氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第1章 レアスキルは偉大

36話 マートンの町の危機は去る

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 ショウはシスティナにそんな焦らなくていいと言って気持ちをなだめるのだった。そして、ゴブリンエンペラーとマザーそしてキングの遺体を時空間倉庫に収納してしまう。

「イチョウ悪いが家に帰ったら、ゴブリンの解体を無理のない範囲でよろしく頼むな」
「うん。任せておじちゃん・・・」

 ショウは、イチョウの頭を優しく撫でるとイチョウは満面の笑顔になった。

「宝物庫の方はどうだ?」
「主、凄い貯め込んでいます。多分、数多くの行商人も襲われてますね」

 これほど大きな集落でエンペラーまで出現した大群は滅多にない。当然これほどの大群の食費を賄うにはそれ相応の犠牲が出ていてもおかしくはなかった。だが、こんなに大きな集落になるまで見つからなかったのは疑問でもあった。

「こんなに大きな集落になるまで見つからなかったのはおかしいですね」
「カオリもそうおもうか?」
「はい・・・それに行商人の遺体も少ない感じがします」

 ゴミ捨て場には、襲われた人間の頭蓋骨があるがあれほど多くのゴブリンの食費では足りない感じがした。しかし、その謎はすぐに解ける事になる。森に生息する魔物の遺体やボアやウルフの遺体が続々と出てきたのだった。知性の高いゴブリンシャーマンが出現した事で、人間を極力襲わなかったのではないかと推測したのだった。
 つまり、人間を極力襲わす力を蓄えていたと考えれた。そして、大きくなりすぎた集落は最近になってようやく人間を襲い出したと結論づけた。ゴブリンエンペラーとマザーがいれば、人間になんとかできるはずがないほど強大な軍勢ではないからだ。しかし、ゴブリンの誤算はマートンの町にショウが移住してきた事にある。まさかこれほどのゴブリン帝国をたった八人で壊滅してしまったのだ。

「しかし、ゴブリンも知性をもつと厄介なんだな。そう考えると、お前達に戦術が派生したのはよかったな」
「「「「「「「はい!」」」」」」」
「今度からはダンジョンに薬草を採取しに行こうと思う」
「えっ?」
「なんだ?」

 ショウがダンジョンに薬草を採取しに行こうと言うとシスティナが声をあげる。

「ご主人様。薬草は必要ないんじゃ?」
「いやいや、薬草は必要だろ?」
「ですが、家の土地にはドライアドの薬草がたくさん栽培しているではありませんか」
「ああ・・・そう言う事か」
「そう言う事かじゃないです。もうドライアドの薬草は必要ないのですか?」
「いやいや・・・あれは俺達に必要な薬草だぞ」
「だったら!」
「システィナお前はいつも思い込みが激しすぎる」
「ですが・・・」
「いいか?ドライアドの薬草だけだと作れるのはヒールポーションだけなのがなぜわからん」
「えっ?」
「いいか?俺はヒールポーションだけ作ろうとは思ってはいないんだよ。当然、ミドルヒールポーション・ハイヒールポーションそれ以上のポーションも作ろうと思っている」
「じゃあ、ご主人様は癒し草を?」
「癒し草だけじゃないぞ。完治草はもちろん魔力草だって欲しいからな」

 ダンジョンには、色んな植物がはえている。これらの上位薬草は魔素の多い土地に生えている事が多い。つまり、ショウの土地では育たないとは言わないがドライアドの負担が大きすぎるのだ。

「ドライアドには負担をかけられないだろ?それにあの超最高品質の薬草だけでも本当に助かるんだからな」

 ドライアドの超最高品質の薬草はまだ使い切れてはいないのだ。あの薬草は最上級のポーションに使ってこそその真価を発揮すると言っても過言ではないのである。

「わかりました」
「一応言っておくが、俺達の中でもう役に立たないからいらないという事はありえないからな。みんなも覚えておいてくれよ」
「「「「「「「はい」」」」」」」

 今回のゴブリン退治の戦いでも、ショウのヒールポーションは使う所はなかった。つまり、それだけアユミ達が強くなりすぎたのだ。ショウはその事からダンジョンに潜っても大丈夫と判断した。これにより、ヒールポーションだけでなくキュアポーションはもちろん、リームブパラライズやブラインドネスなど状態異常解除のポーションも製作可能になるのである。そして、この事が更に商人ギルドの売上を圧迫する事になるのである。

