氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第1章 レアスキルは偉大

35話 ゴブリン討伐完了しました

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 イチョウが集落の中にギルド斥候隊員達を連れてきたことにショウの顔に笑顔が戻る。

「よく集落の中に来てくれました」
「魔道士様、なぜこんな無茶な事を!」
「森の中にジャイアントボアを探しにきてたんだよ。そしたらゴブリンの数が多くてな。それでこの集落を見つけたんだがその中に女性達を見つけて放っておけなかったんだ」
「その気持ちは理解出来ますが、これほど大きな集落ならキングの存在も気づいていたんじゃ・・・」
「あれを見てくれたら分かるとは思うけど、キングなら俺の護衛達で対処出来るからな」
「「「「「「た、確かに・・・」」」」」」

 そこにはキング相手にアスカ一人でやり合う姿があった。

「ただ、この捕らえられている女性達が気になり、アユミ達も力が思いっきり出せないんだ。女性達をマートンの町に連れて帰ってくれないか?」
「わかりました。我々がここにいても役に立てそうにありませんから後は頼みました」
「わかった。ゴブリンの事は任せてとギルドに報告を頼みます」
「わかりました。貴方のご武運を祈ります」

 数十人の斥候隊員は、捕らえられていた女性を抱きかかえ全ての女性を集落から連れ出してしまった。

「アスカ!捕まっていた女性は全て安全なところに連れ出した。もう遠慮はいらん。思いっきりぶちのめせ!」
「わかった!」
「イチョウもありがとな」
「うん・・・おじちゃんの手・・・温かいね」

 ショウはイチョウの頭を優しく撫でると、日頃無表情のイチョウが笑顔になった。
 そして、アスカは捕虜になっていた女性達の姿がない事に気づき気合いが入る。

「ようやく大技が繰り出せる!ゴブリンキングこれでも食らえ。大絶斬!」

●大絶斬(だいぜつざん)
 大剣術をもつ人物が70レベルになると派生するアクティブスキル。大剣を振り被り神速で振り抜く事で超絶ダメージを敵に与える。通常ダメージの5倍を叩き出す大技。

 アスカが大絶斬を繰り出した瞬間、剣圧で突風が巻き起こる。それはまるで台風が通りすぎている感じだった。システィナとアリサはその突風に目を開けていられなく、ショウに抱きつき飛ばされないようにしていた。

「「きゃあああああ!」」
「アスカやり過ぎ・・・」
「アスカやり過ぎ!」

 カホとイチョウは、仁王立ちしながらショウの風よけに徹する。そして、ゴブリンキングはアスカの大絶斬を避けることもできず真っ二つに切断されて息絶える。

『ぐおぉおおおおおおおおおお!』
「アスカやるなぁ!あたしもゴブリンキングにとどめを刺してやる」

 アスカの活躍を見たアユミは剣を高々に振り上げた。

「これでも食らえ。英霊進軍!」

●英霊進軍
 剣術と戦術を持った事で派生したアユミのオリジナルのアクティブスキル。将棋の駒の特性を持つアユミの能力が剣術と戦術に影響を与えたと考える。剣を高々に振り上げると、8体の英霊が召喚されアユミをあわせ9人が敵に突撃するアタック攻撃。すれ違いざまに一撃を与え敵を斬り刻む。通常攻撃の9倍ダメージを与える。

 アユミが剣を高々に振り上げると、アユミそっくりの半透明の人間が横一線に現れる。

「「何が起こってるの?」」
「アユミそっくりのホムンクルスが9体・・・まるで将棋の歩の布陣みたいだな」

 ショウはアユミの技にニヤリと笑う。そして、アユミと英霊8体はゴブリンキングに突撃をし、すれ違いざまに重い一撃を入れ、英霊一体づつゴブリンキングを斬り刻んだ。

「ぐおぉおおおおおおおおおお!」

 その一撃は、ゴブリンキングには目にも止まらない一撃で避ける事も防御する事もできず全身から血が吹き出て地に崩れ落ちた。

「アユミあんな技を習得してたのね。私も負けてられないわね。リミット解除・・・」

 ヨシノの身体が金色に輝く。そしてヨシノは何もないところにジャンプする。

●リミット解除
 槍術を持つ人物が50レベルに達すると派生するアクティブスキル。20分間、腕力と敏捷度を2倍に跳ね上げる。

『ぐがっ!』

 何もないところでジャンプするヨシノにゴブリンキングは格好の的になりイヤらしい笑みを浮かべる。そして、ヨシノに向かって巨大な棍棒を振り下ろした。ヨシノに振り下ろされた棍棒にショウは大声で叫ぶ。

「ヨシノ危ない!」

 ショウの叫び声にヨシノはフッと笑みをこぼした。

「ご主人様。心配しなくとも大丈夫です。空歩」

 ヨシノは、何もない空中を足場にして更に高く駆け昇ったのだ。そのありえない技は、ゴブリンキングの棍棒を難なく回避する。

●空歩
 ヨシノのオリジナルアクティブスキル。戦術が派生し、将棋の駒である桂馬の能力と合わさり開花したスキルと予想される。桂馬の攻めは斜めに動き攻める為、空歩という動きができるようになった。効果何もない空中に足場を作り出し天高くジャンプする事ができる。

