氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第3章 新たな覚醒

11話 幼児行動にショウ達は焦る

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 次の日、目を覚ましたショウは家の外を確認すると家の周りには大量のゾンビが死んで?いた。ゾンビが家の周りに湧き家の結界にダメージを負ったのだとわかる。

「おじちゃん大丈夫?」

 そこに目をこすりながら起きてきたイチョウが玄関に出てきた。イチョウはダンジョンでの生活では一番早起きで、朝一番からこうしてハウスの結界で死んだ魔物の解体をするのである。

「ゾンビがいっぱいだね……」
「だな……今日は解体はいいぞ。この量は多すぎるから時空間倉庫に収納しておくから、地上に戻ってから少しずつ頼むよ」
「うん。わかった……」
「いつもありがとうな」
「うん。大丈夫……」

 ショウは家の周りに倒れているゾンビを時空間倉庫に収納した。すると、みんなも起き出してきたがやはりヒナタは前日の疲れもありなかなか起きてこず、無理はさせられないという事で、ショウの判断でもう一日この場所でゆっくりする事に決めた。

「イチョウ。悪いが何体か解体のほうを頼む」
「大丈夫。任せて……」

 イチョウは中庭にあたる場所でゆっくり解体をする事にした。ゾンビの素材は【魔石】しかない。後は腐っているから使い道がないのはしかたがないのだ。

「魔石はチュータにやってくれるか?」
「わかった……」
「チュータ、存分にお食べ」
『チュー!』

 チュータは解体した魔石をバリボリと食べるのだった。そして、アユミ達は中庭で素振りをし身体を鈍らせないように訓練をしながら、時折この場所に湧くゾンビを狩っていく。ショウは家の中でポーションの製作に勤しんでいた。

「おっ。ようやく起きてきたか?」
「父ちゃんおはよ……」
「もう昼過ぎで2時ぐらいだぞ」
「えっ!?そんなに寝てたの?父ちゃんごめんなさい……」
「かまわんかまわん。俺こそ無理させて悪かったな。今日はこの場所で待機にしてるからゆっくりしてくれ」
「わかった……」

 ヒナタは、また布団の中に潜り込み目を閉じるのだった。ちなみにショウが時間がわかるのは時空間属性魔法の影響であり、時計を見なくともなんとなく時間を把握できるからだ。また、ハウス内に設置してある時計やパソコンをみれば一目瞭然である。



 そして、次の日はヒナタも元気いっぱいに回復し、ショウ達は4階層へと出発するのだった。今は、他の冒険者達と遭遇する事はない。その為、ダンジョン内は魔物で溢れていた。4階層に到着するとそこはまた違う魔物が出現しアンデッドはいなかった。ただし、4階層は更に強い魔物が出現するのでより気をつけなければいけないのだ。

「ヒナタ。お前はまだ30レベル手前だから絶対前には出るなよ」
「わ、わかった……」

 普通は4階層にくる人間は40レベルになってから来るのが望ましい。しかし、ショウのパーティーは65レベル以上の人間ばかりの為余裕で潜れるのである。
 出てくる魔物は、アユミとカオリだけでザッパザッパと斬り伏せていく。

「ショウ?あの魔物はなんだ?」
「この階層では見た事のない魔物だな」

 ショウが神眼で鑑定すると、スリーピングシープ【変異種】と表示される。

「うわぁ……モコモコで可愛い!」
「あっ!ヒナタ……」

 ショウは慌ててヒナタを止めようとする。しかし、ヒナタはスリーピングシープに目を奪われ近づこうとして走り出した。そのいきなりの行動に誰も動く事が出来なかったのだ。
 確かに、そのスリーピングシープはまだ生まれたばかりなのか、幼体で子犬ぐらいの大きさでモコモコの金色毛玉のように可愛い見た目をしていて、5歳児のヒナタには子犬のように見えていたのだった。

「ヒナタ止まれ!」

 スリーピングシープは、近づこうとしてくるヒナタに唸って突進しようと前足をカツカツ鳴らす。ショウの言葉にヒナタはハッとして我に返る。

「あっ……」

 そして、スリーピングシープはヒナタに向かって突進する。

「ヒナタ!」

 ショウはヒナタを守ろうと駆け出す。そして、ヒナタの前に飛び出す前に、スリーピングシープはヒナタに接触をしてしまう。ショウはヒナタが死んだと思い目の前が真っ暗になってしまうが、予想外の事が起こるのだった。

「えっ……」

 スリーピングシープはヒナタになぜか懐き、ヒナタに頬ずりをしていた。スリーピングシープのその行動にショウは変な声が漏れた。

「はっ!?どういう事だ……」
「「「「「ヒナタ!」」」」」

 アユミ達もショウに遅れてヒナタに駆け寄る。ヒナタが無事なのを見てホッとした息を漏らすのだった。

「ヒナタ。そのスリーピングシープを早くテイムしろ」

 ショウはヒナタの安全を確保する為、スリーピングシープをテイムするように指示を出す。その言葉にヒナタはスリーピングシープをテイムする。本来なら、ヒナタのレベルではテイムできない魔物だが、懐いているスリーピングシープはテイムに応じ、テイムは成功する。
 そして、ヒナタはスリーピングシープの名前を【夢見ユメミ】と名付けた。
 安全が確保できたショウは、ヒナタの頭にゴツンとゲンコツを落とす。

「父ちゃん痛い……」
「ヒナタ!あれほど前に出るなと言っただろ!」
「ご、ごめんなさい……」
「ユメミが懐いたから大丈夫だったが、本当ならヒナタは死んでいたかもしれないんだ」
「ううっ……」
「魔物の中には小動物のように可愛い見た目をしているのも多いが凶暴なのが普通なんだぞ。今回助かったのは運が良かっただけだ!」
「ご、ごめんなさい……うわぁああああ~ん!」

 ショウはヒナタが心配で本気で叱るのだった。ショウの叱る態度はヒナタにとって初めての事で、ヒナタは号泣する。

「父ちゃん!ごめんなさい……だから捨てないで!」
「わかってくれたならいい。だが、また同じ事をしたら考え直さないといけなくなるからな」
「うん……ごめんなさい……」
「ったく……ヒナタが無事でよかったぜ」
「アスカ……あなたってホントにお気楽なんだから」
「スミエなんだよ!無事だったんだからいいだろ。お前だってこういう時は弓矢でユメミを狙い撃ち出来なかったじゃねぇか」
「だってヒナタが急に飛び出して、ユメミの前に被さって狙えなかっただもの」
「はいはい。二人ともやめろ」
「旦那様……」
主様あるじさま
「今回は俺も焦ったが、ヒナタも分かってくれたみたいだしもういいよ」

 ヒナタは初めてショウに叱られて今も号泣して、アリサにしがみついていた。アリサもホッとしたようにヒナタの頭を優しく撫でて抱きしめていたのだった。
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