
システィナが驚いて大声を出す。その様子を見届けていた斥候隊員達も驚き言葉を失ってしまう。
「まさかこの集落にエンペラーとマザーがいたなんて・・・マートンの町が滅んでいたかもしれなかったな」
「それにしても魔導士様の魔法はなんてとんでもないんだ。エンペラーとマザーに状態異常に陥れるなんて・・・」
その時、ギルド斥候隊員の背後にスッと姿を現したのはイチョウだった。
「すいません。おじちゃんからの伝言を伝えにきました」
「「「「「「!」」」」」」
ギルド斥候隊員全員が、イチョウの気配すら察知できなくて固まった。
「幼女がこんな所に・・・」
「幼女・・・」
「ここを早く離れるんだ。ここは危険だ」
「わかってる。おじちゃんが貴方達に頼みたい事があるから伝えにきた」
「おじちゃんって誰だ?」
「あっ・・・おじちゃんはあそこにいる魔導士」
「君は魔導士様の側にいたのか?」
「うん・・・」
イチョウはショウからの伝言を伝えた。内容はゴブリンに捕らえられていた女性の保護だった。女性達を集落から連れ出してほしいとイチョウに言われたのだった。
「しかし、我々が集落に入るのは・・・」
「あの女性達がいる為、おじちゃんが力を出せない・・・足手まといの女性を連れ出して欲しい・・・貴方達の安全はあたしが保証する」
「君があの場所に連れて行ってくれるのか?」
「うん・・・それに集落に残るゴブリンはあの五匹だけだから安心して・・・」
「後はあの五匹だけなのか?」
「うん・・・あたしが保証する。ゴブリンの気配はもうないから安心して・・・」
「わ、わかった。魔導士様の役に立てるなら我々も協力は惜しまない」
そう言って、ギルド斥候隊員はイチョウに連れられ、ゴブリンの集落に潜入を開始したのだった。
「私達に構わないでください・・・」
「帰る村ももうありませんし、私はここで死にたいと思います」
「駄目だ!」
ショウは女性達の辛さはわからないが自殺するのは許さないと大声で言う。これはショウが過労死しこの世界にやってきた事にある。確かに日本での暮らしは辛いものがあったが、それでも生きていれば楽しい事もあったからだ。ショウは仕事は辛かったが嫌いではなかった。ただ、自分のペースでできずにこの世を去ってしまいもっと人生を謳歌したかったのだ。それ故に辛い目に遭った事は同情するが、女性達が自ら命を絶とうとしているのは看過できなかったのだ。
「あんたは冒険者だろ?パーティーの仲間は生きたかったはずだ。君はまだ生きているだろ?なのに、自ら死を選ぶつもりか?」
「うわぁああああああああ!」
女性冒険者は泣き出してしまった。その泣き声にゴブリンが寄って来る。
「主様・・・女性を追い詰めないでください」
「こんな言い方しかできなくて悪いな・・・だが、自殺は駄目だ!」
「ううっ・・・」
「女性達を守りたいからできるだけこの場所でゴブリンの数を減らしてくれ」
「「「「「「はい!」」」」」」
アユミ達は女性の檻を背にしてゴブリンを討伐していく。そして、とうとうゴブリンの最上位種と言われるゴブリンジェネラルやゴブリンマスター、ゴブリンライダーやゴブリンクルセイダーが姿を現す。ただし、下級ゴブリンとは違い数は少なく3匹ほどだった。
「数は少ないがやれるか?」
「「「「「「見くびらないでください!」」」」」」
カホとイチョウ以外は前線に飛び出す。そして、ゴブリン最上位種に斬りつける。
『グギャアアアアアアアアア!』
ゴブリンマスターでも、アユミ達の剣を止められないが、ゴブリンジェネラルがアユミの剣を止めてニヤリと嘲笑したのだった。
『ぐぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!』
「あたしをなめんじゃねぇ!」
「アユミ!もっと冷静になりなさい」
アユミに声をかけるのはヨシノだ。ヨシノは槍術を持つが盾術も持ちタンカーも熟すホムンクルスだ。普段は温厚で癒し系の性格で戦闘時も沈着冷静な一面を持つ。
「アユミ!頭に血が昇って足元を掬われるわ。ゴブリンジェネラルは私達にとって大した魔物じゃないわ」