「やっぱり、ジャイアントボアの死体はここにあったか」
「ご主人様どうします?魔石や肉はありませんね」
「まぁ当然だろうな・・・」

 ショウは、ゴブリンの集落に貯め込まれていた金貨や宝石は全部時空間倉庫に収納していた。また、魔物の素材等も全部収納する。しかし、冒険者ギルドの依頼はジャイアントボアの肉と魔石である。当然だが肉はゴブリンに食べられてしまい無かった。また、魔石も全部ゴブリンに食べられてしまい見つける事が出来なかった。
 魔物の生態はまだわからない事ばかりで研究が進んでおらず、魔物がなぜ魔石を食べるのかわからないが、ある研究者は魔石を食べる事で魔物は進化しているのではないかと考えていた。今回もゴブリンキングだけでなくエンペラーとマザーが出現したのもそう考えれば辻褄が合うのだ。
 しかし、ショウにとって魔物の進化などどうでもよく、ゴブリン達のせいで周辺の野生動物や魔物は食料にされて見つける事は至難の業であり、このままでは依頼失敗になってしまう方が死活問題である。

「肉と魔石がないと依頼失敗になるな・・・」
「あのご主人様・・・」
「アリサなんだ?」
「いつもみたいに復元したらいいんじゃないですか?」
「あっ!確かに!アリサ賢い」
「キャッ!」

 ショウは思わずアリサを抱きしめるのだった。アリサもショウに抱き寄せられるのは嫌ではなく顔を赤らめた。

「そうだよな!俺には時空間倉庫があったんだった」

 ショウは、ゴブリンが食べてしまったジャイアントボアの骨を収納し、ジャイアントボアの時間を巻き戻した。これはショウの調味料や食材と同じ原理でジャイアントボアの骨が殺された時まで時間を巻き戻し肉や魔石が残った状態にできたのだった。

「おお!これで依頼が完了できるな」
「まったくご主人様はなんでもできるのに抜けてる時があるんだから・・・」
「アリサそう言うなよ。俺には前世の記憶が強いんだからまだ慣れないんだよ」
「まぁいいけど何かご褒美がほしいわ」
「わかったよ。何がいいか考えておいてくれ。ただし、俺が出来る事にしてくれよ」
「わかってるわよ。うふふ・・・」

 ショウはアリサの笑みにゾクッとしたが、あまり考えないようにして我が家の土地に帰還するのだった。

 そして、私有地の我が家に帰るとそこにはガイルが慌てた様子で駆け寄ってきた。

「あっ!ショウ、いや・・・魔道士様どこに行ってたのですか?」
「ガイル久しぶりだな。それと話しづらいなら普段の話し方でいいよ。いちいち言い直されるのもなんか気になってしょうがないからな」
「それはありがたい。それより大変なんだよ!どこに行ってたんだ。すぐにギルドに来てくれないか?ギルドマスターが呼んで来てほしいと言っているんだ」
「えぇ~面倒くさいな。用事があるならそっちからくるのが常識だろ?」
「そんな事を言っている場合じゃないんだ!森の中にゴブリンの集落が出来ている可能性があるんだよ!」
「ああ・・・それならもう大丈夫と冒険者ギルドに報告しておいてくれ」
「はっ?」
「はっ?じゃない。察しが悪いな。そのゴブリンの集落は俺達が壊滅させたと言っているんだ」
「馬鹿な事を!情報ではゴブリンキングが率いる集落なんだぜ!ランクでいえば限りなくSランクに近いAランクの討伐依頼になるんだ。それをお前がいくら魔道士だからといってたった10人で壊滅出来るわけがないだろうが!」
「まぁ信じないのなら構わないさ。ギルドの諜報員が偵察していたしな。今頃ギルドではもう大丈夫と報告されていると思うぞ」
「本当なのか?」
「まぁ・・・今ガイルが言った情報に誤りがあるとしたら、キングが率いる集落じゃなかったって事だな」
「キングがいなかったってことか?じゃあ、率いていたのはジェネラルかマスターだったのか?」
「いや、それも間違いだな。率いていたのはエンペラーとマザーだった」
「な、な、な、な、なんだとぉおおおおお!すぐにギルドに来てくれ!町の一大事だ!」
「だから!もう大丈夫だと言っているだろうが!俺達が集落は壊滅してしまったからもう安心なんだ」
「馬鹿な事を!エンペラーとマザーの率いる集落なら、SSランク」
「もういい!」

 ショウは、顔を近づけるガイルの顔を手でガードし押し退ける。そして、エンペラーの死体を時空間倉庫から出して、討伐した証拠をガイルに見せると、ガイルはピタッと停止してしまった。

「エンペラーの死体だと・・・」

 ゴブリンエンペラーは、それほど大きくはないがゴブリンと比べて1メートル程大きく人間とほぼ同じで180センチメートルぐらいだ。しかし、体重は100キログラムを超える肥満体型であり、特徴はその大きな複数本の角にある。キングでも5本しかない角だが、エンペラーには9本の大きな角が生えているのだ。

「本当に集落を壊滅してしまったのか?」
「だから言っているだろ。もう安心なんだよ。俺達は疲れたから明日にでもギルドに顔を出すからそう伝えておいてくれよ」
「わ、わかった・・・」

 ガイルはショウにエンペラーの死体を見せられては、素直に引くしかなく呆然としてマートンの町に帰って行ったのだった。
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