氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第1章 レアスキルは偉大

47話 商人ギルドマートン支部大量退職!

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 商人ギルドマートン支部は、ショウのポーションが売れに売れまくり冒険者達のダンジョン死亡率が更に減った。そして、王都グシリアの冒険者ギルドにもこれらのポーションがマートンから出た行商人の手によって流通されたのだ。

「こんなポーションが存在したのか?」

 王都グシリアの冒険者ギルド関係者は、ショウのストレングス・プロテクションポーションに目を見開き驚く。この2種類のポーションはありそうで今まで無かった物だからだ。

「このポーションはいくらで卸してくれるんだね?」
「ここまでの運搬を考えると一本3万5千ゴルドは頂かないと割に合わないんですがよろしいでしょうか?」
「た、高い・・・しかし、これらのポーションがあればダンジョン攻略が進むのは間違いない」
「あ~そうそう!言い忘れていましたが、マートンの町のダンジョンなんですが、このポーションで最深レコードが更新されたようですよ」
「な、なんだと!それは本当なのか?」

 ダンジョンが近くにある町にとってはとても大事な事である。確かにダンジョンを潰してしまえば、スタンピードの心配は無くなり安全になるが、町はダンジョンのおかげで発展したいる事実がある。その為、冒険者はなるべく最深層に潜り魔物の数を減らしながら現状維持する事がベストなのである。その為、このポーションで最深レコードが更新できるのであれば、喉から手が出るほど手に入れたいアイテムである。

「商人ギルド経由では流通出来ないのか?」
「それは期待しない方がいいかと・・・」
「な、なぜだ?こんなポーション売れないはずがないだろう?」

 行商人は、マートンの町の商人ギルドの噂を話すと冒険者ギルド関係者は肩を落としたのだった。冒険者ギルド関係者は、商人ギルドのラーダの一件は何となくだが耳に入れていた。正直、商人ギルドマートン支部は本部から見捨てられ潰れるのも時間の問題とも言われていたのだ。そうなると、マートンのダンジョンは国が騎士を派遣して常駐する事になるかもと言われている程だった。しかし、その噂がデマと確信する冒険者ギルドの関係者は、ポーションの購入を決めたのだった。

「おい!聞いたか?」
「なんだお前?今頃、マートン産のポーションの事を言うんじゃないだろうな?」
「なんでそれを!」
「今、王都グシリアの冒険者ギルドでその話でもちきりじゃないか!それにこれを見て見ろよ」
「ああああ!それは新しく販売されたポーションか!?」
「運良く購入できたんだぜ。今度の遠征で使うつもりなんだぜ」
「お前運が良すぎないか?次の入荷で予約が殺到したらしいが、冒険者ギルドはそれを無しにしたらしいぜ」
「なんでも入荷した次の日に早い者勝ちらしいな」
「俺達のパーティーも並ぶつもりなんだぜ」
「買えるといいな」
「ああ!」

 その噂は当然ラーダの耳にも入る事になる。

「いったいどういう事だ?」
「ですから、マートン支部では新しいポーションの仕入れの交渉に成功し、そのポーションは冒険者ギルドに大好評で商人ギルドで流通出来ないかと要望が殺到しております」
「だったら、すぐにマートン支部に連絡を取ったらどうなんだ?」
「ラーダ様、もうお忘れになったのですか?」
「いきなりなんだ!私を馬鹿にしているのか?」
「そうではありません・・・当然マートン支部には連絡をしましたが、王都グシリアの本部には入荷はさせないと断られました」
「はぁあ!?何を言っているんだ!そんな馬鹿な話があるか」
「商人ギルドマートン支部の抗議は、魔道士様への損害賠償金を我々に丸投げした癖に、おいしい取り引きを入荷させろだなんて図々しいとの事です」
「なんだと!」
「又、このポーションは現ギルドマスター代理のダインが、マートン支部の特産としてマートン支部の行商人が他の町へと運ぶのみとするとし、その売り上げは魔道士様への損害賠償にあてるそうです」
「馬鹿な事を!商人ギルドに流通させればより儲けれるではないか。そうなれば、魔道士の損害賠償も早く払う事が出来るではないか」
「私に言われても・・・とにかく、マートン支部ギルドマスター代理によれば、何を言おうが本部の言いなりにはならないから諦めろとの事です・・・」

 そのダインの報告を受け、ラーダや本部の上層部の役員は頭に血が昇ってすぐに緊急会議を開いたのだ。

「マートン支部に好き勝手させては我々の沽券に関わる」
「皆、マートン支部をどうすべきか意見を出してくれ」
「今、マートン支部にはギルドマスター代理として、ダイン課長が就いているのでしたな?」
「そうだ。たかが課長の分際で生意気な奴よ」
「ダインの奴を閑職に飛ばしてしまうのはどうだ?」
「そう簡単には出来ぬ・・・」
「しかし、我々の指示に従わなかったのだろう?」
「理由が理由なのだ・・・」
「どういう事だ?」
「今、マートン支部には例の魔道士の損害賠償という借金があるのだ。その損害賠償を優先的に支払う為にマートンの特産として利益を確保しているとの事だ」
「忌々しい奴め」
「ならばこうしたらどうだ?」
「「「「「「「ほう!それはいい」」」」」」」