そう言って、ヨシノはゴブリンジェネラルの大剣を盾で薙ぎ払い出来た隙を見逃さす槍を穿った。
『グギャアアアアアアアアア!』
しかし、ゴブリンジェネラルの体力はヨシノの一撃では削り切ることは出来ない。
「さすがにジェネラルは体力があるわね・・・」
「あたしが盾になる!ヨシノは後ろに回り込んで」
「分かったわ!」
アユミとヨシノの連携攻撃が発動する。アユミがジェネラルにヘイトを掛け、ジェネラルはアユミに攻撃を仕掛ける。しかし、ヨシノの盾さばきを学びジェネラルの攻撃を受け流してタンカーの役目に徹したのだった。ジェネラルの攻撃はアユミに届かなくて、苛立ち始めるジェネラルの背中に槍で攻撃するヨシノ。しかし、ジェネラルの攻撃はアユミの盾さばきを圧倒し始める。
「くっ・・・ゴブリンの癖に」
「アユミ!正面でまともに受けちゃ駄目!体力が削られるわよ」
「そんな事言われても・・・」
ゴブリンジェネラルはアユミのヘイトで目が血走り、アユミを乱打する。その凄まじい腕力から繰り出される斬撃はアユミの顔をゆがめるのだった。
「アユミ!何を戸惑っている。たかがゴブリンだ!こうやって力でねじ伏せるんだよ!」
「「アスカ!」」
アスカはアユミとヨシノの戦闘に割って入る。そして、ゴブリンジェネラルを大剣で真っ二つに切り裂いてしまった。
『ぐがががががががががが・・・』
ゴブリンジェネラルは言葉にならない絶叫でその場に崩れ落ちる。
「た、助かったよ・・・アスカありがと」
「どういたしまして」
アスカの強さは、ホムンクルスで一番のレベルの高さだ。この世界のレベルは一応100レベルが上限とされている。一応とされているのは、それ以上のレベルが確認されていないのだ。その理由は1レベルから100レベルに上がる経験値と100レベルから101レベルに上がる経験値が同じという鬼畜仕様だからだ。そんな膨大な経験値を稼ぐなど寿命が先に尽きる事になる。つまり、長命種ならば101レベルになる可能性はあるがそんな事はなく限りなく不可能だった。100レベルに上がった人物より弱い魔物を倒しても経験値は微々たるものだからだ。その理由からして、100レベルがこの世界の上限とされていた。
そんな世界でアスカのレベルは95というのだからゴブリンジェネラルの強さなど赤子のようなものである。当然だがこの戦いでアスカ達のレベルは一つも上がってはいない。
「そろそろ来るよ!みんな気を引き締めて」
ゴブリン最上位種達を全滅させたアスカ達は、集落の奥から咆哮をあげ突進してくるゴブリンを睨みつけた。
『ぐおぉおおおおお!』
「さすがゴブリンだな。仲間が全滅するまで戦わないなんて愚か者だ」
しかし、目の前に現れたゴブリンキングにアスカ達は驚愕する。
「なんでゴブリンキングが3匹もいるんだ?」
咆哮をあげたゴブリンキングの後ろに二匹のゴブリンキングが一緒に現れたのだ。しかし、アスカ達は一瞬驚きはしたもののゴブリンキングに突進する。
「あたしが一匹を担当するから、スミエとアユミのペア、ヨシノとカオリのペアでゴブリンキングを倒して!」
「「「「分かったわ」」」」
アスカはとっさにタンカーとしての役割をもつアユミとヨシノを分けた。そして、3組に分けてゴブリンキングと戦うホムンクルス達は善戦をする。
『『ぐおぉおおおおおおおおおお!』』
そして、ショウは新たな咆哮に目を見開き驚いた。キング3匹の後方に新たなゴブリンキングらしき二匹が姿をあらわしたのだ。
「う、嘘だろ?ゴブリンキングが更に二匹・・・だと・・・冗談だろ?いや、違う!あれはゴブリンエンペラーとマザーか!」
その時、集落の外では数人の人影がその様子を見ていた。
「「「「「なんだあれは・・・」」」」」
「俺達は幻でもみているのか?」
「あれは魔導士様か?それにあの戦士達は」
「あれってまさかいつも仮面をかぶっていた女の護衛か?」
「なんか様子が違うみたいだが・・・」
「まさか、あの女性達を助けるつもりで集落に突入したのか?」