『ぐがっ?』

 空振りしたゴブリンキングは、目標のヨシノの姿を見失い辺りをキョロキョロと見渡す。それもそのはずである。ヨシノの身体はリミット解除して敏捷度が2倍に跳ね上がっているので予想もしない空中に更に高く駆け昇る姿をとらえることは不可能だった。

「これでも食らいなさい。牙突!」

 そして、キョロキョロとするゴブリンキングの頭上からヨシノの一撃が、ゴブリンキングの脳天に炸裂する。ヨシノが繰り出した技は空中から落下速度を利用した目にも止まらないものだった。そして、その槍を2倍になった腕力で貫いたのだった。

『グギャアアアアアアアアア!』

●牙突
 槍術を持つ人物が10レベルになると派生するアクティブスキル。槍を突き出す時に手首を使い槍に回転を与え穿つ。通常ダメージの1.5倍。

 ゴブリンキングの脳天を穿つ槍は、ゴブリンキングの頭をキリモミ状態にしてなくなってしまった。そして、ゴブリンキングはその場に倒れ込んでしまった。その様子を見ていたゴブリンエンペラーは顔を引き攣らせていた。

「みんな、後はあの二匹だけだ。思い存分力を見せてやれ」

 ショウの号令にアユミ達ホムンクルス全員が、ゴブリンエンペラーとマザーを睨みつける。その威圧にゴブリンエンペラーとマザーは逃げ出したかったが身体が全然うごかない。しかも、冷や汗も流れない変な感情に余計に心が追いつかなかった。

『『グギャアアアッ!ガゴゴゴ』』

 ショウ達にはゴブリンエンペラーとマザーが何を言っているのか全然わからないが、エンペラーとマザーはここから逃げ出そうとしているのがわかった。

「アハハハ!旦那様の魔法から逃げ出せると思うな!」
『『グギャアアアアアア!』』

 アスカが大剣をエンペラーとマザーに向け啖呵を切ると、エンペラーとマザーは最後の抵抗とばかりに咆哮を上げる。しかし、麻痺とは違う身体が動かない状況に何もできずにいた。

「アスカ。そう言うセリフはいいからみんなでとどめを刺してやれ。どうせアイツ等はあと10分は指一本動かせないんだからな」
「旦那様わかりました。みんなやるわよ」

 アスカの言葉にアユミ達は黙って頷き、ゴブリンエンペラーとマザーに突撃をした。エンペラーとマザーはショウの言った通り指一本動かす事が出来ず、無抵抗のまま絶命してしまったのだった。

「ゴブリンエンペラーとマザーがこんな簡単に討伐されちゃうなんて・・・」
「これでシスティナもレベルが上がったんじゃないか?」
「あ、はい!今ので30レベルに到達しました」
「アリサはどうだ?」
「あっ・・・はい・・・あたしは21レベルになりました」

 アリサは、こんな急激にレベルが上昇するとは思っておらず放心状態にあった。そんなアリサを見てショウはアリサの頭をポンポンと優しく叩くのだった。

「な、なんですかいきなり・・・」
「よく頑張ったな」
「あ、あたしはなにも・・・」
「一般人がエンペラーの討伐についてこれただけで胸を張れる事だから自慢していいんだよ」
「そ、そうですか・・・」
「ああ。胸を張れ。それとアリサお前の鑑定(アイテム)精度が上がっただろ?」
「あっ!」

 アリサは、ショウに言われて地面に生えている雑草を鑑定してみた。

●雑草
 なんの役にも立たない草。薬草とは別物。

「す、凄い!雑草に説明がついたわ。今まで雑草としか出なかったのに!」
「アリサ。凄いね!おめでとう」
「システィナありがとう」

 システィナとアリサはお互い手を握り満面の笑顔になっていた。そして、アリサはシスティナにもレベルが上がった事で精霊眼が変わったんじゃないかと聞いた。しかし、システィナは首を横に振って何も変わってないと気落ちしたのだった。

「システィナそう落ち込むな。精霊眼はレアスキルだからそう簡単に変わるもんじゃないと思うぞ」
「だけど、ご主人様・・・私は最初の壁である30レベルになれたんですよ?」
「それは違うと思うぞ」
「「えっ?」」

 ショウの否定の言葉に、システィナとアリサは困惑気味に聞き返す。

「だけど30レベルは!」
「違う違う。30レベルは普通に上がるんだ。30レベルまでの経験値と30レベルから31レベルに上がる経験値がほぼ同じ経験値が必要なんだ」
「「えっ?じゃあ・・・」」
「そう言う事だ!システィナはここに来る前は15レベルはあったから、ゴブリンエンペラーとマザーをもう1回2回倒さないとヒューマン族の壁は越えられないって事だ」
「「う、嘘でしょ・・・」」
「そう簡単にレベルが上がればみんな冒険者になるに決まっているだろうが。まあ、道はまだまだ険しいって事だ」

 そう言うショウは、システィナのレベルが上がればとんでもない事になるだろうと期待していたのだった。
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