 商人ギルド本部の会議室は、ギルドマスターとその幹部達がいやらしい笑みを浮かべ大笑いするのだった。それからの商人ギルド本部の行動は早かった。
 それから一ヶ月以上経ったある日、商人ギルドマートン支部では騒然となっていた。

「おじちゃん。王都グシリアの本部から、やっと派遣されてきたみたいだよ」
「イチョウ、偵察ありがとな。フッフッフッ!これでラーダの奴に一泡吹かせられそうだな」
「おじちゃん、ダインのおじさん大丈夫かな?」
「ああ。今いる職員はこの日の為に歯を食いしばってきたんだからな」

 ショウとイチョウがそんな話をしていた頃、商人ギルドマートン支部の会議室ではダインが、長机を叩いて本部から派遣された役員数十人に対して意見を言っていた。

「こんな仕打ちあんまりではないですか!」
「うるさい!これは本部の意向である。マートン支部の職員はこの決定に従ってもらう!」
「本部はマートン支部に今回の損害賠償の件を、我々に丸投げしたではないか!」
「なんだその言葉は!上司に向かって礼儀がない!」
「今更上司ヅラされてもちゃんちゃらおかしい!どうせ新しいポーションを使って中抜きでもしようという魂胆だろ」
「貴様ぁ!私は今回の件で辞令を受け、マートン支部ギルドマスターになったアーノルドなんだぞ」
「どうせ、新しいポーションに目がくらんだだけの癖に偉そうにするな」
「貴様ぁああああ!とにかく、これは本部の決定で本部が責任を持って、魔道士様への損害賠償金を優先的確保して支払う事になったのだ!」
「ギルド本部が責任を持ってだと!じゃあ、始めからそうしろよ!」
「うるさい!前と今じゃ現状が変わったのが分からんのか!あのポーションならすぐにでも損害賠償金は補填できるのが分からんのか」
「はっ!ただ甘い汁を吸う事の方が大事なだけだろうが!」
「何とでも言えばいい。これは本部の決定だ!あのポーションは商人ギルドの流通で王都グシリア本部で販売をする。そして、魔道士様への損害賠償を優先的に確保する事決定したのだ」
「ぐぬぬ・・・」
「お前等下っ端の人間は我々の歯車となり、大人しく動いていればいいのだ。それが嫌ならギルドを辞めるがいい!歯車の代えならいくらでもいるんだからな!アハハハハハハ!」
「わかりました!こんな腐ったきった組織はこっちから願い下げだ!」

 現ギルドマスター代理のダインは退職届を、会議室の長机に叩きつけた。

「そうかそうか勝手にするがいい。お前のような人間は組織には要らん!組織には従順な歯車がいれば問題はない」
「いいか?自分の言った事は責任を持てよ!魔道士様への損害賠償金を払えなくなった時は本部が責任を持てよ!」
「お前に言われなくとも、これは商人ギルド本部ギルドマスターラーダ様の決定だ。心配せずマートン支部を辞めるがいい!」
「「「「「「「わははははは!」」」」」」」
「これで商人ギルドマートン支部もすぐに立て直せるだろうよ!」

 そして、ギルドマスター代理のダインの退職が受理された翌日、本部から派遣された役員達全員が顔を真っ青にしていたのだ。

「私達、ライネ以下全マートン支部職員は、商人ギルドを退職させて頂きます!」
「ま、待て!お前達は何を考えているんだ!」
「私達一同。ダインさんだから、あの窮地を抜け出そうと頑張っていたんです。あの時、あなた達はマートン支部を見捨て丸投げをしたのに現状が変わったから後は本部で受け持つと言われて納得できません!」
「だからといって、全員が辞めるなんてマートン支部が潰れてしまう!」
「私達には関係ありません!ただ、いきなり辞める事が出来ないのは重々承知してます。だから、後2週間は働かさせて頂きます」
「ば、バカな!後、たった2週間で職員が揃うはずかなかろう!」
「そんな事知った事ではありませんわ。それにアーノルドギルドマスター!貴方はダインさんにこう言ったそうじゃありませんか。【お前達のような歯車はいくらでもいる】と、だったら私達の代わりもいくらでもいるでしょ?」
「屁理屈を言うな!お前達が居なくなれば商人ギルドマートン支部は潰れてしまう。それでいいのか?」
「辞める組織の事なんてどうでもいいに決まっているでしょ!それにアーノルド!あなたの下で働くなんて死んだほうがマシなのよ!」

 ライネがアーノルドに啖呵を切ると、一緒に詰めかけていた職員全員が歓声を上げるのだった。そして、ライネとギルド職員全員が、会議室の長机に各々の退職届を叩きつけて会議室から退出してしまう。そして、各々が今日の業務を粛々とこなしていくのだった。

「ぐぬぬ・・・下っ端の癖に偉そうな!」
「ギルドマスター!どうするのですか?」
「しょうがない。この事を本部に連絡をし職員の派遣をしてもらうんだ!」
「しかし、本部からだと派遣が到着するまで一ヶ月以上かかります」
「お前は馬鹿か!派遣してもらうのは【グレン】【スーマ】【オーマ】の隣町から派遣してもらえ!」
「そ、そうか!隣町からなら1週間で人員をまわしてもらえる」
「わかったならすぐ救援要請だ」
「「「「「はい!」」」」」

 商人ギルドマートン支部は、かつてない程に混乱してしたのだったが、これはまだ序章に過ぎなかったのである。
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