そうこの人影は冒険者ギルドの偵察部隊の斥候隊員であった。斥候隊員の一人は急いでその事実を伝えに町へと帰還する。また、残りの数十人は奥歯を噛み締め現状を見守る事しかできずにいた。
「おじちゃん!」
「イチョウどうした?」
「集落の外に人間がたくさんいる・・・多分斥候の人間だと思う・・・」
イチョウはパーティーの斥候の役割を担うホムンクルスだ。ギルドの斥候隊員が村に報せに戻った時に慌てて戻った時に気配が乱れたのをイチョウは察知したのだ。そして、イチョウは集落の外に数十人の気配を感じ取り、ショウに報告したのだった。
「ひょっとしてギルドの斥候隊員か・・・」
「そこまでは分からないけど嫌な感じはしない・・・」
「そうか。なら、イチョウ。その斥候隊員に伝えてくれないか?」
「分かった・・・」
ショウの言葉を聞いた瞬間、イチョウの姿がスッと消えてしまう。システィナとアリサの護衛はぶっちゃけカホだけでもなんとかなっていた。
「とりあえず時間を稼がないといけないな。時空の刃よ。敵を穿て!時空の槍!」
ショウは、襲い来るゴブリンエンペラーとマザーの二匹にスペイスタムジャベリンを撃ち込んだ。
『ぐがっ?』
「旦那様の魔法が効かないなんてなんてやつだ!」
スペイスタムジャベリンが命中するが、エンペラーとマザーの二匹は微動だにしない姿を見てアスカは驚愕する。
「アスカ!お前は目の前のキングに集中しろ」
「旦那様すいません!」
「早く倒してアユミ達の援護に回れ!」
「はい!」
アスカにキングを一人で倒す実力があるのは確実なのは分かっていたショウは、アスカに早く倒してアユミ達を助けるように指示をだす。そして、ショウはエンペラーとマザーに更にスペイスタムジャベリンを撃ち込む。
『『ぐがっがががががががが!?』』
そして、3発目の一撃でエンペラーとマザーの突進が止まったのだった。
「やっと効いたか・・・」
スペイスタムジャベリンは80%の確率でタイムストップがかかる。80%と聞くとかなりの確率で発動すると思うがそうではない。相手にもマジックレジストという能力がある可能性がある。当然だが、エンペラーやマザーのような最上位種の魔物がマジックレジストの能力があるのは当然で、その値は脅威の50%だ。つまり80%でかかる確率も50%を差し引かれ、30%まで低下してしまうのだ。
「エンペラーとマザーの動かなくなった!」
システィナが驚いて大声を出す。その様子を見届けていた斥候隊員達も驚き言葉を失ってしまう。
「まさかこの集落にエンペラーとマザーがいたなんて・・・マートンの町が滅んでいたかもしれなかったな」
「それにしても魔導士様の魔法はなんてとんでもないんだ。エンペラーとマザーに状態異常に陥れるなんて・・・」
その時、ギルド斥候隊員の背後にスッと姿を現したのはイチョウだった。
「すいません。おじちゃんからの伝言を伝えにきました」
「「「「「「!」」」」」」
ギルド斥候隊員全員が、イチョウの気配すら察知できなくて固まった。
「幼女がこんな所に・・・」
「幼女・・・」
「ここを早く離れるんだ。ここは危険だ」
「わかってる。おじちゃんが貴方達に頼みたい事があるから伝えにきた」
「おじちゃんって誰だ?」
「あっ・・・おじちゃんはあそこにいる魔導士」
「君は魔導士様の側にいたのか?」
「うん・・・」
イチョウはショウからの伝言を伝えた。内容はゴブリンに捕らえられていた女性の保護だった。女性達を集落から連れ出してほしいとイチョウに言われたのだった。
「しかし、我々が集落に入るのは・・・」
「あの女性達がいる為、おじちゃんが力を出せない・・・足手まといの女性を連れ出して欲しい・・・貴方達の安全はあたしが保証する」
「君があの場所に連れて行ってくれるのか?」
「うん・・・それに集落に残るゴブリンはあの五匹だけだから安心して・・・」
「後はあの五匹だけなのか?」
「うん・・・あたしが保証する。ゴブリンの気配はもうないから安心して・・・」
「わ、わかった。魔導士様の役に立てるなら我々も協力は惜しまない」
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